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Posted by 中 相作 - 2010.09.16,Thu
ウェブニュース
 
ゲンダイネット
 平成22・2010年9月8日 日刊現代
 
「複雑な人間関係から生まれるミステリーを丁寧に描きたい」
 Home > 新刊レビュー > 著者インタビュー > 記事
 
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【著者インタビュー】
 
 
 
【書籍・書評】
2010年9月8日 掲載
 
第56回江戸川乱歩賞受賞作
 
●「再会」横関大(講談社 1600円)
 推理作家への登竜門としても知られる「江戸川乱歩賞」の本年度受賞作である。
「大学卒業後5年間は純文学を書き、その後ミステリーに転向して8年間、毎年乱歩賞に応募してきました。その過程で、自分の中に“乱歩賞の傾向と対策”のようなものをつくり出し、がんじがらめになっていたように思います。今回、それらをすべて捨て、自分が読みたい、読みやすいと感じるミステリーを書きました。もし今年もダメだったら、また違う作風に挑戦をすればいいと思って。8年が9年、10年になっても、変わりはないですからね(笑い)」
 建築士の圭介、警官の淳一、家業のスーパーを継いだ直人、そして女手ひとつで息子を育てる美容師の万季子は、小学校からの幼なじみだった。大人になった今では会うこともなくなっていたが、4人は誰にも言えない共通の秘密を抱えて生きていた。小学校の卒業式の前日、校庭の桜の木の下に埋めたタイムカプセル。中に入れたのは、ある出来事により手に入れた一丁の拳銃だった。23年の時を経て、埋めたはずの拳銃がとある殺人事件に使われる。タイムカプセルを掘り起こしたのは、いったい誰なのか。
「“誰が嘘をついているか”という軸を設けて、人間同士の駆け引きから生まれるミステリーを描きました。これまでは珍しい設定や特殊な犯罪ありきで物語を書いてきましたが、そういうものがなくてもミステリーは作れるということに気づかされ、ミステリーの魅力を再認識しました」
 選考委員のひとりである天童荒太氏は、「作者の作品を拝読するのは3度目だが、格段に上達された。事件の派手さではなく、語り口で引っ張ったことを高く評価したい」と絶賛している。
 物語は4人それぞれの視点で進み、読者も彼らの嘘に翻弄される。やがて、23年前の拳銃にまつわる謎も明らかになっていく。知られたくないことや守りたい人のために重ねてきた嘘は、どんな結末を迎えるのか。
「人間のつながりや群像劇から生まれるミステリーを書いていきたい」と語る著者。実は今も公務員として働いており、今後も“二足のわらじ”でやっていくという。
「乱歩賞に挑戦した8年間で、仕事から帰って3時間小説を書くというリズムが出来上がっている。丸1日時間があってもなかなか筆が進まないタイプなので、一番集中して小説と向き合える今のペースでやっていきたいと思っています」
 
▽よこぜき・だい 1975年、静岡県生まれ。武蔵大学人文学部卒業後、都内でアルバイトをしながら小説家を目指す。その後、地元に戻り市職員として勤務しながら8年連続で江戸川乱歩賞に応募し、本作で念願の大賞受賞。
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