書籍
江戸川乱歩異人館 2
山口譲司
原作:江戸川乱歩
平成23・2011年7月24日第一刷 集英社 ヤングジャンプ・コミックス
B6判 カバー 192ページ 本体562円
p3ー25
異人ノ四 明智小五郎×壁男~魔術師~四
初出:ビジネスジャンプ 2011年2月16日号
p27ー49
異人ノ四 明智小五郎×壁男~魔術師~五
初出:ビジネスジャンプ 2011年3月2日号
p51ー73
異人ノ四 明智小五郎×壁男~魔術師~六
初出:ビジネスジャンプ 2011年3月16日号
p75ー96
異人ノ四 明智小五郎×壁男~魔術師~七
初出:ビジネスジャンプ 2011年4月20日号
p97ー120
異人ノ四 明智小五郎×壁男~魔術師~八
初出:ビジネスジャンプ 2011年5月4日号
p121ー144
異人ノ五 操男~白昼夢~
初出:ビジネスジャンプ 2010年10月6日号
p145ー168
異人ノ六 箱女~お勢登場~
初出:ビジネスジャンプ 2011年5月16日号
p169ー192
異人ノ七 額男~押絵と旅する男~
初出:ビジネスジャンプ 2011年6月15日号
集英社:江戸川乱歩異人館 2
ウェブニュース
大阪日日新聞
平成23・2011年7月23日 新日本海新聞社大阪本社
江戸川乱歩(上)
三善貞司
Home > 連載・特集 > なにわ人物伝ー光彩を放つー > 記事
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なにわ人物伝 -光彩を放つ-
2011年7月23日
雑誌「新青年」に掲載、好評 『二銭銅貨』で作家デビュー
三善 貞司
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「江戸川乱歩寓居跡」銘板=大阪府守口市八島町
「怪人二十面相」で胸を高鳴らせた少年時代を、懐かしく回想する人は多いはずだ。その作者江戸川乱歩を本項に入れると怪訝(けげん)に思われようが、彼が推理作家としてデビューした地は大阪である。
地下鉄谷町線守口駅で降り、2番出口を上がると「桃町緑道」(大阪府守口市八島町)が見えるが、その入り口の広場裏の民家に「江戸川乱歩寓居(ぐうきょ)跡」の銘板が掛かっている。後に乱歩は東京に永住するが、それまでは46回も転居した引っ越し魔で、守口だけでも5回も変わり、5回目がここだ。
「私が処女作『二銭銅貨』を書いたのは、大正十一年の夏、雑誌『新青年』に掲載されたのが翌年の四月号だから、数え年三十の遅いスタートであった」
彼はこう回顧している。日本で最初の本格的推理小説『二銭銅貨』は、失業中で貧乏のどん底にあった乱歩が、この借家で書き上げたものだ。代表作の一つ『屋根裏の散歩者』も、ここで想を練っている。
「天井を眺めると好都合にも、多分電燈(でんとう)工夫の出入り場所であろうが、押してみるとグワグワする。板をはずし首だけを真っ暗な天井裏に差し入れて見回すと、なんとなかなか捨て難い眺めだ。それがあの作品の背景になっている」との文言もある。
乱歩の本名は平井太郎。明治27(1894)年三重県名張町に生まれた。父繁夫は郡役所書記。祖父の代まで藤堂藩に仕えた武士。筆名はエドガー・アラン・ポー(アメリカの作家。恐怖・推理小説の開拓者)をもじったものだ。
小学生のころ、読書好きの母から菊池幽芳(きくちゆうほう)訳の『秘中の秘』を毎晩読んでもらって眠りにつき、探偵小説に興味をもつ。中学生になると押川春浪(おしかわしゅんろう)の冒険小説や、黒岩涙香(くろいわるいこう)の怪奇小説に熱中するが、父繁夫が経営した平井商店が倒産。飛び出して苦学を重ねながら大正5(1916)年早稲田大学政経学部を卒業する。数奇な生涯をたどった耽美(たんび)派のポーにはまったのは、早稲田時代だ。真似(まね)て習作も試みるが反響はゼロ。貿易会社、造船所、役所吏員、活版工、古本屋経営、化粧品会社勤務と転々と職を変えるが、なにひとつ長続きしない。大阪に移り、弁護士手伝い、大阪時事新報記者、大阪毎日広告営業マンと尻軽ぶりを発揮、同8年恋人の隆子と結婚したときは、流しの中華ソバ屋であった。新婚早々乱歩は大八車を引きチャルメラを吹き、隆子が湯を沸かしネギを刻むありさまだ。
日本一の推理作家になってみせると妻に大言壮語した乱歩は、大正11年ようやく守口の借家で『二銭銅貨』と『一枚の切符』をまとめ、細い糸をたぐって「文学界」の馬場孤蝶(ばばこちょう)に送るが、返事ももらえず原稿のみ戻ってくる。自信喪失した夫を隆子は励まし、今度は創刊されて間もない「新青年」に同稿を投稿したところ、見ず知らずの編集長森下雨村(もりしたうそん)(作家。海外の推理小説紹介者)が認め、翌12年の4月号と7月号に両作とも掲載された。『二銭銅貨』はポーの『黄金虫』や『盗まれた手紙』をヒントに、独特の暗号解読を混ぜたもの。『一枚の切符』は自殺にみせかけた他殺事件で、今読んでも実に新鮮だ。
好評に気を良くした乱歩は、『D坂の殺人事件』『心理試験』『黒手紙』『赤い部屋』と次々に同誌に発表。同14年にまとめて単行本『心理試験』を刊行して世に出る。この中で『D坂の殺人事件』に初めて名探偵明智小五郎(あけちこごろう)が登場。棒縞(ぼうじま)の浴衣と格子戸を組み合わせて錯覚をおこす謎を見事に解いて喝采を浴び、熱烈な小五郎ファンを生んだ。
こうして推理の新鋭作家となった乱歩は、大阪に横溝正史(よこみぞせいし)らと「探偵趣味の会」を創設、機関紙「探偵趣味」刊行、『人間椅子』『屋根裏の散歩者』などの傑作を発表する。
(地域史研究者)
雑誌
ビジネスジャンプ 8月3日号
平成23・2011年7月20日発売 第27巻第16号(通巻732号) 集英社
B5判 328ページ 定価290円(本体276円)
江戸川乱歩異人館
山口譲司
連載第17回〈異人ノ八 ~蜘蛛男~後編〉 p281ー300
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ビジネスジャンプ:『江戸川乱歩異人館』 山口譲司
ウェブニュース
池袋経済新聞
平成23・2011年7月21日 YAKIMAYO
「新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館」-西口全体が美術館に
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「新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館」-西口全体が美術館に
(2011年07月21日)
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新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館ポスター
池袋西口周辺エリアで7月28日より、「新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館」が開催される。
「街のどこもが美術館」をコンセプトに、池袋駅周辺、立教大学周辺、要町・千川周辺、椎名町周辺の4つの地域の各所で美術展や芸術イベントを展開する。
期間中、「大久保作次郎展」「菅沼五郎展」「秋保正三展」などの展覧会や、「旧江戸川乱歩邸特別公開」、区内小学生の絵画作品を集めた展覧会「まちかどこども美術展」、石渡市渡波小学校の児童が作った復興オブジェ展「ワタノハスマイル」も開催。
そのほか、講演会「小熊秀雄と池袋モンパルナス」やトークショー「グローバル演劇都市池袋!」、立教大学漫画研究会による「似顔絵描き、ぬり絵、ポストカード販売」、池袋の芸術文化をガイドする「まちなかエンゲキ回遊ツアー」、スタジオジブリの立体造形物を手掛けるアレグロ指導による造形美術作り「ものづくり体験」などのさまざまなワークショップを展開。期間中に参加者が描いたフラッグを集め、池袋西口公園に巨大な作品を作り上げる「ビッグフラッグきずな」も予定する。
昭和初頭から戦後にかけて池袋西口周辺で起こった芸術文化「池袋モンパルナス」。豊島区文化デザイン課の小松崎さんは「芸術の街として、街全体が参加し盛り上がっていければ」と期待を寄せる。
8月10日まで。開催時間やスケジュールはホームページで確認できる。
ウェブニュース
神戸新聞
平成23・2011年7月20日 神戸新聞社
文豪・谷崎をしのぶ 芦屋で24日に「残月祭」
田中真治
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神戸・阪神間で一時期を暮らした文豪谷崎潤一郎(1886~1965年)をしのぶ恒例の「残月祭」が24日、芦屋市業平町、ルナ・ホールで開かれる。江戸川乱歩の孫にあたる平井憲太郎さんらを招いてシンポジウムを開催、谷崎文学とミステリーの関係にスポットを当てる。
残月祭は、谷崎の縁者で晩年の代表作「瘋癲老人日記」のモデルとされる渡辺千萬子さんが、誕生日に合わせ、経営する京都のカフェで始めた。渡辺さんが谷崎の資料を寄贈したことを機に会場を芦屋に移し、25回目となる。
今回は「妖しの世界への誘い」と題し、谷崎文学と探偵小説について研究してきた芦屋市谷崎潤一郎記念館の永井敦子学芸員(39)が企画した。
関西出身の探偵小説の二大巨匠・江戸川乱歩と横溝正史に谷崎の初期短編などが与えた影響や交流について、ミステリー作家の有栖川有栖さんが講演。続いて平井さんと横溝資料を所蔵する二松学舎大の山口直孝教授が加わって討議する。
「従来あまり知られていない観点に関心が集まれば」と永井さん。
午後1時半~3時半。定員600人。1800円。申し込みは同館TEL0797・23・5852。メール(ashiya-tanizakikan@rhythm.ocn.ne.jp)でも受け付ける。
(田中真治)
(2011/07/20 09:00)
ウェブニュース
日本経済新聞
平成23・2011年7月18日 日本経済新聞社
春秋
Home > 社説・春秋 > 記事
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2011/7/18付
1960年代にオランダの駐日大使をつとめたロバート・ファン・ヒューリックは、博学多才の人だった。外交官が語学に長じるのは当然にしても、欧州の諸言語、中国語、日本語、サンスクリット語など、十数カ国語ができたという。
▼東洋の文化に詳しく、いくつもの専門書を著した。中国の伝統楽器、古琴を自ら奏で、日本では昭和の初期に一度途絶えた古琴の演奏が復活するきっかけをもたらした。とりわけ、その名前を世界的にしたのは、公務と学術的な研究の合間に英語で書き続けた、ミステリー小説だろう。「ディー判事」シリーズだ。
▼唐代の中国に実在した大政治家、狄(てき)仁傑を主人公にすえた連作。歴史と文化についての専門的な知見を生かした物語世界は、味わい深い。シリーズ第1作を書き上げたのは、生涯で3度に及んだ日本赴任のうちの2度目の時だった。交流のあった江戸川乱歩らの勧めもあって、英語版の前に邦訳を日本で出版した。
▼その後、英語版でシリーズの出版が相次いだのに、邦訳は順調に進まなかった。邦訳の出版が完了したのは、ようやく今年。幸い、作者が亡くなって40年以上たっても古びた印象はない。設定こそ遠い昔だが、謎解きは近代的だ。読書に向かない季節とはいえ、粋な外交官の粋な手すさびを楽しむのも一興だろう。
催事
続・江戸川乱歩全集Zaroffパノラマ展
平成23・2011年7月1日ー14日 画廊・珈琲Zaroff(渋谷区初台)
参加作家
平面:綺朔ちいこ、安蘭、岸田尚、古賀郁、近藤宗臣、永井健一、西川祥
子、ひかり、古川沙織、百瀬靖子
立体:Noe、SONIC
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画廊・珈琲Zaroff:Home
雑誌
ビジネスジャンプ 7月20日号
平成23・2011年7月6日発売 第27巻第15号(通巻731号) 集英社
B5判 328ページ 定価290円(本体276円)
江戸川乱歩異人館
山口譲司
連載第16回〈異人ノ八 ~蜘蛛男~中編〉 p167ー188
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ビジネスジャンプ:『江戸川乱歩異人館』 山口譲司
雑誌
センター通信 第5号
平成23・2011年4月1日 立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター
B5判 8ページ
p1-3
ブランゲ文庫に見る占領期の乱歩
井川充雄
p3-4
猿のお七、牛のお七
丹羽みさと
p5
資料紹介『一年間の早稲田生活より得たる感想』
落合教幸
p6
『一年間の早稲田生活より得たる感想』
平井太郎
p7ー8
「江戸川乱歩、蔵の中から」展
高塚彩奈
p8
編集後記
落合
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ブランゲ文庫に見る占領期の乱歩
井川充雄
戦時下には当局に睨まれ、事実上の休業を余儀なくされた乱歩は、疎開先で終戦を迎えた。池袋一帯も空襲で焼け野原となったが、乱歩の家は奇跡的に焼け残った。しかし、一九四五年十一月はじめに疎開先の福島から東京に戻ったあとも、乱歩は新作の執筆に取りかかることはしなかった。その代わり、戦争で途絶えていた英米の探偵小説を読みあさることに時間をあてた。
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猿のお七、牛のお七
丹羽みさと
江戸川乱歩の作品には、魅力的な人物が数多く登場する。変装を得意とする怪人二十面相や、その好敵手である稀代の探偵、明智小五郎、そして明智を補佐するBD(ボーイズ・ディテクティブ)バッチを付けた小林少年などがその代表だろう。このほか、舞台化されている作品の内、「黒蜥蜴」(『日の出』昭和九年一月~十二月)の女賊、緑川夫人や、野獣のような爪を持つ「人間豹」(『キング』昭和九年一月~翌年五月)の殺人鬼、恩田なども、妖しい魅力で人々の心を捉えてきた。
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資料紹介『一年間の早稲田生活より得たる感想』
落合教幸
『探偵小説四十年』は、江戸川乱歩の探偵小説の歴史であると同時に、自伝的な性格も持った本である。しかし、のちに乱歩となる青年平井太郎の、大学時代に関する記述は意外なほど少ない。「高等学校の入学試験を受けようとしていたとき、父の破産に会い、当時は苦学の困難であった官立学校を思いとどまって、それの可能な私学を志したのだが…」と簡潔に記されている。
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『一年間の早稲田生活より得たる感想』
平井太郎
僕は『活溌なる精神は健康なる身体に宿る』といふ格{言}は『活溌なる精神は健康なる肉体を作る』と改むべきものではあるまいかといふ感じが近頃甚だ深いので左に少しくその事に付いて述べて見やうと思ふ。
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「江戸川乱歩、蔵の中から」展
高塚彩奈
二〇一〇年十月二十八日から十一月二十五日までの期間、Echika池袋ギャラリー(東京メトロ副都心線池袋駅構内)にて、「江戸川乱歩、蔵の中から」展を開催いたしました。主催は豊島区で、センターが展示品として資料を貸し出しました。
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立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター:旧江戸川乱歩邸
ウェブニュース
asahi.com
平成23・2011年6月26日 朝日新聞社
時計館の殺人 [著]綾辻行人
保科龍朗
Home > エンタメ > BOOK > 再読 こんな時 こんな本 > 記事
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書店員に聞く 横溝チルドレン
[掲載]2011年6月25日朝刊be
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著者:綾辻 行人 出版社:講談社 価格:¥ 900
金田一さん、事件です! な、なんと、今年は横溝正史先生の没後30周年ですぞ! ミステリー界では横溝ワールドの精髄が、陰に陽に連綿と受け継がれています。そんな「横溝チルドレン」の容疑者をしょっぴいてきました。
■青山ブックセンター六本木店・間室道子さんのおすすめ
(1)時計館の殺人 [著]綾辻行人
(2)ボディ・メッセージ [著]安萬純一
(3)真山仁が語る横溝正史 [著]真山仁、横溝正史
▽記者のお薦め
(4)陰摩羅鬼(おんもらき)の瑕(きず) [著]京極夏彦
邪悪な怨念がうずまく旧家の一族を襲う連続殺人。血塗られた宿命におびえながら、誰にもそのむごたらしい凶行を食い止められない――。
いきなり謎解きをしてしまおう。
ずばり横溝ミステリーの精髄の正体は「悪(あ)しき場所」なのだと、間室さんは読み解く。「江戸川乱歩のミステリーの核心は都市の『個人』。いまわしい個人の妄想を膨張させるのが真骨頂であるのに対して、横溝ミステリーの核心は血のつながりのある『家』や閉ざされた『村』のような泥臭い集団です。その『家』や『村』そのものが妄想し、犯罪をたくらむ『悪しき場所』となる感じ」
(1)『時計館の殺人』は、「十角館の殺人」でデビューした綾辻行人の「館」シリーズ第5作で、日本推理作家協会賞受賞作でもある。
108個もの時計コレクションが時を刻む「時計館」は、ある大富豪が一人娘の死を悼んで建てさせたものだった。そこへオカルト雑誌の編集者とカメラマンや大学のオカルトクラブの男女らが訪れる。幽霊が現れるという時計館にこもり、交霊会を開こうというのだ。閉めきられた館の中で連続殺人の幕があがる。
「『館』シリーズは『犯人は館そのものだ!』と言いたくなる『悪しき場所』ぞろいですが、怪奇趣味炸裂(さくれつ)の『時計館』は、そのなかでもピカいち。トリックが暴かれた瞬間、鳥肌が立ったことは忘れられません」と間室さんは絶賛する。
(2)『ボディ・メッセージ』は著者のデビュー作だが、舞台はアメリカで、登場人物もほぼ全員外国人だ。
とある荒野の一軒家に派遣された2人の探偵が深夜、血の海になった一室で4人の女性の切断死体を発見する。「なんといっても、死体の置かれ方が見事。トリッキーで絢爛(けんらん)な死体の『見せ方』も横溝チルドレンの特徴です」(間室さん)
(3)『真山仁が語る横溝正史』は、小説「ハゲタカ」シリーズの著者によるノンフィクションの人物伝。1970年代の横溝ブームを仕掛けた角川春樹氏との対談でも知られざるエピソードを聞き出している。
▽記者のお薦め
(4)『陰摩羅鬼(おんもらき)の瑕(きず)』は「憑(つ)き物落としの拝み屋」中禅寺秋彦が登場する「京極堂」シリーズの一編だが、今回は記者と間室さん共同で推薦する。この人気シリーズの作中に、なんと横溝正史が登場しているのだ。
「悪しき場所」は「鳥の城」と呼ばれる謎の洋館。住人の元伯爵は5度目の婚礼を控えていたが、過去の花嫁はことごとく、その洋館で迎えた初夜に何者かに殺されていた。
大作家はさりげなく登場し、なにげなく事件の真相をえぐるひと言を残していく。奥ゆかしい演出が極上のオマージュになっている。(保科龍朗)
◇
〈見るなら〉金田一耕助の冒険
1979年の公開当時、スタッフがひねり出したキャッチコピーは「これでも映画か」だったという。DVD特典映像の大林宣彦監督のインタビューでも、「観客のひんしゅくを買うことを狙った映画だった」と語られている。
出版と映像のメディアミックスで横溝正史ブームが燃え盛るさなか、ブームを仕掛けた張本人の角川春樹はこんな破天荒なパロディー映画まで製作していたのだ。
金田一耕助がローラースケートをはいた窃盗団に拉致された。彼のファンだという女首領が、未解決の「瞳の中の女」事件の犯人を突き止めるようけしかけられるためだった――という筋立てはあるものの、ポップでシュールなパロディーネタが、目まいがしそうなほどぎっしり詰めこまれている。
なぜ連続殺人を食い止められないか、を切々と語るラストの金田一のモノローグは出色だ。(龍)
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