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Posted by 中 相作 - 2011.06.28,Tue

ウェブニュース

 

asahi.com

 平成23・2011年6月26日 朝日新聞社

 

時計館の殺人 [著]綾辻行人

 保科龍朗

 Home > エンタメ > BOOK > 再読 こんな時 こんな本 > 記事

 

…………………………………………………………………………………

 

書店員に聞く 横溝チルドレン

 

時計館の殺人 [著]綾辻行人

 

[掲載]2011年6月25日朝刊be

 

■20110628a.jpg

 

著者:綾辻 行人  出版社:講談社 価格:¥ 900

 

 金田一さん、事件です! な、なんと、今年は横溝正史先生の没後30周年ですぞ! ミステリー界では横溝ワールドの精髄が、陰に陽に連綿と受け継がれています。そんな「横溝チルドレン」の容疑者をしょっぴいてきました。

 

■青山ブックセンター六本木店・間室道子さんのおすすめ

 

(1)時計館の殺人 [著]綾辻行人

 

(2)ボディ・メッセージ [著]安萬純一

 

(3)真山仁が語る横溝正史 [著]真山仁、横溝正史

 

 ▽記者のお薦め

 

(4)陰摩羅鬼(おんもらき)の瑕(きず) [著]京極夏彦

 

 邪悪な怨念がうずまく旧家の一族を襲う連続殺人。血塗られた宿命におびえながら、誰にもそのむごたらしい凶行を食い止められない――。

 

 いきなり謎解きをしてしまおう。

 

 ずばり横溝ミステリーの精髄の正体は「悪(あ)しき場所」なのだと、間室さんは読み解く。「江戸川乱歩のミステリーの核心は都市の『個人』。いまわしい個人の妄想を膨張させるのが真骨頂であるのに対して、横溝ミステリーの核心は血のつながりのある『家』や閉ざされた『村』のような泥臭い集団です。その『家』や『村』そのものが妄想し、犯罪をたくらむ『悪しき場所』となる感じ」

 

(1)『時計館の殺人』は、「十角館の殺人」でデビューした綾辻行人の「館」シリーズ第5作で、日本推理作家協会賞受賞作でもある。

 

 108個もの時計コレクションが時を刻む「時計館」は、ある大富豪が一人娘の死を悼んで建てさせたものだった。そこへオカルト雑誌の編集者とカメラマンや大学のオカルトクラブの男女らが訪れる。幽霊が現れるという時計館にこもり、交霊会を開こうというのだ。閉めきられた館の中で連続殺人の幕があがる。

 

 「『館』シリーズは『犯人は館そのものだ!』と言いたくなる『悪しき場所』ぞろいですが、怪奇趣味炸裂(さくれつ)の『時計館』は、そのなかでもピカいち。トリックが暴かれた瞬間、鳥肌が立ったことは忘れられません」と間室さんは絶賛する。

 

(2)『ボディ・メッセージ』は著者のデビュー作だが、舞台はアメリカで、登場人物もほぼ全員外国人だ。

 

 とある荒野の一軒家に派遣された2人の探偵が深夜、血の海になった一室で4人の女性の切断死体を発見する。「なんといっても、死体の置かれ方が見事。トリッキーで絢爛(けんらん)な死体の『見せ方』も横溝チルドレンの特徴です」(間室さん)

 

(3)『真山仁が語る横溝正史』は、小説「ハゲタカ」シリーズの著者によるノンフィクションの人物伝。1970年代の横溝ブームを仕掛けた角川春樹氏との対談でも知られざるエピソードを聞き出している。

 

 ▽記者のお薦め

 

(4)『陰摩羅鬼(おんもらき)の瑕(きず)』は「憑(つ)き物落としの拝み屋」中禅寺秋彦が登場する「京極堂」シリーズの一編だが、今回は記者と間室さん共同で推薦する。この人気シリーズの作中に、なんと横溝正史が登場しているのだ。

 

 「悪しき場所」は「鳥の城」と呼ばれる謎の洋館。住人の元伯爵は5度目の婚礼を控えていたが、過去の花嫁はことごとく、その洋館で迎えた初夜に何者かに殺されていた。

 

 大作家はさりげなく登場し、なにげなく事件の真相をえぐるひと言を残していく。奥ゆかしい演出が極上のオマージュになっている。(保科龍朗)

 

    ◇

 

〈見るなら〉金田一耕助の冒険

 

 1979年の公開当時、スタッフがひねり出したキャッチコピーは「これでも映画か」だったという。DVD特典映像の大林宣彦監督のインタビューでも、「観客のひんしゅくを買うことを狙った映画だった」と語られている。

 

 出版と映像のメディアミックスで横溝正史ブームが燃え盛るさなか、ブームを仕掛けた張本人の角川春樹はこんな破天荒なパロディー映画まで製作していたのだ。

 

 金田一耕助がローラースケートをはいた窃盗団に拉致された。彼のファンだという女首領が、未解決の「瞳の中の女」事件の犯人を突き止めるようけしかけられるためだった――という筋立てはあるものの、ポップでシュールなパロディーネタが、目まいがしそうなほどぎっしり詰めこまれている。

 

 なぜ連続殺人を食い止められないか、を切々と語るラストの金田一のモノローグは出色だ。(龍)

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