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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2025.09.14,Sun
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Posted by 中 相作 - 2017.09.01,Fri
書籍

乱歩城 人間椅子の国
 黒史郎
 平成29・2017年7月20日初版一刷 光文社 光文社文庫
 A6判 カバー 291ページ 本体640円

屋根裏にも散歩者
 初出:Web光文社文庫:平成28・2016年9月号
人間椅子の国
 初出:Web光文社文庫:平成28・2016年10月号、11月号
白昼夢の嫐
 初出:Web光文社文庫:平成28・2016年12月号
鏡地獄の迷館
 初出:書き下ろし
異の虫
 初出:書き下ろし
うつつなしの恋
 初出:書き下ろし

 光文社:乱歩城 人間椅子の国
 NDL-OPAC:乱歩城 : 人間椅子の国
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Posted by 中 相作 - 2017.08.31,Thu
ウェブニュース

Sponichi Annex
 平成29・2017年8月27日 スポーツニッポン新聞社

【大人の魅力】多くの文化人を魅了…美輪明宏「銀巴里」から全てが生まれた
 Home > 芸能 > 2017年8月27日 > 記事

【大人の魅力】多くの文化人を魅了…美輪明宏「銀巴里」から全てが生まれた



当時19歳、シャンソンを歌う美輪明宏。多くの人を魅了してきた
Photo By スポニチ

 美輪明宏(82)が毎年開催する「音楽会」が9月8日、池袋の東京芸術劇場プレイハウスで初日の幕を開ける。テーマは、ずばり「美輪明宏の世界〜シャンソンとおしゃべり」。かつて多くの文化人、学生たちが集ったシャンソン喫茶「銀巴里」の雰囲気を再現するという。今回は、ひと足早く「銀巴里」へようこそ!

 物語はいつもここから始まった。銀座7丁目、その名はシャンソン喫茶「銀巴里」。薄暗い階段を恐る恐る歩を進める。壁にはモンマルトルの丘から見下ろすパリの街並み。さあ、異空間へようこそ。ビロードのような優しい闇に包まれたステージ。金色のスポットライトに浮かび上がるシルエットは、妖艶な美の化身か。

 「あの子は一体だれなの?」

 「男なのか、女なのか」

 「それにしても歌唱力は半端ないな」

 寿司詰めの客席から湧き上がる歓声、尋常ではない美しさに漏れるため息。観客の視線を一瞬でクギ付けにしたのは、弱冠17歳の美輪明宏だ。

 敗戦からわずか数年。時代が文化に飢えていた。キャバレー、ダンスホール、そして、生バンド。「暗い日曜日」などで知られるダミアが来日すると、芸術の都の香り漂うシャンソンブーム到来。そんな中、彗星(すいせい)のごとく現れたのが、エディット・ピアフ「バラ色の人生」、イヴ・モンタン「枯葉」などを流ちょうなフランス語で歌う美少年だ。オペラ歌手を目指し音楽学校で練習を積んだ、その歌唱力は折り紙付き。類いまれな美貌と歌声は、瞬く間に巷(ちまた)に知れ渡った。

 「面白い時代でしたね。いつもいろいろな方がいらっしゃってましたから。まるでサロンという感じでした。大正ロマン、昭和モダンの空気に満ちあふれてましたね。ああいう場所は今はどこにもないですね」

 「銀巴里」は、時流に敏感な多くの文化人、学生たちで連日にぎわった。美輪の底知れぬ魅力にいち早く心酔したのは、「仮面の告白」「金閣寺」の三島由紀夫だ。その後の2人の深い精神的な結びつきはあまりにも有名。後年、その三島が美輪のために戯曲化した「黒蜥蜴(とかげ)」の原作者、推理作家の江戸川乱歩もやってきた。ノーベル賞作家となった大江健三郎、若き日の五木寛之らも足しげく店に通って来た。

 「君の前世は、あの天草四郎なんだって?じゃあ、僕の前世は何だか分かるの?」

 「そうですね。あなたは豆ダヌキですよ」

 「なんで君が天草四郎で、俺が豆ダヌキなんだ。ちゃんと真面目に見ろよ」

 「たぶん、そうね、あなたはきっと“転び伴天連(ばてれん)”でしょうね」

 こんなウイットに富んだやりとりを美輪と交わしたのは、フランス留学から帰国したばかり、「白い人」で芥川賞を獲った遠藤周作である。

 「私が“転び伴天連”と言ったら、その瞬間、彼の顔色がサーッと変わるのが分かりましたよ。きっと何か心に思うことがあったのかもしれませんね」

 ポルトガル司祭と隠れキリシタンを題材にした、遠藤文学の代表作の一つ「沈黙」が出版されたのは、その10年後のことである。

 世はまさに神武景気。当時の美輪に付けられたキャッチフレーズは、「神武以来(じんむこのかた)の美少年」。このキャッチを最初に口にしたのは、パリの社交界でも活躍した「バロン薩摩」こと薩摩治郎八だった。巨万の富で画家の藤田嗣治ら、多くの芸術家を支援した桁外れの大金持ち。晩年、帰国し「銀巴里」で美輪のステージに魅せられてしまった。その薩摩は常々「今、僕にあの頃の金があれば、君は一体どんな芸術家になっただろう」と悔しがっていた。

 「銀座にムラサキのお化けが出るぞ!」と騒動を巻き起こしたのは、20歳になった美輪の仕業だった。ライバル店の出現に順風だった「銀巴里」に突然、暗雲が立ちこめた。客足が遠のいた店のPRのために前代未聞のアイデアをひねり出した。それが派手な紫のシャツにパンツルック。髪の毛は米国から入って来たばかりのスプレーで染めた。

 「マニキュアは日劇の大道具さんにお願いして作ってもらいました。全身ムラサキずくめで数寄屋橋から歌を歌いながら店まで行進するんです。すると、みなさんが珍しがってどんどん後をついてくるんです。まるで“ハーメルンの笛吹き男”ですよ」

 今思えば、この時が元祖ビジュアル系の始まり。こんな奇策を思いついたのは、美輪が若衆たちが着飾った室町時代の華やかな小姓文化に精通していたこと、もうひとつ、米軍の将校たちが持参する海外の雑誌がヒントになった。

 「あの頃、実存主義を提唱するサルトルやボーボワール、ジャン・コクトーらのいかにも自由な写真がよく出ていました。それとダダイズムに傾倒したような人たち。物凄く奇抜なファッションで驚きましたね。見た瞬間にこれだっとピンときました」

 「バカヤロー」「ケチンボ」など、それまで日本にはなかった訳詞を付けて大ヒットしたのは、美輪をスターダムに押し上げた「メケメケ」。学生服姿で客席から憧れのまなざしを送っていた寺山修司は、時を経て、晴れて美輪主演の舞台「毛皮のマリー」などを実現、伝説を作り出した。

 まさに全てがこの店から生まれたのである。 (敬称略)



「銀巴里」再現となる音楽会への思いを語る美輪明宏(撮影・御堂 義乗)
Photo By スポニチ

[ 2017年8月27日 10:05 ]
Posted by 中 相作 - 2017.08.30,Wed
ウェブニュース

週刊読書人ウェブ
 平成20・2017年8月29日 読書人

怪談に大人流の楽しみを
 藤川雅恵
 Home > コラム > 著者から読者へ > 記事

2017年8月29日

怪談に大人流の楽しみを

藤川 雅恵(日本近世文学研究者)

 

御伽百物語(藤川 雅恵)三弥井書店御伽百物語
藤川 雅恵
三弥井書店

すでに立秋も過ぎたが、今夏も怪談の花盛りである。一年中季節感無く、研究対象として怪談に向き合い、授業を行うことが、日常化して久しいのだが、それでもこの季節になると、思わずほくそ笑んでしまう。テレビでは、毎日のように特集が組まれ、美術館でも洋の東西を問わず、涼を呼ぶオドロ美しい絵画が展示される。だが、作家によって綿密に練り上げられた文学作品で、怪談をじっくりと読み味わうこともまた一興と言えよう。可視化されない世界の中で文字を目にし、美しい表現や構成の妙を堪能するのは、大人にとっての何よりの贅沢というものだ。そしてその時、どんな作家の顔が思い浮かぶだろうか。

小泉八雲の怪談に、『衝立の女』という話がある。江戸の浮世絵師、菱川師宣が衝立に描いた美女を、一途に恋する男の話である。結末は、ある秘法により、美女が現実のものとなって恋が成就する、幸福な話である。しかし、偶像化された非現実の美女との恋と聞いて、無類の怪談愛好者ならば、「これは、江戸川乱歩の『押絵と旅する男』に似ている」などと、既知の怪談と照らし合わせ、想像をさらに逞しくさせるのではないだろうか。

実は、八雲の話は、元禄時代を映した怪談集『御伽百物語』(青木鷺水作)の一話をもとに、作られたものである。八雲はこの中からもう一話『弁天の同情』を創作し、一方、乱歩はさる老舗古書店から、現存随一の美本とされる原本を購入して家蔵していた(現在、立教大学で所蔵)。近代怪談の二大巨頭に愛され、その創作の糧となったことは、この作品の魅力の一つと言ってもいいだろう。

小著は、『御伽百物語』の構造を解き明かし、怪談としての魅力を伝えようと試みたものである。なかでも、師宣、忠臣蔵、かぶき者、豪商など、ここに隠された、元禄時代の人々が熱狂した事象を拾い上げ、作品との関連性を説明することに力を注いだ。また、大学の授業や卒業論文作成を想定したシリーズのため、古文嫌いの学生でも目が通せるよう、本文を再検討し、「読める古文」を心掛けた。加えて、自主研究の補助として、作者が創作の種とした中国の怪談も、同時に読めるようにした。

口語訳された江戸怪談のアンソロジーで、この作品を目にした方もあると思う。無理に頭から読まず、「あらすじ」や「見どころ・読みどころ」などで、興味を惹かれる部分から、順不同にゆったりと楽しみ、元禄の人々の怪異観を追体験していただきたい。
Posted by 中 相作 - 2017.08.29,Tue
ウェブニュース

産経ニュース
 平成29・2017年8月27日 産経新聞社、産経デジタル

書評家・関口苑生が読む『乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか』内田隆三著 探偵小説の二大巨星に社会理論で迫る
 関口苑生
 Home > ライフ > 本 > 記事

2017.8.27 17:05

【書評】

書評家・関口苑生が読む『乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか』内田隆三著 探偵小説の二大巨星に社会理論で迫る



『乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか』内田隆三著

 横溝正史は、日本の近代探偵小説は、江戸川乱歩によって開始されたと『探偵小説五十年』の中で述べている。乱歩と正史。言うまでもなく日本の探偵小説界の二大巨星である。乱歩が創始者ならば、正史はそれを発展させた功労者といえよう。

 本書はこのふたりの作品を通して、日本探偵小説の系譜を概観するものだ。著者は社会理論、現代社会論を専攻する東大の名誉教授。それだけに、アプローチの仕方も独特で、まずは当時の社会的背景を考察することから始まる。

 たとえば、都市が拡大していくとともに庶民の日常生活も変化し、他人と接触する機会が飛躍的に増えたのもひとつの要素だ。そうした群集化した社会の中では、他人の裏側にひそむ秘密や不気味なものを覗(のぞ)き見たいと願う人間が必ず出てくるというのだ。

 乱歩の「屋根裏の散歩者」は、まさしくその願望をかなえた作品だった。また、鍵の掛かる個室がアパートとして提供される時代となったことで、密室トリックも考案されるようになる。しかし乱歩はさらに、天井裏が各人の部屋の押し入れから容易に潜入可能となる、日本家屋特有の構造に着目する。乱歩は、新時代の日本的な生活風景の中に、探偵小説の空間を発見していたのである。

書評家・関口苑生が読む『乱歩と正史 人はなぜ死の夢を見るのか』内田隆三著 探偵小説の二大巨星に社会理論で迫る

 一方の正史は家屋そのものというよりも、家や村といった、これも日本独特の共同体における、因習や習俗に縛りつけられる人間の意志を背景にした作品を書き続けた。『本陣殺人事件』『犬神家の一族』などがその代表で、家の中心にいながら個人としての尊厳を認められず、胸のうちに鬱々とした感情をため込んでいく人物による犯罪。それは最終的には、家自体を潰そうとする思惑もあった。

 かように正史もまた、きわめて日本的な社会規範、経済合理性、習俗的な感情という三つの次元からなる探偵小説空間を構築したのだった。

 本書は、ほかにも多くの作品に言及し、日本の探偵小説はどのような風土、環境の中から生まれたのか、乱歩と正史はそこでどんな役割を果たしたのかが語られる。(講談社選書メチエ・1950円+税)
Posted by 中 相作 - 2017.08.28,Mon
書籍

怪人二十面相と少年探偵団 100年後も読まれる名作4
 原作:江戸川 乱歩
 文:那須田淳
 平成29・2017年7月21日初版 KADOKAWA
 A5判 カバー 143ページ 本体880円
 絵:仁茂田あい
 監修:坪田信貴

怪人二十面相と少年探偵団
物語と作者について 少年探偵・小林くんは、永遠のアイドル
 那須田淳
おしえてビリギャル先生!! 読書感想文の書きかた
 坪田信貴
おうちの方へ いま、100年後も読まれる名作を読むこと
 坪田信貴

 KADOKAWA:100年後も読まれる名作(4) 怪人二十面相と少年探偵団
 NDL-OPAC:怪人二十面相と少年探偵団
Posted by 中 相作 - 2017.08.27,Sun

 拙宅の納屋の隣に二階建てのマンションが建設されることになり、すでに地ならしが始まって、毎日かなりの音が聞こえます。

 きょうは日曜で工事もお休み。

 静かで涼しくて、過ごしやすい一日になりました。

 えーっと、それで、乱歩のことなんですけど、なんか大きな動きが生じつつあるようです。

 というか、生じさせつつあるところです。

 それとは別に、慶應義塾大学推理小説同好会OB会のみなさんに当地へおいでいただく件もあって、こちらのほうはまだ日程が決まっていないのですが、なんかまあ、楽しみにしていてください。

 とかいってしまっていいものかどうか。
Posted by 中 相作 - 2017.08.26,Sat
演劇

素晴らしき自首
 平成29・2017年9月29日(金)─10月1日(日)
 タワーホール船堀(東京都江戸川区船堀4-1-1)
 劇団フーダニット第17回公演
 作:若竹七海
 演出:松坂晴恵

 

 

 劇団フーダニット:Home
Posted by 中 相作 - 2017.08.25,Fri
演劇

贋作D坂の殺人事件

平成29・2017年8月17日─20日
神保町花月(東京都千代田区神田神保町1-23)
原案:江戸川乱歩
脚本・演出:白坂英晃(はらぺこペンギン!)
出演:林大介(かたつむり)、おもしろ佐藤(御茶ノ水男子)、村潤之介(てのりタイガー)、タクトOK!!、舟生侑大、エンドウコウキ、おだいらつかさ(えりんぎ)、樽見ありがてぇ(さかえ)、ヒラノショウダイ、土屋翼(ポセイドン)、笹本はやて(ネイチャーバーガー)、松永隆誠(鹿鳴)、バチョフ、褒めて伸びるタイプ、崎野萌(Showtitle)


 
Posted by 中 相作 - 2017.08.24,Thu
書籍

文豪エロティカル

田山花袋、川端康成、堀辰雄、太宰治、谷崎潤一郎、織田作之助、芥川龍之介、森鷗外、坂口安吾、永井荷風
編:末國善己
平成29・2017年8月15日初版第一刷 実業之日本社 実業之日本社文庫
A6判 カバー 265ページ 本体593円


 実業之日本社:文豪エロティカル
 NDL-OPAC:文豪エロティカル
Posted by 中 相作 - 2017.08.23,Wed
ウェブニュース

週刊読書人ウェブ
 平成20・2017年8月21日 読書人

多面的な美輪明宏の魅力|反逆の精神に真骨頂がある
 高瀬毅
 Home > 書評 > 記事

2017年8月21日

多面的な美輪明宏の魅力
 
反逆の精神に真骨頂がある


美輪明宏と「ヨイトマケの唄」 天才たちはいかにして出会ったのか

著 者:佐藤 剛

出版社:文藝春秋

評者:高瀬 毅(ノンフィクション作家)



美輪明宏と「ヨイトマケの唄」 天才たちはいかにして出会ったのか(佐藤 剛)文藝春秋美輪明宏と「ヨイトマケの唄」 天才たちはいかにして出会ったのか

佐藤 剛

文藝春秋

五年前のNHK「紅白歌合戦」で美輪明宏が「ヨイトマケの唄」を歌った時のことを覚えている人は多いだろう。紅白に関心を無くして久しい筆者も、あの年だけは観た。賑やかに、華やかに演出することが目的のようなステージが、黒ずくめの衣装で美輪が登場しただけで一変。なるほど、それまでの時間はすべてこの瞬間のためにあったのか。そう思いたくなるような緊張感が、会場はもとよりテレビの視聴者にも体感されたにちがいない。

「三・一一東日本大震災」から一年九か月しか経っていないのに、軽薄・薄情・刹那的な風潮に流されていく日常が、フルコーラスの六分間に雲散霧消した。一年のしめくくりの大晦日に、美輪は重いピリオドを刻印したのである。

あの時、美輪は七七歳。

長崎市のミッション系の中学を卒業後、シャンソン歌手を夢見て上京してから六○年余。「人と出会う力」というものがあるとすれば、一つの魅力的な例が本書には詳細に記述されている。

国立音大付属高校に入学した丸山臣吾(美輪の幼名)少年は上京した年の夏、早くも推理小説界の大家、江戸川乱歩と出会う。銀座のカフェにアルバイトとして採用され、そこの常連の一人が乱歩だったのである。アルバイト募集の新聞広告の文句は「美少年募集」。表向きは普通の喫茶店だが、実態は同性愛者がひそかに集まるサロンのような店。物おじしない機転の利く会話で乱歩に気に入られた。

その店に「天才作家」と言われた当時二十六歳の三島由紀夫が出版社の人間たちとやってきた。だが、「何が新進作家だ」と、席に呼ばれても行かない。「私は反権力だから」。六回目に仕方なく行くと「可愛くない子だ」と言われ、「私はきれいだから、可愛くなくてもいいんです」と返し、唖然とさせた逸話が残る。のちに三島が乱歩の「黒蜥蜴」を戯曲にし、美輪が演じることになるのだから、ここでの邂逅は出来過ぎている。

美輪の魅力は多面的だが、ケツをまくれる反逆の精神に真骨頂がある。「ヨイトマケの唄」が人の心をわしづかみにするのは、権威に惑わされず、自らも被爆した長崎で、戦後の苦難を生きる人間の中に命の輝き見つめ、歌いあげているからだ。

五木ひろし、泉谷しげる、桑田圭祐、槇原敬之など、著名なミュージシャンがカヴァーしてきた。「『ヨイトマケの唄』でつながっていく表現者たちの顔ぶれを見ていくとほんものの音楽を目指す人に特有の純粋さと反骨精神が、どこかで共通していることにも気づかされる」と著者は書く。

三島由紀夫はもとより、中村八大、永六輔、寺山修司、加藤和彦、深作欣二、宮崎駿、北野武等々。今日の美輪を美輪足らしめているのは、時代をけん引する「天才」たちとの邂逅があったからだ。

そうした美輪に影響を与えた者たちの説明に割かれ過ぎの所もあり、散漫になった点は否めないものの、永遠に生き続けてほしいと思わせる「天才」への敬意と豊かなエピソードに彩られた著作となっている。
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