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Posted by 中 相作 - 2016.06.08,Wed
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 平成28・2016年6月4日 朝日新聞出版

まさに神秘…「蜃気楼」はどうしたら見られるか? “エキスパート”を直撃!
 若林朋子
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まさに神秘…「蜃気楼」はどうしたら見られるか? “エキスパート”を直撃!

(更新 2016/6/ 4 07:00)



蜃気楼を眺める大勢の観光客(石沢啓一さん提供)



蜃気楼を撮影した写真を紹介する石沢啓一さん



魚津市観光協会による蜃気楼を見たことの証明書

「蜃気楼(しんきろう)とは、乳色のフィルムの表面に墨汁をたらして、それが自然にジワジワとにじんで行くのを、途方もなく巨大な映画にして、大空にうつし出したようなものであった」

 江戸川乱歩の小説『押絵と旅する男』の蜃気楼に関する描写である。小説の舞台となった富山県魚津市へは何度も足を運んでいるが、一度も見たことがない。魚津市では展望地などを整備し、“蜃気楼の見える街”というキャッチコピーで全国発信している。“ダメもと”と思いながら、また、訪ねてみた。

 まず、蜃気楼出現のメカニズムを知るため、魚津埋没林博物館へ向かった。この博物館では特別天然記念物の埋没林と並んで、蜃気楼に関する展示が充実している。ちょうど「蜃気楼写真展」が開催されていたので、観光ボランティア団体「魚津蜃気楼研究会」の石沢啓一会長に、不思議な現象についてご教授いただいた。

 蜃気楼は大気の温度差によって光が屈折を起こし、遠くの風景が伸びたり、反転したりして見える現象である。大別して、実際の風景の上側に伸びや反転した虚像が見える上位蜃気楼と、実際の風景の下側に虚像が見える下位蜃気楼がある。

“上位”は3月下旬から6月上旬に見えるため“春型”蜃気楼ともいう。“下位”は11月上旬から3月上旬に見えるので“冬型”となる。ただし、春と冬では出現する原理が異なり、冬に見えるのは「逃げ水」と同じ現象であるらしい。石沢会長によると「蜃気楼といえば一般的に下位(春型)を指す」とのことだ。

 蜃気楼(上位・春型)は、陸上で温められた空気が、海上にある低温の空気の層の下に流れ込んで発生する。どんな気象条件でこのような空気の動きが起こるのだろうか?

「出現する時間帯は午前11時から午後4時ごろ。寒暖の差が11度以上あり、魚津の海岸に北北東の微風が吹く状態が望ましい。移動性の高気圧の中心が太平洋側に抜けた後、まだ魚津が高気圧の範囲内に入っているような日なら出やすいでしょう」(石沢会長)

 そこで参考としていただきたいのが「蜃気楼情報」である。魚津市は、日本気象協会が気象条件から蜃気楼発生の確率を割り出した予測を、ホームページ上で公開している。例えば記者が魚津市を訪れた5月26日の予報は「20%」。40%以上ならば、かなり期待していいらしい。

まさに神秘…「蜃気楼」はどうしたら見られるか? “エキスパート”を直撃!

 では、蜃気楼はどんなふうに見えるのか? 出現時とそうでない写真を比較すると分かりやすい。魚津市内から富山県西部の射水市にある日本海側最大の2層構造の斜張橋「新湊大橋」を撮影した写真は、逆転した像が実際の橋の上に重なり、とてつもなく大きな建造物に見える。このほか、建物が上下に伸びて見えたり、輪郭がにじんでいたり……。写真展では乱歩が描いた通り、怪しくも美しい雰囲気が漂う光景が並んでいる。

 石沢会長によると、蜃気楼は見え方によって五つのランクに分けられるそうだ。魚津埋没林博物館では蜃気楼の発生と同時に、ホームページ上で情報を発信、どのランクかなどの記録を残している。

A:肉眼ではっきり識別でき、長時間にわたり複数の方向に現れる

B:肉眼で識別できるが、短時間・一方向のみ・やや不鮮明など、Aに比べて何らかの要素が欠ける

C:予備知識がない人や、双眼鏡がなければ半数程度しか分からない

D:予備知識がない人や、双眼鏡がなければ大半が分からない

E:双眼鏡があっても識別に経験を要する

「海岸へ行ってみましょう」と石沢会長に促され、「海の駅 蜃気楼」という名産品を集めた建物の横にある蜃気楼展望スポットへ向かった。時間は午前11時半。すでに何人かの“蜃気楼のエキスパート”が双眼鏡を手に観察していた。

 しばらくすると「出てきたぞ!」という声が挙がった。石沢会長が慌てて車から望遠レンズとカメラ、三脚を取り出し、セッティングする。肉眼では全く見えないが、双眼鏡を借りてのぞくと、富山市内の沿岸地にある工場の輪郭がゆらゆらとしているのが確認できた。展望地近くの事務所に行って「見えました」と自己申告すると、魚津市観光協会から「証明書」がもらえる。

 風の影響を受けて蜃気楼は常に変化し、3分もたたないうちに消えてなくなった。石沢会長によると、「今日の蜃気楼はCランク」とのこと。今年19度目の出現となった。最も直近でAランクが出たのは2006年7月10日であり、Bランクも年に1度あるかどうか。今年はまだB以上の蜃気楼が出現していない。

「“1度は見てみたい”と思った方が足を運び続け、見た後でも“もっと上のランクを見たい”と欲望をかき立てられるのが蜃気楼。お金のかからない楽しみなので、ずっと続けられます」(石沢会長)

 おっしゃる通り。「次回は必ず双眼鏡を持参しよう」などと思わせられてしまう。すっかり、蜃気楼の魔力にはまってしまったようだ。(ライター・若林朋子)
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