Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2010.11.06,Sat
〔*15〕
横溝正史の思い出を語る
横溝孝子、横溝亮一、山村正夫(司会)
夫人 それからよく江戸川さんの名前を、独り言で口にしていましたね。「エドラン」とか「江戸川さん」とかって。
亮一 何といっても、おやじにとって江戸川乱歩先生は、最大の師であり、自分を見つけ出してくれた恩人であり、壁でもあったわけですね。人間的な意味でも作品の上でも。だからもう、尊敬して尊敬の限りを尽くして、憎らしくて憎らしくてしようがなかったわけですよ。
江戸川先生に見出してもらったときの嬉しさを話しては、ポロポロ涙を流すかと思ったら、「エドランの野郎っ、この野郎っ」と、歯ぎしりすることもあってですねえ。愛憎表裏一体をなしていたんです。
夫人 あれは、「獄門島」を書いている時分でしたかね。「負けるもんか。負けるもんか」とよく言ってましたよ。髭を剃りながらでも、顔を洗いながらでもご不浄いきながらでもね。しょっちゅう乱歩さん、乱歩さんでしたね。
山村 それだけ、横溝先生にとって乱歩先生は大きな目標だったんでしょうね。
夫人 そりゃそうですとも。
亮一 おやじがあんなに年取っても、書きつづけよう、現役でいたいと思ったのは、やっぱり乱歩さんに対して恥ずかしくない作家としての生き方をしたいという、そんな考えがあったからではないですかね。
夫人 ええ。きっとそうだろうと思いますね。
横溝正史『風船魔人・黄金魔人』角川文庫(昭和60年7月)
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