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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.04.29,Mon
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Posted by 中 相作 - 2013.10.09,Wed
書籍

変格探偵小説入門 奇想の遺産
 谷口基
 平成25・2013年9月18日第一刷 岩波書店 岩波現代全書013
 B6判 カバー 279ページ 本体2300円

はじめに
第一章 「変格探偵小説」とは何か
 細目
  1 探偵小説の黄金時代
  2 本格探偵小説と変格探偵小説
  3 変格のふるさと
  4 谷崎文学と新しい「怪談」
  5 「機械」がつくりだす怪異
  6 「化け物」としての映画
  7 近代資本主義との対決
  8 「柳湯の事件」──「神経」と探偵小説
  9 「神経」と「神経衰弱」
  10 「変態」という、新しい怪異
第二章 変格探偵作家としての江戸川乱歩
 細目
  1 変態と変格
  2 「押絵と旅する男」
  3 「古風」な世界への志向
  4 魔性の双眼鏡
  5 異界からの微笑
第三章 変格の血脈──横溝正史が受け継いだもの
第四章 医文学者の変格──小酒井不木の「健全」と「不健全」
第五章 変格派の雄・夢野久作──未知の精神領域へ
第六章 変格のリアリズム──「実話」をめぐる試行
第七章 変格のローカリズム──都市、秘境、そして鎌倉
結語にかえて──あらためて、変格とは、探偵小説とは?
あとがき

第一章 「変格探偵小説」とは何か

 1 探偵小説の黄金時代

 戦前期日本における探偵小説の隆盛は、一八九〇年代(明治二十年代)における、黒岩涙香を鼻祖とする創成期の流行と、江戸川乱歩・横溝正史ら専門作家たちの活躍から惹起された、関東大震災前後より一九三〇年代(大正十二年から昭和十五年頃)に至る黄金時代とに大別できる。翻訳や翻案、あるいは習作的な作品がほとんどで、専門の書き手も稀少であった明治期と比較して、大正末期以後に流行した探偵小説は、国産の創作文学ジャンルとして大衆文芸界に確固たる地位を築き、時代の先端を行くモダニズム文化の一翼を担う存在に目されていた。今日〈戦前派〉と称される探偵作家群は、ほぼ例外なくこの時代にデビューを飾った人たちを指すものだ。
 ところでこの時期を黄金時代と称した理由は、質量両面から探偵小説が向上し、創作ジャンルとして一般化され、作家層が厚みを増した、ということだけにとどまらない。むしろジャンルの定立という課題に限定するならば、同時期は混沌期といういい方が正しいだろう。なぜならばこの時期、探偵小説はきわめて広範にわたる文学テーマを包摂するジャンル名として読書界に認識されていたという事実があるからだ。

 岩波書店:変格探偵小説入門
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