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Nabari Ningaikyo Blog
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Posted by 中 相作 - 2016.06.22,Wed

 さすが梅雨とあって一日むしむししてるのにはまいってしまいますが、これが出ました。

 双葉社:日本推理作家協会賞受賞作家 傑作短編集 3 隣りの不安、目前の恐怖

 乱歩作品はなにが採られてるんだろう、と思っていたのですが、なんのことはない、というべきか、あるいは、なんということか、というべきか、とにかく「陰獣」でした。

 それから、これも出てました。


 出たとゆうからこうては来たが、この「TRICKSTER」とやら、乱歩とはほぼ無関係な漫画ではないかいな。

 「江戸川乱歩『少年探偵団』より」とはなってますけど、クレジットはこんな感じです。

キャラクターデザイン:PEACH-PIT
漫画:マントヒヒ・ビンタ
原作:Jordan森杉
脚本:吉田恵里香

 ちなみに「マガジンSPECIAL」7月号、厚さは四センチ近くあるんですけど、この手の雑誌が書斎で増殖してスペースを占拠してゆくのはほんとに困ったことだと思います。

 さて、「二銭銅貨」九十九円電書化計画の件ですが、おまけはなにがいいのか、というと、これは小説でもOKだと思われます。

 というのも、作中に、

 「俺は暗号文については、以前に一寸研究したことがあるんだ。シャーロック・ホームズじゃないが、百六十種位の暗号の書き方は俺だって知っているんだ。── Dancing Men 参照──で、俺は、俺の知っている限りの暗号記法を、一つ一つ頭に浮べて見た」

 と記されていて、作者が参照しろといってるわけですから、その意を汲んでドイルの「踊る人形」を収録してやっても面白いのではないか。

 さいわい、青空文庫で公開されてますし。

 青空文庫:踊る人形

 しかし、全文を収録する必要はないかもしれません。

 作者が参照しろといってるのは、青空文庫のテキストからホームズの言を引きますと、

 「私はそれなりに暗号の類型を熟知しておりまして、その主題でつまらない小論を書いたこともあり、その中で百六十種の暗号法を分析してはいたのですが、正直、今回のものは私も初めて見ました」

 とあるあたりですから、いくら青空文庫のテキストがつかえるからって、「踊る人形」をまるっと収録するなんてのはちょっとばかみたいな話なのかもしれません。

 それに、「二銭銅貨」には「踊る人形」以外に「黄金虫」への言及も見えますから、どうせ短篇一本まるごと収めるというのであれば、どう考えたってそら「踊る人形」よりは「黄金虫」でっしゃろ。

 青空文庫にも入ってます。

 青空文庫:黄金虫

 しかしなあ、かりに「黄金虫」を収録するとなっても、この佐々木直次郎の訳文はとてもつかえはしないであろうなあ。

 なぜかというと、もとより代訳であるとはいえ、乱歩は改造社の世界大衆文学全集『ポー、ホフマン集』で「黄金虫」を訳しているからです。

 「二銭銅貨」九十九円電書に収録された「黄金虫」が乱歩訳とされている文章ではない、なんてことになったら、世の乱歩ファンからきついお叱りを受けてしまうことになるものと予想されます。

 とはいえ、『ポー、ホフマン集』の「黄金虫」を入れるとなると、訳文全文、自分で入力しなければならんからなあ。

 しかも、かりに乱歩訳「黄金虫」をきっちり収録してみたとしても、どうせ代訳じゃねーかばーか、バッタもんで商売してんじゃねーよたーこ、だあれが九十九円も出すと思ってんだこのすっとこどっこい、とかいわれてしまいそうだもんなあ。

 それから、「黄金虫」とは関係のないところで、「二銭銅貨」電書化計画にまたひとつ新たな課題が浮かびあがってきて、というのは、青空文庫の「踊る人形」で作中に使用された図版、例の人形の絵なわけですけど、あの図版を目にしたとき遅ればせながらようようやっと、「二銭銅貨」を電書化するためには点字の図版を制作しなければならんがな、ということに気がついてしまいました。

 造作なく制作できるはずではあるんですけど、試験的に一冊つくってみるつもりだった「二銭銅貨」の九十九円電書、結構大変なことになってきてるのではないでしょうか。
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