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Posted by 中 相作 - 2015.07.24,Fri
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 平成27・2015年7月20日 朝日新聞出版

美輪明宏 米国人のひと言がビジュアル系の原点に?
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美輪明宏 米国人のひと言がビジュアル系の原点に?

(更新 2015/7/20 07:00)



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 歌手・俳優の美輪明宏さん(80)は、連載「戦後70年とわたし」の中で、終戦後に出会った文化人との思い出を語ってくれた。

*  *  *
 私が10歳のときに、終戦を迎えました。東京の国立(くにたち)音大付属高校に進学したものの、経済的な事情で中退。銀座の喫茶店や進駐軍のキャンプでアルバイトをするようになった。そのころは、新宿駅の構内にも焼け出された人や戦災孤児が住んでいました。駅の西口に手配師が来て、サックス吹ける人? ピアノ弾ける人? 歌える人?と、人を集める。幸い、私は子どものころに教会で、英語を教わっていた。「英語の歌ができます」と、手をあげて、踊り子さんやバンドと一緒に、即席チームのできあがり。トラックやバスで立川や座間のキャンプに運ばれた。そして、この場所が私の人生を変えることになったのです。

 立川のキャンプで舞台の出番を待っていると、米国人の支配人が来て、「You stop」と。なぜかと聞くと、衣装がプアだ。ショーは見せるものだと言うんです。確かに、エナメルの靴も衣装もボロボロ。日本が貧しい時代ですから、新しい衣装など買えません。悔しいですよ。でもその経験が、のちのビジュアル系につながりました。

「オズの魔法使」で有名なジュディ・ガーランドがお忍びで慰問に来たことがありました。私のファンの米軍将校と一緒に、将校クラブに行くと、ジュディは歌って踊って冗談を言って、客席中が盛り上がっている。彼女のステージを見て初めて、「ショー」の意味がわかった。私は銀座のシャンソン喫茶「銀巴里(ぎんぱり)」で、それをやり始めたんです。

美輪明宏 米国人のひと言がビジュアル系の原点に?

 軍国主義の抑圧から解放された日本の文化は、少しずつ息を吹きかえします。日本中にダンスホールができた。昼は喫茶店で、夜にはキャバレー。生バンドの演奏で若者もお年寄りも踊りました。タンゴにハバネラ、ワルツが入ってルンバが来て、サンバもマンボもありました。当時の音楽には、多種多様なメロディーとリズムがあった。

 銀巴里は、文化人の集いの場所でもありました。十七代目中村勘三郎さんが「歌のうまい美少年がいる」って、江戸川乱歩さんを連れていらした。彼の小説は子どものころから読んでいたから、すぐにお友達になりました。すると、新進作家として売り出していた三島由紀夫さんが来て、次に川端康成さんを。東大の学生だった大江健三郎さんは詰め襟を着ていらしたし、当時高校生だった劇作家の寺山修司さんにもお会いした。芸術家の岡本太郎さんは、飛び入りで、流暢(りゅうちょう)な仏語で歌をお歌いになったりと、きらびやかな日々でした。

「ヨイトマケの唄」へと導かれたのは、そうしたときです。手配師の手違いで炭鉱の町で興行をすることになった。会場の公民館に行くと、爪や皮膚のシワまで炭塵だらけのお客さんがゴザに座っていました。貧しい生活のなかから、お金を払って歌を聴いてくれている。でも、日本では彼らのための歌は、「炭坑節」といったものしかない。それならば、自分が労働者のための歌を作ろうと、「ヨイトマケの唄」を始めとする一連の歌が完成したのです。従軍慰安婦の女性たちから聞いた悲惨な話は、「祖国と女達」として歌いました。顧みられることのなかった人たちへ、歌を捧げたいと思った。誰もやらないことに挑戦する。芸能生活64年目になるいまも、この姿勢は変わりません。そのためか、「美輪さんは、芸能界にいながら芸能界とは違った場所に立っている」と言われることも多いですね。

※週刊朝日 2015年7月24日号より抜粋

 朝日新聞出版:週刊朝日 > 2015年7月24日号
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