Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2011.01.05,Wed
新年も五日目となりました。お正月気分はほぼ消え去り、雪に包まれて妙に嬉しかった年末年始の記憶もすでに遠のいてしまった印象です。
多くの方から年賀状を頂戴しました。お礼を申しあげます。例年同様、立春のご挨拶をお返しする予定です。
いただいた賀状には、昨年11月に神戸で行った講演「横溝正史と江戸川乱歩」に関するコメントを書き添えていただいたものがあり、とても嬉しく思いました。会場にお運びいただいた方からは、えへん、自慢ではありませんがお誉めをいただき、おいでいただけなかった方からは、じつに残念であった、とか、講演内容をなんらかの形で公表しろ、とか、そういったお言葉をたまわりました。
私は昨年5月、アップル社iPadの国内販売が開始された翌日、電子書籍元年に叩きつけるべく電子書籍もどき「涙香、『新青年』、乱歩」を配信した輝かしい経歴をもつ人間ですから、電子書籍もどき第二弾として「横溝正史と江戸川乱歩」を世に問おうかなどとちらっと思案してみたのですが、3日の新年会では紙の本として出してもらいたいとのリクエストが寄せられたりもして、しかし紙の本として出版するとなるとほとんど夢物語ということになってしまいます。
それに電子書籍もどきであれ紙の本であれ、本をつくるにはまず原稿を書かなければなりません。
このブログでは以前「乱歩と本格」と題したつづきものを書いていて、まだ完結はしていなかったのですが、「昭和10年の横溝正史」というエントリで中断したまんま現在に至ってしまいました。私は探偵小説のファンでもなければマニアでもなく、まして探偵小説の評論となると敬して遠ざけておきたい気持ちが強くて、本格とは何か、みたいなことにはまるで興味がないのですが、「涙香、『新青年』、乱歩」の延長線上であれこれものを考えてみる場合には、乱歩が取り憑かれた本格探偵小説ってのはいったいどんなものだったのか、みたいなことを考えておかなければならんのではないか、とふらふら思いついたのが「乱歩と本格」を書き始めるきっかけになったのではなかったか。
乱歩と本格
▼乱歩はいつ本格に開眼したのか 乱歩と本格(1)(2010年10月13日)
▼昭和7年の探偵文壇事情 乱歩と本格(2)(2010年10月14日)
▼昭和10年の転身 乱歩と本格(3)(2010年10月15日)
▼悪霊は本格をめざす 乱歩と本格(4)(2010年10月16日)
▼石榴もまた本格をめざす 乱歩と本格(5)(2010年10月17日)
▼昭和10年に何があったか 乱歩と本格(6)(2010年10月19日)
▼昭和10年の夏に何があったのか 乱歩と本格(7)(2010年10月21日)
▼昭和10年夏、白い服の男 乱歩と本格(8)(2010年10月25日)
▼昭和10年夏の認識と方向 乱歩と本格(9)(2010年10月27日)
▼昭和10年の横溝正史 乱歩と本格(10)(2010年10月28日)
昭和10年というのは正史が本格探偵小説の本質に気づき、その正体を見破り、あらためて探偵小説の虜になった年だったのですが、正史にとっての本格、乱歩にとっての本格、この両者を比較することで何か面白いことがわかってくるのではないかと踏んでいたところ、いっぽうで「横溝正史と江戸川乱歩」と題した講演を行うことが本決まりとなりましたので、とりあえずこんなものをつくってみたりしました。
▼横溝正史江戸川乱歩関連年譜(2010年10月7日)
それで「乱歩と本格」は中断したまま、講演内容を知りたいというご要望にお応えして「横溝正史と江戸川乱歩」をつづきものとして綴り、こちらもいまだ未完のまま。
横溝正史と江戸川乱歩
▼二組の双生児 横溝正史と江戸川乱歩(1)(2010年12月17日)
▼正体をめぐる謎 横溝正史と江戸川乱歩(2)(2010年12月19日)
▼秘められた企図 横溝正史と江戸川乱歩(3)(2010年12月21日)
▼正史における突っかかりの一例 横溝正史と江戸川乱歩(4)(2010年12月24日)
▼家族の証言 横溝正史と江戸川乱歩(5)(2010年12月25日)
▼本日は命日なり 横溝正史と江戸川乱歩(6)(2010年12月28日)
こんなことをやってるあいだに、あっというまに新年を迎えてしまいました。もしも正史と乱歩のことを本にするなら、というよりまず原稿に仕上げるのであれば、この「乱歩と本格」「横溝正史と江戸川乱歩」をひとつにまとめたうえでまたいろいろとよしなしごとを記さねばならぬわけなのですが、なんかもう大変だなあ。
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