Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2017.06.06,Tue
さて、この件です。
▼まんだらけ:江戸川乱歩からの挑戦状1 SF・ホラー編 「吸血鬼の島」内容は、月刊誌「少年」の通常号や増刊号に掲載された「江戸川乱歩先生出題のクイズ」のたぐい。
収録作品はこちらで確認できます。
▼NDL-OPAC:江戸川乱歩からの挑戦状1 SF・ホラー編 「吸血鬼の島」
カバーには江戸川乱歩著と大書され、奥付にも著者は江戸川乱歩であると明記されています。
巻末に収録された野村宏平さんの「解説 雑誌《少年》と江戸川乱歩」には、
「これらの読物に関しては、乱歩が残した文献にはいっさい言及がなく、文体からも本人の執筆ではないことが推察できる」
とか、
「初期と後期では筆致や方向性が異なるので、複数の執筆者が存在したことは間違いないだろう」
とか、作者が乱歩ではない旨の説明があるのですが、それにまた、以前は代作者が乱歩名義で書いたいわゆるリライトものが、いうまでもなく乱歩の承認のもと、ポプラ社からたくさん刊行されていたわけですから、乱歩が他人の手になった自分名義の出版物に鷹揚だったことはたしかでしょうけど、私のように狭量な人間は、ここまで堂々と乱歩の著作として刊行されるとなあ、と思わないでもありません。
ついでですから、高木彬光ファンの小林宏至さんがクイズの代作者に迫った文章を発表していらっしゃいますので、天下御免の無断転載。
「コミック版『刺青殺人事件』のこと、その他」と題された文書の一部です。
しかしまあ、ずいぶん手間ひまがかけられ、思い入れがこめられて、もとより一般の商業出版社はとても出してくれそうにない一冊ではあり、乱歩に関するたいへん貴重な資料でもありますから、この『吸血鬼の島』、乱歩ファンはすべからく押さえておかれるべきかと愚考いたします。
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Posted by 中 相作 - 2017.06.05,Mon
いっこ前のエントリの『乱歩と清張』くらい、当地の本屋さんに並んでいてもおかしくないと思うんですけど、見当たりません。
嘆きたくなります。ですから、とりあえず、ネット上の情報だけでエントリを仕上げました。
本がますます売れなくなって、出版市場が縮小しつづけてるのはたしかでしょうけど、というか、全国出版協会の発表によると──
▼全国出版協会:2016年の出版市場(紙+電子)を発表しました
売り上げは減少の一途ですけど、電子書籍は伸びてるとのことです。
そういえば、「二銭銅貨」をキンドル本で出す計画は、『江戸川乱歩偽自叙伝』のせいで大幅に遅れてしまいそうで、困ったことだなあ。
というか、小学館の電子全集、5月配信分のダウンロードを忘れていたことを思い出しましたが、それはともかく、全国的に本が売れなくなって、当地の本屋さんには新刊がますます回ってこなくなり、名張はいよいよ知性には無縁な土地柄になってきているみたいです。
ところで『江戸川乱歩偽自叙伝』の件ですが、さすがに乱歩になりきって私という一人称で乱歩三冊目の自伝を書くというのは僭越に過ぎましょうから、というか、ばーか、とかいわれてとくに乱歩ファンのみなさんから石を投げられてしまいましょうから、私ではなく彼という三人称で乱歩について語ることにすればいいのではないか。
タイトルはどうするか。
「彼」というのでは最初の自伝そのままですから、ちょっとひねって、「複雑な彼」。
三島由紀夫かよ。
てゆーか、安部譲二かよ。
Posted by 中 相作 - 2017.06.04,Sun
いささか驚いたことに、というか、私はなんだかしょっちゅう驚いてるみたいなんですけど、当地の本屋さんにこの本が並んでおりました。
▼まんだらけ:江戸川乱歩からの挑戦状1 SF・ホラー編 「吸血鬼の島」あッ、といささか驚きつつ、一冊だけ並んでいたのを買い求めてまいりました。
著作権が切れたとなると、それはもういろんなものが出回るわけですけど、こういうのはどうなんでしょう。
とにかく、目を通してみることにいたしますけど。
Posted by 中 相作 - 2017.06.03,Sat
あとまたわかんないのが、読者層をどんなふうに想定すべきか、という問題。
つまり、乱歩のことをどれくらい知ってる人を対象に書けばいいのか、ということです。たとえばこのブログなんて、擦れっ枯らしの乱歩読者に向けて書いてるようなものなんですけど、本にするとなると、そんなわけにもいかんのではないか。
この点に関しては最近、ちょっとびっくりしたことがあって、というのは、集英社新書の4月の新刊で山崎雅弘さんの『「天皇機関説」事件』が出ました。
▼集英社:「天皇機関説」事件
実証的で時宜に適った好著なんですけど、とてもわかりやすく書かれていることにいささか驚いてしまいました。
むろん論述も明快でわかりやすいんですけど、本文中のさほど難解でない語句にも丁寧に丸括弧で註釈が挿入されています。
任意のページから拾ってみると──
東京帝国大学(今の東京大学)
法人(法的に擬人化した概念)
権限(権力)
「あとがき」によると、わかりやすさは山崎さんが強く意識していたことでもあったようで、新書という出版形態では当然のことでもありましょうけど、しかしここまで徹底してわかりやすさを追求するのか、と本の内容には直接関係のないところでえらく感心してしまった次第です。
むろん『江戸川乱歩偽自叙伝』もわかりやすく書かなければなりませんけど、乱歩のことをどの程度知ってる人を対象にすればいいのやら、どの程度委曲を尽くせばいいのやら、どうもようわかりません。
というか、それ以前に、しょせんいろものなんだもんなあ。
Posted by 中 相作 - 2017.06.02,Fri
これも吝嗇の愉しみと呼ぶべきか、文庫落ちを待っていた奥泉光さんの集英社文庫『東京自叙伝』をぼちぼち読み進めているところですが、きょう、読んでる最中、この作品の叙述スタイルにヒントを得て、とてもいいことを思いついてしまいました。
評伝のようなもの、などと寝ぼけたこといってないで、乱歩になりかわって乱歩の自叙伝を書けばいいのである。最初の企ては中絶に至ったとはいえ、乱歩は二冊もの自伝を残した人で、いやまあ最初のは一冊の書籍にはまとめられておりませんが、二冊目なんて昭和24年から35年までかかって書きあげられた恐ろしく分厚い一冊ですから、そんな人の評伝となるとどうしても二の足を踏んでしまいます。
しかし、『探偵小説四十年』に書かなかったこと、書けなかったことも少なからずあったはずで、そこらのことを悪霊となった乱歩が自叙伝に洗いざらいぶっちゃけて書き下ろすという趣向はいかがでしょう。
それはもうひどいもので、横溝の野郎はなにかっつーと突っかかってきやがってだいたいがあの「呪いの塔」とかいう駄作はいったいなんなんだばーか、とか、当たるをさいわい悪口雑言罵詈讒謗の限りを尽くすわけです。
しかしこれはまったく根拠のないことでもなくて、乱歩と正史の不和と和解については、たとえば都筑道夫のこんな証言があります。
▼2010年11月8日:〔*18〕推理作家の出来るまで
どうせもう死んでんだし、てゆーかそもそも悪霊になってんだから、何も気にせず憚ることなく臆することなく好きなことほざいてやるぜこのすっとこどっこい、みたいな自叙伝を乱歩になりかわって私が書く。
面白いではないか。
ものすごく面白そうではないか。
電光石火でタイトルも決まった。
──江戸川乱歩偽自叙伝
うーん。
困ったな。
どう考えてもいろものではないか。
Posted by 中 相作 - 2017.06.01,Thu
さて、えらいことなんです。
先日もご覧いただいたかと思いますけど、鷲田小彌太先生のブログのこのエントリ。▼鷲田小彌太の仕事:読書日々 831
鷲田先生が当地へおいでになりまして、中むら西口店、番じゃ屋敷、白木屋名張駅前店で痛飲いたしました。
6 名張シティホテル、中相作さんと連絡、駅近くの居酒屋で、尾崎(名張・赤目在住、旧三重短の同僚)さんと落ち合い、たらふくのみ、最後にホテルの近くの白木屋で分かれる。中(乱歩研究家)さん、1冊書くことを了承。この旅の目的の一端を終えた。
で、私、「1冊書くことを了承」いたしました。
何を書くのか。
乱歩の評伝のようなもの、みたいなことなんですけど、謹んで承りはいたしましたものの、翌日、一日ぼーっとしながら考えてみても、何を書いていいんだか、これがさっぱりわからない。
うそでも冗談でも謙遜でも卑下でも卑下自慢でもなく、ほんとにわかんない。
かりにこれが、乱歩のこれこれについて書け、というご注文であれば、質はどうあれ、なんとか書ける気はするのですが、乱歩について書け、となると、あまりにも茫洋としていて、どこからどう手をつけていいのやら、とんとまったくてんでさっぱり五里霧中。
それに私には、乱歩の評伝を書くのであれば、質はどうあれ、『探偵小説四十年』を一枚でも上回る分量の大冊でなければならない、というオブセッションがあって、ご注文いただいた枚数にはとても収まりません。
しかし、『探偵小説四十年』って、いったい何枚くらいあるんでしょう。
Posted by 中 相作 - 2017.05.31,Wed
どうも申しわけありません。
きのうのエントリに誤記がございました。▼2017年5月30日:わが裡なる吝嗇漢が
文中、「I am not who I was」とあるのは関係代名詞の使用法を誤っていて、正しくは「I am not what I was」である、とのご指摘をメールで頂戴いたしました。
関係代名詞 who(格変化は、who‐whose‐whom)には、必ず前に人を表す名詞を先行詞をともないます。例えば、a friend who lives in Canada(カナダに住んでいる友達)など。
一方、関係代名詞 what は、特殊な関係代名詞で、先行詞をともないません。意味は、the thing(s) which です。例えば、what Emi is saying(えみが言っていること)など。
たしかにそうで、記しているときにも、who でよかったのかな? と一瞬思い、そもそもこのフレーズは太宰治の著名な短篇に由来しておりますから、その作品をチェックすればよかったわけですが、それに、いま調べてみたら青空文庫にも収録されていて、He あたりで全文検索すれば一発だったわけですけど、ああ、早くお酒が飲みたいな、とか思ってチェックを怠り、とはいえ、「I am not who I was」で検索したら、Brandon Heath という名前のクリスチャンミュージシャンがそういうタイトルの歌をリリースしてもおりましたので、やっぱ who でよかったんだな、と思い込み、それにしても、いいわけというのはどうしてこうだらだらだらだらばか長くなるのであろうな、ともあれここに訂正とおわびを記し、ご指摘いただいたかたへの謝意を表する次第です。
では、そろそろお酒にいたしますので。
Posted by 中 相作 - 2017.05.30,Tue
当地の本屋さんを三軒まわりましたけど、5月26日発売の「少年エース」7月号、どのお店もしっかり紐でくくって販売しておりました。
「探偵明智は狂乱す」の連載第三回が掲載されてるのかどうか、確認することができませんでした。6月号は紐つきのまま買い求めましたが、I am not who I was、これぞ吝嗇の愉しみなり、とか思って7月号は購入いたしませんでした。
本屋さん三軒もまわる手間と時間とガソリン代を考えたらさっさと買っとくほうが安あがりではないのか、とわが裡なる常識人はいうのですが、わが裡なる吝嗇漢が、いやいや千丈の堤も蟻の一穴からと申すではないか、とかわけのわかんないことをいって押さえ込んでしまうわけです。
ほんとに毎日なにやってんだろ、くそ暑いのにまあ、と思います。
しかし、こんなことばかりもやってられんぞ、とか思わなくちゃいけないんだろうな、とも思います。
と申しますのも、ありゃりゃ、もう公表していただいてる、とちょっと驚きつつ、こちらをお読みください、とお願いを申しあげます。
▼鷲田小彌太の仕事:読書日々 831
えーっと、つづく。
Posted by 中 相作 - 2017.05.29,Mon
もう夏やがな、と思われる5月下旬ですが、顧みれば大型連休あたりを契機として、われながらなんだか意地になってるみたいな感じなんですけど、乱歩関連資料の新刊を購入しない日がつづいております。
いっこ前のエントリの『古本屋ツアー・イン・ジャパン それから』も、こんな本がありますよ、とメールで教えていただいた一冊で、大型連休以前なら、お、とか思ってさっそく本屋さんに取り寄せてもらうかアマゾンで注文するかしたものでした。が、いまじゃのんぴりしたものです。
とりあえず、ネット上で判明するデータをブログに記録しておくだけで済ませておこう、ということにしております。
これはむろん現在ただいまのおはなしで、このいわば吝嗇の愉しみがこれからどう転がってゆくのかはわかりません。
まあこのまま、少しずつ、乱歩から遠ざかってゆくのかもしれないな、とも思います。
そんなことはともかく、「宝石」「別冊宝石」その他の雑誌の件ですけど、少なくとも乱歩に関連のあるすべてのページを、つまり乱歩作品と乱歩文献が掲載されたページのことですけど、それをスキャンして整理し、パソコンの画面上で気軽に読めるようにしていただければありがたい。
どこにしていただくのかというと、名張市立図書館がしてくれればありがたいんですけど、そんなことはまったく望めません。
なにしろ名張市のお役人さまと来たら、
「手前どもはなにも考えさせていただかないことにさせていただいております」
だの、
「手前どもはできるだけ働かさせていただかないようにさせていただいております」
だの、そういったことがモットーですし、なおかつ、恐れ多くもありがたいことに、わが名張市は三重県で一といって二とはくだらない貧困自治体ですから、財政難ですねて〜、お金あらしませんねて〜、とかいってればなにもしなくても誰からも文句をいわれません。
逆さにしても鼻血も出ないような財政状況ですから、苦肉の策として固定資産税の税率を引きあげる、ということになって、ふつうだったらかたちだけでもそれに反対するはずの市議会が、もろてを高くさしのべて、おめーらはナショナルキッドかよ、とかあざ笑われながら、しゃんしゃん議案を通してしまうのが名張市です。
そりゃまあ、そうでもしなければ前市長のセックススキャンダルに幕を引くこともできなかったわけですから、結構大変なのであろうな、とは思いますけど、えらいたこつくおめこでしたな、とかひとごとみたいな顔してほざいてんじゃねーよ腐れ市議会。
みたいな感じで、ふつうの図書館ならふつうにできているはずのことを名張市立図書館に期待してもとても無理ですから、わが嘱託時代の犯罪、このままうやむやになってしまうしかないのかしら。
誰か告発でもしてくれたら、そこそこ面白い展開が待っているのかもしれませんけど。
というか、むしろ自首すべきか。
いやいや、もう時効なんですから。
そんなことはともかくとして、結局、私の業務上横領なんかよりはるかに大きな犯罪を、中央省庁といわず名張市のような零細自治体といわず、お役所というところは日ごと犯しつづけて怪しむことがないのかもしれません。
たとえば、無能と怠慢の罪、とか。
そんなところになにを期待しても、しょせんむなしいばかりだと思います。
Posted by 中 相作 - 2017.05.22,Mon
しかし、かりに私の行為が業務上横領に該当するにしても、なにしろ二十年近く以前の犯罪ですから、とっくの昔に時効が成立しております。
それに、津市のKさんから頂戴した雑誌をいまごろ、寄贈資料どっせ、とかいって名張市立図書館に運び込んだところで、図書館にとっては迷惑以外のなにものでもありません。なにしろあの図書館、天下の慶應義塾大学推理小説同好会OB会有志のみなさんその他からいただいた寄贈資料、いまだに死蔵しっぱなしな状態なんですから、寄贈の件はもうこのままそっとしておいてくれというのが本音だと思われます。
ですからどこか、この手の探偵雑誌を活用してくれる公共施設があればいいんですけど、とはいえ、私だってときに「探偵小説三十年」や「探偵小説三十五年」の初出を確認する必要とかが出てきますから、かりに寄贈するならいつでも気軽に閲覧できるところがいい。
となると、やっぱ名張市立図書館しかないわけなんですけど、いったいなんなんだろうなこの堂々めぐりは。
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