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Posted by 中 相作 - 2013.10.30,Wed
雑誌

大衆文化 第9号
 平成25・2013年9月30日 立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター
 A5判 82ページ 別丁1 500円(税込)

 

関連
〈文壇作家〉時代の松本清張・I ──「多芸は無芸」の危うさの中で──
 藤井淑禎
 p2-15
江戸川乱歩『心理試験』の精神分析 ──典拠から技法へ、すなわちユングからラカンへ──
 中原雅人
 p62-73
翻刻「踊る一寸法師」草稿
 落合教幸
 p76-82

〈文壇作家〉時代の松本清張・I
   ──「多芸は無芸」の危うさの中で──

藤井淑禎  

 1

 ここで〈文壇作家〉と言うのは、江戸川乱歩らが自分たち「探偵作家」仲間とは異質な作家たちを指す時の呼び方で、このことの重要性についてボクは「清張と本格派-乱歩封じ込め戦略のてんまつ」(『国語と国文学』二〇〇六・九、のち『清張 闘う作家-「文学」を超えて-』二〇〇七・六に収録)のなかで、「乱歩は一貫して清張らを「文壇作家」として遇していた」と指摘して、注意を喚起しておいた。
 乱歩のそうした態度が色濃くうかがえるのは、①清張や福永武彦、曽野綾子らを招いた座談会「文壇作家『探偵小説』を語る」(『宝石』一九五七・八)、②清張との対談「これからの探偵小説」(同、五八・七)、そしてあの長大な自伝『探偵小説四十年』(六一・七)中の③「追記-昭和三十二年度以降」の部分などである。重要な指摘なので、煩をいとわず、それらにおける乱歩の見方を確認しておこう。

江戸川乱歩『心理試験』の精神分析
   ──典拠から技法へ、すなわちユングからラカンへ──

中原雅人  

 I、隠された典拠①──ユング

 江戸川乱歩が精神分析に強い影響を受けていたことが『心理試験』(「新青年」大正14/2)の中に読まれる場合、それは謎解きに言語連想診断が用いられているからだった。作者後年の回想でも執筆にあたり「フロイドの精神分析学」を念頭においていたことや、連想試験について解説がある「ミュンスターベルヒ」の「心理学と犯罪」という本」を参考にしたことを自ら明かしている。おそらくはこのことを前提として、「作中に登場する「連想診断」はフロイト心理学が我が国の文学に本格的に応用されたもっとも早い例でもあ」るという文学史における位置づけが成立するのだし、一柳廣孝もこの安藤宏の見解を踏襲して心理学と精神分析をほとんど同格において論じることができる。

翻刻「踊る一寸法師」草稿

落合教幸  

 〈解題〉

 専業作家になることを決意した乱歩は、大正十三年末、大阪毎日新聞社広告部を退社する。そしてそのまま大阪の守口にある父の家にとどまり、作品を書き続けていた。
 翌大正十四年は、作家江戸川乱歩にとって重要な年となった。「D坂の殺人事件」「心理試験」「屋根裏の散歩者」「人間椅子」といった、代表作となる短篇をつぎつぎと発表し、初の単行本となる短篇集『心理試験』を刊行する。乱歩は、探偵小説の第一人者としての地位を確固たるものとしていったのである。

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