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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.05.17,Fri
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Posted by 中 相作 - 2011.01.29,Sat
 横溝正史と江戸川乱歩(17)
 
 正史は「新青年」の編集者として乱歩の復活を待ち望んでいました。「二輪馬車の秘密」の感想を記した乱歩の手紙からは執筆再開の気配もはっきり感じられたのですが、いざ実際に会って原稿を依頼してみると煮え切らない返事しか返ってきません。ならばもうひと押し。正史は「新青年」に川崎七郎という謎の新人作家を登場させ、謎解きに力点を置いた「桐屋敷の殺人事件」を発表させることで、一年以上も眠りについている乱歩を発奮させ一気に覚醒させようとしたのではないか。そんなふうに考えることは不可能ではないでしょう。坂井三郎が思いがけず乱歩の執筆意欲を刺激したのであれば、それに手応えを感じた正史が今度は狙い澄まして乱歩を再起に導いてやろうと企んだとしても不思議ではありません。その役目を担ったのが川崎七郎でした。
 
 謎の川崎七郎(2011年1月16日)
 
 このエントリには「なぜ川崎七郎に頼んだのかというと、7月号の目玉になる小説がなかったから、ということだったのではないか。川崎七郎という謎の作家は編集者の窮余の一策ででっちあげられた存在だったと推測されます」と記したのですが、正史の主眼はむしろ乱歩の復活にこそあったのだと思われてきました。探偵小説をすらすら書くことができる編集者であった正史にとって、それは乱歩の再起第一作を手中にするための絶妙のくわだてではあったのですが、事態は意外な方向に転がってゆくことになります。
 
 つづく。
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