Nabari Ningaikyo Blog
Posted by 中 相作 - 2013.10.18,Fri
イカンイカン。
毎日『奇譚』ト睨メツコシテ居ルト、ホンタウニ眼がオカシクナツテキテ困ツテ了フ。
視界ガ随分ボンヤリシテ居ル。
デハドウゾ。
(4)
ツテ行ツテ見セタ所ガ、面白イト云フノデ東京堂カヘ相談シタ、主人ガ見ル所ガ有ツタト見エ立所ニ引受ケテ出版シタ。果シテ大好評ヲ、得。日ナラズシテ数十版ヲ重ネタ。ト云フ episode ガアル。
新造軍艦 新日本島 絶島軍艦 等皆相関聯シテ居ルノデ、ソノ内容ハ著者ノ大抱負ト見ルコトガ出来ル。快男児ガ相寄ツテ世界ノ奈辺ニカ一大根拠地ヲ設ケ。深遠ノ学理ト莫大ノ富力トヲ以テアル無敵ノ武器ヲ作リ、祖国日本ノ危機ニ備ヘルト云フ思想ガ共通ニ流レテ居ル。破天荒 コノ内ニ世界無敵鉄車ト云フノガアル。ベラボーニ大キナ鉄車ヲ以テ世界ヲ蹂躙スル想ノ大ヲ喜ブ。快飛行艇 コレ又想ノ大ガ面白イ。銀山王 少シク type ヲ異ニシテ居ル。Dumas ノ Monte-Cristo トベンヂスンノ Phantom tower カラ suggestion ヲ得テ居ル。大復讐譚。其他、海島奇傑ハ海軍兵学校生活ト美少年問題ヲ取扱ヒ空中大飛行艇及続ハ黒薔薇ノ不可思議ト発明ノ Romance トヲ主題トシテ居ル。尚ホ 世界無銭旅行、北極飛行船、大復讐、世界武者修業、水天一髪、奇男児旅行、剣光鉄火、絶海奇人、熱風猛浪、波涛武人、畠山三郎、
モヒトツドウゾ。
(5)
武侠海傑、等枚挙ニ遑ガナイ。
怪奇小説 = 塔中ノ怪 中学一年ノ時 class デ話シタト云フ事ガ記憶ニ残ツテ居ル原因デアル。婦人ガ化石シテ天ノ一方ヲ指スナド云フ辺リノ物凄サヲイヽト思ツタ。思ヘバ春浪ニハアノ頃全ク魅セラレテ居ツタヨ。万国幽霊怪話 飜訳デアツタト思フ。心霊ノ交通、降神術、死者トノ交通ナド最モ僕ノ好ム題材ガ取扱ハレテアツタ様ダ。幽霊旅館 ヨクアル、賊ガソノ巣窟ヲ怪物屋敷ト偽ツテ世人ノ目ヲ盗ム、ソレヲアル男ガ発見スルト云フ筋。書キ方ガ西洋臭イノデ単調ヲ免レテ居ル。怪人鉄塔 冒険世界ニ連載サレタモノ。半獣怪人ガアル鉄ノ古塔ニ棲ム。ソレヲ退治ルノニ入口ガナイノデ苦ンダ末遂ニ一策ヲ案ジテ磁石ノ作用ニヨツテ塔ノ頂ニ昇ルト云フ、コノ点ニ興味ガアル。新アラビヤンナイト Stevenson ノソレヲ更ニ作リ換ヘタモノ著者一流ノ書キ方ガシテアル。宝島 Stevenson ノ Treasure Island ヲ訳シタモノ近頃改版シテ詳シク訳シタノガ矢張リ著者ノ名ニヨツテ出テ居ル。流石 Stevenson 春浪ノ及ブ所デハナイ。一本足ノ怪水夫。宝島ノ秘密地図。物凄サト秘密性ガ
しっかしなあ。
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Posted by 中 相作 - 2013.10.17,Thu
いやー、面白いことになってきました。
まだ第二十三号も出ていないというのに、来年10月発行予定の地域雑誌「伊賀百筆」第二十四号に寄せる予定の爆笑漫才、手ごろなネタがころころころころ転がってきてくれてます。
まず、芭蕉生誕三百七十年を迎える伊賀市では、先日もちょこっとお伝えした話題が、こんな結末を迎えました。
▼朝日新聞デジタル:芭蕉の雪像 制作断念(2013年10月17日)
この問題、伊賀市議会がちらっとあやをつけてみせてるけど、最終的にはアメリカのデフォルト回避みたいにゴーサインが出るのであろう、と踏んでいたんですけど、そげなことにはなりませんでしたばい。
ま、どっちに転んだって漫才のネタにはなるわけですけど。
そうかと思うと、乱歩生誕百二十年を迎える名張市も負けてません。
▼朝日新聞デジタル:乱歩への思い 誕生祭に(2013年10月16日)
いやー、猿も汗かくなんとやら。
これはもうあれですね、伊賀市からも、名張市からも、どうぞ漫才にしてください、とお願いされてるようなものでして、ようがす、合点だ、来年の「伊賀百筆」、いまから楽しみにしてておくんなさい、と申しあげておきましょう。
今年の第二十三号、まだ出てないんですけど。
しかしこうなると、乱歩蔵びらきの会による『奇譚』活字版の発行は、突出してすばらしい記念事業として燦然たる輝きを放つことにになるでげしょうな。
さてその『奇譚』、目次のつぎのページには、こんな注意書きが記されてます。
NOTICE.
本書ノ配列ハ僕ガ最モ興味ヲ持ツタ事ヲ標準トスル年代順ニ依ツタ。作者或ハ訳者ニヨツテ項ヲ分ケ、ソノ内容ニ於テモ矢張リ読ンダ年代順ニ列ベテアル。
つづいて、いよいよ第一編の扉です。
(1)
BOOK I.
SHUNROW AND OTHERS.
扉の裏はノンブルのみ。
(2)
さあ、第一章のはじまりだい。
(3)
CHAPTER 1.
押川春浪.
押川春浪ノ作品ヲ大別シテ武侠的(冒険的)及怪奇的ノ二トナス事ガ出来ル。武侠ノ日本ハ前者ノ代表者デアリ、塔中ノ怪ハ後者ノ代表者デアル。
武侠小説 = 岩窟ノ海賊 初メテ春浪ニ接シタノガコノ一篇デアル。明治三十八九年ノ頃少年世界ニ連載サレタ。ソノ頃最モ面白イト思ツタ小説。僕ガ小波山人ノ御伽噺カラ冒険小説ニ目ヲ転ジタ始リデアル。二人ノ少年ガ海岸ノ岩窟内ニ補ハレタ姉ヲ救ヒ、地下カラ進ンデ父ノ家ヲ犯サントスル賊ノ謀ノ裏ヲ行ツテ遂ニ之ヲ亡ボスト云フ筋。月蔭暗キ海岸、波ノ音ニ和シテ地下ヨリ幽カニ響キ来ル歌ノ声。コノ辺リ実ニヨイト思ツタ。武侠ノ日本 山田平弥カラ借リテ読ンダ。ヒリツピンノ叛将マクドナルド。西郷隆盛ナドガ出テ来テ大変面白カツタト記憶スル。東洋武侠団 ダンバラ健闘児ト称スル豪傑ガアル塔中ニ幽閉サルヽ偉人ヲ助ケル所ヲ覚エテ居ル。何ンデモ痛快ナモノデアツタ。海底軍艦 著作ノ処女作。小波山人ノ所ヘ持
だからほんっとーに眼が疲れるんだって。
Posted by 中 相作 - 2013.10.16,Wed
本日は『奇譚』の目次だけで失礼いたします。
まず、見開きの左。
CONTENTS.
EXTRAORDINARY.
────Preface── I-V ──
BOOK I.
春浪及其他. …………(1)
CHAP. 1 押川春浪 …………(3)
CHAP. 2 春浪ト水蔭及鴎村 ……(10)
CHAP. 3 STEVENSON, MARK TWAIN, HAGGARD ……(16)
EPISODE I.
PERIODICALS & DETECTIVE STORIES. ……(29)
BOOK II.
涙香及其他. ……(37)
CHAP. 4 GABORIAU ト丸亭素人 ……(39)
CHAP. 5 BOISGOBEY, COLLINS, CORELLI, MARCHMONT. ……(49)
CHAP. 6 DUMAS & BENGISON ……(66)
CHAP. 7 HUGO, BESANT 及思軒 ……(73)
EPISODE 2.
妖怪ト心霊. ……(83)
BOOK III.
POE & OTHERS. ……(89)
お次、見開きの右です。
CHAP. 8 EDGAR ALLAN POE ……(91)
PART 1 POE'S INFLUENCE ……(92)
PART 2 DETECTIVE & CRYPTOGRAPHY ……(99)
CHAP. 9 POE. CONTINUED ……(103)
PART 3 MYSTIC WORKS ……(103)
CHAP. 10 HAWTHORNE & OTHERS ……(115)
BOOK IV.
DOYLE & OTHERS. ……(123)
CHAP. 11 SIR A. CONAN DOYLE ……(125)
CHAP. 12 DOYLE. CONTINUED ……(142)
CHAP. 13 BLAKE, FLEEMAN, 春影 ……(153)
CHAP. 14 THE LATEST DETECTIVE STORIES ……(163)
BOOK V.
VERNE & WELLS. ……(169)
CHAP. 15 VERNE ……(171)
CHAP. 16 WELLS ……(182)
EPISODE 3.
CRYPTOGRAPHY. ……(189)
BIBLIOGRAPHY ── WAYS TO DECIPHERING ──
CLASSIFICATION OF CIPHERS
INDEX.
追加 ── Poe, Wells.
いやー、眼が疲れること疲れること。
Posted by 中 相作 - 2013.10.15,Tue
名張市が天下に誇る市民団体、乱歩蔵びらきの会は乱歩生誕百二十年を記念して世に問えよなおい、でおなじみの『奇譚』の件ですが、序文の残り二ページを一挙に公開してしまいます。
遅ればせながらノンブルを配して、まず四ページ目。
(IV)
テ無学ノ醜業婦ナドヲ描キ。探偵小説ヲ下劣文学ノ代表者ノ様ニ取扱フ。彼等ハ知識ノ物凄サヨリモ醜業婦ノ淫猥ナル描写ノ方ガ高等ダト信ジテ居ルノデアラウ。(人生ノ真ハ常ニ猥褻ナルモノデハナイデアラウ。)
物質ヲ取扱フ小説ト精神ヲ取扱フ文学トノ優劣ヲ論ズルノハ又別ノ事デアル。我 curious novel ハ常ニ物質的デハナイ。アル時ニハ精神ヲモ取扱フ。故ニカヽル優劣論ヲスル必要ハ茲ニ存シナイ。然シ精神ヲ取扱フニ当ツテソノ方法ガ他ノ普通ノ文学ト大ニ異ル。他ノ文学ガ其ノ最モアリ得ベキ状態ヲ取扱フニ反シテ curious novel ハ其ノ最モアリ得ベカラザル状態ヲ取扱フ。徒ニ奇ヲ好ムトノ非難ハ最モ受ケ易キ所デアルガ。一面ニ於テハ、神秘ヲ説キ、暗黒ヲ唱ヘ、幽ヲ発キ、死ヲ探ル極メテ深イ所ガアリ、直チニ宇宙ノ真ニ突キ入ル点ニ於テ却ツテ普通文学ノ及バヌ所ガアル。故ニ普通文学ト curious novel トノ価値ノ相異優劣ハ。タ易ク論談シ得ル限リデナイト思フ。然シ探偵小説ガ curious novel 中下級ニ位置スルヿヲ否ムヿハ出来ナイ。
我国ノ過去ニハ未ダ一人モ探偵小説家ヲ見ナ
つづいて、最終ページです。
(V)
イ。黒岩涙香ノ如キ本間久四郎ノ如キ三津木春影ノ如キ丸亭素人ノ如キ探偵小説ニソノ名ヲ知ラルヽモノハ皆飜訳ニヨツテ居ナイモノハナイ。我国ニモ一人位ハ Poe ノ如ク Doyle ノ如ク独創的ナ探偵小説家ガ出テモ悪クハナカラウト思フ。ソシテ探偵小説ニ今少シク精神的神秘ヲ加味シテ欲シイト思フ。再ビ言フ巧妙ナル Deduction ニヨル探偵談ハ実ニ知者ノ糧デアル。実務的社会ノ Oasis デアル。故ニコレヲ Intellectual literature ト称スルヿモ出来ルデアラウ。
不幸ニシテ僕ハ今迄余リ curious novel 中ノ精神的ナルモノニ親シマナカツタ。将来コノ方面ニ進ミタイト思ツテ居ル。一方 Swedenborg ニ進ムト同時ニ一方井上博士ノ所謂妖怪学ニ近附キ。心理学ト催眠術ヨリ物理学ト医学ニ進ミ度イト思フ。
コノ書ハ継続事業トシテ完全ナル curious novel ノ outlines タラシメン事ヲ期スル。
大正五年三月節句ノ日
■■誌ス。
この年23才也、23にもなってこんな幼稚な文章を書いて居たとは恥辱なれど、破棄せずして保存するは、予は自己に関するものの蒐集マニアなれば也。
昭和24年、「探小三十年」を書きはじめし頃記す。
「■■」は塗りつぶしたあとだと思われます。
ふつうに考えれば、ここには記述者の名前が記されていたはずで、たぶん「太郎誌ス」みたいなことになってたんだろうと想像されますが、なんでそれを塗りつぶさなきゃなんなかったのか、さっぱり見当がつきません。
その下の追記は、「新青年」の連載「探偵小説三十年」に『奇譚』のことを書く段になって、実際に『奇譚』をひっぱり出してきて目次を書き写したりなんかしたときに書きつけたものだと思われます。
それにしても、序文だけでも尽きせぬ興味をおぼえさせる乱歩の『奇譚』、乱歩蔵びらきの会による活字版の刊行がいまから心待ちにされる次第です。
Posted by 中 相作 - 2013.10.14,Mon
寝転がって『奇譚』を拾い読みしてみると、いろいろ興味深い記述にぶつかります。
きのうは、先日のエントリに引いた『探偵小説四十年』とのあいだに齟齬をきたす文章がみつかりました。
つまり、乱歩は学生時代、早稲田大学の図書館のほか、上野、日比谷、大橋の三図書館をよく利用し、大橋図書館は探偵小説や冒険小説のたぐいが充実していた、と『探偵小説四十年』には記されているのですが、『奇譚』のボアゴベ、コリンズ、コレリ、マーチモントの章には、こんなことが書きつけられています。
以下、『奇譚』の本文はカタカナ表記ですが、読みやすさに配慮して、それにまあ、めんどくさいということもありますので、ひらがな表記で引用いたします。
ちなみに、この表記の問題は、乱歩蔵びらきの会が『奇譚』を刊行するにあたっても、悩みどころのひとつになるのではないでしょうか。
部分的な引用なら、断りを入れたうえで、ひらがなに開くのが望ましいでしょう。
げんに、今年5月に出た論創ミステリ叢書『菊池幽芳探偵小説選』、例の「秘中の秘」が収録された本ですけど、横井司さんの「解題」でも、『奇譚』にみえる「秘中の秘」への言及がひらがな表記で引用されています。
ですから私も、先日、『奇譚』からルブランの項を引く必要があったとき、横井さんの真似をして、カタカナをひらがなにあらためて引用いたしました。
それはそれでいいのですが、『奇譚』一冊を乱歩の著作として世に問う場合、原文にそこまでの改変を加えていいものかどうか。
そのあたり、乱歩蔵びらきの会には熟慮していただかねばならんでしょうな。
さて、『奇譚』のくだんのくだり、ひらがな表記で引用するとこうなります。
困難 = 僕の様な貧書生は探偵小説を読むのに大変困ることがある。日比谷、大橋、は勿論上野の図書館へ行つても探偵小説などは極めて僅かしかない。丸善なれば多少あるのだが其を買ふ事は出来ぬ。止むを得ぬから出来得る範囲内で批評して置く。
『探偵小説四十年』には「上野と日比谷では洋書を、大橋図書館では飜訳ものを猟ったが、ここには探偵小説、冒険小説などがよくそろっていて、結局飜訳で読んだものが多かったわけである」とありますから、『奇譚』の記述とは微妙にニュアンスが異なります。
あるいは、『奇譚』に記されているのは洋書のことで、大橋図書館も翻訳書はよくそろっていたが洋書はきわめてわずかであった、ということなのかもしれません。
丸善なれば、というのですから、『奇譚』ではやはり洋書のことだけが問題にされていたのかも、といまは思いますけど、きのう『奇譚』を拾い読みしていてくだんのくだりにぶつかったときには、つい先日『探偵小説四十年』を引用したばかりで記憶が鮮明だったものですから、え? と思わざるをえませんでした。
それはともかくとして、『奇譚』はたぶん、『探偵小説四十年』を相対化するうえでも貴重な資料だということになるものと思われます。
相対化、というか、要するに史料批判、ということになりましょうか。
『探偵小説四十年』を探偵小説史の史料として読む場合、そこに記された事実が正確かどうか、という点を確認しつづけることが必要になるわけで、たとえば、乱歩が横溝正史と西田政治にはじめて会ったのは大正14年4月11日であった、とする『探偵小説四十年』の記述は誤りである、と結論づけた『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』の村上裕徳さんによる脚注は、そうした史料批判の一例です。
そもそも『探偵小説四十年』は、どうもこれまで、あまりにもナイーブに読まれすぎていたのではないか、という感じがして、少しく厳正な史料批判が加えられるべきであろうと判断される次第なのですが、ならば、史料批判の第一歩、というか、いちばんの基本はなにか、というと、その史料がなぜそこにあるのか、ということを考える、ということだと思われます。
つまり、そこにあるひとつの資料が、いつ、だれによって、なにを目的として書かれたのか、それを考えてみるわけです。
小学館新書の10月の新刊、関裕二さんの『「神と鬼のヤマト」誕生 新史論/書き替えられた古代史 1』という本をぱらぱら読んでおりましたら──
▼小学館:新史論/書き替えられた古代史 1 「神と鬼のヤマト」誕生
『日本書紀』にかんして、こんな記述がありました。
『日本書紀』編纂時の権力者は、中臣鎌足の子・藤原不比等だから、『日本書紀』編纂目的のひとつは、蘇我入鹿殺しの正当性を証明するためだったと察しがつく。そして謎を追っていくうちに、『日本書紀』は、「蘇我入鹿を悪く描こうとしているうちに、ウソがウソを呼び、ついにヤマト建国まで書き替える必要に迫られた」ことが明らかになってきた。
ひとつの「察し」を前提にしてしまうと、それがバイアスになって眼が曇ってしまう危険性もあるわけではありますが、史料に秘められた「目的」を考えることはやはり必要であり、『奇譚』はそのあたりでも意外に役に立ってくれそうな気がします。
それはそれとして、せめて序文だけでも活字に起こしておこうかな、という気になって、三ページ目に入ります。
斯カル curious novel ヲ批評シ列挙スルノガ本書ノ目的デアル。
過去ニ於テ読ンダモノガ多ク物質的デアリ中ニモ探偵小説ガソノ大部分ヲ占メ興味モ又特ニ探偵小説ニ多イノデ、本書ノ大部分ハ探偵小説ノ批評タルヿヲ免レヌ。去レバ表題ニ断リ書ヲ附シタノデアル。
Poe ハ一面ニ於テ後世神秘主義・象徴主義ノ祖トナルベキ精神的文学ヲ物シタト同時ニ他ノ一面ニ於テハ物質的探偵小説ヲ書イタ。即チ彼ハ我 curious novel ノ性質ヲ彼自身ニ広ク具ヘテ居ツタト云ヒ得ル。僕ハコノ点ニ於テ Poe ヲ最モ慕ハシク思フ。第三帝国ノ高唱ニヨツテ知ラルヽ Henrik Ibsen ハ自信強キ性質カラカ他ノ作家ノモノヲ余リ手ニシナカツタニモ不拘ズ只一ツ探偵小説ノミハ常ニ愛読シテ居ツタ相デアル。彼ハ彼ノ図書室ニ各国ノ探偵小説ヲ山ノ如ク貯ヘテ居ツタガ、彼ノ死後見レバ、コレラノ探偵小説ノミハ皆手沢ノ跡ヲ存シテ居ツタ相ダ。茲ニ於テ我 curious novel ノ理想ハ Ibsen ト云フ大ナル味方ヲ得タ訳デアル。アル心強サヲ感ズル。
探偵小説ト云ヘバ低級趣味ノ標本ノ様ニ云ハルヽ。殊ニ芸術家ヲ衒フ者流ハ"彼ハ下劣ナル探偵小説ニ読耽ツテ居ツタ"ナドト云フ口調ヲ以
「ヿ」は「こと」ですが、これは機種依存文字ですから、文字化けして表示される場合があるかもしれません。
要するに、これのことです。
▼Wikipedia:コト
それにしても、乱歩蔵びらきの会のみなさんは大丈夫か。
『奇譚』一冊をぜーんぶ活字に起こすとなると、かなり大変な作業になるものと予想されますけど、まあがんばってください。
全国の乱歩ファンも、乱歩蔵びらきの会のみなさんを心から応援してくれると思います。
Posted by 中 相作 - 2013.10.12,Sat
乱歩蔵びらきの会は乱歩生誕百二十年の記念事業として『奇譚』を発行したらどうよ、という話題をつづけます。
ご閲覧のかたからも、さっそく、「来年の乱歩生誕120周年、一過性のイベントを開催するより、『奇譚』活字版の出版が、はるかに価値があると思います」とありがたいメールを頂戴しております。
仰せのとおり、とても価値のある事業になるだろうと思います。
三重県と旧伊賀地域七市町村が血税三億円を気前よくどぶに捨ててくれた「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」から十年。
筋金入りの乱歩フリークをも震撼させた『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』から十年。
乱歩のふるさとがふたたび世に問う驚愕の一冊、『奇譚』はどうよ。
きのう引用した序文の冒頭をお読みになっただけで、『奇譚』一冊を本として出版することの必要性はご理解いただけたものと思われますが、きのうお約束いたしましたので、つづきをもう少しだけ。
というか、序文の二ページ目の全文です。
Thrilling novel ト云フ字ガアルガ。僕ハコノ字ヲ好マヌシ又僕ノ所謂 curious novel ハコレ以上広イ field ヲ持ツテ居ルカラコノ字ヲ使ハナカツタ。curious novel ノ中ニ含マルヽ小説ノ例ヲ各階級ニ亘ツテ上グレバ次ノ如キモノデアル。
Bible ノ文学。Swedenborg ノ諸作。
Bible ノ文学ト Gaboriau ノ探偵小説トヲ同日ニ談ズルノハ妙ニ思ハルヽデアラウガ。ソノ間ニ見出スアル共通点ガアル。ソノ共通点コソ我ガ curious novel ノ特徴デアル。コレヲ名付クベキ文字ヲ知ラヌガ、死ト云ヒ、神秘ト云ヒ、恐怖ト云ヒ、暗黒ト云ヒ、凄惨ト云ヒ、怪奇ト云ヒ、知識ノ凄サト云ヒ、好奇的ト云フ。コレラノ概念ヲ打ツテ一丸トシタ、アル感ジデアル。
Dante ノ Divine Comedy。
Milton ノ Paradise Lost。
Bunyan ノ Pilgrim's Progress。
William Blake ノ詩。
Allan Poe ノ諸編。Hawthorne ノ諸作。Dumas、Hugo、Twain、Verne、Wells、Gaboriau、Du Boisgobey、Doyle、Stevenson、Haggard、平田氏ノ諸作等。
上田秋成雨月物語(11、8、13日追記)
「平田氏」とあるのは、平田禿木のことでしょうか。
追記は、実際には天のマージンに記入されています。
追記が書かれた大正11年8月13日というのは、乱歩が東京から大阪の守口町にあった両親の家に妻子ともども転がり込み、「新青年」八月増刊の「探偵小説傑作集」を読んで狂喜していたころにあたります。
「一枚の切符」と「二銭銅貨」の下書きをはじめたのは、この年9月のことでした。
当時、やっぱり暇だったんでしょうけど、たまたま『雨月物語』を読んだ乱歩は、あ、これも curious novel じゃん、ってんで、『奇譚』の序文にその名を追記したものと思われます。
ともあれ、『奇譚』一冊には、大正5年における乱歩の文学観と読書歴がつぶさに語られているわけであって、これを読みやすいかたちにして世に送るのは、おそれおおくも乱歩の名を冠して活動する市民団体に課せられた使命というものではないか。
ここはどうあっても、乱歩蔵びらきの会のみなさんには、ひと肌もふた肌も脱いでもらわなくちゃなんないみたいです。
だから、とりあえず、会員各位には、江戸川乱歩推理文庫の『奇譚/獏の言葉』、購入して眼を通しておいてもらいましょうか。
▼Amazon.co.jp:奇譚;獏の言葉 (江戸川乱歩推理文庫) (文庫)
安いものなら五百円くらいで売ってるぜ。
しっかし、五百円かよ。
Posted by 中 相作 - 2013.10.11,Fri
ではここで、乱歩の自伝『探偵小説四十年』から、手製本『奇譚』について記されたところを引いてみましょう。
乱歩は学生時代、早稲田大学の図書館のほか、上野と日比谷の図書館で洋書を、博文館の大橋佐平がつくった大橋図書館では翻訳書を読みあさりましたが、大橋図書館は探偵小説や冒険小説のたぐいが充実していたといいます。
そうして読みあさったもののメモを整理して、私は一冊の手製の本を作った。内容は「ミステリ小説覚書」というようなもので、小型の洋罫紙にペンで清書し、章をわけ、カットの絵まで描いて、自分で製本し、表紙の図案も自分で描いた。本の表題は「奇譚」とし、英語でエキストラオーディナリーと説明がついている。頁数は二二八頁、後に大正八年本郷団子坂で三人書房という文芸古本屋を自営したとき、十円(今の四、五千円に当る)の正札をつけて棚に飾っておいたが、誰も買手がなかったという代物。その手製本の目次を記して見ると、
(1)押川春浪(2)春浪と水蔭及び桜井鴎村(3)スティヴンソン、マークトウェン、ハッガード(4)ガボリオー、涙香、丸亭素人(5)ボアゴベ、コリンズ、コレリ、マーチモント(6)デュマ(7)ユーゴー、ベサント、思軒(8)(9)ポー(10)ホーソン其他(11)(12)ドイル(13)セキストン・ブレイク、フリーマン、春影(14)ルブラン、ルルウ(15)ヴェルヌ(16)ウエルズ(附録)暗号論。
というようなもので、純探偵作家はごく少ししか読んでいなかったことがわかる。
なんなんだろうな、と思わないでもありません。
『奇譚』は「ミステリ小説覚書」みたいなものだった、と書いたそばから、「純探偵作家はごく少ししか読んでいなかったことがわかる」と乱歩は書き添えています。
『奇譚』は探偵小説の読書メモみたいな内容だったと思い込んでいたんだけど、実際に目次を書き写してみたらそうでもなかった、ということだったのでしょうか。
たしかに、『奇譚』を「ミステリ小説覚書」と呼ぶことには、かなりの無理があります。
ならば、『奇譚』にはなにが書いてあるのか、というと、いうまでもなく奇譚のことです。
子供のころから親しんできた奇譚の数々を体系化し、批評を加えたのが手製本『奇譚』にほかなりません。
そしたら、奇譚ってなに? という点にかんしては、乱歩が記したところをじかにお読みいただくのがいいでしょう。
手製本『奇譚』の最初のページ、序文の冒頭を引用してみましょう。
PREFACE.
WHAT HO! WHAT HO! THIS FELLOW DANCING MAD!
HE HATH BEEN BITTEN BY THE TARANTULA.
QUOTED BY POE
IN "GOLD BAG"
真個ノ精神的文学(現時ノ。恋心ヲ動カス事ニヨツテ読者ヲ得テ居ル様ナモノヲ云フノデハナイ)ヲ味フニハ多少ノ忍耐ヲ要スル。必ズシモ左様デハナイノダラウガ。僕ガ今日迄ニ読ンダモノハ、飜訳(1)ノ為流暢ヲ失ツタ不快カ、千篇一律ヨリ生ズル疲労カノ伴ハヌモノハナカツタ。之ニ反シテ精神的タルト物質的タルトヲ問ハズ、exaggerative ナル又 plot ノ奇ヲ主眼トスル文学ハ読ムニ苦シカラヌバカリデナク興味ハ巻ヲ置ク能ハザルモノガアル。
斯ル理由ノアル為カ今日迄僕ハ内的文学ノ尊キコトヲ知リナガラモ。多クハ plot ノ奇怪ナル Romance ニ趨ツタ。内的文学(世人ハ以テ真文学ナリトナスモノ)ハ主トシテ精神ノ糧トナリ、plot ヲ主トスルモノハ主トシテ知識ノ糧トナル。
後者ヲ僕ハ仮リニ curious novel ト称スル。
(1)純文学ノ外国人ノ手ニナツタモノハマダ一冊モ読マヌ。語学ノ力ガ足ラヌノガソノ原因ダ。
冒頭の「黄金虫」の引用は、一行目の「FELLOW」と「DANCING」のあいだの「IS」が抜けていますし、そもそも「GOLD BAG」ではなくて「GOLD BUG」が正しいんですけど、意地が悪いようではありますものの、原文のままといたしました。
あと、(1)の注釈は、実際には「PREFACE」というタイトルの上、天のマージンに書き込まれています。
さてそれで、『奇譚』というのは要するに、ごくあたりまえの話ですけど、探偵小説ではなくて奇譚、 curious novel とやらのことを書いた本だったわけです。
ああ、序文のつづきが読みたい、とおっしゃるあなたのために、いずれ名張市の乱歩蔵びらきの会が『奇譚』一冊を世に問うてくれるはずではありますけれども、とりあえずあしたまた、序文のつづきを活字に起こしてみたいと思います。
Posted by 中 相作 - 2013.10.10,Thu
いつまでも暑くてたまりませんけど、さっそくながら『奇譚』の話題です。
ちょっとした思いつきを口走ってみたところ、だんだんと妄想がエスカレートして、乱歩生誕百二十年の記念事業としては乱歩の『奇譚』を出版するのがベストではないか、と思いいたってしまいました。
いま、刊行が待ち望まれる乱歩の本、ということになると、そりゃまあいろいろあると思いますけど、いちばんに指を屈するべき本は? となると、やっぱ『奇譚』じゃね?
ここで、乱歩蔵びらきの会のみなさんのために、簡単におさらいをしておきましょう。
『奇譚』ってのは、乱歩が大正5年、早稲田大学在学中につくった手製本です。
つまり、世界でたった一冊しかない本です。
この本が初めて全貌を現したのは、昭和最後の年となった1988年、講談社から刊行された江戸川乱歩推理文庫の一冊『奇譚/獏の言葉』によってでした。
以来、早くも四半世紀が経過したというのに、『奇譚』を最初から最後まで、ちゃんと精読した人間はひとりもいないのではないか、と思われます。
なぜか、というと、答えは簡単。
とても読みにくいからです。
江戸川乱歩推理文庫の『奇譚/獏の言葉』では『奇譚』が全ページ、写真版によって復刻されているだけで、それをいわゆる活字に起こすことがなされていません。
なおかつ、本文は恐怖のカタカナ表記、でもって英文も少なからず、そんな状態で全二百二十八ページというのですから、読み通すのは難行苦行のひとことです。
しかし、この『奇譚』一冊が、乱歩の作家像にまったく新しい照明を当てる光源となるであろうことは、ほとんど論をまたないでしょう。
とはいえ、乱歩蔵びらきの会のみなさんにかんしていえば、やっぱり論が必要だろうなあ。
というところで、あしたにつづきます。
Posted by 中 相作 - 2013.10.08,Tue
きのうの、で、どんな本? のつづきなんですけど、その前に、巽昌章さんからツイッターで私家版無料電子書籍『涙香、「新青年」、乱歩』へのご批評をたまわっておりましたので、とりあえずリンクを設けておきます。
▼Twitter:巽昌章
ひきつづきお書きいただけるそうですので、お礼その他はまたあらためて。
いやー、それにしても、もう四年前になりますけど、池袋にあるミステリー文学資料館の地下で三十人あまりのみなさんにおはなしした一時間ほどのトークがですね、まさかこうして、ネット上でご紹介いただいたり、批評の対象にしていただけるとは、夢にも思っておりませんでした。
あのトークは、ミステリー文学資料館が主催した連続講座「『新青年』の作家たち」の第一回で、当時の館長でいらっしゃった権田萬治先生からは、なにをしゃべってもいいから、とのおことばをいただいていたのですが、やっぱ「新青年」に関係あることをおはなししないとまずかろう、ということは考えました。
そこで、「新青年」と乱歩の関係を数値化してみようと思いつき、『涙香、「新青年」、乱歩』には表を組み込みましたけど、乱歩が「新青年」に発表した作品の数を年度別にカウントしてみましたところ、「新青年」が休刊になる前、乱歩が自伝の連載をつづけていたことがわかり、いやいや、そんなことはむろん以前から知ってたわけですけど、乱歩の自伝は「新青年」で起筆されたのか、とあらためて認識し、そのあたりから「新青年」と乱歩の関係性を考えたらどうなるやろ、となると、「新青年」に発表するべく執筆されながら乱歩自身の手で封印された自伝の最初の章「私が探偵小説に心酔するに至った経路」が連想されて、それで頭に浮かんだのがこういった図式でした。
絵探し → 探偵小説
ところが、四年前にはいまだ不勉強で気がつかなかったのですが、この図式には欠落がある、と去年になって思いあたりました。
欠落を補うと、こうなります。
絵探し → 奇譚 → 探偵小説
奇譚というのはもちろん、乱歩が大学卒業前につくった手製本『奇譚』のことですが、乱歩蔵びらきの会のみなさんは、乱歩生誕百二十年の記念事業として、この『奇譚』を一冊の本にして出してみてはどうじゃいな、と先日、ふと思いついたりしたんですけど。
どうじゃろうなあ、というところで、ちょっと時間がありませんので、きのうのつづきを簡単に記しただけで、本日はおしまいといたします。
Posted by 中 相作 - 2013.10.07,Mon
いやー、よかったよかった。
麻美ゆまちゃん、すっかりお元気じゃん。
近く発行される「伊賀百筆」第二十三号の漫才に、蒼井そらちゃんの名前が出てきます。
ビブリア古書堂のテレビドラマ化で篠川栞子を演じた剛力彩芽ちゃんが原作のイメージとちがいすぎる、栞子さんはロングヘアーでもっと巨乳だ、という一部ファンの声を勘案し、だったら別のキャスティングを、と提案したのが蒼井そらちゃんだったわけですが、最初に浮かんだのは、じつは麻美ゆまちゃんの名前でした。
ところが、よく考えてみたら、ゆまちゃんはさほどロングヘアーでもない印象でしたから、だったら、とそらちゃんに乗り換えた次第でした。
それからしばらくして、ゆまちゃんが病気だ、と公表されてショックを受けたものでしたが、なんにしても、よかったよかった。
そんなこんなで、地域雑誌「伊賀百筆」第二十三号、そろそろ発行されるだろうと思うのですが、ひきつづきご予約を承っております。
下記のアドレスへ、お気軽にどうぞ。
stako@e-net.or.jp
さて、来年に控えた乱歩生誕百二十年、ここ名張市におきましては、行政がらみではとくに記念事業もおこなわれないらしい、ということは昨日お伝えいたしましたが、市民レベルではどうか。
やっぱり、これといって、なにも聞こえてはまいりません。
しかし、ちょっと、まずいんじゃね? とは思います。
名張市においては、官民双方、なにかっつーと、乱歩乱歩とゆうてきたわけです。
官民双方、乱歩のことなんかなんにも知らない連中が、なにかっつーとしゃしゃり出てきて、乱歩を利用し、市民をだしにして、小つまらぬ自己顕示欲を満足させてきたわけです。
だったら、なにしろ生誕百二十年の年なんだから、なんかやんないと、かっこつかないんじゃね?
どーなんだろうね。
都合のいいときだけ乱歩の名前を利用して、生誕百二十年という節目の年になんにもしないってのは、いったいどーなんだろうね。
そういえば、このブログにも、そのあたりにおおいに期待する、みたいなコメントを頂戴したことがありましたし。
▼2013年2月07日:気が早いけど来年の話です
▼2013年2月11日:乱歩生誕百十年を振り返る
しかしまあ、官民双方、なにやるにしたって、しょせんこの程度よ。
この写真、「伊賀百筆」第二十三号にも掲載して、このあたりの土地柄がどんなもんだか、驚異的なレベルの低さをひろく紹介する一助としておりますが、ほんと、こんなばかなことしかできないのね。
要するに、おつむをつかわなきゃなんないことは、なんにもできない。
乱歩にかんしても、生誕地碑を建てる、銅像を建てる、くらいのことしかできない。
ほんと、なにかを考える、ということが、どうしてもできない。
うわっつらとりつくろって、とにかくかっこだけつける。
そういうことしかできない。
ですからまあ、市民レベルにおいてもですね、具体的にいえば、乱歩蔵びらきの会、とかのことなんですけど、なにか記念事業をやるとしても、あんまり期待はできないのではないか、とも思われますけど、乱歩蔵びらきの会といえば、官民双方のあれなみなさんが血税三億円を気前よくどぶに捨ててくれた二〇〇四年の「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業、つまり『子不語の夢 江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』の勧進元となった事業ですが、それをきっかけに誕生したらしい団体ですから、ここはひとつ、いわゆる原点に立ち戻って、記念事業として乱歩の本を一冊、出してみてはいかがなものか、と思いつきました。
で、どんな本? という話は、またあした。
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