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Posted by 中 相作 - 2013.03.20,Wed

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ダ・ヴィンチ電子ナビ
 平成25・2013年3月6日 メディアファクトリー

待望の第4弾は本にまつわるミステリーがじっくり楽しめる初の長編!
 村上健司、市川貴浩(写真)
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待望の第4弾は本にまつわるミステリーがじっくり楽しめる初の長編!


2013年03月06日(水) 08:00
電子ナビ編集部


 シリーズ累計で470万部という驚異の数字を弾きだし、コミカライズやテレビドラマ化と、その人気ぶりはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いの『ビブリア古書堂の事件手帖』。その最新刊は初の長編とあって、物語にどっぷり浸れること必至。読み応えのあるボリュームは読者にとっては歓喜の極みだが、送り手側の作者は、果たしてどんな想いで物語を紡ぎ出したのだろうか──。


俎上に上がるのはミステリー界の大御所



三上 延

みかみ・えん●1971年、神奈川県生まれ。古書店勤務を経て、第8回電撃小説大賞に応募の『ダーク・バイオレッツ』で2002年にデビュー。電撃文庫にてホラーやファンタジーと幅広いジャンルで活躍。著作は『シャドウテイカー』『天空のアルカミレス』『偽りのドラグーン』(すべて電撃文庫)など。


『ビブリア古書堂の事件手帖』の舞台は、北鎌倉の駅前で営業する古書店。その店主である若くて美人の篠川栞子は、本に関わることなら饒舌で頭の回転も早いのだが、普段はおっとりとした極度の人見知り。そんな彼女に想いを寄せる主人公・五浦大輔は、ひょんなことから店で働き始め、本を巡る騒動に巻き込まれていく──。毎回古書にまつわるエピソードや謎からミステリー劇が展開するのだが、事件の発端となる古書は著者も違えば本も異なり、既刊ではそうしたいくつかのエピソードでまとめられてきた。


 今回はシリーズ初の長編ということもあり、一人の作家にスポットを当ててテーマとするなど、今までの趣向とは若干異なっている。この変化は、一体どのような理由によるのだろう。


「今まで取り上げた作家は純文学が多かったので、それ以外の作家で取り上げるとしたら、江戸川乱歩かなと早くから思ってはいたんです。本当は3巻で取り上げるつもりだったんですけど、調べると面白いことが多すぎて、短編におさまりそうもなかった。


 そもそもシリーズ化を意識した2巻目あたりから、4巻目で長編を書こうと決めていたんですね。だったら4巻は丸ごと乱歩で行こうと。ただ、長編はいいんですが、構成をどうするかについては、かなり悩みましたね。例えば、乱歩の本一冊だけで物語全体を埋めるというのは、非常に困難に思えたんです。いろいろ方法を試した結果、乱歩の著書を複数取り上げて、一つの物語にするのがいいだろうと。一冊まるまる使えるからこそ、一人の作家をきちんと描けるという気持ちもありましたしね」


待望の第4弾は本にまつわるミステリーがじっくり楽しめる初の長編!


古書がテーマの長編ならではの苦労も


 既刊では、誰でも知っている本からはじまり、稀覯本で終わるという作者こだわりの構成が見られたが、今回の長編でもそれが当てはまる。事件の鍵となる古書は、乱歩の本および作品から選ばれているわけだ。


「ある程度シリーズが続いてきているので、どういう物語なのかは読者さんも把握されていると思うんです。ですので、1巻のときほど古書を選ぶのに気を遣わずにすみましたけど、それでもマニアックな選択だけにしてしまうと、乱歩を知らない人には入りにくい。マニアックな面と、誰にでも分かりやすいのと、バランスを考えてという感じですかね」


 物語は空想でも、作中にエッセンスとして加わる実在の本や作家にまつわるエピソードは、嘘偽りのない事実。そうした作品を書き上げるには、当然緻密な調査が必要になってくる。乱歩に対するリサーチは3巻の執筆中からはじめていたというが、その調査範囲は相当広い。作家の作品・研究書はもちろん、乱歩と交流のあった作家や編集者に関する資料にも当たったというから、その苦労は想像を絶する。やはり、今作で最も熱を入れたのは、こうしたリサーチになるのだろうか。


「一人の作家を多角的に描くことが、この巻のコンセプトになると思うので、その部分はとくに気を遣いました。乱歩邸にも取材でお邪魔させていただきましたし、関係者の資料もかなり読みました。作家自身の足跡や、まわりの評価にも踏み込んで調べてやろうという気持ちで挑みましたよ。

 物語の方では、ヒロインの母親がようやく出てくるんですけど、母親とヒロインとその妹という家族の関係は、かなり意識して書きましたね」


 長編ということのみならず、こんな話を聞くだけでも4巻目は今までと違うなということが伝わってくる。期待が膨らまないわけがない。


待望の第4弾は本にまつわるミステリーがじっくり楽しめる初の長編!


電子書籍を巡る話題が、今後の作品に生かされる可能性


 昨今は書籍もデジタル化の時代。そんな世の中であえて古書をテーマとした作品を世に送り出した三上さんは、デジタル化の波をどのように捉えているのだろう。


「僕自身、紙の本は大好きなんですけど、電子書籍の良さもあると思っています。例えば絶版本。従来の出版システムですと、昔あったものが読めない事態が、どうしても出てきてしまう。でも、デジタル化されていれば、絶版っていうのはかなり減りますし、そういう意味では非常に便利だと思っているんです。

 ただ、紙の本の場合、デジタルだと味わえない、所有する喜びがあると思うんですよね。本を単純に情報の塊と捉えると、利点はデジタルの方にあるんでしょうけど、装丁などを含めた“モノ”として考えると、紙の本ならではの良さがある。

 それから、単純にデジタル化されただけでは、作品が時系列でどのように扱われてきたのかが、分かりづらくなるという欠点もあります。まさに今回のために、乱歩の少年探偵シリーズを戦前からのものを含めて10冊ほど買ったんですけど、同じ作品でも時代や人気の度合いでその扱われ方が違うんです。そういうのは紙の本じゃないと分からないですね。

 これまでデジタル化にあまり意識は向きませんでしたけど、この作品を書き進めているうちにデジタル書籍も一般に浸透してきましたし、今後はその分野の展開も、作品に反映されていくかもしれません」


 我々と同じ時間軸の世界が舞台の物語だけに、電子書籍の話題も避けては通れないということなのかもしれない。

 ともあれ、三上さんによれば、今作は物語全体の折り返し点になるとのことで、作中ではさまざまなことが明るみになっている。主人公の恋路の行方も気になるが、それは読んでのお楽しみとしておこう。


取材・文=村上健司 写真=市川貴浩


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