Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2016.12.01,Thu
売れてるんだか、売れてないんだか、さっばりわかりませんけどたぶん売れてないんだろうなと思われる小学館の江戸川乱歩電子全集は11月25日の第十回配信分でいよいよ少年ものの世界に突入しました。
▼小学館:江戸川乱歩 電子全集10 ジュヴナイル第1集「怪人二十面相」から「大金塊」まで戦前の四作品が一挙に収録されておりますが、初出の誌面そのままの旧仮名遣い、しかも、来月号につゞく、のあとの煽り文までしっかり収めた内容です。
ちなみに、「はしがき」の一節。
このお話は、さういふ出没自在、神変不可思議の怪賊と、日本一の名探偵明智小五郎との、力と力、智恵と智恵、火花を散らし、鎬を削る、一騎討の大闘争の物語です。
あるいは、「巨人と怪人」の一節。
剣道の達人と達人とが、白刃を構へて睨み合つてゐるのと、少しも変りはありません。気力と気力の戦です。鵜の毛程の油断がたちどころに勝負を決してしまふのです。
いっぽうこちら、藍峯舎版『奇譚』の一節。
名探偵の聞えある hero が富豪の死と毒蛇とを結付け遂に婿となる青年を疑って、彼と花々しい頭脳の戦、意志の戦を開く。そして遂に真相を曝くと云う筋。原作者は知らぬ人だが必ず近頃の人であろうと思われる。近頃の仏蘭西の探偵小説に見る様な、悪人と探偵との精力の争い、剣道の達人が気合を以て勝負を争う、あの種類の心の力の争いを描いた所にその近代的特徴が現れて居る。
あるいは、こんな一節。
大探偵と大盗賊の力比べ実に面白い。Holmes 等は探偵一人角力なるに反しこれは盗賊も力があるので華やかな角力を見る様な快感が伴う。
『奇譚』に描かれたこうした興趣を自作で実現したのが「怪人二十面相」であった、ということになります。
『奇譚』は大正5年、「怪人二十面相」はその二十年後の昭和11年。
『奇譚』は乱歩について、さまざまなことを考えさせてくれる一冊です。
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