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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2024.05.05,Sun
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Posted by 中 相作 - 2012.12.29,Sat

 いよいよ押し詰まりました。

 

 でもって、さあ、いったいどうすりゃいいんだろうなあ、というおはなしです。

 

 むろん、ちゃんとすりゃいいわけです。

 

 私としては、ちゃんとしてさえもらえれば、なにもいうことはありゃしません。

 

 しかし、名張市立図書館には、ちゃんとする、ということができない。

 

 乱歩関連資料を収集いたします、というのであれば、それなりのことをちゃんとするべきなんですが、いっさいできない。

 

 収集の方針や基準、あるいは対象、そういったものを決めることがまったくできませんし、収集した資料を活用することができません。

 

 乱歩関連資料なんて、市民生活にはなんのかかわりもないものであり、そもそも名張市民のだれひとりとして、そんな資料を必要としていません。

 

 だったら、乱歩関連資料の収集なんて、やめてしまえばいいではないか、と市民からいわれたら、名張市立図書館はどう答えるのかな。

 

 なにも答えられません。

 

 げんに、私がそう提言しても、なんにも答えられないんだもん。

 

 だったら、いきなりやめちゃう、みたいな過激な提言は控えて、見直す、といった感じではどうでしょうか。

 

 名張市立図書館が開館したのは1969年のことで、乱歩関連資料収集の方針や基準、あるいは対象、さらには収集資料の活用、みたいなことは、本来であればその時点で決められてなければならんかったんだけど、ただの思いつきで乱歩関連資料を集めましょう、ということにしてみただけで、あとはなんにも考えなかった。

 

 そこらの高校の図書委員にも考えつけることを、いっさい考えようとしなかった。

 

 なにも考えることなく、ただやみくもにそれらしい古書を買い込んで、あとは死蔵する、それだけのことであった。

 

 だったら、そんなことでいいのかどうか、ここらで見直してもいいんじゃね? とも私は提言しているのですが、それも無理っぽい。

 

 前例墨守はもとよりお役所の金科玉条ではありますけど、そもそもその前例というのが、きわめてあいまいでなんともあやふや、ただの思いつきから生まれたことでしかありませんから、科とも条ともなりえない。

 

 だから見直しが必要だ、と私はゆうておるわけです。

 

 ここへ来て世間じゃ、見直しの嵐、とでもいうべきか、政権の座に返り咲いた自民党が民主党政権時代の政策をえらい勢いで見直しまくっているわけですから、名張市立図書館もちっとは見直したらどうよ、と思うわけ。

 

 見直した結果、名張市民からはまったく必要とされてないけど、乱歩関連資料はやっぱり収集いたしまーす、という結論が出たのであれば、好きなように収集すればいいわけです。

 

 ただし、その場合には、収集の根拠や目的を明確にして、市民にちゃんと説明できるようにしておかなければなりません。

 

 むろん、収集の方針や基準、あるいは対象、さらには収集資料の活用についても、はっきりしたことを決めておく必要があります。

 

 そんなこと、できるかな?

 

 できない、と、ここに断言しておきましょう。

 

 だったら、見直しはどうなるの? というと、先送り、ということになってしまいます。

 

 先送りもまた、お役人さまの常套手段です。

 

 いつかも記しましたけど、お役所仕事ってのは、その場しのぎの際限もないくり返しなわけです。

 

 たったいま解決しなければならない問題を、なにも考えることなく、その場しのぎでとりあえず先送りしてしまう。

 

 先送りをつづけた結果、1969年に開館した名張市立図書館には、乱歩関連資料をいったいどうすりゃいいのか、いまだになにもわからない。

 

 ほんと、なにもわかんないのなら、最初っから手なんか出すなよ。

 

 いやまあ、なにもわかんない、ってことが、わかってなかったんだから、しかたないか。

 

 無知の知、ってやつですね。

 

 自分にはなんにもわかってない、ということが自分でわかってる、ってことが重要なわけです。

 

 なんにもわかってない、ということがわかってたら、わかるためになにを知り、なにを考えればいいか、そこからスタートすることができます。

 

 しかし、わかってない、ということがわかってないわけですから、なにも知ろうとせず、なにも考えようとしない。

 

 そこらの高校の図書委員なら、乱歩関連資料を収集する、となったら、乱歩ってどんな作家なのか、どんな作品を書いたのか、それを知ろうとする。

 

 それを知ったうえで、どんな資料を集めればいいのか、集めた資料をどう活用すればいいのか、それを考える。

 

 しかし、名張市立図書館は、そうはしませんでした。

 

 いまもできていません。

 

 だから、適当な思いつきではじまった乱歩関連資料の収集は、ほんとにここらで見直そうぜ、といってやっても、ただただ先送り。

 

 名張市民からまったく必要とされておらず、収集してもひた隠しにするだけの資料なんて、まるで意味のないものです。

 

 全国に視野をひろげれば、名張市立図書館が収集した乱歩関連資料を必要としているひとは確実に存在するわけですが、なにしろひた隠しですから、だれの役にも立ちません。

 

 ふつうなら、インターネットを利用して、日本にたったひとつ、乱歩関連資料を収集している図書館として、名張市立図書館にしかできないサービスを展開しているべきところなんですが、そんなことしたら収集資料にかんする問い合わせが寄せられるかもしれず、しかしそれに答えることなんてとてもできませんから、ネットを利用したサービス展開みたいなことには逆立ちしたって手が出せません。

 

 ところで、問い合わせといえば、先日、乱歩書簡にかんする問い合わせをいただきました。

 

 むろん、名張市立図書館ではなくて、私がいただいたわけですが、恥ずかしながら満足にお答えすることはできず、それどころか、メールをやりとりしているうち、以前から気になっていたことをこちらからお聞きする、という流れになってしまいました。

 

 1975年に出版された『高等学校芸術科書道指導資料 表現編』という本があります。

 

 高校の書道の先生の指導用参考資料、とでも呼ぶべきもので、書道の教科書に使用された著名人の書が写真で収められているのですが、そこになんと乱歩のはがきが。

 

20121229b.jpg

 

 しかもこれ、横光利一宛なわけです。

 

 いやまいったな、乱歩と横光はただのいちども会ったことがなく、おたがいの伊賀とのゆかり、つまり、乱歩は伊賀の名張で生まれ、横光は福島県の出身ながら伊賀で成長して伊賀の高校を卒業した、といったそれぞれの伊賀との関係も、まったく知ることなく生涯を終えたのではないか、と私は考えていたのですが、というか、そんな文章を発表したこともあるのですが、それはとんだ誤りであった、ということになります。

 

 そもそもこの『高等学校芸術科書道指導資料 表現編』のことをどこで知ったのか、といいますと、まだ最近のこと、ことしに入ってからのことですけど、必要があって江戸川乱歩推理文庫『乱歩年譜著作目録集成』に眼を通していたときのことです。

 

 乱歩がみずから作成して『探偵小説四十年』に収録し、中島河太郎先生が1979年8月まで増補した「江戸川乱歩著作目録」の1975年、昭和50年の項にこんな記載がありました。

 

【教科書】

○横光利一宛ペン書きはがき(文部省、高等学校芸術科書道指導書・表現編、一月)

 

 がーん。

 

 完全に見落としておりました。

 

 がーん、がーん。

 

 驚いたのなんのって。

 

 がーん、がーん、がーん。

 

 なんだよ、乱歩と横光にはつきあいがあったのかよ、と泣きそうになりながらネット古書店で『高等学校芸術科書道指導資料 表現編』を購入してみたところ、くだんのはがきの写真が収録されていたという寸法です。

 

 ちなみに、はがきの文面はこんな感じ。

 

拝啓先日は突然御邪魔

いたし色々御話を伺ひ有難

う存じました、同郷の後輩

として今後ともよろしくお

願ひ申上げます、不取敢御

挨拶のみ申上げます、草々

 

 これはたぶん、乱歩が横光にはじめて会ったときの礼状なんですけど、残念ながら日付が書かれておりません。

 

 もしかしたら、宛名面に書かれているのかもしれません。

 

 それに、この文面だけではだれに宛てたものかもわかりませんから、このはがきが収録された教科書には宛先や発信の日付などのデータが書かれているのかもしれないな、とも思われます。

 

 しかし、『高等学校芸術科書道指導資料 表現編』をいくらひっくり返しても、どこの教科書会社の教科書に乱歩のはがきが採用されていたのか、なんてことはまるでわかりません。

 

 さて、乱歩書簡のことで問い合わせをいただいたのは、じつは高校教育に関係していらっしゃるかたでしたので、教科書に収録された乱歩のはがきのことをお伝えし、かくかくしかじかと事情をお知らせして、もしもおわかりになるようでしたら、と軽い気持ちでお願いしてみましたところ、なんと教育関係の図書館で書道の教科書をお調べいただいたとのことで、けさ届いていたメールでそのご報告を頂戴しました。

 

 いまだ判明せず、調査を継続する、とのおことばとともに、調査していただいた教科書のこんなリストをお知らせいただきました。

 

・1972~1974年検定の東京書籍のもの

・1956~1973年検定の中教出版のもの

・1962~1973年検定の教育図書のもの

・1956~1975年検定の修文館出版のもの

・1956~1963年の駸々堂のもの

・1962年検定の信濃教育会出版部のもの

・1962年検定の清水書院のもの

・1962~1974年検定の光村図書出版のもの

・1955~1970年検定の教育図書研究会のもの

・1962~1973年検定の東京淡雅会のもの

・1956・1962年検定の春潮社のもの

・1956年検定の一橋学院のもの

・1956・1957年検定の日本文教出版のもの

・1962~1966年検定の高教出版のもの

・1956年検定の自由書院新社のもの

・1957・1962年検定の日本学芸書院のもの

 

 いやー、なんだかとんでもないお手数をおかけしてしまったではないか、とおおいに反省し、平謝りのメールをお出しした次第ですが、ひきつづきよろしくお願いいたします、とのお願いも申しあげておきましたので、いやはや、われながら鬼のような人間だな、と思わないでもありません。

 

 しかし、名張市立図書館の目録つくってたときは、こんなことは日常茶飯事でした。

 

 私は探偵小説のことはあまり知らず、古書のことはまったく知らない人間でしたから、とにかくその道の先達に教えを乞わねばならぬことばかりでした。

 

 つまり、無知の知からスタートした、ということになります。

 

 自分がなにも知らない、ということを、私は知っていたわけです。

 

 名張市立図書館もまた、そこからスタートすべきでした。

 

 そこからスタートして、乱歩や探偵小説や古書にくわしいみなさんに教えを乞い、協力を仰ぎながら乱歩関連資料の収集をつづけてさえいれば、おのずから乱歩関連資料を軸としたネットワークが構築されて、名張市立図書館は乱歩にかんするひとつの拠点になれていたはずなんですけど、全然だもんね。

 

 どころか、先日も記しましたとおり、長きにわたってご支援をたまわってきたかたのご勘気をこうむり、私がその尻ぬぐいでこんなメールをお送りしなければならなかったんだもんなあ。

 

 メールありがとうございました。どうも申しわけ

ありません。典型的な公務員です。初代館長はまだ、

乱歩関連資料の収集ということを主体的に考えてい

らっしゃったと思いますが、いまや名張市立図書館

においては主体性が完全に放棄され、乱歩関連資料

の収集なんてまったくのひとごと、自分たちの仕事

ではなく、だれかやりたいやつがいるのならやらせ

てやらんでもない、というスタンスです。さぞやお

腹立ちのことと思いますが、まあご勘弁ください。

お役所というのはほんとに腐ったところです。それ

では。

 

2012/12/06

 

 ほんと、いい加減にしとかないと、しまいにゃ怒るぞ。

 

 とかぼやいてたら、届きました。

 

 例のものが届きました。

 

 エントリをあらためてお知らせすることにいたします。

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