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平成24・2012年3月6日 アイティメディア
イツエ、絵画的なサウンドに文藝調の詩が折り重なる独自世界
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2012-03-06
イツエのファースト・ミニアルバム『いくつもの絵』が、3月7日にリリースとなる。
2010年8月に結成されたイツエは、馬場義也(B)、久慈陽一朗(G)、吉田大祐(Dr)の3人が丁寧に塗り重ねた絵画的なサウンドに、女性ヴォーカル瑞葵(ミズキ)が綴る文藝調の詩と唄が折り重なり、ドラマティックかつダークでビューティフルな独自世界が展開される。これらのキーワードは、自ら主宰するレーベル「Dramatic db」の名に由来し、イツエの重要なテーマでもあるものだ。
『いくつもの絵』には、1曲毎に1人の少女をテーマに絵画を描くように録音された7曲が収録されている。星新一、江戸川乱歩、筒井康隆、寺山修司、川上弘美、松本大洋等の作品からインスパイアを受けたという瑞葵(ミズキ)の世界観は、作詞のみならずアルバムのアートワーク・ディレクションやイラストレーションをも手がけ、縦書きで美しくレイアウトされたジャケットは、むしろ詩集や短編小説集の趣きを醸し出すものだ。
2012年のミュージック・シーンにじわりじわりと地を這うように登場したイツエは、静かに着実に支持者を拡大させている。今作『いくつもの絵』は、タワーレコードのバイヤーがプッシュするタワレコメンにも選出され、アルバム収録曲「言葉は嘘をつく」がbayfm『ミッドナイトパワープレイ』(2/20~3/11)にピックアップされている。先行配信されているiTunesでは、『いくつもの絵』は3/2付ロック部門アルバムチャートにて最高位12位まで上昇しており、まさにブレイク前夜の状態だ。
これまでに都内を中心にライブ活動を精力的におこなってきたが、<RO69 JACK 2011>では、一次選考通過アーティスト(257組)の中から最終入賞アーティスト(14組)に選ばれ、一部ではその存在は早くから注目されていた。初の全国ツアーとなるレコ発ライブ<『いくつもの絵』Release Tour ~2枚目の絵~>は3月3日からスタートとなり、初日の渋谷club乙-kinoto-はソールドアウトの盛況ぶりをみせた。
混濁した現在の音楽シーンに、どんな色を塗り重ねてくれるのか、イツエへの期待は非常に高まっている。
『いくつもの絵』
2012年3月7日(水)発売
DQC-857(DB-01) \1,500(税込)
1.目次
2.青い鳥
3.言葉は嘘をつく
4.侵緑
5.エンドオブソロウ
6.ラブレターフロム
7.生活
<イツエPresents「いくつもの絵」Release Tour~2枚目の絵~>
3月3日(土)渋谷club 乙-kinoto-
3月7日(水)千葉LOOK
3月12日(月)仙台MACANA
3月13日(火)club SONICいわき
3月19日(月)立川BABEL
3月29日(木)club SONIC水戸
4月5日(木)横浜BAYSIS
4月11日(水)神戸Star Club
4月12日(木)新栄CLUB ROCK‘N’ROLL
4月19日(木)大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
4月20日(金)京都MOJO
4月28日(土)甲府KAZOO HALL
5月11日(金)下北沢SHELTER
※各会場対バン有り
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CDJournal
平成24・2012年3月6日 音楽出版社
唯一無比な音世界を築く“イツエ”、1stミニ・アルバムが遂にリリース!
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唯一無比な音世界を築く“イツエ”、1stミニ・アルバムが遂にリリース!
2012/03/06 15:18掲載
絵画的なサウンドに文藝調の詩が折り重なる、唯一無比な独自世界を築く4ピース・バンド、イツエ。待望の1stミニ・アルバム『いくつもの絵』は3月7日にリリース。
2010年8月に結成されたイツエは、馬場義也(b)、久慈陽一朗(g)、吉田大祐(ds)の3人が丁寧に塗り重ねた絵画的なサウンドに、女性ヴォーカルの瑞葵(ミズキ)が綴る文藝調の詩と唄が折り重なっていくという、ドラマティックかつダークでありながら静謐な美しさに溢れる独自の世界観を披露しています。
本作『いくつもの絵』には、1曲ごとに“1人の少女”をテーマとし、絵画を描くようなイメージで録音された7曲が収録。星 新一、江戸川乱歩、筒井康隆、寺山修司、川上弘美、松本大洋などの作品からインスパイアを受けたという瑞葵は作詞のみならず、アルバムのアートワーク・ディレクションやイラストレーションまで手がけ、縦書きで美しくレイアウトされたジャケットは、詩集や短編小説集の趣きを感じさせるものに。
『いくつもの絵』は、タワーレコードのバイヤーがプッシュする“タワレコメン”に選出、アルバム収録曲「言葉は嘘をつく」がbayfm“ミッドナイトパワープレイ”(2月20日~3月11日)にピックアップ。さらには先行配信されているiTunesのロック部門アルバムチャートでは最高位12位を記録(3月2日付)と、着実にその支持を拡大させているイツエ。初の全国ツアーとなるレコ発ライヴは3月3日からスタートし、初日の東京・渋谷club乙-kinoto-はすでにソールドアウト! 今後の動向にも注目です。
ラジオ
魔術師
平成24・2012年2月6日-10日、13日-17日
午後10時45分-11時
NHK-FM
青春アドベンチャー
全10回
原作:江戸川乱歩
脚色:芳﨑洋子
演出:江澤俊彦
出演:篠井英介、橋爪功、粟田麗、春日井静奈、冷泉公裕
▼NHKオンライン:NHKオーディオドラマ > 青春アドベンチャー > 放送済みの作品
演劇
覗絡繰-ノゾキカラクリ-
平成22・2010年11月25日-29日
演劇スタジオB(明治大学駿河台校舎14号館プレハブ棟 東京都千代田区神田駿河台1-1)
声を出すと気持ちいいの会番外公演
原作:江戸川乱歩「押絵と旅する男」「芋虫」
翻案・演出:山本タカ
出演:石綿大夢、後藤祐哉, 川名幸宏、加藤みさき
▼声を出すと気持ちいいの会:覗絡繰
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毎日jp
平成24・2012年3月3日 毎日新聞社
展覧会:「1930年代の東京」にスポット──世田谷文学館 /東京
佐藤浩
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展覧会:「1930年代の東京」にスポット--世田谷文学館 /東京
1930年代の東京にスポットを当てた展覧会「都市から郊外へ-1930年代の東京」が世田谷区南烏山1の世田谷文学館で開かれている。
1932年に世田谷区が誕生し、30年代は世田谷にとって誕生と発展の年代だったという。小田急線開業など鉄道網の発達や、教育機関の立地によって郊外住宅地として発展。多くの文学者や芸術家が移り住んで、新しい生活と文化がはぐくまれていった。
同展は▽文学▽絵画・彫刻▽写真▽版画▽映画▽音楽▽広告▽住宅--の8ジャンルで、東京郊外の生活文化の姿を重層的に捉えた。主な展示は▽文学=世田谷を舞台にした江戸川乱歩「少年探偵団」の挿絵原画(梁川剛一の作品)▽写真=桑原甲子雄の「東京昭和十一年」シリーズ▽版画=世田谷に住んだ稲垣知雄の作品▽広告=新宿に進出した三越と伊勢丹のポスター▽住宅=作家の野上弥生子邸の模型--など。
開催期間は4月8日まで(月曜休館)。入場料は▽一般700円▽高校・大学生500円--など。問い合わせは世田谷文学館(03・5374・9111)へ。【佐藤浩】
毎日新聞 2012年3月3日 地方版
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平成24・2012年2月24日 毎日新聞社
名張市:予算案 一般会計、初の赤字 土地開発公社清算で歳出膨らむ /三重
矢澤秀範
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名張市:予算案 一般会計、初の赤字 土地開発公社清算で歳出膨らむ /三重
名張市は23日、総額260億5700万円の12年度一般会計当初予算案を発表した。経営が行き詰まった市土地開発公社の清算に伴う累積債務の公費処理などで歳出が膨らみ、前年比13億1500万円(5・3%)増となる過去最大の予算規模に達した。収支不足は5億2000万円で、初の「赤字編成」となった。亀井利克市長は会見で「財政健全化が最大の山場を迎えた。13年度からは何とか単年度黒字を達成したい」と述べた。【矢澤秀範】
12年度中に解散する土地開発公社の債務の代理弁済に加え、土地区画整理事業の借入金返済、「総合教育」「子ども発達支援」の両センター整備などが歳出を大幅に押し上げた。新規事業の抑制や経費削減を図ったが、歳出が歳入を上回る赤字となった。7特別会計、2企業会計を合わせた総額は517億5841万円で、同32億612万円(6・6%)増加した。
■歳入
市税は96億680万円で、前年比0・9%増。固定資産税は評価替えで減収が見込まれるが、個人市民税が年少扶養控除の廃止で増加するほか、法人市民税で企業誘致による増収が見込まれる。
借金にあたる市債は、同37・8%増の37億3640万円。12年度末の残高見込み額は311億3000万円で、市民1人あたりに換算すると37万7000円(同1万円増)に膨らんだ。
財源不足は貯金に相当する財政調整基金から1億円を取り崩すが、残高はわずかしかない。このため、不足の5億2000万円を「歳入補填(ほてん)収入」として計上。13年度予算の歳入から繰り上げ充用する。
■歳出
公共事業など投機的経費は21億9745万円(前年比27・3%増)。昨年の台風12号で被害を受けた市道の整備として災害復旧費に1億6759万円。企業の施設を買い上げ、整備する総合教育センターなどに計3億1440万円を計上した。
義務的経費は139億5411万円(同0・1%減)。民生費では障害者自立支援費や生活保護扶助費、子ども医療助成事業などが増加した。一方、職員の若返り効果で人件費は抑制され、退職手当は減額が見込まれる。
借金返済にあたる公債費は、37億2258万円(同4・9%増)となった。
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■視点
◇負の遺産「総仕上げ」を圧迫
名張市の新年度予算案について、亀井利克市長は02年に出した「財政非常事態宣言」以降、行財政改革に取り組んできた「総仕上げ」と位置づけた。だが、初の赤字編成となり、13年度の歳入から「前借り」してしのぐなど、依然過去の市政の負の遺産に苦しめられる状態は変わらない。
歳出を引き上げたのは市土地開発公社の清算事業費だ。市が代理弁済する累積債務は総額12億3700万円にも上る。69年設立の同公社は、公共施設用地などの土地の先行取得を進めたが、バブル崩壊後は利用のあてのない多くの土地など不良資産を抱え込んだ。金利負担は年約1億円に達し、財政を圧迫している。
公社解散は全国的な流れで、市は12年度中に地方債「第三セクター等改革推進債」を活用し、県内初となる解散を目指している。とはいえ、新たな借金を重ねるわけで、見通しの甘い経営のつけが最終的に市民に回される構図に変わりはない。
亀井市長は13年度からの「単年度黒字」を強調する。だが、景気回復の見通しは依然として不透明で、社会保障費も増え続けるなど環境は厳しい。自主財源の確保や既存事業の見直し、黒字への道筋をしっかり示すなど、今後の手腕が問われている。【矢澤秀範】
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◇主な新規事業◇
▽生活習慣病予防
3130万円。慢性腎臓病・高血圧症の重症化の予防や特定健診の受診率向上、40~60歳の節目を迎えた市民のがん検診の自己負担金無料化。
▽感染症予防
2億4025万円。子どものロタウイルス胃腸炎予防にワクチン接種。高齢者の肺炎球菌ワクチン接種。
▽県営ふるさと農道整備
1億9075万円。国道165号と県道上野名張線を結ぶ農道新設。
▽市民野球場改修
6600万円。バックスクリーン改修、防球ネット設置、外野フェンス改良など。
▽ふるさと能文化振興
687万円。東日本大震災の被災地・宮城県塩釜市の復興支援の一環で、江戸川乱歩原作の狂言を制作・上演。
▽地場産業振興
100万円。8月開業予定の「とれたて名張交流館」(仮称)への運営金負担。
〔伊賀版〕
毎日新聞 2012年2月24日 地方版
雑誌
グランドジャンプPREMIUM 第3号
平成24・2012年2月22日発売 集英社
グランドジャンプ2012年3月30日増刊
B5判 522ページ 定価500円(本体476円)
江戸川乱歩異人館
山口譲司
第3話〈異人ノ三 抱男~人でなしの恋~〉 p3-34
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▼グランドジャンプWEB:江戸川乱歩異人館
書籍
江戸川乱歩異人館 3
山口譲司
原作:江戸川乱歩
平成24・2012年2月22日第一刷 集英社 ヤングジャンプ・コミックス
B6判 カバー 194ページ 本体562円
異人ノ八 裏・額男~押絵と旅する男~
p3-28
初出:ビジネスジャンプ 2011年9月7日号
異人ノ九 明智小五郎×蜘蛛男~蜘蛛男~〈前編〉
p31-50
初出:ビジネスジャンプ 2011年7月6日号
異人ノ九 明智小五郎×蜘蛛男~蜘蛛男~〈中編〉
p51-72
初出:ビジネスジャンプ 2011年7月20日号
異人ノ九 明智小五郎×蜘蛛男~蜘蛛男~〈後編〉
p73-96
初出:ビジネスジャンプ 2011年8月3日号
異人ノ十 蝕男~蟲~〈前編〉
p97-123
初出:ビジネスジャンプ 2011年9月21日号
異人ノ十 蝕男~蟲~〈後編〉
p125-157
初出:ビジネスジャンプ 2011年10月5日号
異人ノ十一 鏡男~目羅博士の不思議な犯罪~
p160-193
初出:グランドジャンプPREMIUM 第1号 2011年12月21日
▼集英社:江戸川乱歩異人館 3
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WEB本の雑誌
平成24・2012年1月18日 本の雑誌社、博報堂
作家の読書道 第122回:三上延さん
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作家の読書道 第122回:三上延さん
2011年に刊行するとたちまち1、2巻を合わせて80万部を突破、今もベストセラーにランクインしているビブリオミステリ連作集『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ。謎解きや人間ドラマはもちろん、古本や出版事情の薀蓄も楽しいと思ったら、やはり著者の三上延さんには古書店勤務の経験があるのだとか。幼い頃から読書家で、本の好みは昔からはっきりしていたという三上さんの読書歴、影響を受けた本とは?
2012年1月18日更新
――『ビブリア古書堂の事件手帖』の舞台は北鎌倉ですが、三上さんはもともとその地域のご出身なのですか。
三上:出身は横浜なんです。2歳くらいまでいまして、その後は一時期だけ綾瀬市、厚木基地の近くに住んでいて、小2か3の時に藤沢に引っ越しました。なので藤沢で育ったという感じですね。
――読書の記憶といいますと、どのあたりから。
三上:最初は絵本から入ったわけですが、3つ上の兄に読んでもらっていたみたいです。僕は憶えていないんですけれど。途中から一人で勝手に読むようになりました。兄のための児童書は結構ありましたが、うちの両親はそこまで本は読んでいなかったようで、大人の本はあまりなかったですね。でも僕の親の世代って、全集を家にそろえておく世代だったので、うちにも一揃いありました。飾ってあるけれど誰も読まないっていう(笑)。それで、一人で読んだ本で最初に印象に残ったのが『おしいれのぼうけん』。いうことをきかない子供二人が押し入れに入れられて、そこで大冒険をする話なんですけれど、子供って押し入れに入るのが好きだから(笑)、僕もいいなあと思っていて。あと憶えているのは、当時、谷川俊太郎さんが訳した『マザー・グース』が話題になっていて、御袋が子供に読ませようと買ってきたんです。昔の童謡だから、ちょっと怖い歌や暗い歌が多いんですよね。だらしのない男が死んで、だらしないからバラバラになった体を部屋に散らかしっぱなしだっていう歌とか。生首がベッドの下にある様子がバッチリ絵になっていました。そういうのを、幼稚園くらいの頃にずっと眺めていました。
――怖いのは大丈夫だったんですか。
三上:怖がりだったのに、怖いものが好きだったんです。松谷みよ子さんの「モモちゃん」シリーズも好きでしたが、あれも意外と怖い話が多いんですよね。幼稚園の頃にちょうど『モモちゃんとアカネちゃん』が出たんだったと思います。モモちゃんが影をとられてしまったり、死神がやってきたりする。秀逸なのが、お父さんとお母さんが離婚してしまうんだけれど、その前の日々のなかで、お父さんが帰ってこなくて毎日靴だけ帰ってくる話があるんです。お母さんがそれを磨いておくと、毎朝靴だけが出ていく。まったく顔をあわせない夫婦を表現しているんですよね。お母さんが森のおばあさんに相談にいくと、「お前の亭主は歩く木で、お前は育つ木だ。だから二人で一緒にいたら枯れてしまう」と言われるのも印象に残りました。自立しなさいということだったんだなと後から思ったんだけれども。
――モモちゃんシリーズは可愛らしい話もいっぱい入っているのに、暗い話ばかり憶えていますね。
三上:親が普通にいい話だと思って与えてくれたんだろうけれど、僕が繰り返し読んでいるのはそんなところばかりでした。
――まわりの子供と比べても本好きだったんでしょうか。そんな風に言われた記憶はありますか。
三上:僕自身は外で遊んでいた記憶もあるんです。でも親からすると、昭和の子供の基準からするとまったく外に出ない子供だったようです。「外に行きなさい」と言っても、すぐ本を読みに帰ってくる。兄とは性格がまったく違うんです。兄は運動神経がよくて、いまだにスノボとかやっているんです。僕はやっぱり本が好きだった気がしますね。おもちゃで遊んだりもしたけれど、やたら読んでいた記憶があります。
――ほかにどんなものを読んでいた記憶がありますか。
三上:親が兄に買い与えた児童文学全集みたいなものがありました。『十五少年漂流記』や『ジャングル・ブック』などが入っていて、そちらの方にちょっとだけ目が移ったんですけれど、でも、小さい頃から癖みたいなものがあったんです。人に薦められた本が読めないんです。親に言われるんですけれど、小さい頃から本屋で自分で本を選びたがって、与えられた本には見向きもしなかったとか。2歳か3歳くらいからそうだったようで、いまだに「買ってやった本が無駄になった」と言われます(笑)。さすがに憶えていないんですが、僕の中に基準があったんでしょうね。なんとなく、この人が格好いいとか、この絵がきれいだとか、そんなことだと思うんです。子供だから細かいところまでは分かっていなかったと思う。大きな基準となっていたのは、食べ物が美味しそうということかな。『ぐりとぐら』なんかも、大きなカステラを作りますよね、あれを見て「食べたいなあ」と思ったり。
――漫画は読みませんでしたか。
三上:本のほうがメインでした。でも最初に読んだ漫画は憶えています。友達の家にあった『少年マガジン』に、『三つ目がとおる』が載っていたんです。「怪植物ボルボック編」の回で、写楽保介たちが地中に閉じ込められている場面が見開きになっていて。地表に出るかでないかくらいのところで次号に続くとなっていたんです。当時は漫画のタイトルも憶えていなかったし、後から単行本で読めるという発想がなくて、一体どこに出たんだろうとずっと気になっていていました。中学生になってやっと、あれは『三つ目がとおる』だったんだと分かりました。それで続きを読んだら、これが面白かった。自分が予想した以上に面白かったんです。
――『少年ジャンプ』も読みませんでしたか。全盛の頃ですよね。
三上:読みました。小6くらいの時に『キャプテン翼』が流行っていて、サッカーボールを蹴りながら学校に行っていました。いちばん印象に残っているのは『ブラック・エンジェルズ』。「必殺」シリーズみたいな話で、ブラック・エンジェルズを名乗る人たちが町の不良をボコボコにしていく。途中からバトルものになっていくんですけれど。主人公の武器が自転車のスポークで、それを頭にさすと開いた口の中にスポークが見えたりする。ひどいなあと思いながらも夢中になって読んでいました。
――ちょっと怖いもの、グロテスクなものが好きだったんですね。
三上:そうですね。小学生の頃に江戸川乱歩の少年探偵団のシリーズもすごく好きで読んでいたんですが、読み切ってしまって、それで小4くらいから大人向けのものを辞書を引きながら読むようになり、その頃読んだのがこれで...。(と、古本を取り出す)
――江戸川乱歩の『一寸法師』。古い版で、化け物っぽい人が白い腕を一本抱えている表紙ですね。
三上:これは後で買い直したものだと思います。「二銭銅貨」や「闇に蠢く」が入っているんですが、「闇に蠢く」は穴の底に登場人物たちが閉じ込められて、食べるものがないからお互いを、じゃあって...。さすがに読んではいけないものを読んでしまったと思いましたね。乱歩も嫌になったらしくて、連載を中断したんですよね。
――(めくりながら)解説を山田風太郎と中井英夫が書いている。豪華。
三上:山田風太郎が書いている解説が面白いんです。乱歩先生が戦後社交的になったのはなぜか。乱歩先生は若禿だった、若い頃がそれが恥ずかしかったけれど、戦後、禿が恥ずかしくない年齢になったから社交的になったのではないか...って(笑)。山田風太郎はこの説を他の本でも推していて、僕は結構真に受けていました。
――解説の最後の一文がすごいですよ。「このコンプレックスで「人間椅子」「屋根裏の散歩者」「陰獣」などの名作が生まれたとすれば、人間、禿げれば尊しわが師の恩というべきではあるまいか」って......(爆笑)......で、えっと、本は買うことが多かったのですか。学校の図書室などは利用しなかったのでしょうか。
三上:図書室にも行っていたんですけれど、僕は本で面白い箇所があると端を折りたくなるんです。図書館で借りた本はさすがにそれはできないし、手元に本を持っておきたいので、どちらかというと本屋で買っていました。藤沢の有隣堂には自転車で通っていました。有隣堂って文庫のカバーの色が何種類かあって、選べるんですよね。あれが好きで。藤沢に引っ越していちばん嬉しかったことはそれですね。
――次から次へと読むタイプですか、同じ本を繰り返し読むタイプですか。
三上:次から次へと読みたかったんですけれど、月に何冊も買えないので、繰り返し読まざるをえなかったんです。だから『一寸法師』なんかを繰り返して読むことに。
人事
八木福次郎
平成24・2012年2月8日死去 肺炎 96歳
やぎ・ふくじろう
日本古書通信社前社長
大正4年4月17日-平成24年2月8日(1915-2012)
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八木福次郎さん96歳(やぎ・ふくじろう=日本古書通信社前社長)8日、肺炎のため死去。葬儀は近親者で済ませた。喪主は長男隆夫(たかお)さん。しのぶ会は、4月17日午前11時、東京都千代田区神田小川町3の22の14の明治大学紫紺館。
1936年から専門誌「日本古書通信」の編集に携わり、63年から同社社長。東京・神田神保町で古書の生き字引と呼ばれた。著書に「古本蘊蓄(うんちく)」(平凡社)など。
毎日新聞 2012年2月22日 10時38分
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