8月を迎えました。
先日来お知らせしております慶應義塾大学推理小説同好会OB会のみなさんの件、一度、当地へご足労いただくことになったのですが、なにしろ急なことで、またみなさん8月はご多用らしく、足並みが揃うのは9月になってから、とのお知らせをメールで頂戴しております。しかし、どうなるのであろうな。
「当事者からご依頼があれば対応させていただきます」とか事務方がその場しのぎに適当なこと口走ってるからこんなことになるのであるが、おいでいただいたみなさんに、名張市であれ、名張市教育委員会であれ、名張市立図書館であれ、いったいどんな対応をしてくれるのであろうな。
とくに市教委なんて、こんなことやってんだぞ。
▼伊賀タウン情報YOU:「桔梗学園」先送りに 見直し案、全協に提示へ 名張市教委(2017年7月31日)
いったい何やってんだろうなあ。
それにしても、森友学園、加計学園、桔梗学園、これが今年の三大おばか学園ということになってしまうのであろうか。
29日の土曜日、知人の遺稿集に寄せた短い文章のゲラが届いた。
翌日、つまりきのうの朝のことだ。
犬と散歩していて、そうだ、京都行こう、と思った。
その知人と夏、京都のビアレストランでビールを飲んだ記憶が、切ないほど懐かしくよみがえってきたからだ。
都合のいいことに、きのうは何の予定もなかった。
朝食のあと、簡単に雑用を済ませて、散歩のままのいでたちで、つまり、ユニクロのポロシャツとしまむらのハーフパンツ姿で、アネロのリュックを背負って近鉄電車に乗り込んだ。
京都着。
地下鉄に乗る前、通りすがりのくまざわ書店京都ポルタ店で文庫本を一冊確保。
▼中央公論新社:帝都復興の時代
先日、ある人から乱歩に関する記述があるとメールで教えてもらった本で、いくら当地が田舎でも中公文庫の新刊くらい本屋にどーんと並んでいまさあ、と自信満々で返信しておいたのだが、探してみても並んでいなかった。
だから、とりあえず確保した。
地下鉄に乗って降り、三条河原町あたりをうろついて、かつて知人と飲んだビアレストランを探す。
しかし、ない。
どこを探してもない。
そのうち、どこを探せばいいのか、それさえわからなくなってくる。
途方に暮れ、うろうろとあてもなく歩いていると、その知人が書いた短篇小説の世界に紛れ込んでしまったような気がしてくる。
と、いまなら思い返せるが、実際にはそんなことを思い返している余裕はとてもなく、猛暑というほどではなかったもののもちろん暑いし、名張に比べると信じがたいほど人が多いし、どこを歩いていてもわめき散らすような中国語がやたら聞こえてくるしで、この喧騒を逃れて早くあの静まり返った名張に帰りたいと思えてきた。
結局、知人と飲んだビアレストランは見つけられず、何をするのも億劫になって、いつのまにか京都駅に戻っていた。
しかし、ビールだけは飲んでおこう。
近鉄京都駅の名店街に入ると、そこも人であふれていて、行列ができている飲食店も少なくない。
奥まで歩いて、また引き返し、入口近くのレストラン、というより洋食屋と呼ぶほうがふさわしい店を覗くと、ささやかな奇跡のように客が少ない。
テーブルふたつが塞がっているだけで、見事に閑散としている。
救われたような気がして飛び込み、生ビールを二杯,それから、客の少なさが心から納得できる味わいのAランチ、ほとんど放心状態で飲み食いする。
かつて知人と入ったビアレストランで知人を偲びながらビールを飲む、というもくろみは果たせなかったが、まあこれでよしとしよう。
帰宅したのは午後4時過ぎ。
犬と散歩し、シャワーを浴びて、またビールを飲んだ。
一夜明けて、ゲラに目を通し、返送するのはこれからの作業になる。
きのう、乱歩忌だったので、というわけでもありませんが、近くへ行く用事があったので、乱歩生誕地碑広場に立ち寄ってみました。
もとより人影はなく、命日だからといって、花を手向けてくれるような市民もなかったようです。これはきのう、お昼ごはん前の時間帯に撮った生誕地碑の写真。
ほんとにもう、しーんとしてますから。
この広場のみならず、乱歩が生まれた名張のまちが、死んだみたいにしーんとしてましたから。
というか、もう死んでました。
さ、小学館の江戸川乱歩電子全集の附録に入れてもらうインタビューのテープ起こしのテキストデータをワードからインデザインに移してあっちこっち手を加えたファイルをPDFに書き出したのをキンドルに入れて校正しながら読んでみようっと。
なんか、四百字で八十枚ほどあるんですけど。
7月28日を迎えました。
乱歩忌です。五十二年前のきょうのことでした。
死去の周辺については、かつてこのエントリに記しました。
▼2015年8月15日:残暑お見舞い申しあげます
本日の福島民友にこんな記事が、と福島県在住の乱歩ファンのかたから写真をお送りいただきました。
それでは、どうぞつつがなく、乱歩忌の一日をお過ごしください。
えー、きょうも衰退一直線、名張のまちの話題です。
毎日新聞のウェブニュースを無断転載。影絵劇
日本の文化、影絵で楽しんで 「バイリンガル七福神」29日初上演 名張・まちかど博物館はなびし庵 /三重
毎日新聞2017年7月25日 地方版
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七福神の影絵の前でPRする(左から)田中さん、角田さん、久子さん、野崎さん=三重県名張市で、竹内之浩撮影
外国人客向けに英語、日本語で新作発表 角田さん夫妻
名張市の歴史を影絵劇で紹介している同市中町の伊賀まちかど博物館「はなびし庵」が、外国人観光客も楽しめるようにと、日本語と英語のナレーションを付けた新作「バイリンガル七福神」を制作し、29日に初上演する。館長の角田勝さん(74)、久子さん(68)夫妻は「日本の文化や歴史に関心を持つきっかけになればうれしい」と意気込んでいる。【竹内之浩】
角田さん夫妻は2004年に「劇団ふたり」を結成。赤目の忍者や江戸川乱歩などをテーマにした影絵劇を、酒店を営む築170年余の町家の座敷で上演している。
18作目の今作では、増加が見込まれる外国人客の受け入れ策として、日本語と英語を交互に繰り返す影絵劇を初めて企画。同館がある名張市の旧町には蛭子(えびす)神社があることや楽しくハッピーな内容が外国人向きと考え、七福神を題材にした。
市内の郷土史家、中相作さん(64)に脚本を依頼し、翻訳は元外国語指導助手の米国人らが協力。ナレーションと音響効果は伊賀市の桜丘高放送部と英会話部が担当した。同校の協力は3作目。切り絵は久子さんが2カ月をかけて作った。
人口減が進む名張に七福神が登場する話で、それぞれの由来や特徴が紹介され、最後は「ええじゃないか」と七福神踊りで名張の復興や観客の幸せを願う。上演は約12分。
苦労したのは七福神が全て前向きに登場するため、左右の動きしか表現できないこと。タイや打ち出の小づちなどの持ち物を動したり、ライト3基の照明方法に変化をつけたりして、観客を退屈させないよう工夫した。
日本語のナレーションを担当した放送部の野崎淳さん(3年)は今月のNHK杯全国高校放送コンテストに出場する実力者で、「歓迎の思いを込めて読んだ。日本語の良さを感じてほしい」と話す。英語を担当した英会話部の田中恵理さん(1年)は「アクセントと抑揚に注意し、楽しい内容が伝わるよう頑張った」。角田さん夫妻も「テンポの良い2人のナレーションに助けられた。外国人客には楽しい思い出を持ち帰ってほしい」と願う。
29日午後2時、同館で。バイリンガル七福神を含む2作の上演や影絵劇の体験がある。菓子付きで500円。定員35人。要予約。はなびし庵(0595・63・0032)。
〔伊賀版〕
えー、六十四歳の郷土史家です。
こちらもどうぞ。
▼なばり観光ガイド:バイリンガル 七福神 歴史影絵 新作上演会(2017年7月22日)
29日土曜の午後2時からはなびし庵で「バイリンガル七福神」をお楽しみいただき、そのあと午後3時から古書からすうりで「乱読夜話 石榴忌」をご堪能いただくのも乙なものかもしれません。
▼2017年7月1日:乱読夜話 石榴忌
はなびし庵から古書からすうりまでは徒歩一分ほどとなっております。
それでは「バイリンガル七福神」、冒頭だけご紹介申しあげます。
バイリンガル七福神
The Seven Gods of Good Fortune Bilingual Version
A「みなさんこんにちは」
B「Hello everyone」
A「名張のまちへようこそ」
B「Welcome to the town of Nabari」
A「名張よいとこ一度はおいで」
B「Nabari is a nice place. Please visit us」
A「酒はうまいしねえちゃんはきれいや」
B「The sake is good, and the girls are beautiful」
A「ところが名張市の人口は猛スピードで減っているんです」
B「However the population of Nabari city is decreasing at a rapid speed」
A「なので、名張見るならいまのうち」
B「So, now is the time to see Nabari」
A「名張そろそろ運の尽き」
B「Before Nabari’s luck runs out」
A「あ~こりゃこりゃ」
B「Ah, korya, korya」
A「おや、古い船がやってきました」
B「Oh, an old ship came」
宝船、静かに登場する。
お問い合わせはこちらへどうぞ。
▼はなびし庵 すみた酒店:Home
29日の土曜は、名張川納涼花火大会の日でもあります。
▼なばり観光ガイド:2017 名張川納涼花火大会(2017年6月5日)
よろしかったら7月29日の土曜日、ぜひ名張のまちへおいでください。
さて、慶應義塾大学推理小説同好会OB会の寄贈図書の件、メンバーのかたに一度名張までご足労願えませんか、と厚かましいお願いを申しあげましたところ、先日19日の水曜日、おそらく東京でだと思いますけど、メンバーのおひとりでOB会と名張市立図書館の橋渡し役を務めていただき、4月にお亡くなりになった中井洽さんをしのぶ会が開かれたそうで、中井さんと同世代のOB会員がお集まりになったその席で、とりあえず名張に足を運んでやろう、との方針を固めていただいたそうです。
ありがたいことだと思います。日程は未定です。
慶應義塾大学推理小説同好会といえば、紀田順一郎先生の『蔵書一代』、なんとも重たい内容で、じつはこの夏、余儀なく過去を振り返ってなんとも重たい気分になる、ということが重なり、こりゃどっかで験直しと洒落込まないとな、と思案しているところです。
そういえば、鷲田小彌太先生も蔵書の処分を決意されたとブログにお書きであった、と検索してみたところ──
▼鷲田小彌太の仕事:読書日々 825(2017年4月14日)
鷲田先生、「蔵書を99%(?)以上を処分する」とのことで、これもまた、蔵書一代。
ところで鷲田先生、『涙香、「新青年」、乱歩』をご紹介くださっておりました。
▼鷲田小彌太の仕事:読書日々 835(2017年6月23日)
ありがたいことだと思います。
鷲田先生にお読みいただいた『涙香、「新青年」、乱歩』は、じつはこれ。
2014年12月、高井信さんからプレゼントされた一冊で、この世に三冊、高井さんと北原尚彦さんと私、この三人のもとにしか存在していなかった稀少本ですが、今年5月、鷲田先生に当地へおいでいただいたあと、ご馳走になったお礼にと、当地の銘酒「乱歩誕生」といっしょにお送りしたものです。
私が所蔵していたら死蔵されているだけですが、鷲田先生にお読みいただき、そのうえで札幌あたりの古書市場に流通したとしたら、ちょっと面白い話だな、と、高井さんには申しわけないような気もしたのですが、そうしたほうがこの『涙香、「新青年」、乱歩』も生きるであろうと考え、あとになって、あ、サイン入れときゃよかった、と天を仰いだりもいたしました。
こちら、電子書籍となっております。
▼Amazon.co.jp:涙香、「新青年」、乱歩: 附 「陰獣」から「双生児」ができる話
どちらさまも、よろしければぜひお買い求めください。
数日前、ある人と電話で話していて、あれどうなりました? とのお尋ねをいただきました。
あれ、というのは、このエントリにも記しましたけど──▼2017年7月13日:もっとも望ましくないかたちからより望ましい方向へ
名張市のまちなか再生事業で無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館として整備された旧細川邸やなせ宿です。
このところ、慶應義塾大学推理小説同好会OB会の寄贈図書の問題で、あらためて、ああ、あれは惜しいことをしたな、あの土蔵を乱歩関連で活用できていればな、しかし、なにしろ、名張市だもんな、と思い返される旧細川邸やなせ宿。
▼名張市旧細川邸やなせ宿:Home
施設予約状況はこんなありさまです。
▼名張市旧細川邸やなせ宿:施設予約状況
和室も、中蔵も、屋外スペースも、予約はまったくのゼロです。
一億円かけて整備した旧細川邸やなせ宿、完全に無用の長物となり果ててます。
しかし、おかしいなあ。
中蔵の予約はゼロのはずなのに、公式サイトではこんなのが告知されてる。
ようわからんなあ。
また名張市名物のインチキなのかなあ。
それはまあいいとして、このやなせ宿にはもうひとつ蔵があって、川蔵と呼ばれてますけど、そっちは喫茶店になってます。
一日にどれくらい、お客さんが入っているのであろう。
千客万来、ということになってればいいんですけど。
この件のつづきでございます。
▼2017年7月11日:名張市の市長がこんなことおっしゃってるわけですがさて、リスト、名張市立図書館から連絡がありましたので、もらってきました。
最初のページがこれ。
A4サイズで六十一ページあって、ざっとながめましたところ、書籍三千四百三十四点、雑誌四百九十七点が列記されています。
いうまでもないことですが、こういうリストは寄贈を受けた時点で作成されているのが普通です。
ところが、名張市立図書館は普通ではありませんから、リストをつくることには考えが及びません。
寄贈図書どころか、税金で購入した乱歩関連資料のリストさえ作成していませんでした。
ここ名張市においては、館長をはじめとした図書館関係者なんて、図書館のことを何もご存じないわけです。
それがいったいどうして、いまごろになって、寄贈図書のリストを作成したのか。
どうしてこの期に及んで、名張市立図書館は、というか名張市は、普通のことをする気になったのか。
もしかしたら、背景に何かの動きがあって、行政が歪められたのではないか。
何も考えず、できるだけ働かない、という地方行政の王道が、なんらかの力が働いたせいで歪められてしまったのではないか。
そのあたりのことは、またあらためて「市長への手紙」で確認したいと思いますが、とりあえず思いつくのは、昨年12月の名張市定例会一般質問。
議事録がこれ。
▼DiscussNetPremium:平成28年第373回(12月)定例会 12月07日-02号
引用しておきましょう。
◆ 議員(川合滋)
そして、名張と言えば江戸川乱歩生誕の地であるわけです。乱歩の研究をする人が乱歩研究をしようとしたときに、ああ、名張市立図書館に行けば乱歩研究ができる、こんなふうに思われるのは至極当然のことだろうと思います。今、名張市立図書館は、乱歩研究の本丸という状況にあるのでしょうか。どうもそうは思えない、そんな状況です。そのことについてもお尋ねをいたしたいと思います。
◎教育次長(高嶋正広)
それから、江戸川乱歩資料としての図書館の役割ということでございますけれども、昭和62年に現図書館が開館した際、それまで収集してきた資料や乱歩さんのご遺族からお借りした資料を展示する江戸川乱歩コーナーを図書館内に設置をいたしました。その後も関係資料の収集に努めるほか、乱歩資料を嘱託員が編集した江戸川乱歩リファレンスブックを全3巻発行するなどして、乱歩研究に資することに努めてまいりました。しかしながら、さらに研究を進めるためには、それを専門とする職員の配置など、課題も多いのが現状でございますが、今後寄贈された資料の活用策も含めて検討していきたいと考えております。
名張市教育委員会は、どうして大うそばかりつくのであろう。
あるいは、単にばかなのであろうか。
なんで図書館が研究なんてことをしなければならんのか。
図書館がしなければならんのは、資料の収集と保管であり、その体系化である。
どうして研究などというお門違いなことを口走らなければならんのであろうか。
研究のお役に立つだけでじゅうぶんなのであって、図書館が研究そのものに手を出さなければならん道理などどこにもないし、ましてや研究のための専門職員を配置する必要なんてまったくない。
ここらあたりに関しても、「市長への手紙」で市長にお願いして、教育委員会をおおいに叱り飛ばしていただくことにしようかな。
それはそれとして、「今後寄贈された資料の活用策も含めて検討していきたい」とあるあたりがきっかけになって、リストが作成されることになったのかもしれません。
さて、くだんのリスト、慶應義塾大学推理小説同好会0B会のおひとりに上掲のスキャン画像を一点、メールでお送りし、ほかのメンバーのみなさんにご転送いただきました。
そんなリストがあるのなら、図書寄贈者のみなさんにご郵送くださいと「市長への手紙」でお願いしたのに、「当事者からご依頼があれば対応させていただきます」などと読む者をして大きくのけぞらせるような回答があって、いくら事務方が書いた文章でも市長名義なら当然市長発言ということになりますから、名張市の市長はなんと礼儀知らずなんだろう、とお思いになったかたもいらっしゃるかもしれません。
しかし、おそらく、実際のところ、名張市立図書館には慶應義塾大学推理小説同好会0B会の図書寄贈者のリストが存在していないものと思われます。
だったら正直にそういえばいいのに、図書寄贈者を当事者呼ばわりしてあんなことほざきやがんだもんなあ。
名張市の市長が礼儀知らずだ、なんて思われるのは、市民のひとりとしても願い下げなんだけどなあ。
なお、寄贈図書の活用については、まだいろいろと確認しなければならないことがあるのですが、もしもOB会のみなさんに当地までおいでいただけるのでしたら、市長とご面談いただく場で図書館長なり教育長なりから説明があるはずですから、この点はペンディングということにしております。
松籟社から出た紀田順一郎先生の新刊が当地の書店に並ばない、というのはまあわかります。
しかし、講談社の新刊が回ってこないというのは出版不況の進行を如実に物語る事実であって、ついでにいえば名張市の衰退も物語られているのかもしれません。この本ですけど。
▼講談社BOOK倶楽部:乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか
紀田先生の新刊といっしょに本屋さんに取り寄せてもらうことにいたしました。
しかし、講談社選書メチエは以前から当地の書店では見かけなかったかな、とも思い返されます。
なにしろまあ、読書には不向きな土地柄です。
全国の地方自治体が田舎への移住を呼びかけることがブームになってますけど、本好きな人は名張市への移住なんてゆめゆめお考えになりませんように。
さて、寄贈図書の問題ですが、話が動くとすれば、おそらくもっとも望ましくないかたちで動くのではないか、と推測されます。
つまり、登録だの整備だのを済ませた寄贈図書が一般の開架に分散して収蔵され、ミステリ関連寄贈図書としての一体性や体系性を失ってしまうのではないか、ということです。本来であれば寄贈図書専用の書架を設け、日本全国津々浦々のミステリファンに寄贈を呼びかけて、蔵書のさらなる充実を図ることが望ましいわけですが、まずスペースがありません。
これは日本全国津々浦々、どこの公立図書館もほぼ似たような状況だと伝えられますが、とにかく図書を保管する空間が足りない。
ですから、こんなことにもなってしまうわけです。
▼2017年5月3日:蔵書の寄贈と廃棄の問題
思い起こせば2005年、乱歩が生まれた新町にある旧細川邸を国土交通省のまちづくり交付金でまちなか再生事業の目玉として整備するというのであれば、せめてふたつある蔵のひとつくらい乱歩関連施設として活用し、死蔵された寄贈図書をその蔵で公開するのがいいと思いまあす、とご丁寧にパブリックコメントを提出してわかりやすく提案してやったというのに、提案の意味や価値がまったく理解できなくて、ただただ一部市民との癒着結託だけでことを進めてしまったんだものなあこの名張市とかいう地方自治体は。
都民ファーストでも市民ファーストでもなく、いってみれば癒着結託ファーストか。
だが癒着結託も考えもので、名張市のまちなか再生事業における第一次癒着結託隊の隊長さんはその後ご商売がいけなくなり、いまや店舗もなくなってしまった始末だし、第二次癒着結託隊の隊長さんはその後ぽっくりお亡くなりになったではないか。
たたりじゃ。
まちなかのたたりじゃ。
名張のまちの地霊のたたりじゃ。
それにしては、癒着結託の相手たる行政サイドの人間はみなぴんぴんしてしれっとしたものである。
星新一ではないけれど、人民は弱し官吏は強し、といったところか。
ま、過ぎたことは仕方がありません。
乱歩が自宅の蔵を書庫として利用していたのと同様に、旧細川邸の蔵のひとつをミステリ関連寄贈図書の書庫に改装することは、いうまでもなくいくらだって可能でしょう。
名張市がどれほど財政難だからといって、その程度のことは朝飯前です。
しかし、名張市にはそうすることの意味や価値がまったく理解できません。
ですから、寄贈図書も一般の図書と同じ扱いとするしかないと思われます。
そもそも、これもまた日本全国津々浦々、ただもう無料貸本屋業務をこなすだけで汲々としております、みたいな図書館がほとんどのはずで、それ以上の図書館運営などなかなか望めません。
しかも名張市の場合、人材の払底が半端ありません。
図書館関係なんて、そりゃもうひどいもんです。
ミステリをテーマにした独創的で魅力的な図書館運営を、なんてことは逆立ちしたって不可能です。
なにしろ何もわからなくて二十年以上も寄贈図書をほったらかしにしていたような図書館ですから、ようやく寄贈図書の活用に手をつけるとなっても一般の図書と同じに扱うことしかできないのではないか。
ですからここはひとつ、慶應義塾大学推理小説同好会OB会のみなさんに名張市の考えをお聞きいただき、OB会のご要望ご助言ご提案を名張市にお伝えいただくことで、より望ましい方向に話を進めることができればいいのだがなあ、と思う次第です。
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