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Nabari Ningaikyo Blog
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Posted by 中 相作 - 2012.05.20,Sun

 うーむ。

 

 おとといの朝日新聞、つまり大阪本社発行の5月18日付統合版のことであるが、社会面に「図書館に民の力」という記事が掲載されておった。

 

 記事の最初に出てきたのは、武雄市図書館の話題であった。

 

 先日、このエントリに記した話題だ。

 

 ▼2012年5月12日:武雄市の市長さんのいうことにゃ

 

 武雄市の市長さんが打ち出した破天荒な試みが、それなりに注目を集めているらしい。

 

 ウェブニュースを検索してみると、佐賀新聞でこんな記事が報じられていた。

 

 ▼佐賀新聞:波紋広げる武雄市図書館のツタヤ委託計画(2012年5月15日)

 

 5月12日付エントリには、図書館運営をツタヤに丸投げなんかしたら、「いわゆる無料貸本屋としてのサービスは飛躍的に向上するかもしれんけど、地域独自の資料収集というのは壊滅的に劣化してしまうのではないか」と記したのだが、佐賀新聞の記事でも以下のごとき懸念が報じられている。

 

 一方で「使い勝手はよくなるかもしれないが、図書収集や管理、企画など質の維持向上は…」という懸念もある。

 

 全国の図書館で指定管理者制度を導入して運営委託されているのは8.6%(2010年度)。県内では鹿島市が導入しているが、委託先は市民参加型の任意団体で企業ではない。鳥栖市でも検討されたが実現しなかった。佐賀市は分館の東与賀館をNPOに委託していたが、昨年4月に直営に戻した。(1)司書の専門性確保と図書充実には継続性が必要(2)教育施設は行政が運営すべき(3)本館との連携-が理由だった。

 

 白根恵子佐賀女子短大教授(図書館情報学)は「図書館は貸し出しだけでなく調査や相談機能も重要。職員には経験と専門性が必要で、経費節減が一つの目的の指定管理者では勤務態勢が短時間のシフト制になりがち」と指摘、運営の質低下を危惧する。

 

 おとといの朝日新聞では、図書館運営の民間委託をめぐる動きについて、こんなことが記されておった。

 

 脱自治体の動きはどこまで広がるのか。指定管理者として156館を運営する図書館流通センターの石井昭会長は役所の運営はコスト面で無駄があっただけでなく、図書館が町づくりの魅力的なインフラになるとの認識がなかったと指摘する。「顧客サービスは民間の得意とするところ。委託図書館は、今後も増え続ける」

 

 それが時代の趨勢というものであろう、とは思う。

 

 しかし、懸念は消えない。

 

 図書館運営の質にまつわる懸念だ。

 

 おとといの朝日には、こんなことも書かれてあった。

 

 大手書店「丸善」に市内全3館の運営を委託している大阪府大東市。市担当者は「開館時間延長などサービスも向上し、コストも約半分に圧縮できた」と強調する。市立中央図書館の場合、直営時の年間費用約7500万円が約3500万円にまで減った。

 だが、コスト削減と開館時間延長のための増員という相反する目的を達成するため、フルタイムとパートの司書ら計47人は1年契約が基本で、ボーナスはなし。ある司書は「昇給は難しく、将来を描けない。この給料で経験が長い司書を集めるのは難しい」。

 

 大阪市は、こんな判断を示しているという。

 

 削減できるところは限られているとするのが大阪市。06年度からの図書館改革で民間委託を検討したが、貸し出し返却などの窓口業務に絞ることにした。担当者は「サービスの質を維持するため、司書業務は行政が担うべきだ」。

 

 専門家の意見は。

 

 日本図書館協会の松岡要事務局長は、長年勤続する司書でなければ、その図書館で本当に必要な書籍は何かを判断することはできないという。「コスト削減や入館者数ばかりを意識するだけでは、調査研究をはじめとする文化的機能が減退してしまう」と警鐘を鳴らす。

 

 最後に以下のごときコメントを掲載して、朝日の記事は終わっている。

 

 糸賀雅児・慶応大学教授(図書館情報学)の話 コスト削減の名の下に指定管理者制度を導入してから10年ほどたつが、依然として「貸出冊数」などの数字が評価される傾向にある。しかし重要なのは、地域の歴史や各種課題の資料を集め、次代に残すという図書館本来の目的が果たされているかという点。民間委託がいいか、自治体直営がいいかという議論の前に、問われるべきは、首長が図書館のあり方を中長期的に考えているかどうかだ。

 

 うーむ。

 

 「図書館本来の目的」は、「地域の歴史や各種課題の資料を集め、次代に残す」ことである、とのことだ。

 

 「地域の歴史や各種課題の資料」とは、どういう資料のことだろう。

 

 名張市立図書館にあてはめて考えてみると、まず、名張に関連するいわゆる郷土資料があげられる。

 

 まさしく地域の歴史に関係する資料だ。

 

 図書館法の第三条は、「図書館は、図書館奉仕のため、土地の事情及び一般公衆の希望に沿い、更に学校教育を援助し、及び家庭教育の向上に資することとなるように留意し、おおむね次に掲げる事項の実施に努めなければならない」として、第一項を次のとおり定めている。

 

1.郷土資料、地方行政資料、美術品、レコード及びフィルムの収集にも十分留意して、図書、記録、視聴覚教育の資料その他必要な資料(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られた記録をいう。)を含む。以下「図書館資料」という。)を収集し、一般公衆の利用に供すること。

 

 な。

 

 郷土資料は、いの一番に来ている。

 

 では、各種課題の資料、というのはどうか。

 

 名張市立図書館が、みずから課題として設定した資料、みたいなことになるだろう。

 

 郷土資料のように地域の図書館としてぜひとも集めなければならない、というわけではないけれど、その図書館がなんらかの理由や根拠にもとづいて独自に集める資料、みたいな感じかしら。

 

 つまり、名張市立図書館の場合、乱歩関連資料は各種課題の資料のひとつだ、ということになる。

 

 さてそれで、いったい、どうか。

 

 いやはや、やれやれ、れれれのれー。

 

 うーむ。

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