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Posted by 中 相作 - 2012.06.13,Wed

ウェブニュース

 

YOMIURI ONLINE

 平成24・2012年6月11日  読売新聞社

 

明治座「黒蜥蝪」評

 河村常雄

 Home > エンタメ > 河村常雄の劇場見聞録 > 記事

 

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明治座「黒蜥蝪」評

 

2012年6月11日

 

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<見>原作は江戸川乱歩の探偵小説だが、劇界ではそれを基にした三島由紀夫戯曲で名高い。世界の至宝を狙う女賊・黒蜥蝪とそれを追う名探偵・明智小五郎の対決と愛を耽美的な台詞で描くシリアスな舞台劇だ。しかし今回は、主人公・黒蜥蝪にシリアスな面と共に茶目っ気も備えた美人女優・浅野ゆう子を起用、劇場が下町の明治座であるため、少々趣が異なる。変装、トリックで意表を突くだけでなく、本来出てこない怪人二十面相や一寸法師、原作者・乱歩と思しき人物も登場させるなどでドタバタ喜劇の要素も加味し、明治座らしい、楽しめるエンターテインメントになった。斎藤雅文脚本、西川信広演出。

 舞台は三島版の戦後の東京から、原作通りに戦前の大阪に戻している。黒蜥蝪(浅野)は宝石商・岩瀬(渡辺哲)の所有する高価な宝石「クレオパトラの涙」を手に入れるため、有閑マダム・緑川夫人として岩瀬家に接近、ひとり娘・早苗(林丹丹)を誘拐しようとするが、探偵の明智(加藤雅也)が立ちはだかる。黒蜥蝪は自分同様、美を希求する明智にいつしか恋心を抱くようになる。

 幕開きが洒落ている。盗賊たちの怪しげな夜会から始まるが、白塗りの道化師(増沢望)が司会役を務め、戦前のデカダンを匂わせる。増沢の達者な芸は、ミュージカル「キャバレー」のMCを思わせる。

 浅野は、上品に構える緑川夫人や明智と対峙する黒蜥蝪で大劇場の座長の貫録を示す。明智に惹かれていく様は、可憐で儚げ。一方、大阪・新世界の通天閣で売店の女性に衣装を取り替えてもらう場面は流暢な関西弁で、茶目っ気たっぷり。浅野の多面性を味わえる芝居になっている。

 明智役はどうしても名探偵の重みを求められがちだが、加藤は若々しく動きのいい明智。声と雰囲気も爽やかで、このカンパニーのコンセプトに合っている。

 鷲尾真知子が、3年前からお手伝いさんとして岩瀬家に潜り込んでいる黒蜥蝪の手先。三枚目のうまい女優だが、シリアスな役も新鮮な感じを与える。

 渡辺は、関西弁で下品な金満家を強調して滑稽味を出した。

  ほかに、賀集利樹、那智ゆかり、奈良富士子、伊藤正之、佐戸井けん太らの出演。

6日所見。

――24日まで。

 

(写真は浅野ゆう子)=明治座提供

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