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Posted by 中 相作 - 2013.09.14,Sat
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ゲンダイネット
 平成25・2013年9月11日 日刊現代

「襲名犯」竹吉優輔氏
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【著者インタビュー】

「襲名犯」竹吉優輔氏

【書籍・書評】

2013年9月11日 掲載



<「今の時代はポリシーがなくてもカリスマになり得ます」>

 第59回江戸川乱歩賞受賞作は「襲名犯」。その名のとおり、猟奇的殺人の犯人、〈ブージャム〉の名を襲名した人物がよく似た殺人を犯すという、不条理なミステリーである。主人公の南條仁は14年前に初代のブージャムに双子の兄を殺され、今度は2代目ブージャムの魔の手が自分に迫っていることに気づき、苦悩する。

 単なる模倣ではなく、殺人犯を襲名するというアイデアはいったいどこから生まれたのか。
「以前、ある殺人事件の犯人が逮捕されたとき、顔がちょっと隠れた写真がかっこいいと話題になって、追っかけみたいな人が出てきました。それを見て、今の時代はポリシーがなくてもカリスマになり得るのではないかと思いました。その方が一人一人が臆測する余地があって、想像力をかき立てられるんじゃないかと」

 カリスマ的な殺人犯を意識して、不思議な名前をつけようと考え、ルイス・キャロルの作品「スナーク狩り」に出てくる怪物〈ブージャム〉を殺人犯の異名とした。

 応募したときは「ブージャム狩り」というタイトルだったが、単行本化に当たって、もっと内容に即した「襲名犯」に変更。

「犯人が襲名するだけでなく、主人公の南條仁も襲名せざるを得なかった人間です。生後3カ月で養子に行った兄の信が殺されたため、兄の後を継いで養子に行く。襲名せざるを得なかった者は、襲名したい者によって襲名させられる。その2人の対決の物語でもあります」

<自分は兄の身代わりでは…と苦悩する主人公>

 著者は現在、図書館の司書をしているが、主人公の仁も図書館の司書をしているという設定になっている。2代目のブージャムが登場してから、利用者からブージャムに関する資料集めを依頼されたり、図書返却用のポストに被害者の小指が投入されたりという異様な出来事が続く。さらに仁は、中学生のときに殺された兄のいたクラスに転入し、兄の人間関係を引き継ぐことになり、自分は兄の身代わりでしかないのではないかと苦悩し、精神的に追い詰められていく。

「人は生きているかぎり、運命や不条理に立ち向かったり、あらがったりしています。仁がブージャムの残した傷と、自分が兄の身代わりでしかないという二重の苦しみの中からどう立ち上がるのかということを書きたいと思ったんです。自分で書いていて何ですが、何とかがんばってくれと思いながら書きました(笑い)」

 本作を読んで、実際にブージャムの襲名犯が出るという心配は?
「私はまだ、現役で司書をやっているので、図書返却用のポストを開ける時はちょっと心配ですね(笑い)」(講談社 1500円)

▽たけよし・ゆうすけ 1980年、茨城県生まれ。二松学舎大学文学部卒業後、東洋大学大学院で文学を専攻。図書館勤務の傍ら、執筆活動を続け、第55回、第57回江戸川乱歩賞に応募。本作で第59回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビューを果たす。
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