Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2010.09.05,Sun
北森鴻さんの『虚栄の肖像』(2010年9月10日第一刷、文春文庫)を読んでいたら無性に煙草が吸いたくなって、禁煙五日目で早くも禁を破ってしまいました。どうよこの意志薄弱、とわれながら呆れ返っているところ。
北森鴻さんは2007年11月24日、名張市が主催するミステリ講演会なぞがたりなばりの講師として当地においでくださいました。会場となった名張市武道交流館いきいきはいうまでもなく全館禁煙で、講演のあと、施設の裏口を出たところに置かれた円筒形の灰皿をともに囲む仕儀とはなったのですが、北森さんがラッキーストライクであったかなんであったか、いわゆる洋モクをすぱすぱやりながら煙草の害について話していらっしゃったことを思い出します。
講演では、
「一年三百六十五日のうち三百六十四日は酒を飲んでます。残りの一日は、ぶっ倒れて点滴を受けてます」
みたいなことをおっしゃっていて、ひとごとながら、というか、自分のことは棚にあげて、少しは節制というやつをなさったほうがいいのでは、みたいなことを思わないでもありませんでした。
『虚栄の肖像』は裏稼業として絵画修復師を営む佐月恭壱を主人公とした連作の二冊目で、書き下ろしも含め三作を収録。劣化した真実を虚偽で補強して真実を再生する、とでもいえばいいのか、絵画修復といういかにもミステリアスな世界を舞台にしたシリーズで、作を追うごとに主人公の過去が明らかにされてゆく構成も興味深く、愛川晶さんの解説にもあるとおり、著者の逝去によって「すべては夢に終わってしまった」ことがなんとも残念な気がします。
2007年の北森さんの講演では、愛川さんや芦辺拓さんら、仲のいい作家仲間の話題も披露されていましたが、愛川さんの解説には酔っ払った北森さんが芦辺さんの口真似をして愛川さんに電話をかけていたことが明かされていて、ああ、聞いてみたかったな、としみじみ思わされました。
北森鴻さんをあらためて追悼するために、となんとも手前勝手な理由で禁を破ってしまいましたが、仕切り直しの禁煙はまたあしたから。
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