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Posted by 中 相作 - 2013.09.21,Sat
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 平成25・2013年9月19日 日刊現代

「魔性の女挿絵集」中村圭子著
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「魔性の女挿絵集」中村圭子著

【BOOKS】

2013年9月19日 掲載



<日本文学を彩った魔性の女たちが勢ぞろい>

 明治末から昭和初期の文学作品に描かれた「魔性の女」たちを当時の挿絵で紹介するアートブック。美貌と官能で男たちを破滅に導く女、はたまた恋に燃え上がり相手の男を道連れにする女など、清純なヒロインたちとはまた別の魅力を放つさまざまなタイプの魔性の女たちが文学作品を飛び出し、画家たちのイマジネーションによって形を与えられる。

 この時代の耽美・幻想の文学作品の白眉といえば泉鏡花の小説であろう。そのひとつ「高野聖」は、山の中の一軒家に男を誘い込み、飽きると彼らを動物や虫に変えてしまう女と、彼女に魅せられた若い僧侶の物語。川端龍子や鏑木清方など、そうそうたる画家たちが物語で「婦人(をんな)」と呼ばれるこの女性を描いている。中でも、主人公のふたりが谷川で汗を流すシーンを描いた橘小夢の挿絵は、女の魅力に惑わされながら自制心と戦う僧と今にも落ちそうな獲物を見つめる女、ふたりの心の内まで透けて見えてくるようだ。古典や民俗学にも造詣が深く、魔性の女の魅力を深く理解していたという橘は、他にも九尾の狐が化けた「玉藻の前」や、「安珍と清姫」など、古今の魔性の女を見事に描き切っている。

 その他、谷崎潤一郎の「痴人の愛」に登場する真面目な電気技師の青年・譲治を翻弄するカフェの女給見習ナオミを描いた岩田専太郎の作品や、同じく谷崎の「人魚の嘆き」の人魚を描いた水島爾保布の作品、竹中英太郎が描く横溝正史の「鬼火」でいとこ同士の万造と代助を破滅させるお銀、林唯一による江戸川乱歩「黒蜥蜴」の緑川夫人など。そのストーリーとともに作品を堪能。

 多くは、雑誌などの挿絵として描かれており、今ではなかなかお目にかかれない作品ばかりだ。美女たちに誘われ、日本の幻想文学の素晴らしさにも改めて触れられるお薦め本。
(河出書房新社 1600円)
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