寒い日がつづきますけど、お元気でいらっしゃいますか。
私は小学館の江戸川乱歩電子全集第一巻『明智小五郎登場編』、表紙から「猟奇の果」を経て付録、奥付に至るまでまるっと読了いたしました。この巻の「猟奇の果」には、「もうひとつの結末」というのも収録されています。
戦後すぐに出た日正書房版のテキストで、電子全集第一巻には「昭和21(1946)年12月、後篇を全部カットして前篇のあとに短い結末をつけた別バージョン」との説明が添えられています。
「猟奇の果」は昭和5年、「文芸倶楽部」の1月号から12月号まで十二回にわたって連載されました。
電子全集第一巻には桃源社版全集の「あとがき」も収められていますが、「猟奇の果」の自作解説に、乱歩はこんなことを書いています。
前篇「獵奇の果」の方は「闇に蠢く」や「湖畔亭」などと同じような心構えで書きはじめたのだが、題材が充分醱酵していなかったので、なんだかモタモタして、ほとんど効果が出ないうちに、終局に近づいてしまった。全く同じ顔の人間が二人いたというのは、実は科学雑誌社長の獵奇の果の手の込んだいたずらにすぎず、最後にその種あかしをするという、私の短篇「赤い部屋」に類する着想であった。ポーの「ウィリアム・ウィルソン」テーマを、逆にトリックとして使った探偵小説をこころざしたのである。
ところが、うまく書けなくて、一年の連載のはずが半年で終わりそうになったから大変です。
乱歩は「文芸倶楽部」編集長の横溝正史に相談の電話を入れ、正史の提案に従って講談社風でルパン式の後篇「白蝙蝠」を書き継いだわけですけど、日正書房版の「猟奇の果」は手の込んだいたずらという当初の構想を復活させた内容になっています。
電子全集第一巻には、「白蝙蝠」として発表された後半をAバージョン、日正書房版で前篇のあとに書き加えられた新稿をBバージョンとして、前篇の末尾にA、Bそれぞれへのリンクを設定するという電子書籍ならではの仕掛けが施されていますが、かりに乱歩が当初の構想どおり「前篇→Bバージョン」という「猟奇の果」を完成させていたら、それは「幽霊塔」ではなくて「ぺてん師と空気男」の遠い先蹤ということになっていたのかもしれません。
わしはもう知らん、といいたくなってきました。
こんなのまであったからです。▼Amazon.co.jp:二銭銅貨/一枚の切符 現世の夢シリーズ (2015 Red Studio) [Kindle版]
▼Amazon.co.jp:屋根裏の散歩者/指環 現世の夢シリーズ (Red Studio) [Kindle版]
▼Amazon.co.jp:人間椅子/踊る一寸法師 現世の夢シリーズ (Red Studio) [Kindle版]
▼Amazon.co.jp:江戸川乱歩~二銭銅貨~ [Kindle版]
最後の『二銭銅貨』は「なか見!検索」が可能ですから、興味がおありのかたは覗いてみてください。
なんと横組みで、ルビは本文中に《 》で括って入れてありますがな。
というか、これじゃルビとは呼べません。
ひとの商売の邪魔をする気はありませんけど、というか、これで商売になるのかどうか。
いやー、ほとんど茫然としてしまうなあ。
そうかと思うと、朗読なんてのもあります。
▼Amazon.co.jp:江戸川乱歩 合成音声による朗読
ほんとにもう、わしゃ知らんぞな。
いっぽう、わしも知ってる小学館の電子版全集、こんな広告がありました。
▼小学館eBooks:「江戸川乱歩電子全集」
次回配信は1月29日。
「魔術師」「黄金仮面」「吸血鬼」の三役が揃い踏みする『明智小五郎活躍編』だそうです。
第一巻『明智小五郎登場編』は、最初から順番に読み進めて、最後の「猟奇の果」の終幕の手前、というところまでたどり着きましたが、再読してみるといろいろ発見、というのは大げさで、せいぜい気づかされること、といった程度ですが、とにかくそういうものがたしかにあって、たとえば「猟奇の果」からひとつだけあげておきますと、これは乱歩が自作解説なんかで述べている以上に涙香の「幽霊塔」を、ごく断片的ながら明確に意識にした作品だな、ということがわかりました。
どこでわかったか、当該箇所を引用しておきます。
もっとも、電子書籍というのは、ぱらぱらページをめくって目当ての文章を探し出す作業には不向きなようなので、江戸川乱歩推理文庫の『猟奇の果』から引くことにします。
連載第五回の「奇蹟のブローカーと自称する美青年のこと」と題された章に、こんな描写があります。
池にうつった映画館のイルミネーションが、逆に顎の下から青年の顔をボーッと明るくしていた。美しい。だが変な美しさだ。お能の面のように、完全に左右均等で、何かしら作り物の感じで、無表情で、底の方からにじみ出す凄味がただよっていた。やっぱり気ちがいだなと思った。
この青年の美貌は、明らかに「幽霊塔」に出てくるのと同じ人間改造術で生み出されたものだと思われます。
試みに、乱歩の「幽霊塔」から、主人公が人間改造術を施された美女と初めて会ったときの描写を。
ああ、これはまあ、なんという美しい幽霊だろう。闇の中で聞いた声も美しかったが、その顔の美しさは声どころではなかった。私はあとにも先にも、これほど欠点のない顔を見たことがない。眉といい、眼といい、鼻といい、口といい、まるで絵にかいたようで、整いすぎていて恐ろしいくらいだ。
この引用だけではあまりはっきりしませんから、この段落のあとの描写からも。
これがほんとうの人間の顔だろうか。こんなに欠点のない美しさが生きた人間の顔に現われるものだろうか。もしかしたらこの女は、ゴムででもこしらえた精巧なお面を被っているのではないかしら。
さらに「お能面のような美貌」というフレーズも出てきますから、「猟奇の果」のこの美青年は、「幽霊塔」の遠い先蹤をなす登場人物だといっていいのではないかしら。
しかし、涙香の「幽霊塔」を堂々となぞった作品ならいくらでも完結させられますけど、涙香の「幽霊塔」から得た着想をとりあえず素材として放り込んでみただけだったように見える「猟奇の果」は、ポーの「ウィリアム・ウィルソン」の趣向まで盛り込んでしまったせいもあって、なんだかもうわけのわかんないものになってしまい、結局は明智小五郎の来駕を得て冒険活劇に変質してしまったという寸法です。
変質、というよりは、変身、というべきか。
乱歩の生涯を貫く棒のごときものだった変身願望が、「猟奇の果」にもまた濃い影を落としていたことはいうまでもありません。
それにしても、乱歩作品がこの先、あっちこっちでてんでんばらばら、何百何千と製造された品川四郎さながら、際限もなく電子書籍に変身していったとしたら、ほんとに困ってしまうなあ。
夢物語ならいいのだが。
二日酔いや三日酔いでへろへろだったお正月も過ぎ去り、大みそかに恐れていたことが現実のものになってきたなと思い知らされるきのうきょう。
アマゾンを検索すると、こんなのが引っかかってきます。▼Amazon.co.jp:怪人二十面相: 少年探偵・1 [Kindle版]
▼Amazon.co.jp:二銭銅貨 [Kindle版]
もちろん、買いはしません。
買いはしませんけど、見過ごしにしていいものかどうか。
せめて「RAMPO Up-To-Date」に記録だけでもしておくべきではないか。
しかしそうなると、これまでに大手から出版された電子書籍は、オリジナルが紙の本で出ているから、という理由で無視してしまっていいものかどうか。
とか悩んでたら、こんなのも見つかりましたぜ。
▼eBookJapan:江戸川乱歩特集
宮田雅之の表紙でおなじみの角川文庫が電子書籍になっていたとは、私まったく知りませんでした。
こんなのまで追っかけてたら、えらいことになってしまいます。
いやー、新年早々、悩ましいことだなあ。
ちなみに私のキンドルには、いまだ小学館の電子版乱歩全集の第一巻しか入ってないんですけど、この際だから、といってもどの際なんだかよくわかりませんけど、なにか買っとくか、と考え、ああ、『虚無への供物』を入れとこうか、と思いつきました。
さっそく検索してみたところ、『虚無への供物』は講談社文庫の上下二冊本が電子書籍化されているだけで、それはまあそうでしょうけど、あの本はちょっと気が進まないな、やめとこ、ということになりました。
関係各位にお詫びを申しあげる次第です。
新年も三日目となりました。
2ちゃんねる乱歩スレで、こんなのも世に出ました、と教えられました。▼曇天文庫:江戸川乱歩「二銭銅貨・人間椅子 他41編」(2016年1月1日)
「電子書籍を読めるアプリを持っていない人は、下のAdobe Digital Editions(無料)をインストールすれば、epub形式のファイルを縦書き(ルビつき)で読むことができる」とのことです。
これです。
▼アドビ公式サイト:Adobe Digital Editions / Download
小学館の乱歩電子全集、いよいよ苦戦ということになります。
検索してみたら、こんなツイートも。
1月1日は祝日カレンダーでは元日。文学としては著作権が公開になる作家が増える日です。今年は江戸川乱歩、谷崎潤一郎等々、増えました! ●江戸川乱歩を青空文庫で読む? 小学館全集で読む? やっぱり青空文庫でしょ:『二銭銅貨』 https://t.co/cTiXHzHAsH
— 鎌田純子 (@JunkoTW) 2016, 1月 2
藍峯舎のほうは、おかげさまで快調です。
『幻想と怪奇』上製175部本、当店に2回に分けて入荷しましたが、2回目の最後の限定番号は、早くも168番…!
— 古書きとら (@kosho_kitora) 2016, 1月 1
『幻想と怪奇』の書影は、このツイートのリンク先でどうぞ。
ブログを更新しました。書影多数掲載してます。 藍峯舎第5弾 江戸川亂歩自選短編集『幻想と怪奇』坂東壯一挿画 https://t.co/Rts9pTGGKV 古書きとら『書斎日記』 pic.twitter.com/PN2cj2Pryl
— 古書きとら (@kosho_kitora) 2016, 1月 2
いやー、飲み過ぎでしんどい。
またあした、ということにいたします。
あけましておめでとうございます。
とりいそぎ、青空文庫を覗いてみたところ、安西冬衛、梅崎春生、江戸川乱歩、大坪砂男、河井酔茗、蔵原伸二郎、式場隆三郎、高見順、谷崎潤一郎、中勘助、森下雨村、山川方夫、米川正夫がパブリックドメインとなり、青空文庫に加わった、と告知されておりました。▼青空文庫:Home
乱歩作品は、まず「二銭銅貨」。
▼青空文庫:江戸川乱歩
森下雨村の作品は、「二銭銅貨」の思い出を綴った随筆でスタートする、という粋なはからい。
▼青空文庫:森下雨村 > 三十六年前
しかし、雨村には「作業中の作品」が一作もありませんから、もしかしたら「二銭銅貨」に「三十六年前」で花を添えただけでおしまい、ということになるのかもしれません。
新年早々、むごい話だなあ。
本年もよろしくお願いいたします。
今年もあとちょっとでおしまいです。
つまり乱歩の著作権も、あとちょっとで消滅してしまうことになります。乱歩作品がパブリックドメインになったら、いったいどんな事態が出来するのであろうか。
とか、そんなことを考えはじめると、なんだか戦々恐々としてしまいます。
それにしても、小学館の電子書籍版乱歩全集は、青空文庫という強敵が立ちはだかるわけですから、かなりの苦戦を強いられるはずで、12月25日に配信が開始された第一巻、さきほど「RAMPO Up-To-Date」のエントリにまとめましたけど、ほとんど売れてないんじゃないか、という気がいたします。
ともあれ、今年もいろいろお世話になりました。
どうぞ良いお年をお迎えください。
おかげさまで、大みそかを迎えてようやく、藍峯舎版『幻想と怪奇』の書影をツイッターで目撃できるようになりました。
藍峯舎「幻想と怪奇」が届いた。 pic.twitter.com/audT8mPYFD
— 黒白 (@MadHatter1933) 2015, 12月 30
藍峯舎版『幻想と怪奇』上製本無事受け取り。何とか年内間に合った。 箱の背部分にタイトルがない装丁なので本体背表紙を手前にして書架に収める。 「火星の運河」はこっちのバージョンのほうがハイだけど、後で恥ずかしくなって削る気持ちも判る。 pic.twitter.com/yGIsRD9UCr
— ゆーた (@latteteddy) 2015, 12月 30
藍峯舎の江戸川亂步自選短編集『幻想と怪奇』上製本、届きました。限定175部44番。特装本は1月8日発送との事。待ち遠しいです。それにしても藍峯舎はいつも美しい出来の本ですね。 pic.twitter.com/b8gEMXzOEZ
— b-snow (@bsnow_96) 2015, 12月 30
今年最後となりそうな一冊が到着。藍峯舎版『幻想と怪奇』(江戸川乱歩著/坂東壮一挿画)。好きなナンバーだったので、ニンマリ。(雅) pic.twitter.com/mcBuC07BFa
— 怪談専門誌『幽』 (@kwaidan_yoo) 2015, 12月 30
藍峯舎 江戸川亂歩自選短編集『幻想と怪奇』坂東壯一挿画 上製本175部 入荷致しました! 背黒色染牛革装天金箔 二重貼函 保護筒函付 黒と赤と金を基調とした瀟酒で豪奢な造本。 pic.twitter.com/ZeSHeJdi1I
— 古書きとら (@kosho_kitora) 2015, 12月 30
発行は、特装本二十五部、上製本百七十五部、とのことですが、東雅夫さんのツイートによれば、すでに「133」まで出てることになります。
残りはあと、多くても四十二部。
▼株式会社藍峯舎:江戸川亂步自選短編集『幻想と怪奇』挿画(銅版画)坂東壯一
ご注文はお早めにどうぞ。
きたー!
キンドルカバーきたー!こんなんです。
サイズを比較するため、文庫本を添えてみました。
しかし、こんな写真じゃ、カバーがほとんど見えんがな。
まあ、これなんですけど。
▼Amazon.co.jp:Inateck Kindle Paperwhite用保護カバー PUレザーケース マグネット付き ブラウン(Kindle Paperwhite専用)
上の写真、あえて直射日光のもとで、といっても冬至から十日ほど過ぎた冬の陽ですけど、とにかく直射日光を浴びた状態で撮影したんですけど、この写真じゃちょっとわかりづらいものの、キンドルホワイトペーパーの画面、ちゃんと判読可能です。
さて、年末進行と重なったため「RAMPO Up-To-Date」に記録するだけで打ち過ぎてしまいましたが、平井隆太郎先生のご逝去は一部の全国紙伊賀版でもとりあげていただきました。
こちら朝日新聞。
ウェブニュース
朝日新聞デジタル
平成27・2015年12月17日 朝日新聞社
「名張の理解者」悼む声
Entry
こちら毎日新聞。
地方版の記事が翌日、別カテゴリでも配信されました。
ウェブニュース
毎日新聞
平成27・2015月12月17日 毎日新聞社
平井隆太郎さん死去 名張の振興、協力に感謝 乱歩の長男、しのぶ声 /三重
鶴見泰寿
Entry
ウェブニュース
毎日新聞
平成27・2015年12月18日 毎日新聞社
大学倶楽部・立教大 江戸川乱歩長男・平井名誉教授死去 「名張の振興協力に感謝」
鶴見泰寿
Entry
朝日新聞のウェブニュースは尻切れとんぼですから、12月17日付伊賀版の当該記事を、天下御免の無断転載。
この記事には、お経は読んでも乱歩は読まない高野香洋さんのコメントも出てきてますけど、名張市立図書館が乱歩の遺品を寄贈していただいた、とあるのは高野さんの記憶違いで、あれはあくまでも借用、厳密にいえば永久無償貸与というかたちになっております。
だからこそ、書類一式をば整えて、名張市長と私が平井憲太郎さんをお訪ねし、ひきつづきよろしくお願いいたします、とご挨拶を申しあげたわけですがな。
しかし、そんな勘違いはまあいいとして、名張市あたりで図書館長をお務めになってるかたのレベルといいますか、限界といいますか、そういったものがこの記事にはよく示されてます。
つまり、乱歩どころかそもそも本を読まないひとが図書館長に収まったりした日には、資料収集というものを展示や陳列のレベルでしか考えることができない、ということです。
いや、考えることができない、というよりは、思いつくことができない、というべきか。
むろん展示や陳列だって、できるのであればやるに越したことはありませんし、平井隆太郎先生のご協力をいただけたのはもとよりありがたいことではありますけど、それは図書館の資料収集においては傍系の業務なわけです。
展示や陳列に目の色を変えるのもいいけれど、それ以前にやらなきゃならんことがあるだろーが、といったことが、ここらのお役人にはまったく理解できません。
そんなことじゃいかんだろーが、といってみたところで、じゃあなにをすればいいのか、それを思いつくことができない。
あたりめーだ。
資料収集は思いつきじゃできません。
考えるべきことをちゃんと考えなくちゃできません。
ただし、考えるったって、そこらの高校の図書委員にだって余裕で考えられることです。
そんなことすら考えられない。
それがここ名張市のお役人というやつですから、七重の膝を八重に折り、きょうここのえに匂いぬるかな、どちらさまもどうぞご寛恕くださいね。
しかし、それにしてもひどいものだな。
今年の夏、古いコピーのたぐいを整理していたら、中島河太郎先生が1985年11月、「婦人公論」の臨時増刊号にお書きになった「乱歩と生地」という短い随筆が出てきました。
内容はすっかり忘れておりましたが、いろいろと思い当たるところがありました。
冒頭を引用。
今年は江戸川乱歩の没後二十年にあたる。せんだって三重県名張市の教育長と図書館長が上京して、新築計画中の図書館に江戸川乱歩記念室を整備したいという意向を洩らされた。
四日市市立図書館の丹羽文雄記念室や、彦根市立図書館の舟橋聖一記念文庫がお手本らしいが、実は名張の計画は一度頓挫している。
1985年といえば、昭和も暮れがたの60年。
すでに読まれることが少なくなっていた作家の記念室だの記念文庫の真似をする、みたいな程度のことしか思いつけないのが、ここらあたりのレベルであり限界である、ということです。
ちっとは考えればいいのに、とお思いのかたもいらっしゃるでしょうけど、そもそも考えるための知識を身につけてないわけですから、つまり、お経は読んでも乱歩は読まず、ということは、乱歩という作家のことをなにも知らないわけなんですから、乱歩を丹羽文雄や舟橋聖一といっしょくたにして、新しい図書館にちょっとしたコーナーをつくり、乱歩の遺品や著書を展示陳列してうわっつら飾っときゃそれでいいや、とかそんなレベルで終わっちゃうのよね。
そうゆうことじゃ困るんだけどなあ。
なんか、むらむらとむかっ腹が立ってきましたので、フルバージョンで行っときます。
「こんにちはッ」
「そのパターンまだやりますのか」
「お経は読んでも乱歩は読まぬッ」
「なんですねんそれ」
「腹が張っても屁はこかぬッ」
「知りませんがな」
「三重県名張市立図書館初代館長というのは誤りで名張市教育委員会のご教示によれば名張市立図書館第六代館長の高野香洋でございますッ」
「どなたですねんそれ」
「資料収集のしの字も知らぬッ」
「こっちこそ知りませんがな」
「図書館法のとも知らぬッ」
「知らんゆうのに」
「さ」
「どないしました」
「檀家まわり行かさしてもらわさしてきやさしていただかさしてもらわしてこ」
「好きなようにしたらよろしがな」
「はんにゃはらみたほんまによ」
「ほんまにお経読むんですか」
「かんじざいぼさつほんでからよ」
「君しまいに名張市仏教会あたりから叱られますよ」
「ぎゃーてーぎゃーてーほんまによ」
「そのほんまによとかほんでからよとかゆうのがまたようわからんわけですけど」
「ごこうのすりきれほんでからよ」
「そんなん落語の寿限無ですがな」
「大きなお寺ができましたあッ」
「お寺つくってましたんか」
「当寺院では家族葬でもお布施は同額となっております」
「いったいどこのお葬式ですねん」
しかし、私は、たぶん、死ぬまでこの芸風で突っ走るしかないのであろうな。
それはそれとして、藍峯舎版『幻想と怪奇』、写真を撮るのがもったいないような気がして、というか、開いたり立てたりすると本が傷むのではないかという気もして、購入したひとが写真入りでツイートしてくれるのを待ってるんですけど、まだみたいです。
せめてこちらをどうぞ。
藍峯舎 江戸川亂步自選短編集『幻想と怪奇』坂東壯一挿画 上製本は、昨日より配本開始! 本体の書影も公開されてます!黒と金の瀟酒な造本。 https://t.co/s6kZyGxk9o 特装本は2016年1月8日より配本開始!
— 古書きとら (@kosho_kitora) 2015, 12月 30
さ。
お掃除でもしよっと。
キンドルカバーこねー。
キンドルのホワイトペーパー、本体だけしか購入しませんでしたので、専用のカバーも必要だろうなと考え、きのう注文したのですが、こねー。キンドルカバーこねー。
といったような次第で、カバーなしのキンドルホワイトペーパーを鞄に入れて、きのう上京、平井隆太郎先生のご遺影に合掌し、とんぼ返りで戻ってまいりました。
近鉄名張駅を発つ前、東口駅前で午前9時40分に撮影した乱歩像。
いまさらご紹介する必要もないことですが、われらが名張市の市立図書館には乱歩コーナーが設けられていて、平井家からお借りした乱歩の遺品を常設展示しております。
12月9日に平井隆太郎先生がお亡くなりになりましたので、貸借関係にも変更が必要なのではないか、つまり、遺品の借用書は平井隆太郎先生宛てになっておりますから、あらためて憲太郎さんから拝借するということにしなければならんのではないか、という声が名張市役所の内部で出たらしく、また、隆太郎先生のご逝去は名張市定例会の開会中でしたから、市長は上京できず、当ブログでもご報告申しあげたとおり、告別式には市長から弔電をお送りしただけでした。
そこで、お悔やみかたがた憲太郎さんに新しい借用書をお渡しするべく、また、なんとか年内にご挨拶を申しあげたく、といったことででもあったのか、お役所がご用納めを迎えた昨日、市長が上京したという寸法です。
それはそれでいいのですが、つい先日、名張市役所の秘書室から電話があり、かくかくしかじかの所用で市長が上京いたしますので、それに同道していただけませんか、との依頼がありました。
いやー、なんだかなー、年末進行も完全に終わってないしなー、おれは市立図書館には縁もゆかりもない単なる民間人だしなー、とも思ったのですが、せっかくだから、と考え直して上京いたしました。
午後二時から三十分ほど、憲太郎さんにお目にかかり、隆太郎先生のお写真にも手を合わせてまいりました。
用件そのものはすぐ済むものですから、書類をお渡ししたあとは市長が財政事情など名張市の近況をおはなし申しあげておりましたが、市長としてはもしかしたら、生誕百二十年や没後五十年を迎えても財政難のため記念事業らしきものがなにもできなかったことを、憲太郎さんに内心でお詫び申しあげたいという心づもりもあったのかもしれません。
で、おいとまして、旧乱歩邸の前を通りかかったとき、午後2時35分のことでしたが、ふと思いついて門柱の表札を撮影。
表札をながめつつ、あらためて隆太郎先生にお別れを申しあげてまいりました。
とか感慨にふけっていたところ、キンドルカバーこないけど『幻想と怪奇』きたー!
藍峯舎の『幻想と怪奇』きたー!
▼株式会社藍峯舎:江戸川亂步自選短編集『幻想と怪奇』挿画(銅版画)坂東壯一
しかし、いまだ、ツイッター上での到着報告はないみたいです。
なんだかあわただしいですけど、つづきはまたあした。
早ッ。
きのう注文したキンドルのペーパーホワイトたらいうの、もう到着しました。さっそく小学館の『江戸川乱歩電子全集1 明智小五郎登場編』を購入してみました。
これどす。
サイズを比較するため、手もとにあった林檎を添えてみました。
もしかしたら、梨かもしれません。
開いてあるページに掲載されているのは、巻末付録のコラム&フォト「乱歩ワールド──路地裏の散歩者」でご紹介いただいた山本松寿堂謹製、二銭銅貨煎餅の写真です。
くわしいことはまたあらためて、ということにして、とりあえずどうぞよろしく。
▼Amazon.co.jp:江戸川乱歩 電子全集1 明智小五郎 登場編
いっぽう、藍峯舎版『幻想と怪奇』は──
▼株式会社藍峯舎:江戸川亂步自選短編集『幻想と怪奇』挿画(銅版画)坂東壯一
こんな状態だそうです。
藍峯舎より連絡あり。 江戸川亂歩自選短編集『幻想と怪奇』、上製本は、29日より配本開始とのことです。 当店への入荷は30日を予定。ご予約の方には、順次発送致します。 特装本は、遺憾ながら二重貼箱の納入が追いつかず、年初(1月8日頃)になるとのこと。今暫くお待ち下さい。
— 古書きとら (@kosho_kitora) 2015, 12月 27
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