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Nabari Ningaikyo Blog
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Posted by 中 相作 - 2011.05.10,Tue

 なんか、蒸す。

 

 むしむししている。

 

 いやなお天気だが、さっそくながら、きのうのつづきだ。

 

 名張市立図書館はいったいなにをすればいいのか、という点にかんして、名張市企画財政部サイドに提出するための提案を、このブログで公開しながらまとめてみる。

 

 ハーバード大学教授、マイケル・サンデル先生による白熱教室のむこうを張って、ビューティフル・サンデー先生の平熱教室、といった心意気でやってみる。

 

 いろはのい。

 

 ABCのA。

 

 そんなところから始める。

 

 というのも、そもそも不肖サンデー、名張市乱歩関連事業アドバイザーとして名張市立図書館をアドバイスするにあたって、まず最初にアドバイスしたのは、「収集資料にもとづいて乱歩作品個々のデータをまとめていく、みたいなことを考えてみてはどうだろう」ということであった。

 

 しかし、すぐさま、こりゃ難しすぎたかな、と反省した。

 

 乱歩作品のデータをまとめる、などという作業は、乱歩作品を読んでなければ進められるものではない。

 

 だから、方針をあっさり変更して、「乱歩関連資料を収集する、っつーのなら、乱歩関連資料、っつーのはいったいどんなものなのか、どんな資料を集めればいいのか、そのあたり、ちゃんと考えて、ちゃんと決めようね」というアドバイスを行ったのだが、これも不発だった。

 

 資料収集というのがどういうことなのか、名張市立図書館にはよく理解できていなかったからである。

 

 したがって、この平熱教室、名張市立名張小学校のよい子たちにも理解してもらえるレベルからスタートすることにしたい。

 

 それなら、名張市役所のみなさんにもついてきていただけるはずである。

 

 いきなり資料収集などという難しいところから始めるのはやめて、図書館っていったいどんなとこ? みたいなレベルから入りたい。

 

 だいたいが、名張市立図書館を開設するときも、そういったレベルから入ってゆくべきだったのである。

 

 ところが、いきなり、資料収集なんてところから入ってしまった。

 

 資料収集というのがどんなことなんだか、よく理解できていない人間が集まって、ただの思いつきで、乱歩関連資料を収集しよう、と決めてしまった。

 

 ろくに乱歩作品を読んだことがなく、資料というのは展示したり陳列したりするものであると信じて疑わないひとたちが、深い考えなどなにもなく、名張市立図書館は乱歩関連資料を収集いたします、と決めてしまった。

 

 それが最初のつまずきだった。

 

 ちゃんと考えて、ちゃんと決める、ということができなかった。

 

 名張市ってのは、四十年も前から、ちっとも変わってないわけだ。

 

 さて、最初から考えてみよう。

 

 名張に生まれた乱歩という作家を、名張市立図書館はいったいどうすればいいのか。

 

 とりあえず、究極の選択というやつをやってみる。

 

 なにかする。

 

 なにもしない。

 

 ふたつのうち、どちらを選ぶか。

 

 なにかする。

 

 名張市立図書館は、開館準備の段階で、それを選んだ。

 

 だったら、なにをするのか。

 

 名張市立図書館は、乱歩関連資料の収集、という思いつきを選択した。

 

 そして、そのまま思考停止した。

 

 乱歩関連資料とはいったい何か。

 

 なにを目的とし、どんな基準で、どんな資料を収集するのか。

 

 それを考えようとしなかった。

 

 考える能力がなく、考えるための知識もなかった。

 

 なにしろお役所である。

 

 手前どもはなにも考えないことにしております、みたいなひとたちが、うわっつらだけとりつくろってるところである。

 

 だから、なにも考えないまま、わけのわからんことになってしまった。

 

 わけのわからん状態は、いまもつづいている。

 

 どうすればいいのか。

 

 考え方を変えてみよう。

 

 図書館っていったいどんなとこ? ということから入ってみよう。

 

 名張市立名張小学校のよい子たちにそれを尋ねたら、きっと、「本を読むところでーす」という返事が返ってくるはずだ。

 

 正解である。

 

 図書館はたしかに、本を読むところだ。

 

 だから、名張市立図書館が乱歩にかんしてなにかする、というのであれば、まずなによりも、乱歩の本を読むことができる場にならなければならない。

 

 しかし、乱歩の本が読める図書館なんてのは、どこに行ったってごろごろしている。

 

 乱歩に特化した運営を進めているところも存在していて、たとえば鳥羽市立図書館はこんなことになってるらしい。

 

 鳥羽市:江戸川乱歩コーナーの設置について(pdf)

 

 むろん、乱歩にまったく無関係な自治体の図書館にも、乱歩の本は数多く所蔵され、多くの人に読まれている。

 

 だから、名張市立図書館では乱歩の本を読むことができます、などといってみたところで、乱歩にかんしてなにかした、ということにはならない。

 

 もう少し、考えを進めてみよう。

 

 乱歩の本が読めるというのは、乱歩の全作品が読める、ということと同義ではない。

 

 乱歩の没後、講談社や光文社から乱歩全集が刊行されたけれど、それらを全部集めてみても、収録されていない乱歩作品がないわけではない。

 

 対談や座談となると、乱歩全集でもほとんど読むことができない。

 

 だから、名張市立図書館が乱歩に特化した運営を進めたいというのであれば、乱歩の本を読むことができる、というところから一歩進めて、乱歩の全作品を読むことができる、というところまで行ってはどうだろう。

 

 そんな図書館は、全国を探してもどこにもない。

 

 乱歩の全作品が読める図書館をめざす、というのは、乱歩が生まれたまちの公共図書館にふさわしい運営方針だといっていいだろう。

 

 しかし、ここに難儀な問題がある。

 

 乱歩の全作品といっても、いったいどれくらい存在しているのか、正確なところがわからないことだ。

 

 もちろん、だいたいのところはわかっている。

 

 しかし、発表されたままで単行本にも全集にも収録されず、初出のままで人知れず眠っている作品もあるはずだ。

 

 だから、これが乱歩の全作品だ、と確定することは不可能である。

 

 完璧な収集はできない。

 

 しかし、完璧を求めて、持続的に収集をつづける努力は必要だろう。

 

 ともあれ、名張市立図書館は、乱歩の全作品を読むことができるオンリーワンの図書館をめざしています、という運営方針を明確に打ち出すべきではないか。

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