忍者ブログ
Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.04.28,Sun
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

Posted by 中 相作 - 2016.03.19,Sat
ウェブニュース

産経ニュース
 平成28・2016年3月11日 産経新聞社、産経デジタル

【映画深層】人妻と一夜を共にして…日本オタクのスペイン人が描く脅迫の連鎖「マジカル・ガール」のカルロス・ベルムト監督
 藤井克郎
 Home > エンタメ > 記事

2016.3.11 14:00

【映画深層】
人妻と一夜を共にして…日本オタクのスペイン人が描く脅迫の連鎖「マジカル・ガール」のカルロス・ベルムト監督


(1/4ページ)



スペイン映画「マジカル・ガール」を手がけたカルロス・ベルムト監督=東京都渋谷区(伴龍二撮影)

 スペインで日本の漫画やアニメが浸透しているというのは聞いていたが、ここまで日本文化に精通している映画監督がいるとは思わなかった。3月12日公開の「マジカル・ガール」を手がけたカルロス・ベルムト監督(36)は、年に4カ月ほど東京で暮らしているという日本通で、初の劇場映画となるこの作品にも日本文化の影響が色濃く反映されている。「西洋では何を語っているかが重要なのに対し、日本ではどう語っているかに重きを置いている」と研究の一端を披露する。(藤井克郎)

 「マジカル・ガール」はなんとも不思議なテイストに満ちた作品だ。基本的には3つの章からなるフィルムノワール(犯罪映画)なのだが、それぞれの章で主人公が入れ替わり、脅迫の連鎖が悲劇を招くという構図になっている。

 最初の主人公は、12歳の娘、アリシアが白血病で余命わずかと宣告されているルイス。失業中の彼は、なんとかまな娘の夢をかなえてやりたいと、一夜を共にした人妻のバルバラを脅して大金を手に入れる。だがアリシアの夢の実現には欠けているものがあることがわかり、さらにバルバラをゆすろうとしたことから取り返しのつかない事態に陥っていく…。

【映画深層】
人妻と一夜を共にして…日本オタクのスペイン人が描く脅迫の連鎖「マジカル・ガール」のカルロス・ベルムト監督


(2/4ページ)

 前半にいくつもの謎がちりばめられ、それらが徐々に明かされていくのだが、すべての謎が明らかになるわけではない。「謎を謎のままにしたのは、一つは観客に脳を使ってほしいということと、もう一つはいつまでも心にとどめておいてほしかったからです」とベルムト監督。一昨年のサンセバスチャン国際映画祭(スペイン)ではグランプリと監督賞を受賞するなど、デビュー作にして高い評価を受けている。

☆ ☆ ☆

 このアリシアの夢が、日本のポップカルチャーと密接にかかわっている。彼女は架空のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファンで、そのコスチュームを着て踊ることを夢見ているという設定なのだ。父親がようやく手に入れたコスチュームを着てアリシアが踊る曲は、長山洋子がアイドル時代に歌っていた「春はSA-RA SA-RA」だし、ほかにも江戸川乱歩の原作で美輪明宏の当たり役の「黒蜥蜴」が重要なモチーフとして用いられている。

 これらのアイテムをどれだけのスペイン人が理解できるのか。「もちろん乱歩とか美輪明宏とか、スペインでは日本よりは知られていないと思う。そもそもオタクという人は、漫画とか食べ物とかには多いかもしれないけど、映画にはなかなか波及しないからね。日本の映画でATG(1960年代から80年代にかけて良質のアート作品を提供した映画会社)が好きだなんて言っているスペイン人は僕だけだと思う」と笑う。

【映画深層】
人妻と一夜を共にして…日本オタクのスペイン人が描く脅迫の連鎖「マジカル・ガール」のカルロス・ベルムト監督


(3/4ページ)

 4歳のときに母親に連れられて「悪魔のいけにえ」を見にいって以来、ホラーやミステリー映画が大好きだったが、やがてテレビアニメの「ドラゴンボール」がスペインでもヒットし、日本のアニメに興味を抱くようになる。特に10歳のころに出合った大友克洋監督の「AKIRA」には衝撃を受けた。「なぜこんなに暴力的なのか、なぜアニメなのにここまで厳しく描くのか。実存的な疑問が次々と湧いてきて、哲学的思考を大いに刺激してくれた」と振り返る。

 マドリードの美術学校に進学して最初は映像を専攻したが、漫画をやりたくてイラストのコースで研鑽を積む。やがてコミック作家として4~5作品を発表するものの、スペインでは漫画で食べていくのは難しかった。「映画は作りたかったけど、多くの人とチームを組んで作業するというのは僕には怖くてできないと思っていた。自分のアイデアを最後まで完成させたいと思っていたんです」

 そのうち動画機能付きのデジタルカメラが登場し、友人と遊びで撮影してはインターネットに上げるようになる。2009年には短編映画「マケータス」がノトド映画祭(スペイン)でグランプリを受賞するなど高い評価を獲得。自主映画を経て、今回の初の劇場作品へとつながっていった。

【映画深層】
人妻と一夜を共にして…日本オタクのスペイン人が描く脅迫の連鎖「マジカル・ガール」のカルロス・ベルムト監督


(4/4ページ)
 
☆ ☆ ☆

 実は初の短編となるこの「マケータス」にも、すでに日本文化が投影されている。「アニメだけでなく、ゴジラやガメラといった怪獣映画も好きでよく見ていたが、いつも疑問に思ったのは、ゴジラの尻尾で倒されたビルの中にいた人はどうなったのだろうということです。きっと誰かの子供だったり母親だったり、いろんな人がいるはずで、そんな人たちの物語を描きました」とベルムト監督。

 ほかにも映画だと勅使河原宏監督や増村保造監督、小説では安部公房など、好きな作家の名前が次々と飛び出してきたが、生まれ育ったスペイン文化の影響も受けているはず。それらは創作においてどのような兼ね合いで表れるのか。

 「自分では合理的に説明できるものはなくて、興味のあるものがあれば、日本だけでなくどこの国の文化でも研究して取り入れたいと思っている。例えば勅使河原宏監督の『他人の顔』で、人体のパーツが水の中に落ちていく映像を見た瞬間、自分はこんなふうに自由に想像して映画を作りたいと思った。それは無理やり誰かにオマージュをささげるというものではない。もちろんスペイン文化にもそういうものはあると思うが、スペイン人としてではなく、一人の映画監督として自由に取り入れていきたいと思っています」ときっぱりと語った。
PR
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
開設者
 中 相作:Naka Shosaku
ブログ内検索
バーコード
カウンター
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
忍者ブログ [PR]