なにを記してもそらぞらしくなるような気がしていやになりますが、熊本県を中心におとといの夜から連続している地震の被害に遭われたみなさんに、というか、げんに遭いつつあるみなさんに、というべきなのかもしれませんけど、心からお見舞いを申しあげます。
あとは言葉が出てきません。本日はこれだけといたします。
小学館の電子全集は順調に刊行、という表現でいいのかどうか、とにかく順調にあれが進んで、先月四冊目が配信されました。
▼小学館:江戸川乱歩 電子全集4 明智小五郎 英雄編これで明智小五郎が登場する作品は、少年ものを除いてすべて網羅されたことになります。
刊行順に、というか配信順に全作品を再読してやろうと思いつき、出かけるときもバッグにキンドルを忍ばせてチャレンジしてるわけですけど、かなり水があいてきました。
現在ただいまは第三巻の「悪魔の紋章」、宗像博士がお化け屋敷に入ったあたりなんですけど、お化け屋敷の趣向のひとつとして描かれている踏切の轢死のフェイクは、足穂も大好き「旅順海戦館」に出てきた八幡の藪知らずのそれがあれなんだな、みたいなことに気がついたりいたします。
乱歩という作家にとって少年期がいかに重要な小説の源泉であったか、とか悠長に思い返しているうちに、なんかもうこんなのが出てます。
▼Amazon.co.jp:江戸川乱歩作品集 101作品収録 Kindle版
▼Amazon.co.jp:【江戸川乱歩作品集・85作品・原作図表29枚つき】 Kindle版
乱歩の小説を読むんだったら、これでじゅうぶん、とおっしゃる向きも少なくないかもしれません。
本文校訂とかなんとか難しいこという必要はなくて、要するに娯楽小説とか通俗小説とかなんだから、手軽に安あがりで読めればそれでいい、というのもひとつの立派な見識です。
それにしても、死後五十年も経過すればほとんどの作家はすっかり忘れられているというのに、乱歩作品はいまだに商品として通用するんだからすごいものだ、とか悠長に思い返しているうちに、なんとこんなんまで出るみたいでっせ。
▼Amazon.co.jp:明智小五郎事件簿 1 「D坂の殺人事件」「幽霊」「黒手組」「心理試験」「屋根裏の散歩者」 (集英社文庫(日本)) 文庫 – 2016/5/20
内容紹介によりますと──
没後50年を記念して、江戸川乱歩の作品の中でも人気の明智小五郎ものを事件発生順に並べた画期的なコレクション! 乱歩ファンも唸る全12巻刊行スタート!(解説:皆川博子 クロニクル:平山雄一)
事件発生順、となるともうどうしたって平山雄一さんの出番です。
しかしこれ、全十二巻には少年ものも含まれているのかしら。
ともあれ小学館、はたまた文藝春秋、さらには集英社と、乱歩にあまり縁のなかった大手出版社が大挙して、というとオーバーですけど、著作権消滅を号砲として乱歩シーンになだれを打って、というのも大げさですけど、一気に参入してくるさまはもう壮観というか偉観というか、ほんま、たいがいにしときや、という気がしないわけでもありませんけど、追っかけるとなると大変だぞまったく。
おもに東海地方のみなさんへのお知らせです。
昨年末、三田村博史さんの『東海の文学風土記』が出版されました。▼2015年12月30日:東海の文学風土記
著者の三田村さんによる連続講座「『東海の文学風土記』を読む」が、名古屋市中区の栄中日文化センターで始まります。
▼CHUNICHI CULTURE Web > 東海の文学風土記を読む
以下、栄中日文化センターの担当スタッフ、飯田隆男さんのメッセージです。
4月14日(木)より三田村博史氏による「『東海の文学風土記』を読む」講座が栄中日文化センター4階で始まります。
周囲の関心のある方にお知らせのうえ、お誘い合わせのうえ、ご参加ください。
毎月第2木曜午後1時より2時半まで、まずは9月までの6回講座です。
中日新聞社刊行の「東海の文学風土記」を読本として話します。
なお「東海の文学風土記」は受付でも扱います。
入会金は65歳以上年齢証明により不要です。
資料コピーの準備がありますので、なるべく早くお申込みいただきたく存じますが4月14日当日も受け付けます。
講座内容は変更もありますが、第1回は名古屋・栄で育った江戸川乱歩の少年時代から、彼も加わった合作作家集団・耽綺社(名古屋城を舞台の「天守閣の音」の国枝史郎、乱歩を探偵小説界へ推しだした小酒井不木、「股旅もの」の長谷川伸、「旅鴉国定忠治」の平山盧江)、第一回の直木賞候補・岡戸武平なども登場。
聚楽園の大仏が登場したり、名古屋停車場が舞台の小酒井不木「大雷雨夜の殺人」なども紹介。
純文学に限らず豊富な地元文学に触れましょう。
申し込み電話 0120-53-8164
東海地方以外のかたも、ふるってご参加ください。
これはもう、いまさら何かやっても無駄かもわからんね、という気がしないでもありません。
昨年、坂手島のこんなニュースが報じられましたけど──
▼2015年6月13日:鳥羽・坂手島伝統行事 「棒練り」今夏で最後 若者減り、存続難しく
You Tubeを検索してみると、昨年7月12日に営まれた最後の棒練りの映像がありました。
これでおしまいなんだな、と思いながら見るからなんでしょうけど、とてもうらぶれてなんだかうら悲しいような印象をおぼえます。
日本全国あっちこっちで、似たようなことが相次いでいるものと思われますけど。
名張だってやはり似たようなもので、それが二年前であっても五年前であっても十年前であっても、過去に名張を歩いてみたことがあるというひとがいま名張のまちを再訪したとしたら、以前よりさらに寂れてしまったなあ、としみじみ実感することうけあいです。
もう少し嬉しくなるようなことをうけあいたいものですけど、嬉しくなるようなことは当地のどこにも見当たらず、しいていえば、今年も桜が咲きました、みたいなことをお知らせできる程度です。
では、きのうの午後3時25分に撮影した拙宅前の桜の写真をどうぞ。
さて、毎度おなじみの青空文庫には、ついにあの男が姿を現しました。
江戸川 乱歩:怪人二十面相: はしがき そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。 「二… https://t.co/5Y7kSAa3eN 青空文庫 #青空文庫
— 青空文庫新着情報 (@aozoranow) 2016年4月3日
乱歩の少年もの、青空文庫に初登場です。
底本には、漢字が少なくて読みやすいから、ということか、光文社の乱歩全集ではなく講談社の乱歩推理文庫が使用されております。
ちなみに、のちに乱歩の妻となる村山隆子が勤務していた坂手小学校は七年前、平成21・2009年の3月で廃校になってしまったそうです。
こちら、その直前の記事。
▼すばらしきみえ:平成20年8月号 > 特集/鳥羽の離島を訪ねて。> 坂手島
いくら少年ものがネット上に公開され、いくらでも無料で読めるようになったからといって、読んでくれる少年や少女がいなくなったんじゃなあ。
というか、乱歩の少年ものって、いまのお子供衆にはあまり読まれていないのかな?
ともあれ、いまから何かやっても結局あれかもしれませんけど、鳥羽の試みに幸多かれ、とお祈りしておきましょう。
名張はもう完全に駄目ですけど。
心ときめくような気分はまったくおぼえませんが、いよいよ4月です。
最近、鳥羽方面のニュースが妙に目につく感じなんですけど、きのうはこんなことがありました。▼伊勢新聞:水槽の中で入社式 鳥羽水族館、魚5000匹と(2016年4月1日)
鳥羽水族館は乱歩が勤務していた帝国汽船鳥羽造船所の跡地に立地しているわけですけど、乱歩の名を利用して鳥羽をPRするのであれば、坂手島は恋愛成就の島なんです、というだけではなくて、この鳥羽水族館や鳥羽みなとまち文学館から改称した江戸川乱歩館、あるいはミキモト真珠島、ついでですから乱歩が座禅を組んだ光岳寺、ほかにもまだあると思いますけど、乱歩ゆかりの場所や人物なんかをひっくるめてどーんと打ち出したほうがいいのではないか、と思われる次第ですが、そうも行かないのかもしれません。
津市、亀山市、鳥羽市、名張市ががっちりスクラムを組んだ乱歩都市交流会議のネットワークをもっと利用すればいいのに、とも思うんですけど、あんなものは活動実態のない幽霊ネットワークですから、何を期待することもできません。
鳥羽市の恋する鳥羽の会と名張市の乱歩蔵びらきの会とが協力して、「乱歩で合コン!」とか、「乱歩で婚活!」とか、そんな事業を仕掛けても面白いのではないか、みたいなことはまあどうでもいいとして、取材に訪れた鳥羽町立女子技芸学校で校長先生に合コンを持ちかけ、そのあとまもなく東京へ夜逃げしてしまった乱歩の『乱歩東海随筆』のほうは、まさしく人間のネットワークも視野に入れたほうがいいのではないかと思われてきました。
いってみれば鳥羽人脈なわけで、夜逃げした乱歩を慕って上京した鳥羽造船所の同僚なんてのが出てきたとしたら、やはりそれも東海随筆に数えるべきではないかしら。
たとえば、智的小説刊行会構想の相棒であった井上勝喜、乱歩が警察官に扮した探偵寸劇「ユリエ殺し」の作演出を担当した本位田準一、といったあたりはまさしく鳥羽人脈ですから、両人ゆかりのエピソードも拾っといたほうがいいのかな? とか考えはじめると守備範囲がどんどんどんどん広くなってきて、いやこれはまいったなあほんとに。
いつまでも寒くて困ったものだな、とか思いながらぼーっとしてるあいだにお誕生日を迎えて、六十三歳になってしまいました。
以前、もう三十年以上前のことになりますが、たった一度だけ謦咳に接する機会があった中井英夫は、同席していた澁澤龍彦から、「中井さんいくつになったの」
と尋ねられて、じつに真剣な表情で、
「もう六十三だよ。……誰の齢かと思っちゃう」
と答えていたことを私は鮮明に記憶してますけど、ほんと、誰の齢かと思っちゃう。
さて、時間がなくて報告が遅れましたけど、この一件。
▼2016年3月21日:名張はなにだが鳥羽もあれだぞ
そうだ、三重県には乱歩都市交流会議があるではないか、とひらめきました。
▼名張市:乱歩都市交流会議
ですからさっそく、名張市の担当セクションである企画財政部総合企画政策室へこんなメールを送信しました。
おはようございます。正義と真実の使徒、雄鶏屋ほんだわらでございます。乱歩都市交流会議に関して僭越ながらひとつお願いを申しあげたく、メールをさしあげる次第でございます。
読売新聞の3月20日付ウェブニュースとして、次のような記事が配信されました。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20160318-OYT1T50255.html
ここに記された江戸川乱歩と村山隆の恋愛と結婚にまつわるエピソードには事実誤認が含まれており、こうした誤った情報がワンマンウォーキングするのは望ましくないことであると考えられます。つきましては、鳥羽市から「恋する鳥羽の会」に対して正しい情報をお伝えいただくよう、名張市から鳥羽市に対してご要請いただけないものかと考え、勝手ながらお願いを申しあげる次第でございます。お手数をおかけして恐縮ではございますが、このメールを鳥羽市役所の乱歩都市交流会議担当セクションにご転送いただくだけでも話は通じるものと思われます。お聞き届けいただければまことに幸甚に存じます。
なお、乱歩は昭和32年に「妻のこと」という随筆を発表しており、下記のリンク先で全文をお読みいただけます。
http://www.e-net.or.jp/user/stako/20160321.pdf
この文章に目を通していただければ、乱歩の結婚をめぐる事情はほぼおわかりいただけるものと存じます。
以上、公務ご繁多のところまことに恐縮ではございますが、なにとぞよろしくお願い申しあげます。
2016/03/22
3月22日というと、連休明けの先週火曜日。
企画財政部総合企画政策室はその日のうちに鳥羽市役所に連絡してくれたそうで、翌日こんなメールが届きました。
昨日お問い合わせいただきました読売新聞の記事の件につきまして、当方にて記事及び中様のメールに添付いただいております「妻のこと」という随筆も拝見いたしまして、昨日鳥羽市役所へ電話にてお伝えをさせていただきました。
鳥羽市役所の担当の方から、対応結果について後日回答をいただくこととなっておりますので、回答が来次第、中様へ改めてご連絡差し上げます。
さらに翌日、3月24日に、というのは奇しくも私の誕生日だったんですけど、六十三なんて、ほんと、誰の齢かと思っちゃう。
それはともかく、総合企画政策室からこんなメールを頂戴いたしました。
まず、鳥羽市から回答を昨日いただきまして、鳥羽市の方から「恋する鳥羽の会」へ読売新聞記事の中様ご指摘の件につきましてお伝えをいただいたとのことです。
また、恋する鳥羽の会の方から、詳細について直接名張市に尋ねるとのことでしたので、本日当方より恋する鳥羽の会の会長であります尾崎徹様にお電話を差し上げまして、事情を説明いたしました。
尾崎様が記者へ伝えた内容としては、「坂出島は当時排他的な状況にあって、造船所で務める乱歩たちのことを「よそ者」として警戒していた。(隆も含め)」といった内容だったのですが、あのような記事になっていたということでした。
尾崎様自身も名張へ何度か足を運ばれ、乱歩を研究されている中様のこともご存知とのことでした。(ブログ等も拝見していますとのことでした。)
また、尾崎様より、「この件について、ご意見等があれば直接ご連絡いただければと思います。中様とも是非お話をしたいと思っていますので。」とのことでして、尾崎様の携帯電話の番号も聞かせていただいておりますので、お伝えいたします。
それで、24日と25日に一度ずつ、教えてもらった携帯の番号に電話してみたんですけど、なぜかつながらず、そのままに打ち過ぎて本日に至りましたが、話は通じたみたいですから、まあいいか、という感じになりました。
恋する鳥羽の会の設立総会を報じるウェブニュースは、こちらとなっております。
▼2016年3月25日:恋文で坂手島PR 「恋する鳥羽の会」設立総会
▼2016年3月26日:市民グループ|「恋する鳥羽の会」設立 坂手島活性化へ総会 /三重
名張市の企画財政部総合企画政策室をはじめ、お手数をおかけした関係各位に謝意を表するとともに、恋する鳥羽の会の発展を祈念しつつ、青空文庫のご案内。
乱歩作品第七弾は、奇しくも恋文をモチーフにした短篇となりました。
江戸川 乱歩:日記帳: ちょうど初七日の夜のことでした。私は死んだ弟の書斎に入って、何かと彼の書き残したものなどを取出しては、ひとり物思いにふけっていました。 まだ、さして夜もふけていないのに、家中は涙に… https://t.co/5j7BCvJai9 青空文庫 #青空文庫
— 青空文庫新着情報 (@aozoranow) 2016年3月18日
鳥羽を舞台にした「日和」の話題は、またいずれ。
江戸川乱歩展
平成28・2016年2月18日─3月15日
不思議博物館分室サナトリウム(福岡県福岡市中央区天神3-3-23)
平成28・2016年2月20日─3月13日
ギャラリィ亞廊(福岡県福岡市中央区平尾1-4-7)
▼不思議博物館分室サナトリウム:Home
▼ギャラリィ亞廊:没後50年記念作品展「江戸川乱歩展」
鳥羽造船所の「日和」は大正7年11月15日に第一号、12月15日に第二号が出たあと、乱歩が退職して上京してしまいましたから、第三号はかなり遅れて大正8年5月12日に発行され、それで廃刊となりました。
とか書いてるあいだに、鳥羽がひどいことになってるみたいです。きのう配信されたこのウェブニュース、びっくりするようなことが報じられておりますがな。
▼YOMIURI ONLINE:乱歩の出会いがあった島、恋愛成就でアピールへ(2016年3月20日)
坂手島を「2人が恋愛を成就させた島」と呼んでいいものかどうか、そのあたりもおおきに疑問なんですけど、とくにひどいのがここ。
具体的には、当初は交際を断っていた隆に対し、乱歩が「志摩はよし 鳥羽はなおよし 白百合の 真珠がごとき 君がすむ島」などの恋文を連日のように送ったとされる逸話にちなみ、短い恋文コンクールを企画。6月1日から9月30日まで、40~50文字のラブレターをインターネットで募集する。
じつは名張がそうなんですけど、どうやら鳥羽も同断らしく、ろくに乱歩作品を読みもせず、乱歩のことを知ろうともせず、ただ乱歩乱歩と口走ってるだけの手合いがぴーひゃらぴーひゃら、などとぼやいてみても仕方ありませんけど、こうなると『乱歩東海随筆』を早く出さなきゃいかんなあ。
というか、本にできるかどうか、あてはまったくないんですけど。
ではここで、本にするまで公開するつもりはなかったんですけど、なにしろ本にできる可能性がきわめて低いという事情もありますので、『乱歩東海随筆』の鳥羽篇から一点だけ、急遽仕上げたPDF版をごらんいただくことにいたします。
しかしこの一件、あした設立されるという「恋する鳥羽の会」とやらがとんでもない事実誤認をしていることは、いずれ遠からず明らかになるものと思われますけど、このまま知らん顔していていいのかしら、と三重県民のひとりとして悩まずにはいられません。
「日和」の話題は、またそのうちに。
乱歩ファンの新人映画監督が「黒蜥蜴」にオマージュを捧げつつ世に問う異色作、ということなんですけど、予告篇を眺めただけではなにがなにやらさっぱりです。
いっぽうこちらは、ごくごく一部でではありますが、熊なのにうちの小春ちゃんそっくり、ととても話題になってる映画です。
そんなことはともかく、なんか大変なことになってきてるのではないか、と思わされるのが、ものすごく面白いからぜひ本にするように、といったようなメールはただの一通も頂戴しておりませんが、地方目線の編集が光る『乱歩東海随筆』です。
ごらんいただけばおわかりのとおり、これまでに本になった乱歩の随筆から東海地方に関係のあるパートを切り貼りしてるわけなんですけど、なかには未刊のものもあって、たとえば102ページの「一行随筆」は、読売新聞の広告に使用されたあと本にも雑誌にも収録されたことがありません。
お読みいただけばおわかりのとおり、とくにどうということもない文章ですが、少年期を回想した随筆の断片のなかにひとつのピースとして嵌め込んでみると、それなりの彩りを帯びて収まってくれます。
じつはこれ、以前『江戸川乱歩執筆年譜』をつくっていたとき、ある日突然、平井隆太郎先生から、乱歩が新聞や雑誌に寄稿した短い文章の切り抜きのコピーを大量にお送りいただいたことがあって、ひとしきり狂喜乱舞したものでしたが、そのなかにあった文章です。
ですから、平井先生のご厚情にいささかでも報いるために、といってしまうと大げさですが、とにかくいつか公刊できればいいな、とぼんやり思っておりました。
これはいってみれば、平井先生から託された課題かもしれないな、という気もいたしますし。
ほんとに大げさですけど。
そんなふうに考えてゆくと、拾っておかなければならない未刊随筆が増えてきてしまいます。
たとえば鳥羽造船所に勤務していた当時、伊勢新聞に掲載された「哀愁の秋」という随筆が『貼雑年譜』に収録されていて、その気になればなんとか判読できますから、これも拾っといたほうがいいか、と考えてこんな感じになりました。
これなんかも、やはりとくにどうということのないおセンチな文章なんですけど、しかし、いまのお若い衆におセンチなどという言葉が通用するものかどうか、ちょっと不安な気もいたしますけど、そんなことはともかくとして、少年期を回想した随筆を読んだあとにこれが出てくると、乱歩が子供時代に感じていた孤独や疎外感、あるいは異端者の自覚と悲しみといったものが、青年期になってもずっと尾を引いていて、というよりさらに深いものになっていて、それが乱歩をしていっそう文学にのめり込ませていったことがわかります。
で、そうなると、鳥羽造船所の「日和」をスルーするわけにはいかんのやないか、とまた面倒なことに思い至ってしまいました。
乱歩が編集した「日和」の記事が引用された例は、私見の限りでは三重大学の尾西康充先生による「江戸川乱歩と鳥羽暴動私見」があるだけです。
▼三重大学:江戸川乱歩と鳥羽暴動私見(PDF)
とはいえ「日和」には、鳥羽造船所に勤務していた若き日の乱歩の姿がいきいきと浮き彫りにされていますし、のみならず、「日和」の記事は鳥羽の地域史研究にとって一級の資料ということにもなりますから、やはり一度、公刊しておくべきであろう、とまたほんとに面倒なことに思い至ったりしてしまいました。
しかし、なんか、やばいなあ。
やばい方向に暴走してる感じだなあ。
まず、青空文庫のお知らせ。
六番目は「心理試験」でした。江戸川 乱歩:心理試験: 一 蕗屋清一郎が、何故これから記す様な恐ろしい悪事を思立ったか、その動機については詳しいことは分らぬ。又仮令分ったとしてもこのお話には大して関係がないのだ。彼がなかば苦学見たいなこと… https://t.co/H8F48zBBfs 青空文庫 #青空文庫
— 青空文庫新着情報 (@aozoranow) 2016年3月5日
つづきまして、当地の話題。
名張市立図書館は、こんなことをばしておりました。
▼伊賀タウン情報YOU:市立図書館のネーミングライツ応募なし 再募集「当面はなし」(2016年3月3日)
名張市もいったい、なにを考えておるのか。
お金がないからこんなことまでしなくちゃならない、ということではあるにしても、あんな図書館の命名権、買い手がつくわけないやないか。
図書館といえば、こちら伊賀市の図書館問題。
▼伊賀タウン情報YOU:現庁舎地の利活用で提言書まとめる 図書館は外れる 伊賀市議会(2016年3月9日)
図書館がにぎわいを生む、というのは勘違いですから、図書館をスルーするのは正解だと思います。
さらに図書館といえば、あの図書館ではこんな動きがありました。
▼佐賀新聞:武雄市図書館の業務委託訴訟が結審 5月27日判決(2016年3月11日)
武雄市民有志が武雄市に対し、前市長の樋渡啓祐先生に一億八千万円の損害賠償を請求しろよおら、と求めている件ですが、樋渡啓祐先生といえば、忘れてならないのはあの先生。
このツイートは、以前にもご紹介申しあげました。
2016.03.30に東京で事後収賄罪疑惑樋渡啓祐公演会があることと、これに参加することを名張市 市議会議員 福田博行がゲロっております。 https://t.co/mn0J0yKHgR @dotyaku https://t.co/Yo4B46mVbx
— Protected ChaMiu (@Chamiu_IT) 2016年1月18日
そのあとはどうか、と見てみますと──
樋渡啓祐さんのメルマガ。|fukutaのブログhttps://t.co/uvpjhvGRi6
— 焼きプリン(特殊市民) (@baked_pudding) 2016年3月9日
正当な引用でも人権意識を疑う樋渡啓祐氏は、転記に及んだ信者福田ひろゆき氏の何を疑ってくれるのでしょうか。https://t.co/gSQppJhdvL
「メルマガのご意見・質問あったらください」って書いてるのに、具体的に感想寄せてるの名張市の福田ひろゆき市議のブログだけなんだよな。みな、本当に購読してんのかな。
— 浦島もよ (@monoprixgourmet) 2016年3月10日
前武雄市長の樋渡啓祐さんが、有料メルマガでご自身の振る舞いを棚に上げるような発言をされ、それが表に出てきたのが、その発言を肯定する福田ひろゆき名張市議のブログ記事と知って思わず天を仰いだ。
— 某氏 (@hatunknown) 2016年3月10日
『樋渡啓祐さんのメルマガ。』 名張市会議員福田ひろゆき氏のブログ記事です。https://t.co/zeufwQdLZY
— 某氏 (@hatunknown) 2016年3月10日
いやー、名張市議会清風クラブの福田博行先生はいまや、一億八千万払えよおらと武雄市からせっつかれることになるかもしれない樋渡啓祐先生の数少ない、というか、もしかしたらこの地上にたったひとり存在するだけなのかもしれない支持者として全国に勇名を馳せていらっしゃるようです。
試みに、「樋渡啓祐さんのメルマガ」でツイッターを検索してみましょう。
▼Twitter:樋渡啓祐さんのメルマガ
かなり話題にしていただいていて、名張市民としてもなにやら嬉しくなってまいります。
数あるツイートのなかから、私の心にとくに響いた逸品をご紹介。
『樋渡啓祐さんのメルマガ。』
— SeijiMatsuda (@SeijiMatsudaSAC) 2016年3月9日
⇒ https://t.co/lzoBhLjRHw
この名張市の議員はアホなのか?
任期を残して知事選に打って出て玉砕して天下りしている #hiwatter を、逃げではないとコメントしちゃうようなヤツが公職に就いているのはマジで頭が痛い。
へえ、あほでございます、とは、名張市民のひとりとして、あまりいいたくないしなあ。
まあ、福田博行先生三部作へのリンクでも設定しときますか。
▼伊賀別筆:http://www.e-net.or.jp/user/stako/20151101.pdf
▼雄鶏屋新聞:http://www.e-net.or.jp/user/stako/20151107.pdf
▼まけないぴろたんへこへこまがじん(おためしひん):http://www.e-net.or.jp/user/stako/20151207.pdf
がんばれ〜。
福田博行先生も、樋渡啓祐先生も、どっちもがんばれ〜。
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