五合は“善酌”にあらず 新春刺し身八種盛り

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　平成26・2014年1月15日　千葉日報社

五合は“善酌”にあらず　新春刺し身八種盛り
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写真・題字：安原直樹
毎月第３水曜日に掲載

五合は“善酌”にあらず　新春刺し身八種盛り

2014年01月15日 12:22



新春刺し身八種盛り

　年が改まって、数えの年がまた一つ増えた。そのせいだろう、近ごろ味はもとより読書にも懐古趣味が浸潤する。記者が小学生のころ、図書館で人気を集めたのが江戸川乱歩の怪人二十面相シリーズ。名探偵・明智小五郎との知恵比べに、ハラハラドキドキしながらページをめくった。

　猟奇作家のイメージが強い乱歩ゆえ、奇妙奇天烈な生活を想像するが、常識的な暮らしぶりだったらしい。「私は音痴ではなく味痴」と公言する乱歩は、６０歳になっても卵焼きが好物というから食卓も平凡である。酒の方も、一合で赤くなり、二合で大ドキ、三合でドキンドキンと、安上がりでうらやましい。

　今回は、写真左手前からコハダ、イクラ、タコ、カズノコ、メダイ、カンパチ、アカイカ、中トロの刺し身八種を長皿に盛りつけた。「八」はむろん末広がりを意識し、あでやかな紅白色が目を楽しませる。

　メダイ、カンパチ、中トロは上質の脂がのって舌上でとろけ、イクラ、カズノコは噛んだ時の破裂音が心地よい。アカイカはねっとりとした食感、コハダ、タコは酢の〆具合が絶妙である。なんともぜいたくな味覚探訪に時間をかけて芋焼酎を五合も空けると、細君から大目玉をくって心臓ドキン。春から“善酌”というわけにはいかない。

　【材料（２人分）】

　コハダ、イクラ、味つけタコ、カズノコ、メダイ、カンパチ、アカイカ、中トロ、酢飯、大葉、のり。

　【作り方】

　（１）酢飯で小さめの軍艦巻きを作り、イクラのしょうゆ漬け、カズノコ、コハダの酢〆をそれぞれのせる。

　（２）味つけタコ、メダイ、カンパチ、アカイカ、中トロは好みの大きさに切り、（１）とともにバランス良く皿に盛る。