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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.04.30,Tue
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Posted by 中 相作 - 2016.06.25,Sat

 ちょっとメモしておきますと、乱歩名義による「黄金虫」の少年少女向け翻訳は、『江戸川乱歩著書目録』でチェックしてみたところ、次のような収録過程をたどっているようです。

世界名作 黄金虫 少年文庫
 昭和24年6月10日 光文社

黄金虫 世界名作全集59
 昭和28年9月25日 大日本雄弁会講談社

少年少女世界文学全集 11 アメリカ編第1巻
 昭和36年7月20日 講談社

 現物を確認してみなければたしかなところはわかりませんが、たぶん同じ訳文が使用されているはずです。

 さて、ほんの気分転換のつもりで手をつけてみたらいろんなことが気になってきちゃって、いっそもう点字狂とお呼びいただきたい気分なんですけど、気になったことのひとつは、外国語に翻訳された場合、「二銭銅貨」の点字はどんなふうに処理されているのか、ということです。

 調べてみました。

 まず中国では、珠海出版社から2001年に出た乱歩驚険偵探小説集第三輯『影子殺人』に「二銭銅幣」として収録されているのですが、点字はこんな感じ。


 桃源社版全集のものが、カタカナはそのままに、中国人読者のためにアレンジされてます。

 フランスでは1990年、フィリップ・ピキエ社から出版された『La chambre rouge』に「La pièce de deux sen」として収められていますが、点字の図版は桃源社版全集のものを使用し、ほかにこんなのも添えられています。


 しかし、よく見てみると、点字の図版は左右が逆になっとるがな、と申しあげてもおわかりにならないでしょうから、写真でごらんいただきたいと思います。

 ついでですから、拙宅庭の紫陽花もお楽しみください。


 見開きの左側ページにあるべき「ゴケンチョー……」が右に行っとります。

 間違いに気づいたフランス人読者は、おそらくひとりもおらんかったと思いますけど。

 英語訳となると、ちょっとすごいです。

 2008年にハワイ大学出版から出たアンソロジー『Modanizumu』に収録された「The Two-Sen Copper Coin」の暗号は、写真の外縁に乱歩らしく窃視症めいた加工を施してご紹介申しあげますと、ほれこのとおり、すべてアルファベットになっております。



 つまり、「ゴケンチョー……」で始まる日本文も英文に置き換えられてるわけです。

 なんとも手の込んだ翻訳で、訳者のジェフリー・アングルスさんに心から敬意を評しつつ、アメリカ版ゴケンチョーを引いておきましょう。

JUSTTAKEFAKEM
ONEYFROMSHOJI
KIDOCALLYOURS
ELFDAIKOKUYA!!

 しかも、当然といえば当然なんですけど、何文字かずつ飛ばして読むと「ゴジヤウダン」が現れる、という原作の趣向もちゃんと踏襲されてます。

 さすがに八文字ずつ、とはまいらず、八より大きな数になりますけど、飛ばして読むとたしかにひとつの単語になるという寸法。

 わかるかな?

 みんなチャレンジしてみてよね。
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