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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2017.12.03,Sun

こんにちは。


 ちょっとした必要が生じましたので、10月27日に小学館から配信された電子書籍『江戸川乱歩電子全集第16巻 随筆・評論第1集 大正2年~昭和5年』収録のインタビュー「カリスマ嘱託の驕慢と頽落」の一部を以下に引用いたします。

 それで昭和63年になって、図書館の新築移転が実現しました。新しい図書館が完成して、館内に乱歩コーナーという独立した展示室が設けられたんです。移転準備中に図書館関係者が上京して、平井隆太郎先生のもとにお邪魔して、乱歩がつかっていた文机とか、着ていたコートとか、遺品をいろいろお借りして、それは平井家からの無償永久貸与という形になってるんですけど、そうした乱歩の遺品と、それまでに図書館が収集した掛軸とか色紙、短冊、書簡、それからもちろん著書を展示して、乱歩コーナーが誕生しました。本来であれば本や雑誌がメインのコーナーであるべきところ、いつまでたっても展示と陳列のレベルなわけなんですね。そもそも昭和40年に乱歩が死去したときには、乱歩作品はそのまま読まれなくなる、忘れられてしまうというのが一般的な見方やったと思います。ですから川崎秀二も乱歩全集の月報で、乱歩の著作を収集し保存し、これから忘れられていくであろう乱歩を末長く顕彰することを名張市に託したわけです。ところがまさにその乱歩全集が呼び水になって、乱歩がまた読まれるようになりました。とくに若い世代が乱歩を発見したんですね。しかもその没後第一次全集が火付け役になって、講談社は横溝正史の全集を出しましたし、夢野久作や小栗虫太郎、久生十蘭あたりのいわゆる異端作家にも照明が当てられて、作品が次々に出版されました。ちょうどアングラ、アンダーグラウンド芸術とか、サブカルチャーとか、主流ではないもの、それまで表舞台には出ていなかったものが一斉に脚光を浴びた時代で、乱歩も文学の主流ではまったくなかったんですけど、そうした流れのいわばトップランナーとして見直されて、作品がたくさん出版されて読まれていきました。没後四回も紙の本で全集が出て、少年もののシリーズも何度も版を変えて出版されて、第五次の全集はなんとオリジナルの電子書籍版、ほかにも乱歩の著書はさまざまな形で出回ってますし、それ以外にも乱歩について書かれた本、乱歩のことを特集した雑誌、乱歩原作の映画やお芝居のDVDなどなど、そのあたりも図書館の守備範囲ですから、名張市立図書館としては本来、昭和63年に新築移転したとき、乱歩をめぐるそうした状況を適切に把握して、今の乱歩コーナーみたいなちまちました展示室やのうて、規模の大きな書庫をどーんと用意しとくべきやったんですけど、図書館関係者はまあ◯◯◯◯◯なもので、そんな状況なんかまったく知らなかったと思います。なにしろ◯◯◯◯でしたから。それで今ではもう、これも財政難のせいゆうことですか、開設以来の資料収集が継続されてるのかそうでないのか、市民である私にもよくわからない状態です。名張市立図書館による乱歩関連資料の収集は、すでに終わってしまった話であると見るのが正解やとは思いますけど。

 以上です。

 なお、小学館の電子全集は11月24日、昭和6年から20年までの随筆評論をカバーした巻が出ました。

 小学館eBooks:江戸川乱歩電子全集 > 江戸川乱歩 電子全集17 随筆・評論第2集 昭和6年~昭和20年

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