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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2025.04.23,Wed
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Posted by 中 相作 - 2017.10.18,Wed
ウェブニュース

Book Bang
 平成29・2017年10月12日 新潮社

【文庫双六】命の輝きがよく似合う乱歩ワールド──野崎歓
 野崎歓
 Home > レビュー > 記事

【文庫双六】命の輝きがよく似合う乱歩ワールド――野崎歓



『黄金豹』
著者
江戸川 乱歩 [著]
出版社
ポプラ社
ISBN
9784591109649
価格
562円(税込)

【文庫双六】命の輝きがよく似合う乱歩ワールド――野崎歓

[レビュアー] 野崎歓(仏文学者・東京大学教授)

「黄金」つながりで考えてみると、江戸川乱歩の名が思い浮かぶ。『黄金仮面』に『大金塊』、そして『黄金豹』。金無垢の輝きが乱歩ワールドにはよく似合う。

 さらには、乱歩の師匠エドガー・アラン・ポーの『黄金虫』もある。『黄金仮面』の発想源となった、フランスの知られざる名短篇作家、マルセル・シュウォッブの『黄金仮面の王』も加えれば、乱歩とはまさにミステリの金脈を受け継いだ男ということになる。

 ここで『黄金豹』を取り上げるのは、東京中を荒らし回る金色の豹というイメージのもつゴージャスかつ妖しい魅力が、はるか昔、心に刻まれたからである。

 街を豹が闊歩しているだけでもびっくりなのに、それが宝石店に入ってきて、宝石を前脚ではさみ取り、ぺろりと口に入れてしまったりするのだ。何と優雅な、そして可愛げのある強盗だろう。はたまた、豹が銭湯の高い煙突のてっぺんまで登って行って、そこからロープを使ってはるか彼方まで飛翔したりする。実に絵になるではないか。

 久方ぶりに読み返してみると、イメージとしてはやはり幻惑的だ。同時に、絢爛たるカラー映画というよりも、あくまで“紙芝居”的な泥臭さが乱歩の身上であることも確認できた。

 いったい黄金豹はどういう仕掛けになっているのかの謎解きは、まったく忘れていたが、唸るというより微笑んでしまうようなシンプルなトリックで、ほっこりとした気分にしてくれる。

 少年探偵団の活躍も見ものだ。中学生の小林団長がピストルを携帯しているのには改めて驚く。学校に通っている様子はあまり見られず、親にうるさいことをいわれることもなく、明智小五郎の家に入りびたりで、夜どおし寝ずに事件のただなかで奮闘している。そんな姿に、昔の子ども読者は限りなく羨望を抱いた。

 そして夢中でその活躍を読みふけり、読書の習慣をしっかりと身につけさせてもらったのだから、小林少年の教育上の功績は大きい。

新潮社 週刊新潮 2017年10月12日神無月増大号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
新潮社
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Posted by 中 相作 - 2017.10.17,Tue

 おしっこ、などと来年から晴れて前期高齢者だという人間がしれっと書いてしまうのはいかがなものかと思いますけど、小春ちゃんのおしっこ、おかげさまでなんとか出ております。

 散歩の途中、排尿の姿勢に入るとすぐしゃがみこんで短い後脚のあいだを覗き込んでるわけですけど、おしっこの描く線がやや細いかな、という気はいたしますものの、なんとか排尿できているのはありがたいことです。

 きのうの晩ごはんから、おしっこが出なくなりがちな犬のための、と獣医さんから提供されたドッグフードに切り替え、食事療法をつづけております。

 いっぽう、などと犬のおしっこの話題のあとにつづけるのは失礼千万な話ですけど、まあ大目に見ていただいて、慶應義塾大学推理小説同好会OB会の集まりが先週あったそうで、9月に名張市立図書館をお訪ねいただいたみなさんによるご報告も行われたとのことでした。

 また、同会から名張市の教育次長と図書館長にメールをお送りいただいたそうで、名張市もちっとはしっかりせにゃならんわけですが、無理であることは目に見えてるしなあ。

 私はもう、いうまでもなく、名張市にはなんの期待もしていないわけですけど、せめて正直に、自分たちは資料収集のことなど何も知らず、したがってまともな資料収集などまったくできておらんのであると認めて、いわゆるまっとうな公的機関に乱歩関連資料の収集を引き継いでもらうことを考えていただけぬものか、とは思っている。

 だから、もうちょっといたぶったるか。
Posted by 中 相作 - 2017.10.17,Tue
電子書籍

青空文庫
 平成29・2017年10月7日

二癈人
 江戸川乱歩
 入力:門田裕志
 校正:江村秀之

 ▼青空文庫:二癈人
Posted by 中 相作 - 2017.10.16,Mon

 いやー、えらいことでした。

 うちの小春ちゃん、女の子にはめったにない症例であるとのことでしたけど、きょう、おしっこが出なくなって獣医さんへ駆け込みました。

 レントゲンを撮り、血液検査もして、結石こそ見られないものの尿道が詰まっていたらしく、男の子は女の子より尿道が狭いからこういうケースは普通にあるそうですが、女の子がこうした症状を示すのはきわめて珍しいようで、これは麻酔をかけて強制的に排尿させねばならんかな、みたいなところまで行ったんですけど、病院の待合室でいきなり嘔吐した拍子におしっこも出て、そのあと獣医さんに膀胱を手で刺激してもらったおかげで大量の尿が排出され、まあやれやれ。

 いま獣医さんから帰ってきて、とりあえずお酒にしたところです。

 いやー、小春ちゃんも12月で十歳だからなあ。

 私は来年3月で前期高齢者の仲間入りだし。
Posted by 中 相作 - 2017.10.16,Mon
ウェブニュース

文春オンライン
 平成29・2017年10月10日 文藝春秋

とんでもない展開が続く 石井イマジネーション!――春日太一の木曜邦画劇場
 春日太一
 Home > エンタメ > 映画 > 記事

春日 太一
2017/10/10

とんでもない展開が続く 石井イマジネーション!――春日太一の木曜邦画劇場

『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』

source : 週刊文春 2017年10月12日号
genre : エンタメ, 映画, 芸能



1969年作品(99分)/販売:東映/発売:東映ビデオ/4500円(税抜)/レンタルあり

 一九六〇年代末から、東映は突如として「異常性愛路線」をスタートさせる。ここに据えられたのが、「網走番外地」シリーズを大ヒットさせていた石井輝男監督だった。

 石井はここで持ち前のイマジネーションを爆発させ、問題作を次々と送り出していく。『徳川女刑罰史』『徳川いれずみ師 責め地獄』『異常性愛記録 ハレンチ』――煽情的なタイトルが並ぶ一連の作品群の中でもひと際強烈なのが、今回取り上げる『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』である。読んで字の通りの題名のため長いこと国内ではソフト化されることなく、一部の名画座でしか観られなかった作品だ。

「財力にあかせて離れ小島に理想郷を作ろうとする男の話」という共通項をもつ、『孤島の鬼』と『パノラマ島綺譚』の二本の乱歩小説を強引に組み合わせて物語は構成されている。なぜか精神病院に入れられていた主人公(吉田輝雄)が、命を狙われそうになりながらもなんとか脱出する序盤。急死した自分に瓜二つの富豪になり済まして日本海側の旧家に入り込む中盤。いずれも、次に何が起きるか分からない不穏さと怪しさに満ちているが、ここまでなら、よくある乱歩原作映画だ。

 が、そこは石井輝男。後半になって一気にスパークしてくるのである。主人公がなり済ました男の父親は離れ小島に移り住んでおり、そこで人々に異形の者への改造手術をして、彼らを従えて思うままの楽園を作り上げていた。

 主人公は彼に会いに、島に向かう。この父親を演じるのが、暗黒舞踏で鳴らしていた土方巽。この男が怪しげな動きをしながら島を案内すると、それぞれに異形に扮した劇団員たちが次々と現われ、めくるめく「暗黒版イッツ・ア・スモールワールド」を見せつけていく。ここで既に前半のことは頭から消えてしまっているのだが、その強烈な暗黒世界すら忘却の彼方に吹き飛ばす展開が、終盤に訪れる。

 突如として名探偵・明智小五郎が登場、名推理を披露して裏で起きていた全ての事件を唐突に解決してしまうのだ。

 この明智の推理を通して展開される回想シーンが凄まじい。そこでは、旧家の執事に扮した小池朝雄が、椅子の中に潜り込んで女体をまさぐったり、女装してSMプレイに興じたり――乱歩小説に登場する変態行為をノリノリの演技で披露していくのである。

 そして最後の最後に、またとんでもない場面が控えているのだが、これは観てのお楽しみとさせていただく。

 とにかく、ひたすら唖然としているうちに物語は終わる。異常な石井イマジネーションの世界、この機会にぜひご自宅で浸ってもらいたい。
Posted by 中 相作 - 2017.10.15,Sun

 雨の日曜となりましたが、まずこの件。

 株式会社藍峯舎:江戸川亂步 竹中英太郎『完本 陰獣』(2017年10月6日)

 おかげさまで巻末解説「江戸川乱歩の不思議な犯罪」、ようやく脱稿いたしました。

 四百字で三十二枚になりました。

 江戸川乱歩が昭和3年に犯した不思議な犯罪がテーマです、と思わせぶりなことを書いておきましょう。

 ツイッターではさっそく──


 さらに──


 そういえば以前、こんなことを書きました。

 2016年11月23日:予約受付が始まりました

 これがとんだ心得違いで、三津田信三さんにお詫びを申しあげる次第です。

 最先端の印刷技術によって、竹中英太郎の画業が妖しくよみがえることになりました。

 どうぞご期待ください。

 それから、こちらの件。

 小学館eBooks:江戸川乱歩電子全集

 7月の最終配信から三か月のインターバルを置いて、小学館の『江戸川乱歩電子全集16』は今月配信の予定です。

 たぶん最終金曜、10月27日配信、ということになると思います。

 四百字で八十四枚になってしまった私のインタビュー、というか漫談、あちらこちら伏せ字もまじえつつ収録されているはずです。

 名張市ってのはほんと、どーしよーもねーなー、ということがとてもよくわかるインタビュー、というか漫談となっております。

 そういえばこの一件、こんなことになってたんですけど、ブログではお知らせしておりませんでしたっけ?

 8月16日に送信した「市長への手紙」に、こんなお答えをいただきました。

中 相作 様

 この度は、市長への手紙をお寄せいただきありがとうございました。
 お尋ねのありましたことについては、以下のとおりです。

1)資料収集の目的
収集の目的は、日本における探偵・推理小説の礎を築いた名張生まれの作家・江戸川乱歩を顕彰し、収集した資料により市民の皆さんに江戸川乱歩についての知識や興味・関心を高めていただくためです。

2)資料収集の対象
収集の対象とする資料は、江戸川乱歩の著作物及び江戸川乱歩に関する著作物等です。

3)平成28年度の資料収集の実績
 平成28年度の受入冊数は24冊で、詳細は別紙のとおりです。

また、ご依頼のありました、インタビュー原稿の事実関係の当否について言及することは差し控えさせていただきます。

平成29年8月24日
名張市長 亀井利克

 要するに、名張市立図書館による乱歩関連資料の収集に関して、その目的と対象、それから昨年度の実績をお聞きしたわけで、そのうち昨年度の収集実績だけは、送付されてきた一覧表をスキャンしてご覧いただきましたっけ。


 それで、四百字で八十四枚にもなって「屋根裏の散歩者」より長い私のインタビュー、というか漫談に関してこんなことをばお願い申しあげました。

 またもう1点、小学館(東京都千代田区一ツ橋)から電子書籍として「江戸川乱歩電子全集」(http://ebook.shogakukan.co.jp/edogawa/)が刊行されておりますが、近く配信される巻にわたしのインタビューが収録されることになっており、テープ起こしに補足説明など当方で手を加えた原稿をすでに編集部に提出してあります。

 諸般の事情により、念のためこの原稿に目をお通しいただくべきかと判断いたしましたので、ネット上にアップいたしました(http://www.e-net.or.jp/user/stako/○○○○.pdf)。

 恐れ入りますが、ご一読をたまわり、さらに教育長と図書館長にもお読みいただいて、事実誤認などのご指摘をいただきたく、ご多用中まことに恐縮ではございますが、よろしくご手配をお願い申しあげる次第です。 謹言

 インタビュー原稿のURLは一部伏せ字といたしましたので、アクセスしても「The requested URL /user/stako/â—‹â—‹â—‹â—‹.pdf was not found on this server」とかいわれてしまいます。

 それで、このインタビュー原稿、8月16日付「市長への手紙」では市長、教育長、図書館長にお読みいただくようお願いしたのですが、8月24日付のご回答では「ご依頼のありました、インタビュー原稿の事実関係の当否について言及することは差し控えさせていただきます」とのことでしたから、このインタビューは名張市の市長、教育長、図書館長からありがたいお墨付きを頂戴しております、ということにしてしまいたいと思います。

 それから、身辺あれこれあわただしいせいでどっか行っちゃった慶應義塾大学推理小説同好会OB会のおはなしですけど、結局のところ、名張市ってのはほんと、どーしよーもねーなー、ということなわけで、寄贈図書を図書館のデータベースに登録し、できればその一部を図書館の開架に並べたい、みたいなあたりのことでご勘弁いただくしかないように思います。

 名張市あたりの図書館関係者なんて、ほんとにこんな感じなの。

 2017年9月26日:図書寄贈の真実

 で、乱歩関連資料については、名張市はもうだめだから伊賀市に引き継いでもらいたい、と思ってたんですけど、というのも、伊賀市も名張市も官民双方、知的レベルは異様に低いですから資料収集なんてとても無理なんですけど、伊賀市はとりあえず収集資料の収蔵スペースが確保できそうだったわけです。

 伊賀市の市庁舎、現在地から別のところへ移転することになって、現在新庁舎建設中。

 毎日新聞:新庁舎 免震装置に興味津々 市民が工事現場見学 /三重(2017年10月15日)

 新庁舎へのお引っ越しが済んだら、空き家になった旧庁舎に図書館が入る、という構想がいったん発表されて、それはどうやら悪名高きツタヤ図書館を入れるというおはなしだったみたいで、ゆえに伊賀市では一昨年あたりからこんな動きがあったわけです。

 2015年9月11日:樋渡啓祐さんの講演会には足を運びませんでしたが

 ツタヤ図書館だろうがなんだろうが、とにかく収蔵スペースさえ確保できれば、名張市立図書館が収集した乱歩関連資料を伊賀市に一括して譲渡し、とはいえ、名張市立図書館の乱歩コーナーで公開している乱歩の遺品やなんかの展示資料はそのまま残しておくわけですけど、あとはどうにでもなるだろう、と私は考えておりました。

 しかしここへ来て、伊賀市の新庁舎完成後、現在の庁舎に図書館が入るという話は消えてなくなってしまったみたいで、そうなると収蔵スペースの確保もできなくなり、乱歩関連資料の収集を伊賀市へ丸投げして名張市は楽をする、という夢のようなプランもむなしくついえてしまいますがな。

 困ったものだなあ。
Posted by 中 相作 - 2017.10.14,Sat
ウェブニュース

現代ビジネス
 平成29・2017年10月1日 講談社

ラサール石井さん「読書とは、頂上の見えない登山のようなもの」
 大西展子
 Home > 本/教養 > 記事

2017.10.01

ラサール石井さん「読書とは、頂上の見えない登山のようなもの」

読みたい本がどんどん増えていく

ラサール石井

西遊記は「元祖RPG」

実家にある本は何でも読み尽くして、幼稚園の頃から『主婦と生活』なんかも読んでいました(笑)。覚えたての漢字を読むたびに周りの大人が「すごーい!」と褒めるものだから嬉しくて。それ以来、本を読むのが好きになりましたね。

1位の『西遊記』は小学校3、4年生の頃に友達の家にあった全集で読みました。子供向けのシリーズではなくて、大人が読む分厚い『西遊記』だったので少し難しかったんですが、毎日通ってひたすら読み続けましたよ。



孫悟空たちが様々な苦難を一つ一つクリアして、ゴールの天竺へ行くという、今のロールプレイングゲームの元祖ですね。中でも金角と銀角という妖怪が孫悟空にやられて、ひょうたんの中に吸い込まれて溶かされてしまうところや、芭蕉扇といって火を鎮める団扇をもつ仙女との戦いに胸を躍らせていました。

最初は悟空を始め、猪八戒も沙悟浄も悪い奴でね。でも、彼らを仲間にして敵をやっつけていくというのが当時の僕には新鮮でした。これはもうアメコミ映画の『スーサイド・スクワッド』そのもの。

そして、三蔵法師と共に旅するうちに、彼らの間に友情や正義感が芽生えていくのは今大人気の漫画『ワンピース』と似ていて、そういう意味ではエンターテインメントものの原点だと思う。

5歳上の兄貴が漫画雑誌を買っていたので、3歳ぐらいから、『マガジン』や『サンデー』などの少年漫画雑誌を読み始めました。中でも手塚治虫先生は僕にとって神様みたいな人で、2位は手塚先生のSF作品『0マン』です。



先生は動物をメタモルフォーゼさせるのが好きで、この作品も0マンと言われるリスに似た超人類と人間の抗争を軸に物語が展開します。日本兵に拾われ、育てられた0マンのリッキー少年が人間と折り合っていくなかでの苦悩が描かれる、読み応えのある作品です。

自分で書いてみて分かったこと

僕は学生時代から井上ひさしさんのファンでしたから、3位に挙げた戯曲『藪原検校』が渋谷の西武劇場で上演されたときも観劇しました。それまでの井上作品のハチャメチャな喜劇路線から一転して、非常に暗く、シリアスな芝居だったから衝撃を受けましたね。



座頭、いわゆる盲人の話なんです。生まれながらに目が見えない杉の市は晴眼者を見返すためには金を手に入れるしかないと考え、貸金の取り立てで頭角を現します。

学者の塙保己一からは、知性と品性を磨くことこそ晴眼者と対等の場に立つための唯一の道と説かれますが、悪行の限りを尽くし成り上がっていきます。杉の市は悲劇的な最期を遂げるのですが、井上さんが描く、差別されている人間のエネルギーに圧倒されました。今回舞台で初めて『円生と志ん生』という井上作品に出演させて頂き、光栄です。

最近は演出や脚本の仕事も多いのですが、いつも苦しんでいます。締め切りが迫っているのに筆が進まない時なんて、もう最悪。そんな時にニール・サイモンの自伝『書いては書き直し』を読み返すと、彼ほど才能がある劇作家でもこんなに苦労してきたんだ、食えない時代があったんだと思い、もっと頑張らないと、とヤル気が湧いて来るんです。



当時は今ほど脚本家の地位は高くなかったからヒドい目にも遭っているんだけど、奥さんへの愛情の深さや、夫婦で互いに励まし合っている姿に胸を打たれます。

ラサール石井さん「読書とは、頂上の見えない登山のようなもの」

5位の「少年探偵団シリーズ」は小学生の時に、近所の貸本屋で見つけました。表紙はすごく怖いんだけど、好奇心で手に取ってみたんです。主人公は明智小五郎で、彼をサポートする小林少年ら少年探偵団の子供たちのなかには、戦災孤児とか浮浪児もいるんですね。

でも、主人公たちのライバルの怪人二十面相が狙うのは金持ちばかりだから、そのギャップの妙もあった。ちょっとエロチックなシーンもあって、いやあドハマりしました。

この本のおかげで推理小説を好きになってエドガー・アラン・ポーを読むようになり、6位の『黄色い部屋の秘密』へ導かれて行くわけです。この作品は完全密室殺人で驚愕のトリックが用意されているんですが、最後はエエーッ! そんな馬鹿な! と思ったのを覚えています。



年を取るほど本が読めると思っていたんですが、最近忙しくて読む暇がないんですよ。なのに、本屋さんに行くと気に入ったものを全部買うから読んでも読んでも本が増えていくばかり。だから、僕にとっての読書は、どんなに登っても限りなく続いていく高い山みたいな感じです。

(取材・文/大西展子)

ラサール石井さんのベスト10冊

第1位『西遊記』(全10巻)
中野美代子訳 岩波文庫 1000円(1巻)
三蔵法師が孫悟空、猪八戒、沙悟浄と共に取経のため天竺を目指すが、途中、妖怪など虚実が入り乱れる一大伝奇小説

第2位『0マン』(全2巻)
手塚治虫著 講談社 900円ほか
「0マン」と呼ばれる、非常に優れた知能と体力を持つ、リスに似た生物と人間との抗争を軸とした大河ドラマ

第3位『藪原検校
井上ひさし著 新潮文庫 530円
目が見えない杉の市は晴眼者に伍して生きていくため数々の悪事を重ね、盲人の最高権力の座・検校位に就くが…

第4位『書いては書き直し
ニール・サイモン著 酒井洋子訳 早川書房 3600円
「書けば当たる作家」はいかにして生まれたか。創作と人生をユーモラスに語った自伝

第5位「少年探偵団シリーズ
江戸川乱歩著 ポプラ文庫クラシック 560円ほか
明智探偵と助手・小林少年率いる少年探偵団が怪盗と繰り広げる推理アドベンチャー

第6位『黄色い部屋の秘密
ガストン・ルルー著 高野優、竹若理衣訳 ハヤカワ文庫 980円
真夜中、令嬢の部屋から悲鳴と銃声が響いた。完全な密室殺人の謎に少年記者が挑む

第7位『蜘蛛の糸・杜子春・トロッコ
芥川竜之介著 岩波文庫 700円
「文章の味わいがいい。ちょっとした皮肉、諧謔、オチみたいなものを教えられました」

第8位『吾輩は猫である
夏目漱石著 岩波文庫 700円
「小学生のときに無理して読んだ。人間を猫の目から風刺的に描いていて痛烈で愉快」

第9位『竜馬がゆく』(全8巻)
司馬遼太郎著 文春文庫 650円ほか
「幕末維新を先導した坂本竜馬の生涯。信じるものに向かって生きる勇気をもらえる一作」

第10位『大いなる助走
筒井康隆著 文春文庫 619円
「『直廾賞』候補作家が陥る混乱と狂気と、地方の同人誌界の厭らしさの描き方がうまい」

『週刊現代』2017年10月7日号より
Posted by 中 相作 - 2017.10.13,Fri
演劇

恐怖王

平成29・2017年9月15日─17日
北池袋新生館シアター(東京都豊島区池袋本町1-37-8)
回路Rサスペンス劇場 江戸川乱歩傑作シリーズ
第29回池袋演劇祭参加作品
原作:江戸川乱歩
脚本・演出:森本勝海
出演:林正樹、ミハル、森本勝海、千葉こず恵、吉村香澄、かみありつき、山畑恭子、末広響子(気象予報士の劇団お天気しるべ)、日下部新、大野陽子、有砂文乃(劇団参画自由)、白鳥礼佳、宮内洋(和創芝居『緋國』)、和出仁(キラーコンテンツ)、藍アキラ、森山直弥、薬師寺流、長倉充幸


 

 

 回路R:Home
Posted by 中 相作 - 2017.10.12,Thu
電子書籍

青空文庫
 平成29・2017年10月7日

夢遊病者の死
 江戸川乱歩
 入力:門田裕志
 校正:江村秀之

 青空文庫:夢遊病者の死
Posted by 中 相作 - 2017.10.11,Wed
ウェブニュース

毎日新聞
 平成29・2017年10月6日 毎日新聞社

古里の“味”紹介 牛汁・かたやきなど、レシピや実物で /三重
 竹内之浩
 Home > 地域 > 三重県 > 記事

名張のソウルフード展

古里の“味”紹介 牛汁・かたやきなど、レシピや実物で /三重

毎日新聞2017年10月6日 地方版



地元の銘菓が並ぶ「名張のソウルフード展」=三重県名張市安部田で、竹内之浩撮影

 名張市の郷土料理や菓子の魅力を伝える「名張のソウルフード展」が、同市安部田の市郷土資料館で開かれている。地場食材を使った「名張牛汁」や伊賀地域の銘菓「かたやき」などをレシピや実物で紹介している。無料。11月29日まで。

 名張牛汁は伊賀牛を使った汁物。資料館によると、それ以外の規定はなく、提供する店が伊賀米の焼きおにぎりを載せたり、伊賀酒を調味料に使ったり、さまざまなアレンジを加え、おいしさを引き出しているという。展示では、一般的な作り方や「名張牛汁協会」のPR活動、市内の提供店を紹介している。

 菓子コーナーでは、かたやきをはじめ、名張出身の江戸川乱歩にちなんだ「乱歩ぱい」やサツマイモを使った赤目滝の名物「へこきまんじゅう」など10種を展示。他に資料館がある錦生地区の家庭料理として「のっぺい汁」や「でっちようかん」など7種の写真とレシピも掲示した。

 また、錦生地区文化祭がある11月25日午前9時~午後2時、同展記念イベントとして、資料館駐車場で地元特産シメジを使った特製名張牛汁(300円)の販売も行われる。

 開館は午前9時半~午後4時半。月、木曜休館(祝日は開館し、翌日休館)。資料館(0595・64・7890)。【竹内之浩】

〔伊賀版〕
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