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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2011.01.21,Fri
 横溝正史と江戸川乱歩(12)
 
 桐屋敷から逃走した怪しい男は見つかりませんでした。気絶から回復した新井巡査は屋敷の留守番を勤める五郎爺さんと二階に戻り、灯りのついていた部屋で女性の死体を発見します。殺されていたのは川路要太郎夫人の奈美子でした。
 
 以上が「二」。
 
 所轄署から署長と警察医、刑事が駆けつけ、遅れて検事も到着しました。死体の検証や五郎爺さんの尋問が進められます。奈美子は×大学総長だった川路道彦の娘で、要太郎は養子でした。奈美子には静子という妹がいるのですが、これは道彦と女中のあいだにできたいわゆる腹違い。いまだ独身で奈美子と同じ家に住んではいるものの、姉妹の仲はあまりよくないようでした。
 調べが終わり、爺さんは桐屋敷の敷地内にある自分の家に戻りました。こっそりあとをつけた新井巡査が耳を澄ますと、家のなかで爺さんが押入れを開け、誰かに声をかけています。人をかくまっていたらしいのですが、その誰かは姿を消してしまっていました。
 
 以上が「三」。
 
 事件の翌日、麹町にある川路要太郎邸。刑事が訪問し、まず書生に金を握らせて、奈美子が前夜九時ごろにお抱えの自動車で外出したことを聞き出します。その自動車はまだ戻っていませんでした。要太郎が帰宅したのは夜の十二時過ぎのことで、ひどく興奮していたと書生は証言します。
 そこへ要太郎が顔を出しました。刑事が前夜のことを尋ねると、学校の帰りに駒込坂下町の友人を訪れたのだという返答。夫人の死についてはまったく心当たりがないといい、泥棒の仕業だろうとの見解を述べます。静子は前夜の八時ごろに家を出て、まだ帰ってきていないとのことです。
 
 以上が「四」。
 
 新井巡査は非番でしたが、取り逃がした賊をつかまえるべく下宿をあとにしました。石切橋の交番に立ち寄り、顔見知りの巡査から前夜九時過ぎ、茗荷谷の桐屋敷へ行く自動車が交番の前を通過したことを教えられます。それはタクシーで、客を送り届けるとすぐに引き返してきたそうです。
 タクシーの客は女性で、交番の巡査はたぶん奈美子だろうと推測していました。しかし桐屋敷の前まで自動車が入ることはできませんから、拓殖大学前まで乗り入れたほうが歩く距離は短くて済みます。そのことをよく知っているはずの奈美子が桐屋敷へ行くときにタクシーで交番の前を通るわけがない、と新井巡査は推理しました。
 交番を出た新井巡査は源さんという御用聞きに出会い、前夜の十二時近く、つまり新井巡査が奈美子の死体を発見したころ、拓殖大学へ出る道で静子に会ったと知らされます。静子はきちがいみたいに取り乱していて、源さんに「姉さんは死んだよ。自殺しちゃったの」といったあと、今度は「いやいや、あたしが殺したんだ」と打ち明け、そのまま走り去ってしまったといいます。
 
 以上が「五」。
 
 ここで「──つゞく──」となって、結局はつづかなかったというわけです。
 
 つづく。
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