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Posted by 中 相作 - 2015.02.25,Wed
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産経ニュース
 平成27・2015年2月23日 産経新聞社、産経デジタル

江戸川乱歩没後50年 奇想と神秘まとう不思議な魅力再発見
 海老沢類
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【広角レンズ】

江戸川乱歩没後50年 奇想と神秘まとう不思議な魅力再発見

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江戸川乱歩の没後50年を前にオマージュ小説や作家論などが相次いで出版されている

 今年は日本文学に探偵小説の分野をきりひらいた江戸川乱歩(1894~1965年)の没後50年。現役作家によるオマージュ小説や研究書が相次いで編まれ、映像化の企画も進む。奇想と神秘性に彩られた妖(あや)しげな見世物(みせもの)小屋のようなミステリーに、新たな光が当たっている。(海老沢類)

                  


 「デビュー直後に考えたプロット。待機していた役者に指示する映画監督のように、わくわくしながら書いた」。『東京バンドワゴン』シリーズで知られる小路(しょうじ)幸也さん(53)がそう振り返るのは1月に出した長編『少年探偵』(ポプラ社)だ。変装の名人である怪人二十面相に、名探偵・明智小五郎と小林芳雄少年を団長とする少年探偵団が立ち向かう乱歩の人気シリーズ「少年探偵団」を下敷きに、小林少年の意外性あふれる挿話を紡いだ。小学校2年で初めて手に取り「読書好きになった原点」という物語との“再会”を小路さんは喜ぶ。「大人に囲まれて大活躍する少年がまとう『自由の香り』にあこがれた。『読者を楽しませてこそ物語』という姿勢はこのシリーズがあったから染みついている」

 『少年探偵』は昨年の乱歩生誕120年を記念したシリーズの一冊。昨年11月刊の第1弾『みんなの少年探偵団』には、小路さんのほか万城目(まきめ)学さん(38)や湊かなえさん(41)ら人気作家5人がオマージュ短編を寄せ、すでに3刷2万5千部に達した。3月には直木賞作家の芦原すなおさん(65)による第4弾『恐怖の緑魔帝王』の刊行が控える。ポプラ社の担当編集者、森潤也さんは「どの物語にも乱歩作品への愛と各作家のオリジナリティーがあふれている。懐かしさと新しさが同居した魅力がある」と話す。

江戸川乱歩没後50年 奇想と神秘まとう不思議な魅力再発見

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タブー恐れず

 大正12年に欧米ミステリーを彷彿(ほうふつ)させる暗号物「二銭銅貨」でデビューした乱歩は、初登場した明智が日本家屋での密室殺人に挑む「D坂の殺人事件」や、屋根裏からののぞき見に魅入られた若者がとっぴな“完全犯罪”を思いつく「屋根裏の散歩者」など、タブーにとらわれない変態的嗜好(しこう)や奇想が充満する物語を立て続けに発表し作家としての地位を確立した。乱歩作品に詳しい成蹊大の浜田雄介教授(日本近代文学)は「ごく身近な日常が日常でなくなる瞬間を、視点や心理のトリック、巧みな語り口で見せる。世の中には理解を超えた犯罪や不思議があり、妖しげな人間もうごめく。そんな世界観にはリアリティーと今日性があり、研究対象に選ぶ学生も少なくない」と語る。

 自由な想像をかき立てる物語だけに映像化の動きも目立つ。窪田将治監督による映画「D坂の殺人事件」が東京・渋谷のユーロスペースで公開中。フジテレビも乱歩作品を原案にしたアニメ「乱歩奇譚」を7月以降に放送する。岸誠二監督ら人気漫画「暗殺教室」のアニメ版を手がけたチームによる現代風の味付けが話題を呼びそうだ。

 一方、昨年12月に刊行された『江戸川乱歩とその時代』(PHP研究所)のように、乱歩が筆を執った時代を詳細にたどり、作品に新たな光を当てる試みも出てきている。
 
あこがれ喚起

 「初期の推理短編と比べて価値が低く見られがちだった通俗長編の再評価も進んでいる」と話すのは、勉誠出版が年内の刊行を目指す『江戸川乱歩大事典』の編者、立教大の藤井淑禎(ひでただ)教授(近代文学・文化)だ。昭和4年に連載された『蜘蛛男』をはじめ乱歩の通俗長編は、関東大震災後の復興で変貌した東京を写し出す。道路網の整備と円タクの隆盛を投影するように国道でのカーチェイスが描かれる。電話やエレベーターといった科学文明の粋も続々登場し、当初は安っぽい浴衣姿だった明智もモダンな高級アパートに事務所を構えるようになる。

 大事典ではこうした現実社会やメディアに関連した項目解説に紙数の半分を費やし、大衆のあこがれを巧みに喚起していった乱歩の姿を浮き彫りにする。藤井教授は「都市文化の最先端を貪欲に取り込んで世の中と“地続きな印象”を与える。だから読者は自然と引き込まれる。文学の閉鎖性が相変わらず叫ばれる今、文学を大衆文化の側に率先して開いていった乱歩の姿勢はもっと顧みられていい」と話す。

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