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Posted by 中 相作 - 2015.08.27,Thu
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KAI-YOU.net
 平成27・2015年8月24日 カイユウ

『乱歩奇譚』さユり×ノイタミナ編集長×編曲家ミカヅキ対談! 見た人が、これでいいんだと救われる
 よしだゆうや(取材)、恩田雄多(文)
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『乱歩奇譚』さユり×ノイタミナ編集長×編曲家ミカヅキ対談! 見た人が、これでいいんだと救われる

2015.08.24 20:00



『乱歩奇譚 Game of Laplace』特別座談会/左から江口亮、さユり、森彬俊

7月からフジテレビ・ノイタミナ枠で放送中の『乱歩奇譚 Game of Laplace』。作家・江戸川乱歩さんの怪奇・幻想の世界を原案としたオリジナルアニメーションであり、主人公・コバヤシを筆頭に、“クセのある”キャラクターが次々と登場することで、物語は加速度的に面白さを増している。

その面白さに一役買っているのが、エンディグテーマである「ミカヅキ」だ。放送直後から、アニメとのリンクが話題になり、歌詞とストーリーの関連性を考察するファンも現れた。

特別座談会第2弾では、「ミカヅキ」と『乱歩奇譚 Game of Laplace』との関係性にフォーカス。ノイタミナ編集長の森彬俊さん、「ミカヅキ」を歌う女性シンガーソングライターのさユりさん、そして、「ミカヅキ」のアレンジ(編曲)を担当した江口亮さんに、楽曲の誕生やエンディングへの起用の経緯、作品へもたらした影響などを中心に話を聞いた。

取材:よしだゆうや/文:恩田雄多

断片的だった言葉が、2年越しにつながる

8月26日(水)リリース 酸欠少女 さユり デビュ­ーシングル「ミカヅキ」MV(short ver)



──まずは「ミカヅキ」が誕生したきっかけを教えてください。

さユり もともとは今から2年前の17歳のとき、サビの「逃げ出したいなぁ 逃げ出せない」「醜い星の子ミカヅキ」という歌詞とメロディーだけがパッと出てきたんです。当時は学校があまり楽しくなくて、家に引きこもりがちな時期で、曲づくりばかりしていました。

その時期の息ぐるしさと、普段から感じていた劣等感や後悔、そこからくる月や星への羨望が自然と歌詞に出てきたんだと思います。ただ、この2つのフレーズ以降は全然歌詞が書けなくて、2年経った今年の頭にようやく完成させることができました。

江口 2年前は完成できる状況ではなかったのかもしれないですね。自分の環境が変化する中で、当時は断片的だった言葉がつながり始めていく。アレンジでも、時間を経て気づくことが多いので、たとえ完璧だと思う場合でも、少し寝かせるようにしています。

断片的な欠片はすごく大事な要素なんだけど、どうやって作品にすればいいのかわからないことってある。



さユり

さユり 2年経っても根底にある思いは変わらなかったんですけど、「それでも」という言葉は、今だからこそ生まれたんだと思います。当時だったら「死にたい」とか、ネガティブな言葉しか出てこなかったので(笑)。

この2年間で、自分の気持ちとしても少し上を向けるようになって、誰かの助けになりたいと思えるようになったのが大きいと思います。

森 アニメも同じかもしれません。アニメの制作は、チームで作品の全体像を共有してから始まりますが、本当の意味で「ゼロ」からのスタートではありません。

『乱歩奇譚 Game of Laplace』も、1年半前くらいから動き始めましたが、監督の岸誠二さんやシリーズ構成・脚本の上江洲誠さんは、きっと前々からやろうと思っていたテーマを詰め込んでいるだろうし、僕自身もずっと前からやりたかった企画でした。

制作に関わるみんなが以前から持っていた、「いつかこういう作品をやりたい」という思いの種を、ここぞとばかりにぶつけ合うわけです。欠片が集合して化学反応が起きることで1つの作品になるという意味では、アニメも音楽も共通する部分があるかもしれません。

思いを紡いで、曲の力を大きくする



江口亮

──「ミカヅキ」の原曲は、どのような曲だったんでしょうか?

江口 「ミカヅキ」は、一番最初の時点でさユりさんの表現したかった思いがしっかり感じられるくらいの弾き語りでした。とはいえ、このまま終わらせるんじゃなくて、さらに爆発力を注入するのがアレンジャーの仕事。もともと「ミカヅキ」にあった美しさと相反する要素を両立させるような楽曲に仕上げようと思いましたね。

さユり 最初のバンドアレンジから、だんだんとノイズのような音が追加されて、すごくいい雰囲気に「ミカヅキ」に近づいていくのを感じてました。

江口 アレンジは、基本的にディレクターやアーティスト本人の意向を反映しつつ、自分の意見も提案していく作業です。個人的には、それぞれの意見を汲み取って妥協点を探るのではなく、思いを紡いで曲の力を大きくする作業だと思っています。

「ミカヅキ」は、さユりさんのメジャーデビュー曲なので、今後の彼女の原点になるという意味でも、彼女に寄り添いすぎず、かっこよく見られるものにしたいと。

ノイズを入れたのは、どんどん汚していいという話だったので(笑)。ピアノのきれいな旋律とノイズの共存、異なる要素の両立は、さユりさん自身のアンバランスな魅力にも通じているんじゃないかと思います。

森 今回は、少しイントロが長いバージョンもつくっていただいて、今、監督含め、どうやって本編で効果的に使うか試行錯誤しています。

江口 イントロつくってるときは、こんなに人が死ぬアニメだとは思ってなかったですよ(笑)。

『乱歩奇譚』さユり×ノイタミナ編集長×編曲家ミカヅキ対談! 見た人が、これでいいんだと救われる

幕引きと次への幕開けにふさわしい



『乱歩奇譚Game of Laplace』/(C)乱歩奇譚倶楽部

──そんな「ミカヅキ」ですが、プロデューサーとして初めて聴いたときの印象はいかがでしたか?

森 正直にいって「『乱歩奇譚Game of Laplace』のためにつくられたんじゃないか」と思うくらい、作品へのフィット感がすばらしかったです。監督含め、現場の人間が満場一致でOKでした。

今回は、作品の世界観に合わせて「少し鬱々とした雰囲気を感じさせつつ、でも共感を呼ぶ曲」がほしいというお願いをしましたが、内容が難しいだけに、正直エンディングについては難航するだろうと予想してました(笑)。

でも、さユりさんの「ミカヅキ」を聴いた瞬間、「これはいける!」と(笑)。一発でみんなが納得するというのは、なかなか珍しいケースです。メロディーや歌詞の世界観が、アニメで描きたかったものにマッチしていて、スタッフもすごく喜んでいました。

さユり 私自身、ノイタミナ作品が以前から好きだったので、すごくうれしいです! エンディングのお話をいただいてからは、改めて、今までどんなアーティストがオープニングやエンディングを担当してきたのか調べました。

各作品の公式Webサイトにあるアーティストさんのコメントを読むと、みなさん特別な気持ちを持っていたのが伝わってきて。自分もその一員に加わりたいと、強く思うようになりました。



森彬俊

森 ちなみに好きなノイタミナ作品は……?

さユり 『東のエデン』です。

森 『東のエデン』のエンディング・テーマ「futuristic imagination」(school food punishment)も、すごく作品にフィットしていましたよね(※江口さんは同曲のアレンジを担当)。

江口 ありがとうございます(笑)。僕自身、タイアップ曲は、わかりやすく音に映像をつけてもらえる機会だと思っています。だから、アニソンというよりも、カルチャーとカルチャーが交わる場として、音と映像のいい掛け算ができればと考えています。

森 アニメの主題歌は特殊かもしれませんね。主題歌として、作品の顔という役割はもちろん、オープニングとエンディングで、それぞれ求められるものが変わってきます。

エンディングは、毎週30分単位で放送する中で、1話ごとにクロージングしつつ、次への期待感を抱かせる、という難しい役割を背負っています。わかりやすくいうと、“幕引きであり、(次への)幕開けでもある”。かつ、最終話を見たあとに「いい作品だったな」と思わせないといけません。

そういう意味でも、「ミカヅキ」は『乱歩奇譚 Game of Laplace』にマッチしています。例えば、第5話のラストの流れ方は、「すごいものを見てしまった、でも次はどうなるんだろう」と、視聴者の気持ちを衝撃とともに閉じつつ、次回へつなげてくれました。

アニメと「ミカヅキ」の両方に潜む「サナギ」



『乱歩奇譚 Game of Laplace』に登場するキャラクター・コバヤシ/(C)乱歩奇譚倶楽部

──第5話を筆頭に、本編と楽曲の親和性の高さが話題になっています。「(ミカヅキを)コバヤシの歌かと思った」という声が聞こえるなど、それらの反響をどのように受け入れていますか?

さユり 各エピソードによって、「歌詞の感じ方が違う」といった反応があってうれしいです。特に第5話では、「4話では気づかなかったところに歌詞が刺さった」という意見もあって。

例えば、曲の最後の「次は君の番だと笑っている」というフレーズが、“今まで以上に不気味に聞こえた”とか(笑)。聴いてもらうからには、その人の心に深く入ってほしいので、より歌詞にリアリティを感じてもらえるのはありがたいですね。

楽曲が人とどのように交わるのか──アニメを見た人たちの反応から、そういった声をダイレクトに感じるようになりました。私自身、音楽を介して人との関わり方や生きている実感を感じるので、今、とても生きている実感を得られています。



『乱歩奇譚Game of Laplace』第5話/(C)乱歩奇譚倶楽部

森 歌詞が本編の内容と自然にリンクしているので、すごい相乗効果ですよね。

さユり 「ミカヅキ」は、満月に対する三日月というイメージから生まれています。2番のサビに出てくる「サナギ」というフレーズも同様で、蝶に対するサナギとして、それぞれの表現が対になっているんです。

とはいえ、ここまでアニメとリンクしているとは思わなかったです。もともと第1話の段階で、コバヤシに自分と共感する部分が多かったので、かなり期待は高まっていましたが……(笑)。

森 それは本当にありがたい話ですね。共感してもらえたからこそ、放送後も作品に没頭して、応援してもらえる。制作側としてはもちろんうれしいし、作品を構成する要素として、関わる人すべてがコミットしているという意味で、幸せな作品だと思います。

江口 フルバージョンの「ミカヅキ」を聴くことで、さらにリンクする部分が出てくると思いますよ。「ミカヅキ」は、きれいなものといびつなものが同居して、それぞれを立体的に味わえる楽曲。

『乱歩奇譚 Game of Laplace』も人が死ぬことがあれば、第6話のようにコミカルなエピソードもある。双方の存在によって、お互いがより引き立ちますよね。

さユり 曲としては1番が“決意”、2番で“葛藤”を描いています。1番で決意するんですけど、後半に進むにつれて、何かにもがいて葛藤する。サビの「それでも」に続く言葉が、より強く反映されていくんです。未完成で不安定な感じを楽しんでもらえると思います。

森 本編でも今後、アケチの過去が描かれる中で、彼自身の葛藤を描く場面が出てきます。一方で、カガミ以降、新たな怪人二十面相が生まれるという現象は、人間誰しもが、“いつはじけてしまってもおかしくない(孵化する)”という意味で、ある種のサナギの状態を表現しています。

実はオープニングアニメーションでも、サナギのようなものが登場しているので、そうしたリンクも含めて、今後を楽しみにしてほしいですね。

『乱歩奇譚』さユり×ノイタミナ編集長×編曲家ミカヅキ対談! 見た人が、これでいいんだと救われる

「ミカヅキ」が『乱歩奇譚 Game of Laplace』にもたらしたもの



──エンディングテーマとして「ミカヅキ」が流れることで、『乱歩奇譚 Game of Laplace』にどのような効果や影響があると思いますか?

さユり コバヤシを筆頭に、いびつでまともじゃないキャラクターばかりですけど、きっと共感できるものを持っているし、共感することで、見た人が救われる部分もあると思うんです。だからこそ「ミカヅキ」が、キャラクターに寄り添う手助けになれたらと思います。

森 本当にまともじゃない人ばかりですよね(笑)。ただ、現実世界でも、まともな面とそうでない面、人はその両方を持っていると思います。その中で『乱歩奇譚 Game of Laplace』では、“まともじゃない面”を強調して描いているので、きっと共感できるだろうと。

物語は後半に進むにつれて、「まともじゃないキャラクターばかりだけど……果たして!?」という展開に向かっていきます。最終回が終わったときに、「ミカヅキ」が流れることで、見ている人が「これでいいんだ」と救われる。そういう気持ちになるように、意識的につくっていますね。



さユり 『ミカヅキ』初回限定盤ジャケット

さユり この曲は「それでも」という言葉を大事につくったんです。「それでも」のあとに続く、聞いた人それぞれの言葉を肯定できるように。だから今の話にあった、曲があることで救われるというのは本当に本望です。

森 今後のエピソードでは、作品のテーマの1つである“人間認識”が、より強烈に描かれていきます。それらを最終的に「ミカヅキ」が包み込む。その姿がどのように表現されるのか、楽しみにしてほしいです。

特に第10・11話は、第5話同様、エンディングの力が引き立つ回だし、最終話の「ミカヅキ」は、絶対泣けるんじゃないかと思います。

江口 お二人の話を聞く中で、改めて「ミカヅキ」は、曲を流しっぱなしでアニメを見ても違和感がないほど、リンクする部分が多いと思いました。だからこそ、ぜひCDでフルバージョンを聴いてほしいですね。

さユり 聴いた人自身が、曲との関係を楽しんでもらって、それがアニメを見た人はもちろん、そうでない人にも、暗闇の先にある光を体感してもらえたらうれしいです。
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