Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2010.10.02,Sat
探偵小説にくわしい方から別件の教示をたまわったところ、『幻影城』に収められた「探偵小説叢書目録」に誤記がある、とついでに教えていただく仕儀となりました。
「探偵小説叢書目録」は昭和14年に出た新潮社版乱歩選集第九巻『孤島の鬼』巻末の「探偵小説十五年(九)」をもとにした目録で、誤記があったのは昭和4年から5年にかけて刊行された春陽堂の「探偵小説全集」の項。全二十四巻で、第五巻が「横溝正史集」とされているのですが、これは正しくは横溝正史と水谷準の二作家で一巻を編んだものでした。
論より証拠。お送りいただいた画像をご覧いただきましょう。
■20101002a.jpg
■20101002b.jpg
ちょっと調べてみたところ、面白いことがわかりました。歿後第一次の乱歩全集、講談社から刊行された全十五巻の全集ですが、1970年に出た第十五巻『幻影城(正・続)』では「探偵小説叢書目録」に訂正が加えられ、春陽堂の探偵小説全集の第五巻は「横溝正史集」、第六巻は「水谷準集」だったことにされています。存在していない水谷準の巻を割り込ませたものですから、この全集は全二十四巻ではなく全二十五巻であった、ということになってしまいました。もう無茶苦茶。
歿後第二次の講談社版全集になると、さらに修正が施されます。1979年の第十八巻『幻影城』、くだんの探偵小説全集の第五巻は「横溝正史集・水谷準集」であると正しく記録されていて、巻数も全二十五巻から全二十四巻に戻されました。これは1987年の講談社乱歩推理文庫第五十一巻『幻影城』にも踏襲されていたのですが、2003年の光文社文庫版乱歩全集『幻影城』では初刊に回帰し、第五巻は「横溝正史集」となっています。正しくは「横溝正史集・水谷準集」あるいは「横溝正史・水谷準集」であると、ここに訂しておく次第です。
PR
カレンダー
開設者
中 相作:Naka Shosaku
ブログ内検索
リンク
カテゴリ
エントリ
(06/19)
(12/16)
(08/03)
(03/26)
(01/29)
(01/22)
(11/05)
(07/31)
(10/10)
(09/19)
(08/16)
(08/15)
(06/23)
(05/27)
(04/12)
(12/29)
(11/30)
(08/13)
(05/02)
(03/10)
アーカイブ
カウンター
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
Powered by "Samurai Factory"