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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.04.20,Sat
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Posted by 中 相作 - 2010.12.25,Sat
 横溝正史と江戸川乱歩(5)
 
 正史における突っかかり、きょうは家族の証言で確認しておきたいと思います。令息の横溝亮一さんが角川書店編『横溝正史に捧ぐ新世紀からの手紙』(2002年、角川書店)に発表した「父・横溝正史のこと」から引用。
 
 世間の評判では、金田一耕助という名探偵を生み出し、“まがまがしい”殺人事件を解決させる探偵作家として著名であった、ということではあるが、家庭内の人間としての父は、父親らしい威厳を保つとか、とりつくろうというようなところが全くない、素の姿をそのままさらけだしている父だった。それは往々にして、エゴのかたまりであり、偏狭であり、凶暴であり、さらには腹立たしくなるほどの臆病者であり、「これが自分の父親なのか」と、嘆息せしめるにじゅうぶんであった。
 今、第三者的に振り返り観察すれば、それは一種の愛嬌でもあり、懐かしさを覚えさせもする。けれども、実際に、ともに生活していたころは、わがまま勝手で、しかも血ばかり吐いている扱い難い人間と四六時中、顔を突き合わせている息苦しさに閉口したというのも事実である。ある意味で、父は破滅型の人間だったと思う。それをすれすれのところで救ったのは、森下雨村、江戸川乱歩、水谷凖氏ら、多くの優れた先輩、友人の支えと、自身の「良い作品を書きたい」という、熾烈な願いであったろう。その願いは、あの華奢な肉体のどこに潜んでいたかと思えるほどの強烈な競争心と表裏をなしていた。それは「負けるものか」という口癖にも現われていた。およそ、創作を生涯の仕事とする人間というのは、それがどのような分野であっても、大方そのようなものではないか、というのは、父の死後に気づいた事柄でもある。人間として矛盾に満ちていても、強烈なツッパリが無ければ、人に認められるような個性的な“業”を完成させることはできない……。
 
 亮一さんのいう「強烈なツッパリ」は、乱歩も一再ならず経験したであろうと想像されます。
 
 つづく。
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