寒い一日になりそうですが、本日は藍峯舎版『奇譚』、本文の体裁をごらんいただきます。
こちら二度目の校正刷り、序文の最初のページです。ご予約はどうぞお早めに。
▼藍峯舎:Home
こちらでもお買い求めいただけます。
予約停止中となっていた江戸川乱歩『奇譚』(藍峯舎)ですが、入荷数を増やしていただける事になりましたので予約再開いたします。通販サイトよりご注文ください。→https://t.co/5unyFRXk4C
— 盛林堂書房 (@seirindou) 2016年11月23日
それではまたあした。
▼藍峯舎:Home
さっそく予約して、代金も支払いました、とメールをお寄せくださったかたもいらっしゃいます。
ツイッターでも予約完了の報告がされていて、なかにはこんなツイートも。
藍峯舎『奇譚』かなり早いペースで売れてます。早々に品切れもあるかも…。
— 古書きとら Old&Rare Books (@kosho_kitora) 2016年11月22日
ご予約はどうぞお早めに。
それから、こんなツイートもありました。
『挿絵叢書 竹中英太郎』全三巻がそろいました。ここには収録されていない江戸川乱歩「陰獣」の挿絵が一番好きです。「大江春泥画譜」と併せて、藍峯舎が豪華本で出してくれないかな。 pic.twitter.com/YR21YV7fl8
— 三津田信三 (@shinsangenya) 2016年11月21日
これは無理だと思います。
藍峯舎の『鬼火』は、竹中英太郎の原画が奇跡的に残っていたおかげで出版に至りましたが、原画はないけど掲載誌の挿絵をスキャンして、みたいなことでは、とても豪華本は刊行できないと思われます。
「鬼火」の原画がなぜ残っていたのかというと、博文館のある社員が、正史に懇願して「鬼火」の原稿と原画を譲り受け、大切に保管していたのですが、正史が死去したあと、それを正史の遺族に返却した、といういきさつがあったからです。
「陰獣」と「大江春泥画譜」の出版は、むしろ皓星社「挿絵叢書」の補巻か何かみたいなかたちで手がけていただければありがたいな、と思います。
藍峯舎の『奇譚』は刊行がやや遅れ、あした予約受付を開始して、発行は12月ということになっております。
▼藍峯舎:Home作業のほうはようやく三度目の校正を終え、あとは責了。
気になるお値段は二万二千円とのことですが、原本のスキャンを含めたCD-ROM関係の費用が高くついているものと推測されます。
キンドル本『涙香、「新青年」、乱歩』のほうはまだお値段がまだ決まってなくて、お値段どころかロイヤリティのレートも未定。
35%か70%か、どちらかを選ばなければなりません。
70%の一択だろう、と思っていたのですが、その道の先達のかたにお訊きしてみますと、いろいろな仕組みが設定されていて、単純に七十パーを選択もできない感じです。
そんなことはともかくとして、藍峯舎版『奇譚』をよろしくお願いいたします。
こちらでもあす午前0時、予約受付スタートです。
江戸川亂步『奇譚』藍峯舎
— 古書きとら Old&Rare Books (@kosho_kitora) 2016年11月20日
ー伝説の「稀書」の全貌が、100年の時を超えついに公開される!ー
限定250部記番入 布装三方銀 CD-ROM付 12月刊行予定https://t.co/0fz8I2v43V
11月22日(火)午前零時より『古書きとら』サイトにて予約受付開始致します! pic.twitter.com/yaqZpWj0Jq
即完売、ということはないと思いますけど、ご予約はどうぞお早めに。
きのう午前11時48分ごろ、和歌山県南部を震源とする地震がありました。
▼朝日新聞デジタル:和歌山や大阪などで震度4当地ではさほどの揺れもなく、というか、私はその時刻、名張市元町にある大型商業施設リバーナ三階のスガキヤでラーメンを食べていたのですが、地震にはまったく気がつきませんでした。
ご心配いただいたかたはひとりもなかったものと思いますが、まあどうぞご休心ください。
さて、キンドル本『涙香、「新青年」、乱歩』の件ですが、ロイヤリティを受け取るため銀行に口座を開設しなければならなくなりました。
というのも、なんですか電子資金振替とかいうのを扱ってる銀行でなければだめみたいで、私がふだん原稿料を振り込んでもらってる銀行ではそれができないらしいからです。
で、新生銀行というのが手数料ゼロ円だからいいですよ、と聞き及び、じゃあそこで、ということにしたんですけど、口座開設には二週間くらいかかるとのことです。
キンドル本出版まで少しインターバルが生じましたので、おまけをひとつつけることにしました。
おまけというのは昔、『横溝正史研究4』に書いた「『陰獣』から『双生児』ができる話」という短い文章で、「涙香、『新青年』、乱歩」が百十八枚、「『陰獣』から『双生児』ができる話」が十六枚、〆て百三十四枚ということになります。
おまけをつける作業はきのう終わり、次はいよいよ「二銭銅貨」だな、と思ってあれこれやってるときのことでした。
私はびっくりしてしまいました。
のけぞるほどびっくりしてしまいました。
今年最大の驚きでした。
何に驚いたのか。
冗談、という言葉がありますが、これを旧仮名遣いで表記すると、じょうだん、ということになります。
けっして、じゃうだん、ではありません。
うっそー、とお思いなら、お手もとの国語辞典や古語辞典でご確認ください。
むろんこれは、「二銭銅貨」の暗号の話です。
ですから初出の誌面でも、「御冗談」には「ごじようだん」とルビが添えられています。
「新青年」大正12年4月春季増大号のスキャン画像をお目にかけます。
きのうこの事実に気がついたときには、いやもう死ぬほどびっくりしてしまいましたがな。
あまりにもびっくりしてしまったせいで、NHK BSの「獄門島」を見逃してしまいましたがな。
あ、と思ってテレビをつけたときには、長谷川博己さん扮する金田一耕助が船で獄門島を離れるところでしたがな。
それはそれとして、ほんとに君、この「ゴジヤウダン」というのは何だろう、という話なわけです。
乱歩は「冗談」を仮名表記すると「じゃうだん」になると思い込んでいた、としか思えません。
ほんとは「じょうだん」だ、と気がついた人間も周囲にはいたはずですけど、なにしろ練りに練った暗号ですから、間違ってますよ、などと無慈悲なことはとてもいえなかったということでしょう。
それにしても、「二銭銅貨」の暗号には点字のみならず仮名遣いにも誤りがあったなんて、乱歩ってじつは相当うっかりした人であったのかもしれません。
さすが11月。
本格的に寒くなってきました。というか、今年も残り少なくなって、なんとなく心せかれるきのうきょうですが、藍峯舎版『奇譚』は、先日もお知らせいたしましたとおり、三度目の校正刷りが出てくるのを待っているところです。
いっぽう、とりあえず電子書籍をつくってみる、という話のほうは、ずーっとほったらかしになってたんですけど、藍峯舎版『奇譚』が一段落したので作業を再開し、とにかくありもののテキストを利用しようってんで、六年前にPDF版で発行した『涙香、「新青年」、乱歩』をキンドル本に仕立ててみることにいたしました。
ですから、ネット上のPDFはすでに削除済み。
テキストはそのままつかえるんですけど、DTPソフトの割註という機能を利用して書いた点字は、電子書籍では割註なんてつかえませんので、画像にして埋め込むことにしました。
こういうやつです。
うまく埋められるかしら、とちょっと不安。
新たに書いた文章はごく短いあとがきだけですが、難しい漢字にはルビを添えたほうがいいだろう、と思いついて、これからその作業にかかるところです。
しかし、キンドル関係の手つづきがまったく進んでなくて、大丈夫かしら、とちょっと不安。
このページで手つづきするわけですけど。
▼Kindle ダイレクト・パブリッシング (KDP) へようこそ:Home
なんか、面倒そう。
『奇譚』が先か、『涙香、「新青年」、乱歩』が先か。
どうなることやらさっぱりわかりません。
ちょっとさらしときますね。
こちら名張市議会議員、福田博行先生のブログにおける10月29日付エントリです。▼名張市議会議員 福田ひろゆき です|fukutaのブログ:御前ドクターのお話・ゴルフ(2016年10月29日)
このエントリに10月30日、こんなコメントを投稿したんですけど。
おはようございます。雄鶏屋ほんだわらと申します。いつも名張市勢の進展にご尽力をたまわり、市民の一人としてお礼を申しあげる次第でございます。さて本日は、名張市立図書館が死蔵している寄贈図書について、僭越ながらお知恵を拝借したいと考え、この場をお借りすることにいたしました。名張市議会の先生がたのなかでも昨年12月29日、佐賀県の武雄市図書館を視察された九人の先生がたは図書館に関して関心も造詣も深くていらっしゃると拝察し、そのなかでももっとも市議会議員としてのキャリアが長くていらっしゃる福田先生にぜひともお力添えをいただきたく、失礼は承知でこのようなお願いを申しあげている次第でございます。つきましては近く、十分か二十分、拝眉の機を頂戴して具体的なお願いを申しあげたく、ご多用中まことに恐縮ではございますが、もしもお聞き届けいただける場合は、このコメントへのご返信でその旨をお知らせいただきますよう、勝手ながらお願いを申しあげる次第でございます。なお、この問題に関しましては、平成19年6月定例会で名張市長が「寄附を受けております推理小説等数千冊、あるいは乱歩の関連資料などの活用につきましても、あわせて検討を進めてまいりたいと思っております」(名張市公式サイトの会議録から引用)とお約束になったにもかかわらず、とくに検討もなされないまま現在に至っていることを申し添える次第でございます。なにとぞよろしくお願い申しあげます。
文中、「昨年12月29日」とあるのは正しくは「昨年10月29日」なんですけど、それはそれとして、福田博行先生のブログのコメントは承認制になっているらしく、投稿しても検閲にひっかかるとエントリに反映されないみたいです。
福田先生のサイトに掲載されているブログ記事の紹介では、10月29日付エントリ「御前ドクターのお話・ゴルフ」そのものがなかったことになってます。
▼福田博行 | 名張市市議会清風クラブ:Home
福田ぴろたん先生、あいかわらずでいらっしゃるなあ。
『奇譚』百年の今年、藍峯舎版『奇譚』は年内に出るのか、と不安にお思いのかたもいらっしゃるかもしれません。
ツイッターを検索してみますと、心待ちにしてくださってるかたも。藍峯舎第六弾の江戸川亂步「奇譚」が11月刊行とのこと。楽しみです。 https://t.co/kAERzUd1O7
— b-snow (@bsnow_96) 2016年9月2日
藍峯舎さんの『奇譚』、早く出ないかな。
— うがぴょん (@ugapyon) 2016年10月20日
早稲田大学在学中の江戸川乱歩が作成した、全240頁の幻の手製本「奇譚」を藍峯舎が復刻予定です。原本全ページを収録したCD-ROM付き。https://t.co/qF0RYaCbz1 pic.twitter.com/mI6wRkIsUV
— 愛書家日誌 (@aishokyo) 2016年10月21日
ただいま、印刷屋さんから三回目の校正刷りが出てくるのを待ってるところです。
もうしばらくお待ちいただきたいと思います。
11月3日は文化の日ですが、乱歩生誕地碑建立記念日でもあります。
名張市新町、桝田医院中庭で乱歩の生誕地碑が除幕されたのは昭和30年11月3日。いまから六十一年前のことになります。
その後、昭和34年9月26日に当地を襲った伊勢湾台風で一帯は床上浸水の被害を受け、その復旧にあわせて桝田医院中庭に住居が増築されたため、生誕地碑は細い路地をへだてて建てられていた桝田医院第二病棟の庭に移転しました。
この病棟は、新町に隣接する本町にありました。
その第二病棟の敷地と建物が名張市に寄贈され、乱歩生誕地碑広場に生まれ変わって、その完成記念式が営まれたのは平成21年、西暦2009年2月28日のことでした。
で、思い立って、けさ、乱歩生誕地碑を見てまいりました。
表通りの本町側ではなく、裏通りの豊後町側からアプローチしました。
こんなとこ、通ってくんです。
生誕地碑広場に到着。
整地しただけで放棄された怪しげな神社建築予定地みたいなスポットです。
生誕地碑に寄ってみましょう。
建立記念日だといっても、花が手向けられてたりするわけではまったくありません。
さ、帰ろっと。
広場から出たら、猫がいました。
猫がどっかへ逃げてって、猫がいた場所を少し通り過ぎたあたりで、左を見る。
一軒家が取り毀された跡地は、雑草の丈高い繁茂に覆われていた。
この界隈、さびれっぷりが半端ありません。
猫は立ち話をしていても、人間は人っ子ひとり見かけません。
「猫町」かよ。
「猫の泉」かよ。
この建物は文化遺産です。
▼文化遺産オンライン:川地写真館 かわちしゃしんかん
以上でごんす。
それにしても、なんだかさみしいことに、また申しわけなくも情けないことに、生誕地碑建立記念日であろうが、生誕百二十年であろうが、歿後五十年であろうが、パブリックドメイン元年であろうが、名張市において乱歩がらみで何かがある、なんてことはまったくありませんでした。
これから先も、何もないと思います。
ちなみに今年は、『奇譚』百年にして就職百年。
ということは、来年がバックレ百年で鳥羽居住百年。
再来年は「日和」百年。
その次の年は三人書房百年にして結婚百年。
その次が「二銭銅貨」構想百年。
その次が長男誕生百年。
その次が「二銭銅貨」執筆百年。
さらにその次、2023年が乱歩デビュー百年ということになります。
しかし、名張市ではこの先、乱歩がらみではほんとになんにもないと思います。
お金もないし、知恵もない。
せめて名張市立図書館が、図書館としてごくふつうに乱歩に向き合っていればいいんですけど、とても無理みたいです。
もう乱歩関連資料も、ということはつまり、たとえば先月出た乱歩の著作でいえば新潮文庫『怪人二十面相』とか集英社文庫『黄金仮面』とか、そういったものももう購入してないのではないかと思われます。
どうもすいませんね。
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