みんなの少年探偵団

書籍

みんなの少年探偵団
　万城目学、湊かなえ、小路幸也、向井湘吾、藤谷治
　平成26・2014年年11月6日第一刷　ポプラ社
　B6判　カバー　227ページ　本体1400円

永遠
　万城目学
少女探偵団
　湊かなえ
東京の探偵たち
　小路幸也
指数犬
　向井湘吾
解散二十面相
　藤谷治

永遠

万城目学　　

　満月なのに空はすっかり雲に隠れ、風ばかりが強い夜に、ぼくらは町に到着した。丸一日も汽車に乗って、ぼくらを一軒の長屋の前まで連れてきた伯父さんは、玄関から出てきた猿股姿のおじいさんに何度か頭を下げ、茶封筒を手渡すと、「じゃあな、達者にやれよ」と言って去っていった。残されたぼくらはおじいさんの前に立ち、自己紹介した。

少女探偵団

湊かなえ　　

　小学生最後の夏休み、八月の最終週、わたしは山口県の海辺の町に住む、母方の祖父母の家を訪れました。両親は共働きで忙しく、一人で新幹線に乗ってきたわたしを、二人が駅まで迎えに来てくれました。

東京の探偵たち

小路幸也　　

　一九七四年　東京

　　　　　　☆

　「吸血鬼？」

　目ん玉ひんむいて驚いた。
　そりゃあ驚くよな。で、その後に笑った。
　まぁ、笑うよな。

指数犬

向井湘吾　　

　「ダメだ。こっちの道も、もう犬でいっぱいだ」
　人通りの絶えた、物寂しい町はずれ。壁から頭だけ突き出して、向こうの通りの様子をうかがい、一人の少年がささやいた。「引き返そう。別の道を探さないと」

解散二十面相

藤谷治　　

　3

　憎い二十面相を見事つかまえた明智小五郎と少年探偵団は、思わず快哉を叫びました。
　「明智探偵、ばんざーい。」
　「小林団長、ばんざーい。」
　「少年探偵団、ばんざーい。」
　「ばかじゃないか、あいつら。」

　▼ポプラ社：みんなの少年探偵団