藍峯舎の『完本陰獣』、いかがでしょうか。
とか思ってるうちに、早くも解説のご叱正をいただきました。
『完本 陰獣』の中相作氏による解説の中で乱歩が『探偵小説四十年』で英太郎について一箇所しか触れていないと書いているのは故・山下武氏の文章をそのまま信じてしまったのか。
— ゆーた (@latteteddy) 2018年2月18日
実際は三箇所あるし、『幻影城』でも「見事であった」と褒めているんだが。 pic.twitter.com/qRk6HDDyr8
いやまいったな。
ほかにも二箇所、出てくるのか。
誤謬の原因はごく単純なもので、桃源社版『探偵小説四十年』の人名索引です。
索引とはまた、思いもかけぬ盲点であったというかエアポケットであったというか、私はずいぶん疑り深い人間なんですけど、本の索引を疑ってかかることはしたことがないように思います。
ですから、人名索引に「166」とただひとつだけノンブルが記されているのであれば、そのページを開いて当該人名に関する記載を確認し、この本にこの人物の名前はわずか一度しか登場しないのだなと納得してしまいます。
しかし、ちょっと考えてみれば、索引は無謬である、なんてことはありえません。
間違いと気違いはどこにでも転がってる、という寸法です。
とはいうものの、『探偵小説四十年』の索引を疑ってかかるのはずいぶん骨だしなあ、とか思いながら光文社文庫版の人名索引を調べてみたら、こちらは「448、457」とノンブルがふたつ。
桃源社版の「166」は光文社文庫版の「457」であることが判明いたしましたが、あと一箇所ははていったいどこであろうか。
ここでゆーたさんにお願いですが、都合のいいことにこの誤謬を訂正する機会がありますので、できれば追記を挿入するかたちで事実誤認を訂したく、つきましては、もしもこのエントリをお読みくださったのであれば、お手数ですがメールでご一報いただければまことにありがたく存じます。
メールアドレスはこちらです。
stako@e-net.or.jp
ご叱正をたまわったゆーたさんには、あらためてお礼を申しあげる次第です。
いやー、まだまだ修行が足りません。
読者諒せよ。
きのう、藍峯舎から例のものが到着しました。
猟奇耽異の文藝専門出版社『藍峯舎』第7弾。
— 古書きとら Old&Rare Books (@kosho_kitora) 2018年2月17日
江戸川亂步『完本 陰獣』竹中英太郎挿画
限定220部記番
入荷致しました。 pic.twitter.com/zAIXFrB1nE
きのうからきょうにかけてなんだかあわただしく、昨夜の「眠狂四郎 The Final」も見そびれてしまいましたし、『完本陰獣』にもいまだじっくり眼を通すことができておりません。
とかなんとかいいながら、そろそろお酒にしなくっちゃ。
きのうの夕方、というか夜というか、とにかくもうお酒を飲んでる時間でしたけど、一本の電話が入って、名張市で乱歩生誕百年の記念イベントが催されたとき名張市立図書館では乱歩原作映画のビデオを上映していた、名張市立図書館が視聴覚資料やコミックを収集していないという説明とは明らかに矛盾している、と教えてくださったかたがありました。
いやはや、お役人のいうことをまともに信じていらっしゃるかたがいまだに存在するなんて、これぞまさしく私の力不足で慚愧の至りにほかなりません。私はこれまで、あらゆる機会を通じて、腐れ公務員は保身のために平気でうそをかますんだ、連中は息をするようにうそをつくんだ、と訴えつづけてきたつもりでいたのですが、まだまだ修行が足りぬようです。
たしかに名張市立図書館は、乱歩原作映画のビデオですとか、あるいは乱歩作品の朗読を録音したカセットテープですとか、視聴覚資料も所蔵しております。
しかし、そういった過去の収集実績などいっさい顧慮することなく、とにかく大切なのはその場しのぎ、財政難のせいで予算がありませんから視聴覚資料もコミックも収集しておりません、などと適当なこといってその場しのぎをかましてくれてるわけなんです腐れ公務員のみなさんは。
ここで付言しておきますと、名張市の財政事情がいまよりずっと余裕をかましていたころにも、名張市立図書館は乱歩原作のコミックを収集してはいませんでした。
理由は不明です。
そもそも、乱歩関連資料といったっていったい何を収集すればいいのか、それを明確に決めておこうなんてことを考える人間が図書館関係者のなかにひとりもいなかったわけなんですから、ただなんとなく、コミックなんて低次な資料は集めなくていいだろう、みたいな無根拠な思い込みがあったのではないかいなと推測される次第です。
しかし、1月3日付「市長への手紙」に対する1月15日付回答には──
▼2018年1月22日:あいかわらず泥鰌ですけど
「乱歩関連資料には当然のことながら視聴覚資料やコミックも含まれますが」との市長見解が示されておりました。
コミックを対象としていなかった過去の収集実績と、コミックも「当然」収集対象であるとする市長見解とのあいだには、いうまでもなく明らかな矛盾があります。
ですからこのあたりの矛盾をさらにつんつんつっつらついて目で知らせ、みたいなことをしてやるとお役人はまたうそにうそを重ねて保身に走ることになるわけです。
しかし、うその種が尽きてしまう、ということがあります。
そうなると、きゃつらお役人はどうするのか。
自分たちの勝手な都合だけを並べ立てて、あとはご理解くださいご理解くださいの大合唱です。
今回の件でもそういったご理解くださいシンドロームが現れてきていて──
▼2018年1月22日:あいかわらず泥鰌ですけど
腐れ公務員が「乱歩関連資料についても一定の基準を設けて収集を行っていますのでご理解いただきますようお願いします」などとほざいてはりますけど、理解してもらいたいんだったらその「一定の基準」を明示する必要があります。
明確な基準を市民に公開したうえで理解を求めるのが筋ってものなんですけど、そんなことはできないと思います。
だって、一定の基準なんて設けられてないんだもの。
さあ、どうするのか。
うそも通用せず、ご理解もいただけないということがわかったら、お役人はいったいどうするのか。
真っ赤な顔をただうつむけて、時間が過ぎるのをひたすら待つことになります。
やまない雨はなく、明けない夜もないのだから、とにかく時間さえ経過すればこの場から逃げられる、と考えて白痴のごとくただ耐えるのがお役人の処世術です。
しかし、今回ばかりは、そんな真似もできないかもしれません。
うそもご理解も真っ赤な顔のだんまりも効き目がないとなったら、腐れ公務員のみなさんはいったいどんな秘術をおつかいになるのか。
それは私にもわかりません。
いまだ見たことのない世界です。
おーこわ。
お寒うございます。
このエントリのつづきでございます。▼2018年1月31日:寒中お見舞い申しあげます
どうせまともなお答えは頂戴できぬであろうと思い、こんなことも記しておきました。
▼2018年2月4日:立春早春賦
新聞記事は収集対象ではありません、という回答が返ってくる、という予想に一万ガバス賭けたのですが、なんのなんの、こちらの想像力なんか軽く蹴散らされてしまいました。
とりあえず、2月8日に頂戴した回答をごらんいただきましょう。
中 相作 様
市長への手紙をお寄せいただきありがとうございました。
お尋ねのありましたことについて、以下のとおり回答させていただきます。
●河出書房新社『花森安治』について「旧版とリニューアル版(増補新版)とを別の資料と考え収集対象としました」との判断が妥当であったと考えるのか否か、お答えいただきたいと思います。
旧版とリニューアル版(増補新版)の内容紹介を比較し別の資料と考え収集対象と判断しました。
●視聴覚資料、コミック、定期購読以外の雑誌を除外するという原則ないしはルールはどういった根拠にもとづいて設定されているのか、具体的にご説明ください。
1月15日付で回答いたしましたように、資料の収集にあたっては当然予算の制約を受けることから、その制約の中で資料の収集を行うことになります。市立図書館においても、限られた予算の中で多くの市民の皆さんに図書館を利用していただけるよう幅広く資料収集を図る必要があることから、乱歩関係資料についても図書を中心に資料収集を行っています。
●乱歩関連資料であると認識しながら視聴覚資料やコミックを収集しないことの責任は、いったいどうお考えでしょうか。
先の回答とも重複しますが、資料の収集にあたっては当然予算の制約を受けることから、乱歩関係資料についても一定の基準を設けて資料の収集を行っているところです。
●1月28日の朝日新聞にこんな記事が掲載されました。伊賀版では30日の掲載でしたが、この記事に関して名張市立図書館はどう対処したのか、その点もお知らせいただきたいと思います。
1月30日付朝日新聞三重版に掲載された情報をもとに、国立国会図書館オンライン(雑誌記事索引)で、論文名、掲載誌等の書誌情報を確認しました。乱歩関係資料であると同時に三重県に関係する資料でもあるので、掲載誌の購入手続きを進めています。
平成30年2月8日
名張市長 亀井利克
なんだかひどいなどうも。
たいていの人間ならこのあたりであほらしくなってしまってお役人なんか相手にしなくなるものなんですけど、なんのなんの、私は違います。
行くところまで行きます。
なんともしつこい性分に見えるかもしれませんが、あたぼうだい、巳年の生まれよ。
でもって本日、名張市公式サイト「市長への手紙」を利用して次のごとき文面を送信いたしました。
件名は「まともなお答えをお願いします」。
お世話さまです。
いつもご丁寧なお答えをたまわり、あらためてお礼を申しあげます。
お答えをたまわるのはまことにありがたいのですが、お聞きしたことに対するまともなお答えが頂戴できればさらにいっそうありがたく、重ねて再質問をお送り申しあげる次第です。
以下、「↓」と「↑」で挟んだテキストは2月8日付メールでお送りいただいたご回答の引用です。
↓
●河出書房新社『花森安治』について「旧版とリニューアル版(増補新版)とを別の資料と考え収集対象としました」との判断が妥当であったと考えるのか否か、お答えいただきたいと思います。
旧版とリニューアル版(増補新版)の内容紹介を比較し別の資料と考え収集対象と判断しました。
↑
まともなお答えをお願いします。
「収集対象と判断しました」とおっしゃるその判断が妥当であったとお考えなのかどうか、その点をお聞きしております。
市立図書館が現場の判断としてリニューアル版を購入したわけですが、1月31日付「市長への手紙」にも記しましたとおり、名張市の財政事情の厳しさや名張市立図書館による乱歩関連資料収集のずさんさに鑑みて、リニューアル版を購入したことははたして妥当であったのか、そうではなかったのか、その点の市長判断をお聞きしております。
お答えをお願いいたします。
お答えは、妥当か否かの二者択一でお願いします。
↓
●視聴覚資料、コミック、定期購読以外の雑誌を除外するという原則ないしはルールはどういった根拠にもとづいて設定されているのか、具体的にご説明ください。
1月15日付で回答いたしましたように、資料の収集にあたっては当然予算の制約を受けることから、その制約の中で資料の収集を行うことになります。市立図書館においても、限られた予算の中で多くの市民の皆さんに図書館を利用していただけるよう幅広く資料収集を図る必要があることから、乱歩関係資料についても図書を中心に資料収集を行っています。
↑
まともなお答えをお願いします。
お聞きしているのは根拠です。
図書を優先して視聴覚資料やコミックをネグレクトする根拠はどういうことなのか、その点をお聞きしております。
すでに所蔵している書籍のリニューアル版を購入するよりは、視聴覚資料やコミックを購入するべきだという意見も当然あるものと思われますが、いかがお考えでしょうか。
お答えをお願いします。
お答えいただくのが難しいようでしたら、二者択一の問題に単純化してお聞きいたします。
視聴覚資料やコミックより図書を優先して収集していることに根拠はあるのか、ないのか、二者択一でお答えをお願いします。
↓
●乱歩関連資料であると認識しながら視聴覚資料やコミックを収集しないことの責任は、いったいどうお考えでしょうか。
先の回答とも重複しますが、資料の収集にあたっては当然予算の制約を受けることから、乱歩関係資料についても一定の基準を設けて資料の収集を行っているところです。
↑
まともなお答えをお願いします。
基準の有無についてお聞きしているわけではありません。
名張市立図書館は、乱歩関連資料として収集すべきであると貴職も認識していらっしゃる視聴覚資料やコミックを、理由はどうあれ収集していないわけです。そのことの後世に対する責任をどう考えているのか、その点の市長判断をお聞きしております。
お答えをお願いいたします。
お答えいただくのが難しいようでしたら、名張市立図書館が視聴覚資料やコミックを除外して乱歩関連資料を収集しているのは妥当なことであるのかどうか、という点に単純化してお聞きすることにしたいと思います。
妥当か否か、二者択一でお願いします。
↓
●1月28日の朝日新聞にこんな記事が掲載されました。伊賀版では30日の掲載でしたが、この記事に関して名張市立図書館はどう対処したのか、その点もお知らせいただきたいと思います。
1月30日付朝日新聞三重版に掲載された情報をもとに、国立国会図書館オンライン(雑誌記事索引)で、論文名、掲載誌等の書誌情報を確認しました。乱歩関係資料であると同時に三重県に関係する資料でもあるので、掲載誌の購入手続きを進めています。
↑
お願いです。
お願いですからまともなお答えをお願いいたします。
私がお聞きしたのは新聞記事そのものについてです。
記事に記されていた雑誌のことをお聞きしたわけではありません。
お答えをお願いいたします。
お答えいただくのが難しいようでしたら、1月30日付朝日新聞伊賀版に掲載された当該記事は乱歩関連資料として収集すべきかどうか、という点に単純化してお聞きすることにいたします。
収集対象なのか、そうではないのか、二者択一でお願いします。
以上です。
よろしくお願い申しあげます。
それにしてもお役人ってのはひどいもんでがしょう?
ほんと、やんなっちゃう。
とくと思案してください、とか悠長なことをいってるあいだに、藍峯舎の『完本 陰獣』が早くも完売となってしまいました。
▼株式会社藍峯舎:Home発売までに予約満杯というのは藍峯舎史上初めての快挙です。
名張市立図書館が予約したのかしなかったのか、ちょっと気にかかるところですが、そんな枝葉末節の問題は別にして、名張市はとにかく財政難なんですから乱歩関連資料の収集をよその図書館との連携で、というか、連携という名の丸投げで、というか、乱歩関連資料の収集という図書館としてごく当然のことをまるでできていないのが名張市立図書館なんですから、ここはもう財政難を理由に連携という名の丸投げに踏み出すしかないのではないか、ということを訴えてもまともに取り合おうとしないんですからお役人というのは困ったものです。
困ったものだといえば名張市の衰退もじつに困ったもので、全国的に苦戦が伝えられるミスタードーナツの市内唯一の店舗が1月末で撤退、というのは個人的にはまったく困らない話なんですけど、拙宅から徒歩一分のところにあって何かと重宝していたサークルKサンクスが2月末で閉店、地元資本の本屋さんが入っている近鉄プラザ桔梗が丘は3月末で姿を消してしまいます。
なんかもう衰退が津波のように襲ってくるというのが実感で、世の趨勢とはいうものの、ほんとに困ったものだなあ。
こちら名張市です。
市長選挙が近づいております。▼伊勢新聞:<まる見えリポート>三つどもえの名張市長選 「4期16年」評価に注目 三重(2018年1月29日)
しかし、いくら市長選挙が近づいたからといって、べつに遠慮することもないのではないか、と考え直し、本日、名張市公式サイト「市長への手紙」を利用して質問を送信いたしました。
件名は「寒中お見舞い申しあげます」。
内容は次のとおりです。
お世話さまです。1月3日と4日の両日、名張市公式サイト「市長への手紙」を利用してお送りした質問へのご回答、どうもありがとうございました。しかし、例によって例のごとく不得要領で意味不明な内容でしかなく、再度お尋ねすべきことが多々あるのですが、名張市長選挙が近づいてまいりましたので、これ以上の質問は市長選挙が終わるまで先送りすべきかとも考えましたものの、そんなごたいそうな問題ではまったくないと考え直し、ひきつづきお尋ねすることにいたしました。
その前にお知らせしておきますと、1月5日、小学館から『江戸川乱歩電子全集』の特別限定無料版が配信されました。昨年10月に配信された同全集第16巻のインタビュー「カリスマ嘱託の驕慢と頽落」も収録されており、専用の無償アプリをダウンロードすればパソコンやスマートフォン、タブレット端末でもお読みいただけます。名張市の職員のみなさん、議員のみなさん、市民のみなさんにひろくお薦めいただければ幸甚です。ただし収録は全文ではなく、冒頭から「あ。そうやったんですか。やっぱり信頼を獲得するまでには、ちょっと時間がかかりますから。私のように胡散臭いと、とくにあきません」までとなっております。
https://www.amazon.co.jp/小学館電子全集-特別限定無料版-『江戸川乱歩-電子全集』-江戸川乱歩-ebook/dp/B078N3FJHL/ref=sr_1_1?s=digital-text&ie=UTF8&qid=1515872657&sr=1-1&keywords=小学館電子全集%E3%80%80特別限定無料版+『江戸川乱歩+電子全集』
ついでにもうひとつお知らせしておきますと、少部数出版を手がける藍峯舎から来月、江戸川乱歩の『陰獣』が発行されることになり、現在予約を受け付けているところですが、限定二百二十部で一部税込み一万八千円という豪華本ですから、名張市立図書館の蔵書として購入するかどうか、名張市の財政事情と相談してご判断いただきたいと思います。
http://www.rampousha.co.jp/#inju
それでは、1月3日と4日にお送りした質問に関連してさらにお尋ねいたしますが、一度にたくさんのことをお聞きしても対処にお困りかもしれませんから、少しだけにしておきます。
まず河出書房新社『花森安治』について。「旧版を所蔵しているのであればわざわざ血税つかってリニューアル版を収集対象とする必要はないのではないか、という考えかたもあるものと思われます。どうして旧版のほかにリニューアル版まで収集対象とするのか、ご説明ください」とお願いしたところ、「旧版とリニューアル版(増補新版)とを別の資料と考え収集対象としました」とのお答えをいただきましたが、そんなことをお聞きしたわけではありません。この増補新版はNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」の人気を当て込んでリニューアルされたもので、別丁を入れて二百四十ページほどの書籍に乱歩の対談が十二ページ収録されているだけ、もとより両者の内容に違いはありません。乱歩作品が時代にどう受容されたかを跡づける意味でリニューアル版も当然収集の対象となることはいうまでもありませんが、財政難にあえぐ名張市の市立図書館が購入すべきかどうか、というよりも、乱歩の単著にさえ驚くほど見落としがある名張市立図書館の乱歩関連資料収集において、こんなリニューアル版を購入することにどんな意味があるのかという気さえいたしますが、そうした観点に立って、「旧版とリニューアル版(増補新版)とを別の資料と考え収集対象としました」との判断が妥当であったと考えるのか否か、お答えいただきたいと思います。
つづいて、視聴覚資料、コミックなどについて。1月3日付「市長への手紙」にも記しましたとおり、「私がお聞きしたのはこうした資料を除外している根拠であって、資料収集の原則やルールではありません。視聴覚資料、コミック、定期購読以外の雑誌を除外するという原則ないしはルールはどういった根拠にもとづいて設定されているのか、ということです」ということをお聞きしております。「乱歩関連資料についても一定の基準を設けて収集を行っていますのでご理解いただきますようお願いします」との仰せですが、とても理解できません。いったいどういった根拠にもとづいてどういった基準が設けられているのか、具体的にご説明ください。
また、「乱歩関連資料には当然のことながら視聴覚資料やコミックも含まれます」とのご見解をお示しいただきましたが、乱歩関連資料であると認識しながら視聴覚資料やコミックを収集しないことの責任は、いったいどうお考えでしょうか。図書館としての後世に対する責任をどう考えるか、ということです。
しつこいようですが、ついでですからもう一点。1月28日の朝日新聞にこんな記事が掲載されました。伊賀版では30日の掲載でしたが、この記事に関して名張市立図書館はどう対処したのか、その点もお知らせいただきたいと思います。
https://www.asahi.com/articles/ASL1M75TDL1MONFB027.html
以上、よろしくお願い申しあげます。
それにしてもまだるっこしい。
乱歩関連資料の収集なんて名張市立図書館の手にはとても負えないんですから、これからはどっかと連携してやりまーす、ということにしてしまえばそれで済む話なんですけど、お役人というのはみずからの無能や怠慢を絶対に認めようとせんからなあ。
きょうも寒い一日です。
寒い寒いといってるあいだに、というか、ぐずぐずぐずぐずしているあいだに、当地の市長選挙、三つ巴で実質的な選挙戦に突入してしまいましたがな。▼伊賀タウン情報YOU:名張市長選 現職・亀井氏が5選目指し立候補へ(2018年1月21日)
選挙戦前に白黒をつけておきたかったんですが、どうもずるずるしてしまいました。
お正月に送信した「市長への手紙」、先週回答を頂戴しておったのですが。
まず1月3日付「市長への手紙」の回答。
中 相作 様
市長への手紙をお寄せいただきありがとうございました。
お尋ねのありましたことについて以下のとおり回答させていただきます。
●「市長への手紙」のご回答もいったいどなたからいただいたものやら、わからなくなってくることがよくあります。ですから、名張市立図書館にかんする質問へのお答えをいただいた場合、図書館長によるお答えなのか、市長によるお答えなのか、それを適宜こちらで判断して少しでも主体性が明らかになるよう努めたいと思います。
「市長への手紙」は、いただいたすべての手紙を市長が直接拝見して、必要に応じて関係部局が調査・検討のうえ回答を作成し、市長決裁を経て回答しています。したがいまして回答はすべて市長名で行っております。
●平成28年4月に河出書房新社から発行された『花森安治』について、旧版を所蔵しているのであればわざわざ血税つかってリニューアル版を収集対象とする必要はないのではないか、という考えかたもあるものと思われます。どうして旧版のほかにリニューアル版まで収集対象とするのか、ご説明ください。
旧版とリニューアル版(増補新版)とを別の資料と考え収集対象としました。
●「視聴覚資料、コミック及び定期購読以外の雑誌は購入していません」という点のご説明にかんしてですが、私がお聞きしたのはこうした資料を除外している根拠であって、資料収集の原則やルールではありません。視聴覚資料、コミック、定期購読以外の雑誌を除外するという原則ないしはルールはどういった根拠にもとづいて設定されているのか、ということです。
乱歩関連資料の収集にあたって、視聴覚資料やコミックを対象外とすることには大きな問題があると思われます。名張市立図書館の資料収集における原則やルールはどうあれ、映像化や漫画化を無視して乱歩関連資料の収集は成り立たないのではないかと判断される次第ですが、いかがなものでしょうか。なお、財政難の問題は無視してお答えいただきますようお願い申しあげます。名張市であれどこであれ、公共図書館が乱歩関連資料を収集するにあたって、という前提でお答えいただければと思います。
公共図書館の使命は利用者に求められた資料を提供することにありますが、資料の収集にあたっては当然予算の制約を受けることから、その制約の中で資料の収集を行うことになります。乱歩関連資料には当然のことながら視聴覚資料やコミックも含まれますが、市立図書館においても、限られた予算の中で多くの市民の皆さんに図書館を利用していただけるよう幅広く資料収集を図る必要があるため、乱歩関連資料についても一定の基準を設けて収集を行っていますのでご理解いただきますようお願いします。
●さらに、「乱歩関連資料の網羅的な収集」にかんしてですが、網羅的な収集というのはどういうことでしょうか。また、財政難その他の理由で網羅的な収集ができないのであれば、どういったレベルの収集が可能なのでしょうか。具体的にお答えいただきたいと思います。もうひとつ、「データベースの構築」についても、どういうレベルのデータベースなら構築できるのか、もう少し具体的なお答えをお願いいたします。
網羅的な収集とは、江戸川乱歩の著作物、江戸川乱歩に関する著作物、江戸川乱歩の著作物が二次利用された著作物、江戸川乱歩の著作物が収録された全集などの著作物、江戸川乱歩に関する記事が収録された雑誌等を残らず収集することと考えていますが、市立図書館では、江戸川乱歩の著作物、江戸川乱歩に関する著作物を中心に収集を行っています。
データベースの構築については、図書館情報システムのデータベースを利用してそこに資料の書誌的な情報を登録し、同じく図書館情報システムの検索の仕組みを利用することなら可能だと考えています。
平成30年1月15日
名張市長 亀井利克
つづいて、1月4日付「市長への手紙」への回答。
中 相作 様
市長への手紙をお寄せいただきありがとうございました。
お尋ねのありましたことについて以下のとおり回答させていただきます。
●当該資料十二点のうち三点が「図書館流通センターのデータベースで調べましたが、江戸川乱歩との関連はわかりませんでした」との由、お手数をおかけして恐縮ですが、よその図書館から借りるなり出版社に問い合わせるなりして、収集対象かどうかのご判断をお知らせください。
『リメイクの日本文学史』/平凡社
出版社のホームページでこの資料の目次情報を確認したところ、収集対象であることがわかりました。
『定番すぎる文学作品をだいたい10ページくらいの漫画で読む。』/リイド社
出版社のホームページで収録作品を確認したところ、江戸川乱歩の作品がコミックで収録されていることがわかりましたが、コミックですので収集していません。
『怪書探訪』
出版社のホームページで確認しましたが、目次情報だけでは関連がつかみきれません。他の図書館から資料を取り寄せて確認した後、あらためて回答いたします。
●「すばる」2月号を収集対象としない理由がわかりません。「雑誌のバックナンバーですので収集していません」といった原則やルールの説明ではなく、収集しない根拠をお教えください。
先に回答させていただいた内容の繰り返しになりますが、図書館資料の収集にあたっては、乱歩関連資料の他にも利用者の求める資料や調べものに必要な資料等にも留意する必要があり、限られた予算の中で多くの市民の皆さんに図書館を利用していただけるよう資料収集に努めるため、乱歩関連資料についても一定の基準を設けて収集を行っておりますのでご理解いただきますようお願いします。
●乱歩関連資料の利用実績についてですが、貸し出し可能な資料を除いて、ざっくりしたところで結構ですからお答えをお願いいたします。
乱歩関連資料に限らず館内閲覧の利用件数は数えていないため統計資料はありません。
●株式会社図書館流通センターのデータベースで平成27年度発行分の乱歩関連資料をリストアップして示し、その合計金額をお知らせください。また、そのリストに名張市立図書館が乱歩関連資料として収集していない資料があった場合、なぜ収集対象としなかったのかをご説明ください。
『江戸川乱歩名作ベストセレクション』2-1/ゴマブックス
『江戸川乱歩名作ベストセレクション』2-2/ゴマブックス
×『D坂の殺人事件』(角川文庫)/KADOKAWA
×『冒険の森へ』1 傑作小説大全 漂白と流浪/集英社
×『飛鳥高探偵小説選』1(論創ミステリ叢書)/論創社
×『江戸川乱歩傑作選』鏡(文春文庫)/文藝春秋
×『江戸川乱歩傑作選』獣(文春文庫)/文藝春秋
『江戸川乱歩名作ベストセレクション』1-1/ゴマブックス
『江戸川乱歩名作ベストセレクション』1-2/ゴマブックス
『江戸川乱歩名作ベストセレクション』1-3/ゴマブックス
『江戸川乱歩名作ベストセレクション』1-4/ゴマブックス
『JAPANESE TALES of MYSTERY and IMAGINATION』/チャールズ・イー・タトル出版
×『あしたは戦争』(ちくま文庫)/筑摩書房
×『怪人二十面相』(光文社文庫)/光文社
×『香住春吾探偵小説選』2(論創ミステリ叢書)/論創社
×『北村薫と有栖川有栖の名作ミステリーきっかけ大図鑑』第1巻/日本図書センター
×『北村薫と有栖川有栖の名作ミステリーきっかけ大図鑑』第2巻/日本図書センター
『10分で読める少年探偵団と怪事件』/宝島社
『少年探偵団』(講談社青い鳥文庫)/講談社
×『谷沢永一二巻選集』上 精選文学論/言視舎
『盲獣』/バジリコ
×『化人幻戯』(江戸川乱歩文庫)/春陽堂書店
×『現代社会と人間への問い』/せりか書房
×『心理試験 他六編』(江戸川乱歩文庫)/春陽堂書店
×『ステージ・ショウの時代』(近代日本演劇の記憶と文化)/森話社
×『月と手袋 他三編』(江戸川乱歩文庫)/春陽堂書店
×『謎と恐怖の楽園で』/光文社
×『人間椅子』(光文社文庫)/光文社
×『文豪たちが書いた耽美小説短編集』/彩図社
×『黄金仮面』(江戸川乱歩文庫)/春陽堂書店
×『善意と悪意の英文学史』/東京大学出版会
×『D坂の殺人事件 他六編』(江戸川乱歩文庫)/春陽堂書店
『江戸川乱歩傑作集』3/リブレ出版
×『多田不二来簡集』/紅書房
『江戸川乱歩傑作集』1/リブレ出版
『江戸川乱歩傑作集』2/リブレ出版
『蜘蛛男』(江戸川乱歩文庫)/春陽堂書店
『パノラマ島奇談 他四編』(江戸川乱歩文庫)/春陽堂書店
『幽霊島』/岩波書店
『黒蜥蜴』(江戸川乱歩文庫)/春陽堂書店
×『古書ミステリー倶楽部』3(光文社文庫)/光文社
×『『このミス』が選ぶ!オールタイム・ベスト短編ミステリー』黒(宝島社文庫)/宝島社
×『特集|大正耽美』(トーキングヘッズ叢書)/アトリエサード
『屋根裏の散歩者 他六編』(江戸川乱歩文庫)/春陽堂書店
×『『このミス』が選ぶ!オールタイム・ベスト短編ミステリー』赤(宝島社文庫)/宝島社
×『乱歩ワールド大全』/洋泉社
合計金額 83,071円
資料名の前に×印をつけた資料は出版時に気づかず収集できていません。平成27年度以前に出版された資料の購入は、平成30年度以降に図書購入予算の執行状況を見ながら検討してまいります。
平成30年1月15日
名張市長 亀井利克
あいかわらず泥鰌みたいな回答ですから、重ねて問いただすべきことも多々あり、たとえば河出書房『花森安治』に関する質問に「旧版とリニューアル版(増補新版)とを別の資料と考え収集対象としました」との回答が寄せられましたけど、こちらはむろんこんなことを尋ねているわけではなく、旧版とリニューアル版を別の資料と考えて収集対象とした判断は妥当であったのか、なにかといえば財政難という免罪符を錦の御旗のごとく振りかざして怪しまない貧困自治体としてその判断は適切な選択だったのか、そういった点を質問したつもりだったんですけど、なにしろ泥鰌が相手ですから。
それから、「乱歩関連資料には当然のことながら視聴覚資料やコミックも含まれます」とのことですが、にもかかわらず予算がないから購入しておりません、なんてことで納まり返っておっていいのかどうか。
乱歩関連資料を収集いたします、と主体的に判断した公共図書館の責任をまっとうできているのかどうか。
はたまた、「網羅的な収集」に関するいいわけは例によって意味不明で、初出の扱いはいったいどうするのか、たとえば1月3日付エントリに記した「ホームズは生きている」はどう扱うのか、そのあたりさっぱりわからんがな。
みたいなことをぐずぐずゆうとるあいだに、いつのまにか市長選挙の前哨戦が始まってしまいました。
痛くない腹を探られるのことになるのはいやだしなあ。
なんか間が悪くて、どうもやりにくいなあ。
お寒うございます。
芥川賞はやっぱり強いわ。▼Amazon.co.jp:売れ筋ランキング > 日本の小説・文芸 の 売れ筋ランキング
乱歩は漱石の猫にも抜かれて、三位に転落してしまいました。
いっぽう、こちら藍峯舎。
藍峯舎『完本 陰獣』版元すでに在庫僅少とのことです。当店販売分も残り極僅かとなっております。お早めにどうぞ。https://t.co/oRYyn8HOt3
— 古書きとら Old&Rare Books (@kosho_kitora) 2018年1月19日
なんと版元在庫僅少だそうです。
▼藍峯舎:Home
ご予約はお早めにどうぞ。
それにしても、寒くて寒くて。
なんかもう黒蜥蜴まみれの新年だという気がして、乱歩人気の根強さをあらためて実感させられますけど、乱歩人気といえば1月5日、小学館が電子全集の特別限定無料版を配信いたしました。
▼P+D MAGAZINE:【電子全集&P+D BOOKS】 全文試し読みキャンペーン実施!要するに販促用の宣材みたいなものですけど、乱歩のほかに開高健、中上健次、山口瞳、三浦綾子、宮尾登美子、立原正秋、宮脇俊三といったあたりがいっせいにリリースされて、さてアマゾンの売れ筋ランキングは、と見てみると──
▼Amazon.co.jp:小学館電子全集 特別限定無料版
現在ただいま、無料タイトルの総合部門とカテゴリ別部門の順位はこんなふうになっております。
江戸川乱歩 5位、1位(日本の小説・文芸)
開高健 13位、5位(日本の小説・文芸)
中上健次 22位、7位(日本の小説・文芸)
山口瞳 24位 8位(日本の小説・文芸)
三浦綾子 25位、9位(日本の小説・文芸)
立原正秋 39位、13位(日本の小説・文芸)
三浦綾子 43位、14位(日本の小説・文芸)
宮尾登美子 45位、16位(日本の小説・文芸)
宮脇俊三 48位、1位(鉄道部門)、2位(産業研究)
三浦綾子 62位、2位(随筆)
乱歩、やっぱ強いわ。
無料の本では漱石、太宰あたりを軽くおさえてトップとなっております。
▼Amazon.co.jp:売れ筋ランキング > 日本の小説・文芸 の 売れ筋ランキング
なにしろゼロ円ですし、無料のアプリをダウンロードすればスマートフォンやタブレット端末でもお読みいただけます。
▼Amazon.co.jp:小学館電子全集 特別限定無料版 『江戸川乱歩 電子全集』
この機会にぜひどうぞ。
お待ちかねの向きもきっとおありでしょう。
公式サイトで『完本 陰獣』の最新情報が公開されました。▼株式会社藍峯舎:藍峯舎通信 Vol11を更新しました。(2018年1月10日)
一部一万八千円、限定二百二十部。
予約受付は1月16日火曜日スタートとなっております。
よろしくどうぞ。
Powered by "Samurai Factory"