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Nabari Ningaikyo Blog
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Posted by 中 相作 - 2014.03.25,Tue

 図書館の本分は資料の収集であり、必要としているひとにその資料を提供することです。

 もしもここに、乱歩の本をたくさん集めてることで知られた図書館があったとして、ある日、その図書館に、乱歩の自伝を読んでたら『奇譚』という手製本のことが出てきたんですけど、この本はどこかで読めますか、みたいな問い合わせがあったとします。

 その図書館のライブラリアンは、『奇譚』は現在、立教大学図書館の貴重書庫で厳重に保管されてますけど、一般のひとが閲覧するのはちょっと不可能みたいです、でも、1988年に講談社から発行された江戸川乱歩推理文庫59『奇譚/獏の言葉』という本に収録されてますから、お近くの図書館で借りるか、その図書館が所蔵してなかったらよその図書館から借りてもらうかすれば、読むことができますよ、と回答します。

 ここまでは、乱歩関連資料を専門的に集めてる図書館であれば、ごくふつうにできることです。

 では、その図書館に有能なライブラリアンがいたとしたら、彼ないしは彼女は、そのときなにを考えるか。

 ちなみに、有能なライブラリアンというのは、利用者の立場に立って考えることのできるライブラリアンのことです。

 有能なライブラリアンは、『奇譚/獏の言葉』を手に取ったひとの反応を想像します。

 そのひとは、たぶん、なにこれ、手書きじゃん、写真じゃん、読めねーじゃん、意味不明じゃん、わーけわかんね、ばっかじゃねーの、といった反応を示すことになるのではないか、とライブラリアンは推測し、だれにでも気軽に読める活字版『奇譚』があればいいのにな、と思います。

 とはいえ、有能なライブラリアンだって、考えるのはせいぜいそのあたりまでで、そこから先に思いをいたすことはないはずです。

 その先は、ほとんど狂気の領域となります。

 これよりさき怪物領域、みたいな。

 しかし、もしもここに、有能でありなおかつ気が触れているライブラリアンがいたとしたら、むしろ嬉々としてその領域に足を踏み入れ、よーし、おれがやったる、活字化したる、けけけけけ、というところまで一気に突き進んでしまうにちがいありません。

 なんかもう、手がつけられないような感じで、そういう人間には、好きにしろよばーか、といってやるしかないんですけど、そういうきちがいみたいな人間が、ぼかあとても好きだなあ。

 とはいえ、残念ながらそんなひとは、どこ探したっていないみたいです。

 ですから、僭越ながらこの私が、きちがいになることにいたしました。

 さあ、気ちがいになりなさい、みたいな。

 私が『奇譚』の活字化を思いついたのは、まあそういったような次第であって、これはやっぱライブラリアンの発想だよな、と思わざるをえません。

 ただし、いまの私は、ライブラリアンなんかではまったくないわけなんですけど。
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