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Posted by 中 相作 - 2015.02.26,Thu
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 平成27・2015年2月23日 読売新聞社

ゾクゾクと乱歩ワールド…江戸川乱歩、没後50年
 小梶勝男、佐藤憲一
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ゾクゾクと乱歩ワールド…江戸川乱歩、没後50年

2015年02月23日 08時25分

「明智探偵」生みの親、没後50年



「江戸川乱歩展」で展示されている乱歩の書斎での写真(1950年代半ば)=平井憲太郎氏提供

 作家・江戸川乱歩が世を去って今年で50年になる。

 名探偵・明智小五郎を生み、日本の探偵小説の礎を築く一方、怪奇と幻想、エロスの世界を展開した巨人だ。没後50年を記念し、映画やアニメ、漫画、関連本など、様々な分野に乱歩ワールドが広がっている。

 映画は窪田将治監督の「D坂の殺人事件」が東京・渋谷のユーロスペースで、27日までレイトショー公開中だ。男の死体が見つかり、警察は自殺と判断するが、明智小五郎(草野康太)と妻の文代(大谷英子)は他殺とみて、捜査を始める。やがて美しい人妻(祥子)と夫、虚無的な青年の3人の関係が明らかに……。猟奇的な世界がエロチックに映像化されている。

映画に漫画に展示会

 キングレコードは「江戸川乱歩の美女シリーズBlu-ray BOX」を6月24日に発売。このシリーズは単発物のテレビ用長編ドラマとして、1977年から94年までテレビ朝日系「土曜ワイド劇場」の枠で全33作品が放送された。そのうち、天知茂が明智探偵を演じた1~25回を13枚組のディスクに収録。今年は天知の没後30年でもあり、初めてブルーレイ化された。



「江戸川乱歩の美女シリーズ」の一場面 (c)松竹株式会社

 7月にはフジテレビ系のアニメシリーズ「ノイタミナ」で、「乱歩奇譚きたん Game of Laplace」がスタートする。「暗殺教室」の岸誠二監督が、乱歩作品を新たな形で現代によみがえらせる。

 漫画では古賀新一さんの『江戸川乱歩怪奇漫画館』(実業之日本社)が先月、出版された。「週刊少年キング」などに連載された乱歩原作の漫画を集めたもので、「屋根裏の散歩者」などが独特のおどろおどろしいタッチで描かれている。

 昨年の乱歩生誕120年記念を含めて、様々な書籍も出た。『江戸川乱歩とその時代』(PHP研究所)は、歴史学者の武光誠さんの乱歩論。『江戸川乱歩の迷宮世界』と『江戸川乱歩映像読本』は、ともに洋泉社から。前者は全小説レビューなど、後者は映像化された作品をマニアックに紹介する。『みんなの少年探偵団』(ポプラ社)は、湊かなえさんら現代の作家たちが少年探偵団と怪人二十面相との対決をテーマに書き下ろした短編集だ。

 東京・池袋の東京メトロ池袋駅構内では「江戸川乱歩展~乱歩が池袋に残したもの~」が26日まで開催されている。約30年間暮らした池袋との関わりを写真や愛用品で紹介している。



 没後50年を経てなお、人々を魅了する乱歩の世界。その秘密は何か。映画「D坂の殺人事件」の窪田将治監督と、ミステリー評論家の新保博久さんに聞いた。

想像かき立てる「ゆるさ」…映画監督 窪田将治さん



 変な言い方だが、乱歩作品の面白さは「ゆるさ」にあると思う。描写が細かく描かれていないし、ストーリーにも穴がある。その意味では不出来と言えるかも知れない。でも、だからこそ想像の余地があって、読んでいるとが浮かぶ。映像にしたいと思わせる。

 乱歩の作品は、年少向けから推理もの、そしてエログロまで、非常に振り幅が大きい。けれど、どれも人間くさい点で共通している。映画は、いかに人間を描けるかだと思う。突き詰めれば、死生観であり、性癖、性の問題だ。乱歩の作品にはそれが垣間見えるものが多い。



映画「D坂の殺人事件」。女性は祥子演じる人妻

 「D坂の殺人事件」は私にとって乱歩原作ものの2作目だ。2010年には「妻に失恋した男」を原作に「失恋殺人」を発表した。乱歩作品は多くの巨匠、名匠が映画化しており、1作目の時はそれを意識して余り知られていない原作にした。今回は、どうせなら正面から取り組もうと、有名な作品を選んだ。ただ、ストーリーはかなり異なる。「屋根裏の散歩者」の主人公を登場させ、二つの物語をつなげた。そして明智小五郎の妻・文代を活躍させた。そんなことが出来るのも、乱歩の「ゆるさ」故の魅力だ。

 自分では、今回の「D坂」は恋愛映画だと思っている。主演の祥子は「謎の美女」として雑誌に出ているのにひかれた。古風な雰囲気がぴったりだった。もう1、2本は乱歩原作を撮ってみたい。作り手として、乱歩を超えられるか、勝負したい気持ちがある。

「極端な世界」味わえ…ミステリー評論家・新保博久さん



新保博久さん提供

 乱歩作品の多くは戦前に書かれているのに、現代の中学生でも読める。戦後でいえば星新一と同じだ。

 乱歩は、読み聞かせてもらうのも聞かせるのも好きだった。初めて探偵小説に興味をもったのも、小学3年のとき菊池幽芳の新聞連載を母に読んでもらったことだ。近所の子供たちにお話を語り聞かせるのも得意だった。作家になってからの、「妖しいものが、でるぞ、でるぞ」という絶妙なの取り方も、それと無縁ではない。

 内部が全面鏡張りの球体の中に入ったら何が見えるのかという「鏡地獄」のように、自分が好きでたまらないものに「極限」を突き詰めたがった。求めても得られない極端な世界を読者にも味わわせてくれるのが乱歩の魅力だろう。

 色彩にあふれた小説世界には、映像関係者が食指を動かす。だが、読み手の想像力しだいで極彩色になるけれど、具体的な映像で再現するのは容易ではない。

 乱歩が最も活躍した大正末から昭和初めは「エログロナンセンス」の時代。乱歩にはナンセンスの要素はなかったが、現実逃避したい読者の気分には合っていた。それは、文庫版で乱歩作品が常に入手可能になった現代も同じだ。

 国民が幸福幻想に酔えた高度成長期やバブル期には、乱歩作品はあまり読まれていない。1987~89年に刊行された江戸川乱歩推理文庫は、すぐ市場から消えてしまった。乱歩作品が簡単に手に入る現代は、ある意味で不幸な時代なのかもしれない。

 ◇江戸川乱歩

 本名・平井太郎。1894年、三重県生まれ。1923年、「二銭銅貨」を雑誌「新青年」に発表し作家デビュー。筆名は米国の作家エドガー・アラン・ポーをもじった。「怪人二十面相」「少年探偵団」シリーズなどを執筆。推理小説の評論でも活躍した。65年死去。代表作に「パノラマ島奇談」「陰獣」「芋虫」など。

 (文化部 小梶勝男、佐藤憲一)

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