Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2010.10.16,Sat
横溝正史に「仮面舞踏会」という長篇があり、角川文庫版の巻頭には「──江戸川乱歩に捧ぐ──」との献辞が添えられている、とメールで教えてくださった方がありましたので、きのうあわてて角川文庫を購入してまいりました。「金田一耕助ファイル」と銘打たれたシリーズの一冊で、正史はたしかにこの著作を乱歩にデディケートしています。
これはどうやらいわくつきの長篇らしく、昭和37年7月から翌38年2月まで「宝石」に連載されて中絶し、十年以上のときを隔てて昭和49年11月、新版横溝正史全集の第一回配本として書き下ろしで刊行されたとのことです。このときすでに乱歩への献辞があったのか、あるいは角川文庫に入るにあたって新たに献辞が加えられたのか、いずれとも見当がつかず、ちょっと検索してみたらこんなページにぶつかりました。
▼横溝正史エンサイクロペディア:『仮面舞踏会』連載中断の謎
引用。
◆献辞
講談社『新版横溝正史全集17 仮面舞踏会』ならびに同社ソフトカバー版では、 「つねにわが側なる江戸川乱歩に捧ぐ」とある。
これは二人が朋友であることに合わせて、
雑誌「宝石」に連載(S.37/7-S38/2中絶)していた「仮面舞踏会」に対し、
「乱歩が音頭をとって還暦祝いをしてくれたその席で、横溝はえらいものである、 このトシで長篇に手をつけていると、大いに賞揚してくれた」(*)ことに、 横溝正史が応えたものととることもできよう。
(*)「一杯亭綺言」(小説推理1974/8,新版横溝正史全集18『探偵小説昔話』収録
角川文庫『仮面舞踏会』解説でも、「つねにわが側なる~」と紹介されているのだが、 当の角川文庫の扉ウラでは「江戸川乱歩に捧ぐ」だけになっている。 現行文庫でも同様であり、意味するところが不明である。
角川文庫は何を考えておるのか。献辞に意味不明な改変を加えたらしいのもむろんいただけないことだけど、この金田一耕助ファイル版『仮面舞踏会』からは昭和51年の初版にあったという大坪直行さんの「解説」が消えてしまっておるではないか。どんならんなほんまに、とぼやきつつ10月7日付エントリ「横溝正史江戸川乱歩関連年譜」に『仮面舞踏会』のことをしっかり追記し、そのあと正史が乱歩に捧げた長篇をしみじみ読み始めたいと思います。
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