Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2016.12.19,Mon
おかげさまで、キンドル本出版に必要な銀行口座をめでたく開設することができました。
あとはKDP、すなわちキンドルダイレクトパブリッシングのためのアカウント登録を、ということになるわけですが、おりあしく年末進行の時期に重なったせいで手が回らない状態です。
それでは、本日はこのへんで、なんてことではあまりにも愛想というものがありませんから、今年6月の「深川の人形作家 石塚公昭の世界」で披露された「屋根裏の散歩者」をご覧いただくことにしましょうか。
それでは、本日はこのへんで。
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Posted by 中 相作 - 2016.12.12,Mon
お寒うございます。
ご心配をおかけしておりますキンドル本、手つづきが遅れ気味で足踏み状態がつづいております。いっぽう、藍峯舎版『奇譚』は公式サイトで書影が公開されました。
▼藍峯舎:Home
どちらさまもご予約はお早めにどうぞ。
さて、おあとは「二銭銅貨」の話題を少々。
「二銭銅貨」の暗号を初出の「新青年」大正12年4月号にもとづいて新たに作成した図表がこちらです。
本文には、松村のせりふとしてこう記されています。
ゴケンチヨーシヨージキドーカラオモチヤノサツヲウケトレウケトリニンノナハダイコクヤシヨーテン。つまり、五軒町 の正 直 堂 から玩具の札を受取れ、受取人の名は大黒屋商 店といふのだ。
初出誌は総ルビですが、上の引用では必要なところだけにルビを添えました。
つまり、「五軒町」は「ゴケンチヨー」ではなくて「ゴケンチヤウ」、「正直堂」は「シヨージキドー」ではなくて「シヤウヂキダウ」、大黒屋商店は「ダイコクヤシヨーテン」ではなくて「ダイコクヤシヤウテン」、というのが当時の一般的なルビだったわけなんですけど、全然そうなってませんから、もしかしたら乱歩はそんなことは頭から無視して、音がいっしょなんだから表記なんかどうでもいいじゃないか、みたいな感じで暗号をつくったのかもしれません。
しかしそうなると、なぜ「ゴジヨウダン」ではなくて「ゴジヤウダン」にしたのかがわからない。
というか、そもそも拗音符や長音符をつかう必要なんてなかったのではないか、という気もしてきますし。
どうもようわかりません。
Posted by 中 相作 - 2016.12.10,Sat
Posted by 中 相作 - 2016.12.09,Fri
きょう12月9日は平井隆太郎先生のご命日です。
平井先生を偲んで、先生が豊島区の「広報としま」に六回にわたって連載された「わたしの豊島紀行」から、第一回の一節をご紹介申しあげます。掲載は第九百四十六号、発行は平成7・1995年1月15日。
私共一家が現在の立教大学前に転居して来たのは昭和九年七月のことである。閑静で空気がきれいというのを父が気に入ったのであった。東京で一番空気の澄んだ土地という当時の新聞の調査結果の切り抜きが書斎に置いてあったのを覚えている。
その前は泉岳寺近くの芝区車町八番地に一年ほど住んでいた。現在も史跡が残っている大木戸に面した横町の家であった。しかし第一京浜国道が目と鼻の場所だったので父は騒音を嫌って僅か一年足らずで引き払った。新青年に掲載予定の【悪霊】の筆が進まず父は苦吟の最中だったから一層不快だったのであろう。当時の父は国道に面した二階を寝室にしていたので騒音が直撃したのである。府立五中(今の小石川高校)の二年生になったばかりの私は家のすぐ前の田町九丁目の市電停留所から駕籠町の学校まで約五十分の電車通学であった。朝すこし早目に出ると三十分で学校に着くこともあった。その頃の市電は邪魔な自動車など数えるほどしか走っていなかったし、また停留所に客がいなければフルスピードで飛ばしてしまうので現在からは想像外の短時間で駕籠町まで行けたのである。
車町の横町路地の突き当たりには囲碁の木谷実さんが住んでいたのでこの路地には名人横町の別名があったそうである。我が家の前住者は当時有名だった谷孫六さんだった。谷さんも今風に云えば財テク指南で名をなした人である。家の直ぐ向かいには浜口熊岳という気合い術の先生がいて朝からエイヤアと凄まじい掛け声が聞こえていた。年中はだか一貫で近所のおかみさん連中を追いかけまわす悪癖の持ち主でもあったが、気合いで病気を直すという触れこみで新聞にも紹介され結構有名人であった。もっとも父は明るい中は寝ていたから池袋転居は熊岳道場の騒音を気にしたわけではなかった。
東京で一番空気が澄んでいた池袋、フルスピードで突っ走る市電、裸で主婦を追い回す気合術の先生。
まさに「現代からは想像外」のディテールがとても興味深く思われます。
それでは、あらためて平井隆太郎先生のご冥福をお祈り申しあげつつ。
Posted by 中 相作 - 2016.12.08,Thu
きのう新生銀行から郵便でキャッシュカードやなんかが届き、同封の書類によると私の口座は12月1日に開設されたらしいんですけど、その口座をつかって海外からの送金を受け取るためにはまた別の手つづきが必要だとのことです。
やんなっちゃう。とにかくこれで、私のキンドル本第一号、12月10日発行の線はなくなりました。
呪われなくてよかった、とは思いますけど、年内に出せるかどうか。
とりあえず、12月20日をめどに手つづきを進めたいと思います。
Posted by 中 相作 - 2016.12.04,Sun
電子全集最新配信版で「怪人二十面相」をばらばら読み返していて、二十面相が帝国博物館で捕縛されたのは12月10日であったことを知りました。
ああ、呪われた12月10日。二年前には「伊賀一筆」創刊兼終刊号の発行日が12月10日、つまり図らずも中井英夫の命日になってしまいましたが、いっそキンドル本『涙香、「新青年」、乱歩』の発行日も12月10日にしてしもたろか、と思わないでもありません。
しかし、銀行の口座がまだ開設できてませんから、身動きとれないわけですけど。
それにしても、乱歩パブリックドメイン元年の今年は、なんだか乱歩に追っかけられてるような一年でした。
追はれてゐるつもりで追つてゐるのか。
追ってゐるつもりで追はれてゐるのか。
そして最後に勝つのはこつちさ。
いやいや、とても勝てそうにありません。
Posted by 中 相作 - 2016.12.01,Thu
売れてるんだか、売れてないんだか、さっばりわかりませんけどたぶん売れてないんだろうなと思われる小学館の江戸川乱歩電子全集は11月25日の第十回配信分でいよいよ少年ものの世界に突入しました。
▼小学館:江戸川乱歩 電子全集10 ジュヴナイル第1集「怪人二十面相」から「大金塊」まで戦前の四作品が一挙に収録されておりますが、初出の誌面そのままの旧仮名遣い、しかも、来月号につゞく、のあとの煽り文までしっかり収めた内容です。
ちなみに、「はしがき」の一節。
このお話は、さういふ出没自在、神変不可思議の怪賊と、日本一の名探偵明智小五郎との、力と力、智恵と智恵、火花を散らし、鎬を削る、一騎討の大闘争の物語です。
あるいは、「巨人と怪人」の一節。
剣道の達人と達人とが、白刃を構へて睨み合つてゐるのと、少しも変りはありません。気力と気力の戦です。鵜の毛程の油断がたちどころに勝負を決してしまふのです。
いっぽうこちら、藍峯舎版『奇譚』の一節。
名探偵の聞えある hero が富豪の死と毒蛇とを結付け遂に婿となる青年を疑って、彼と花々しい頭脳の戦、意志の戦を開く。そして遂に真相を曝くと云う筋。原作者は知らぬ人だが必ず近頃の人であろうと思われる。近頃の仏蘭西の探偵小説に見る様な、悪人と探偵との精力の争い、剣道の達人が気合を以て勝負を争う、あの種類の心の力の争いを描いた所にその近代的特徴が現れて居る。
あるいは、こんな一節。
大探偵と大盗賊の力比べ実に面白い。Holmes 等は探偵一人角力なるに反しこれは盗賊も力があるので華やかな角力を見る様な快感が伴う。
『奇譚』に描かれたこうした興趣を自作で実現したのが「怪人二十面相」であった、ということになります。
『奇譚』は大正5年、「怪人二十面相」はその二十年後の昭和11年。
『奇譚』は乱歩について、さまざまなことを考えさせてくれる一冊です。
▼藍峯舎:Home
ご予約はお早めにどうぞ。
Posted by 中 相作 - 2016.11.28,Mon
キンドル本を出版するため新生銀行に口座を設ける手つづきをしたところ、身分証明用にコピーした運転免許証に一部不鮮明なところがあった、とかなんとかそんな理由でやり直しが必要になりました。
いろいろ面倒でいやになります。藍峯舎版『奇譚』のほうは、順調に印刷製本の作業が進行しているものと思われます。
どちらが先になるのか、確たるところはわかりませんが、同日発行、ということにしても面白いのではないか、という気もしてまいりました。
キンドル本の表紙は、こんな感じになりました。
私のもってるキンドルペーパーホワイトはモノクロ表示ですから、この表紙画像をモノクロにしたらどんな感じになるか、そのあたりも確認しておかなければなりません。
というか、表紙はともかく中身がちゃんとつくれるのかどうか、やや不安。
Posted by 中 相作 - 2016.11.26,Sat
本日は藍峯舎版『奇譚』の話題はお休みです。
かわりにキンドル本の話題をお届けいたします。キンドル本を発行するには、内容を紹介する文章が必要になります。
KDP、すなわちキンドル・ダイレクト・パブリッシングの説明書には「本の内容紹介を入力します(30~4,000 文字)」とあります。
試作してみました。
私の探偵趣味は「絵探し」からはじまる──。
戦後の混乱がつづく昭和二十四年七月、江戸川乱歩は月刊誌「新青年」に自伝を連載することになり、幼いころ夢中になった絵探しの回想から稿を起こした。だがその原稿は封印され、「涙香心酔」と題した章に「涙香本の、あの怖いような挿絵をのぞいたり、その絵の簡単な説明を聞かせてもらったりした」思い出を綴って、乱歩は長い自伝の起点とする。
絵探しに発したという乱歩の探偵趣味は、その作品にどう反映されているのか。乱歩はどうしてその夏、自伝の執筆を始めなければならなかったのか。絵探しの記憶はなぜ秘められ、黒岩涙香をめぐるエピソードにすり替えられてしまったのか……。
涙香、「新青年」、乱歩、とつづく一本の道をトレースした自伝『探偵小説四十年』に江戸川乱歩最大のトリックを探り、ミステリー文学資料館(東京都豊島区池袋三丁目)の連続講座「『新青年』の作家たち」で圧倒的な反響を呼んだわけではまったくなかった講演に大幅に筆を加えた実話読物「涙香、『新青年』、乱歩」(四百字百十八枚)がキンドル本になりました。
昭和三年発表の「陰獣」にまつわる乱歩と横溝正史の確執を浮き彫りにした「『陰獣』から『双生児』ができる話」(四百字十六枚)を併録。戎光祥出版の『横溝正史研究4』(本体二四〇〇円)でもお読みいただけますが、このキンドル本のほうがずっとお安くなっております。
このキンドル本に登場する人名は次のとおりです。
明智小五郎、鮎川哲也、伊東四朗、稲垣足穂、巖谷小波、宇野浩二、浦島太郎、海野十三、江戸川乱歩、大江春泥、大下宇陀児、大杉栄、尾崎。
開高健、怪人二十面相、神近市子、川西政明、菊池幽芳、北川、紀田順一郎、北村薫、クイーン、黒岩涙香、甲賀三郎、郷田三郎、小酒井不木、小林信彦、小松、権田萬治、今野。
坂口安吾、佐藤績、沢木耕太郎、澁澤龍彥、島田荘司、昭和天皇、新保博久、左右田五郎。
高木、高木彬光、谷崎潤一郎、チェスタトン、角田喜久雄、ドイル、ドストエフスキー、戸塚睦夫、富田。
中島河太郎、中相作、長山靖生、夏目漱石、南波杢三郎、西田政治、延原謙、野村胡堂。
芭蕉、馬場孤蝶、ハムレット、林不忘、氷川鬼道、久生十蘭、平井太郎、ポー、本堂三木三。
牧逸馬、三島由紀夫、水谷準、三千子、三波伸介、村上裕徳、森下雨村。
柳下、山前譲、横溝正史、横溝武夫。
このキンドル本に登場する犬の名前は次のとおりです。
犬の小春。
文章量は、一行空きも含めて四百字で四枚。
約千六百文字ですから、まずは妥当なところだと思います。
Posted by 中 相作 - 2016.11.25,Fri
本日も『奇譚』のご案内です。
▼藍峯舎:Home『奇譚』の原本はカタカナ表記で、むろん旧仮名遣いとなっておりますが、藍峯舎版『奇譚』はひらがら表記で現代仮名遣い、漢字は新字体、ということになっております。
そのあたりのことは解題にもちょっと書きましたので、一ページだけごらんいただくことにいたします。
本日は以上です。
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