Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2015.04.19,Sun
本日は鬼火コースとなりますが、テキスト篇をさらに少々。
中井英夫のことを記したら、なんと新刊『ハネギウス一世の生活と意見』が出ました。▼幻戯書房:新刊案内
全集未収録の随筆評論のたぐい、つまりは断簡零墨を編んだ一巻ですが、片々たる身辺雑記に一転瞬で異界の消息をかいまみせる中井英夫ならではの手わざ、みたいなものをずいぶん懐かしく感じました。
創元推理文庫の日本探偵小説全集9『横溝正史集』に発表された「血への供物──正史、乱歩、そして英太郎」も収録されており、これは藍峯舎の『鬼火 オリジナル完全版』に寄せた解説に引用した文章なんですけど、こうして初刊本がちゃんと世に出たのであれば、引用底本は『ハネギウス一世の生活と意見』ということにして、中井英夫ひさびさの新刊出版をことほいだほうがいいのかな、と思案しているところです。
ともあれ、中井英夫ファン、正史ファン、英太郎ファン、乱歩ファン、そのほかのみなさんにお薦めいたします。
▼Amazon,co.jp:ハネギウス一世の生活と意見
「血への供物──正史、乱歩、そして英太郎」には、竹中英太郎の挿絵のことが、こう記されています。
とにかく『鬼火』のイラストは、先の『陰獣』とはがらり違った妖艶の限りを尽し、もうひとつ『大江春泥画譜』とともに、竹中英太郎の三大傑作というに憚りはない。そしてこの先が「廃園にて」の続きになるのだが、それから八年ほど経って呀っと驚くことが起こった。『鬼火』の挿絵八葉が、少しも損なわれずにそのまま残っていることが判明したのである。
どこでどう見つかったのか、あまり興奮してしまって、いまは覚えていない。その原画を平凡社から借りた私は、三週間というものただそれを眺め暮した。纏足さながらの細い足で、立つのもやっとといっ風情の女、壁にかかる血しぶき。アドニスの仮面の下から剥き出しになる万造の焼けただれた顔。これこそは古き良き探偵小説の原点そのものだ。
原点、とかそんな無粋なことば、中井英夫にはつかってもらいたくなかったな、と思わないでもないですけど、この少しも損なわれていなかった挿絵八点、当然のことながら『鬼火 オリジナル完全版』に収録されます。
以下、イラスト篇につづきます。
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