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Posted by 中 相作 - 2017.03.13,Mon
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 平成29・2017年3月8日 読売新聞社

どっち派? 明智小五郎と金田一耕助
 佐
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どっち派? 明智小五郎と金田一耕助

2017年03月08日 05時20分

 日本の名探偵の元祖的存在で怪人二十面相との対決でもおなじみの明智小五郎と、地方の旧家や孤島で起きる怪奇な事件を解決し映像でも親しまれた金田一耕助。鋭い推理がぶつかりあう対決の投書数はほぼ互角。皆さん、ドキドキの読書体験を語ります。

明智小五郎…書生風から紳士に変貌



明智小五郎を生んだ江戸川乱歩像(生まれ故郷の三重県名張市で)



 『怪人二十面相』(ポプラ社など)に始まる少年探偵シリーズの思い出をたくさんいただきました。神出鬼没の盗賊・怪人二十面相に、明智探偵と彼を支える少年探偵団が立ち向かう少年向け推理小説の名作です。

 「娯楽に飢えていた戦後の子どもたちにとってカルチャーショックで、明智探偵の助手・小林少年の活躍に自分を投影させたもの」と愛知県豊橋市の池上元明さん(75)。団員が胸につけていたBDバッチや七つ道具は子どもたちの憧れ。少女探偵も活躍する『魔法人形』(同)が一番好きな山口県防府市の羽織屋綾子さん(70)は、「中学生の時、手に入れたバッチは宝石箱に入れ今でも大切にしています」。わくわく感は今も健在で横浜市、戸田瑠華くん(10)は「二十面相と知恵比べをする明智が頭がよくてかっこいい」。本はクリスマスのプレゼントだったそう。きっとサンタさんも昔愛読したんだろうな。

 明智が暗黒街の女王と対決する『黒 蜥蜴とかげ』(創元推理文庫など)と子ども向けリライト版『黒い魔女』への支持も多く、北海道今金町の森川陽子さん(49)は、「怪盗黒蜥蜴は非情な悪女だけれど魅力的だった」と振り返ります。

 「二十面相が絡むころはスマートな紳士のイメージ。でも『D坂の殺人事件』『心理試験』など、初期の身なりを気にしない犯罪マニアの明智のほうが好き」という大津市、松田翔さん(28)に賛同する意見も多数。確かに、初期の明智はへこ帯の着物姿でもじゃもじゃ頭をかき回す貧乏書生風。「同じ頭がいいなら容姿がいいほうが」と明智を選ぶ神奈川県藤沢市の金子ゆかりさん(48)のような女性も多いのですが、初期は金田一的な一面もあったのですね。何が彼をおしゃれにダンディーに変えたのか。謎めいています。

 あけち・こごろう 江戸川乱歩(1894~1965年)の推理小説に登場する名探偵。短編「D坂の殺人事件」(25年)でたばこ屋の2階に下宿する書生風の犯罪研究家として初登場し「心理試験」「屋根裏の散歩者」などで活躍。洋行から帰った後、長編『蜘蛛くも男』(30年)、『黄金仮面』(31年)などで、天才犯罪者と対決する行動力あふれる万能紳士型探偵に変貌した。

金田一耕助…優しさと隠れた洞察力



横溝正史の疎開先近くに立つ金田一耕助像(岡山県倉敷市の真備ふるさと歴史館で)



 一番の人気作は、岡山県の山村を舞台に数え歌になぞらえた事件が起きる『悪魔の手毬唄てまりうた』(角川文庫)でした。「村の長老に話を聞くような巧みな語り口に引き込まれる」という静岡市、竹内久美子さん(56)は、一羽のすずめのいうことにゃ~という歌を今でも歌えるそう。「岡山県出身なので、なじみある地名や方言にリアリティーを感じる」と広島県廿日市市、藤森雅子さん(42)。金田一初登場の『本陣殺人事件』(同)からして横溝正史が戦時中疎開していた旧岡田村(倉敷市)がモデル。村の人から聞いた伝説などが日本的精神風土を生かした作品群を生み出す基になったようです。

 「泥臭い風貌に隠された洞察力、人の痛みが分かる優しさを持つ彼は、日本一愛すべきキャラクター」と、高校時代に映画をきっかけに『犬神家の一族』(同)を手に取った大阪府田尻町、黒崎亜子さん(56)。彼の優しさを感じる物語として『女王蜂』(同)を推薦する宇都宮市、堀切輝美子さん(47)は、「飄々ひょうひょうとして人なつっこい金田一は、明智のように家族もなく時に孤独にも見える。彼の心には多くの人間の業や愛が沈んでいるのかも」と洞察。「スマートな明智とは正反対な金田一に、母性本能をくすぐられる」という秋田市、小林香織さん(48)の意見も目を引きました。旧角川文庫版の杉本一文さんのイラストに象徴されるどろどろした事件の重さを、金田一の素朴さが中和してくれている気もします。

 真相にたどりつくのが連続殺人が終わった後で結局、悲劇を止められない。ふがいなさを悔やむ金田一の苦悩についても多くの人が指摘します。「そこに人間味を感じるからこそ、私は金田一派」との岐阜県八百津町の細江隆一さん(48)の意見に納得です。

 きんだいち・こうすけ 東北の山国生まれ。渡米し殺人事件を解決。帰国後、東京に探偵事務所を開設し37年、岡山県で初登場作の『本陣殺人事件』(47年)を解決。『獄門島』(49年)、『八つ墓村』(51年)、『悪魔の手毬唄』(59年)など同県でしばしば大事件に遭遇する。73年に再び渡米し消息不明に。着物姿でもじゃもじゃ頭の髪の毛をかきむしる姿がトレードマーク。

映像のイメージ強く

 両探偵とも多くの映像化作品に登場してきたが、明智小五郎役で最も有名なのが、1977~85年にテレビの「土曜ワイド劇場」で25作が放送された「江戸川乱歩の美女シリーズ」の天知茂。明智が変装を解く場面が見せ場だった。テレビでは、佐野史郎、陣内孝則らも明智を演じている。

 金田一耕助関連では「金田一さん、事件ですよ!」のコピーで宣伝された「犬神家の一族」(76年)を始めとする市川崑監督映画が角川文庫とのメディアミックスで大ブームに。同作の石坂浩二、テレビ「横溝正史シリーズ」(77、78年)の古谷一行が金田一のイメージを決定づけた。(佐)

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