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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.05.08,Wed
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Posted by 中 相作 - 2013.10.12,Sat

 乱歩蔵びらきの会は乱歩生誕百二十年の記念事業として『奇譚』を発行したらどうよ、という話題をつづけます。


 ご閲覧のかたからも、さっそく、「来年の乱歩生誕120周年、一過性のイベントを開催するより、『奇譚』活字版の出版が、はるかに価値があると思います」とありがたいメールを頂戴しております。

 仰せのとおり、とても価値のある事業になるだろうと思います。

 三重県と旧伊賀地域七市町村が血税三億円を気前よくどぶに捨ててくれた「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」から十年。

 筋金入りの乱歩フリークをも震撼させた『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』から十年。

 乱歩のふるさとがふたたび世に問う驚愕の一冊、『奇譚』はどうよ。

 きのう引用した序文の冒頭をお読みになっただけで、『奇譚』一冊を本として出版することの必要性はご理解いただけたものと思われますが、きのうお約束いたしましたので、つづきをもう少しだけ。

 というか、序文の二ページ目の全文です。

Thrilling novel ト云フ字ガアルガ。僕ハコノ字ヲ好マヌシ又僕ノ所謂 curious novel ハコレ以上広イ field ヲ持ツテ居ルカラコノ字ヲ使ハナカツタ。curious novel ノ中ニ含マルヽ小説ノ例ヲ各階級ニ亘ツテ上グレバ次ノ如キモノデアル。

Bible ノ文学。Swedenborg ノ諸作。
Dante ノ Divine Comedy。
Milton ノ Paradise Lost。
Bunyan ノ Pilgrim's Progress。
William Blake ノ詩。
Allan Poe ノ諸編。Hawthorne ノ諸作。Dumas、Hugo、Twain、Verne、Wells、Gaboriau、Du Boisgobey、Doyle、Stevenson、Haggard、平田氏ノ諸作等。

Bible ノ文学ト Gaboriau ノ探偵小説トヲ同日ニ談ズルノハ妙ニ思ハルヽデアラウガ。ソノ間ニ見出スアル共通点ガアル。ソノ共通点コソ我ガ curious novel ノ特徴デアル。コレヲ名付クベキ文字ヲ知ラヌガ、死ト云ヒ、神秘ト云ヒ、恐怖ト云ヒ、暗黒ト云ヒ、凄惨ト云ヒ、怪奇ト云ヒ、知識ノ凄サト云ヒ、好奇的ト云フ。コレラノ概念ヲ打ツテ一丸トシタ、アル感ジデアル。

上田秋成雨月物語(11、8、13日追記)

 「平田氏」とあるのは、平田禿木のことでしょうか。

 追記は、実際には天のマージンに記入されています。

 追記が書かれた大正11年8月13日というのは、乱歩が東京から大阪の守口町にあった両親の家に妻子ともども転がり込み、「新青年」八月増刊の「探偵小説傑作集」を読んで狂喜していたころにあたります。

 「一枚の切符」と「二銭銅貨」の下書きをはじめたのは、この年9月のことでした。

 当時、やっぱり暇だったんでしょうけど、たまたま『雨月物語』を読んだ乱歩は、あ、これも curious novel じゃん、ってんで、『奇譚』の序文にその名を追記したものと思われます。

 ともあれ、『奇譚』一冊には、大正5年における乱歩の文学観と読書歴がつぶさに語られているわけであって、これを読みやすいかたちにして世に送るのは、おそれおおくも乱歩の名を冠して活動する市民団体に課せられた使命というものではないか。

 ここはどうあっても、乱歩蔵びらきの会のみなさんには、ひと肌もふた肌も脱いでもらわなくちゃなんないみたいです。

 だから、とりあえず、会員各位には、江戸川乱歩推理文庫の『奇譚/獏の言葉』、購入して眼を通しておいてもらいましょうか。

 Amazon.co.jp:奇譚;獏の言葉 (江戸川乱歩推理文庫) (文庫)

 安いものなら五百円くらいで売ってるぜ。

 しっかし、五百円かよ。
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