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Posted by 中 相作 - 2010.09.08,Wed
雑誌
 
センター通信 第4号
 平成22・2010年3月31日 立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター
 B5判 12ページ
 
p1-3
慶養寺散策記ー江戸川乱歩「もくづ塚」の周辺
 渡辺憲司
p3-5
「大乱歩展」を終えて
 鎌田邦義
p5ー8
試験騒ぎ
p8
資料紹介「試験騒ぎ」
 落合教幸
p9ー11
試験騒ぎ
 コナン・ドイル作、ささふね訳
p12
編集後記
 落合
 
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慶養寺散策記ー江戸川乱歩「もくづ塚」の周辺
 
渡辺憲司  
 
 『藻屑物語』所縁の浅草、今戸の慶養寺を訪れた。
 寺は、待乳山の麓から、隅田川が、今は暗渠になった山谷堀へでる、そのすぐ脇で、通称江戸通りのバス道に面した所にある。門には「慶養禅寺」とある。
 以前、浅草の元鳥越にあり、貞享年間に、東今戸、又、本所に移り、さらにこの地に変わったのだそうだ。
 ここに書こうと思ったのは、一つには、『藻屑物語』に少し興味を持っていたからであり、一つには、東京の掃苔記録者中、もっとも注目すべき人物である磯ヶ谷紫江に、『谷素外墓碑と慶養寺江湖院墓域』(昭和十五年五月発行)なる一書があり、限定百部の内の第二号が手に入って嬉しくなったからである。
 そして又、江戸川乱歩が、昭和十一年九月号の『文藝春秋』に、小品随筆『もくづ塚』を発表しているからである。乱歩は、この作品に対して「小説の創作に比べて、文献渉猟の作品などはひどく値打ちのないものに見られているが、あの随筆は売文的駄小説の十編ぐらいに匹敵するものと自分では考えている。」と述べている。
 
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「大乱歩展」を終えて
 
鎌田邦義  
 
 立教大学・大衆文化研究センターとの共催により二〇〇九年十月三日から十一月十五日まで神奈川近代文学館で「大乱歩展」を開催した。(編集・藤井淑禎先生、当館紀田順一郎館長)三十九日間の会期中に九四五三人の来場があり、館の開館二十五周年をにぎやかに飾ることができた。折からの新型インフルエンザ流行や、会期初頭に台風十八号に直撃されるなどの不運に見舞われながらも全国から多数のファンの皆様がおいでくださり、乱歩への関心の高さを強く印象づけられた。
 改めて会場構成を簡単にたどってみる。
 会場は、乱歩の人生と業績が俯瞰できるよう三部構成とした。まず第一部は、活字に魅了された幼少期に始まり、作家デビュー、黄金時代、戦争中の雌伏期、そして戦後は評論を中心とする執筆活動のほか、病軀を押して日本推理作家協会設立に奔走する様子などを編年体でたどった。第二部では、いまも熱く支持される少年探偵団と怪人二十面相の世界を挿絵原画や絵組原稿、探偵団グッズなどで紹介、そして第三部では、西鶴本などの近世和本、明治期探偵小説などの収集で国内有数の存在として知られたコレクター・乱歩の姿を紹介した。
 
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試験騒ぎ
 
 名探偵本間砂六──と斯う云った計りでは讀者諸君に分るまいが、抑も本間砂六と云へば、英國では三歳の童兒すら知って居る程の有名な素人探偵で、[警察でも恐るゝ手腕家、]これは迚も警察の手に負へぬ、本職の探偵では駄目だといふ様な大事件は、きっと本間の所へ持ち込まれる。而も驚いた事には、どんなに複雑な犯罪でも一度彼の手に掛れば、快刀乱麻、立所に解決を告げて、未だ嘗て例外が無いといふことである。
 彼の探偵法が面白い、普通の探偵なれば犯人の後を附廻し、足を棒の様にして走り廻るのが常であるが、本間のは違ふ、手足の探偵ではない、頭脳の探偵だ。走り廻る兵卒ではない、一室に閉ぢ籠って判断力で事件を解決する帷幕の將だ。
 
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資料紹介「試験騒ぎ」
 
落合教幸  
 
 明治四十五年に早稲田大学予科に編入した平井太郎は、翌大正二年に経済学科に進学する。大正五年に卒業の後はさまざまな職を経験し、大正十二年には江戸川乱歩として「二銭銅貨」を発表し、探偵小説作家として歩んでいくことになる。
 大正時代の中頃は、明治期の黒岩涙香などの翻案探偵小説の流行も下火になっていて、探偵小説を掲載する「新青年」などの雑誌が数多く出現する時代の、少し前の段階に当たる。この時期には、コナン・ドイルやエドガー・アラン・ポーの作品は高等学校や大学の英語教材として使用されることもあり、翻訳だけでなく原書でも読まれていた。
 
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試験騒ぎ
 
コナン・ドイル作、ささふね訳  
 
20100908a.jpg
 
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立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター:旧江戸川乱歩邸
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