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Nabari Ningaikyo Blog
Posted by - 2025.04.02,Wed
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Posted by 中 相作 - 2018.02.11,Sun

 お寒うございます。

 このエントリのつづきでございます。

 2018年1月31日:寒中お見舞い申しあげます

 どうせまともなお答えは頂戴できぬであろうと思い、こんなことも記しておきました。

 2018年2月4日:立春早春賦

 新聞記事は収集対象ではありません、という回答が返ってくる、という予想に一万ガバス賭けたのですが、なんのなんの、こちらの想像力なんか軽く蹴散らされてしまいました。

 とりあえず、2月8日に頂戴した回答をごらんいただきましょう。

 中 相作 様

 市長への手紙をお寄せいただきありがとうございました。
 お尋ねのありましたことについて、以下のとおり回答させていただきます。

●河出書房新社『花森安治』について「旧版とリニューアル版(増補新版)とを別の資料と考え収集対象としました」との判断が妥当であったと考えるのか否か、お答えいただきたいと思います。

 旧版とリニューアル版(増補新版)の内容紹介を比較し別の資料と考え収集対象と判断しました。

●視聴覚資料、コミック、定期購読以外の雑誌を除外するという原則ないしはルールはどういった根拠にもとづいて設定されているのか、具体的にご説明ください。

 1月15日付で回答いたしましたように、資料の収集にあたっては当然予算の制約を受けることから、その制約の中で資料の収集を行うことになります。市立図書館においても、限られた予算の中で多くの市民の皆さんに図書館を利用していただけるよう幅広く資料収集を図る必要があることから、乱歩関係資料についても図書を中心に資料収集を行っています。

 ●乱歩関連資料であると認識しながら視聴覚資料やコミックを収集しないことの責任は、いったいどうお考えでしょうか。

 先の回答とも重複しますが、資料の収集にあたっては当然予算の制約を受けることから、乱歩関係資料についても一定の基準を設けて資料の収集を行っているところです。

 ●1月28日の朝日新聞にこんな記事が掲載されました。伊賀版では30日の掲載でしたが、この記事に関して名張市立図書館はどう対処したのか、その点もお知らせいただきたいと思います。

 1月30日付朝日新聞三重版に掲載された情報をもとに、国立国会図書館オンライン(雑誌記事索引)で、論文名、掲載誌等の書誌情報を確認しました。乱歩関係資料であると同時に三重県に関係する資料でもあるので、掲載誌の購入手続きを進めています。

 平成30年2月8日
 名張市長 亀井利克

 なんだかひどいなどうも。

 たいていの人間ならこのあたりであほらしくなってしまってお役人なんか相手にしなくなるものなんですけど、なんのなんの、私は違います。

 行くところまで行きます。

 なんともしつこい性分に見えるかもしれませんが、あたぼうだい、巳年の生まれよ。

 でもって本日、名張市公式サイト「市長への手紙」を利用して次のごとき文面を送信いたしました。

 件名は「まともなお答えをお願いします」。

 お世話さまです。

 いつもご丁寧なお答えをたまわり、あらためてお礼を申しあげます。

 お答えをたまわるのはまことにありがたいのですが、お聞きしたことに対するまともなお答えが頂戴できればさらにいっそうありがたく、重ねて再質問をお送り申しあげる次第です。

 以下、「↓」と「↑」で挟んだテキストは2月8日付メールでお送りいただいたご回答の引用です。


●河出書房新社『花森安治』について「旧版とリニューアル版(増補新版)とを別の資料と考え収集対象としました」との判断が妥当であったと考えるのか否か、お答えいただきたいと思います。

 旧版とリニューアル版(増補新版)の内容紹介を比較し別の資料と考え収集対象と判断しました。


 まともなお答えをお願いします。

 「収集対象と判断しました」とおっしゃるその判断が妥当であったとお考えなのかどうか、その点をお聞きしております。

 市立図書館が現場の判断としてリニューアル版を購入したわけですが、1月31日付「市長への手紙」にも記しましたとおり、名張市の財政事情の厳しさや名張市立図書館による乱歩関連資料収集のずさんさに鑑みて、リニューアル版を購入したことははたして妥当であったのか、そうではなかったのか、その点の市長判断をお聞きしております。

 お答えをお願いいたします。

 お答えは、妥当か否かの二者択一でお願いします。


●視聴覚資料、コミック、定期購読以外の雑誌を除外するという原則ないしはルールはどういった根拠にもとづいて設定されているのか、具体的にご説明ください。

 1月15日付で回答いたしましたように、資料の収集にあたっては当然予算の制約を受けることから、その制約の中で資料の収集を行うことになります。市立図書館においても、限られた予算の中で多くの市民の皆さんに図書館を利用していただけるよう幅広く資料収集を図る必要があることから、乱歩関係資料についても図書を中心に資料収集を行っています。


 まともなお答えをお願いします。

 お聞きしているのは根拠です。

 図書を優先して視聴覚資料やコミックをネグレクトする根拠はどういうことなのか、その点をお聞きしております。

 すでに所蔵している書籍のリニューアル版を購入するよりは、視聴覚資料やコミックを購入するべきだという意見も当然あるものと思われますが、いかがお考えでしょうか。

 お答えをお願いします。

 お答えいただくのが難しいようでしたら、二者択一の問題に単純化してお聞きいたします。

 視聴覚資料やコミックより図書を優先して収集していることに根拠はあるのか、ないのか、二者択一でお答えをお願いします。


 ●乱歩関連資料であると認識しながら視聴覚資料やコミックを収集しないことの責任は、いったいどうお考えでしょうか。

 先の回答とも重複しますが、資料の収集にあたっては当然予算の制約を受けることから、乱歩関係資料についても一定の基準を設けて資料の収集を行っているところです。


 まともなお答えをお願いします。

 基準の有無についてお聞きしているわけではありません。

 名張市立図書館は、乱歩関連資料として収集すべきであると貴職も認識していらっしゃる視聴覚資料やコミックを、理由はどうあれ収集していないわけです。そのことの後世に対する責任をどう考えているのか、その点の市長判断をお聞きしております。

 お答えをお願いいたします。

 お答えいただくのが難しいようでしたら、名張市立図書館が視聴覚資料やコミックを除外して乱歩関連資料を収集しているのは妥当なことであるのかどうか、という点に単純化してお聞きすることにしたいと思います。

 妥当か否か、二者択一でお願いします。


 ●1月28日の朝日新聞にこんな記事が掲載されました。伊賀版では30日の掲載でしたが、この記事に関して名張市立図書館はどう対処したのか、その点もお知らせいただきたいと思います。

 1月30日付朝日新聞三重版に掲載された情報をもとに、国立国会図書館オンライン(雑誌記事索引)で、論文名、掲載誌等の書誌情報を確認しました。乱歩関係資料であると同時に三重県に関係する資料でもあるので、掲載誌の購入手続きを進めています。


 お願いです。

 お願いですからまともなお答えをお願いいたします。

 私がお聞きしたのは新聞記事そのものについてです。

 記事に記されていた雑誌のことをお聞きしたわけではありません。

 お答えをお願いいたします。

 お答えいただくのが難しいようでしたら、1月30日付朝日新聞伊賀版に掲載された当該記事は乱歩関連資料として収集すべきかどうか、という点に単純化してお聞きすることにいたします。

 収集対象なのか、そうではないのか、二者択一でお願いします。

 以上です。

 よろしくお願い申しあげます。

 それにしてもお役人ってのはひどいもんでがしょう?

 ほんと、やんなっちゃう。
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Posted by 中 相作 - 2018.02.11,Sun
新聞

朝日新聞
 平成30・2018年1月28日 朝日新聞名古屋本社

乱歩 亀山との接点/「初期の代表作 完成の地」昨秋に論文/随筆に記述「父の療養先」特定
 小川尭洋
 23面〈三重版〉

 

 朝日新聞:Home
Posted by 中 相作 - 2018.02.11,Sun
ウェブニュース

よしもとニュースセンター
 平成30・2018年2月2日 吉本興業

友近、全国6都市ツアー「友近ワイド劇場」開催決定!!
 Home > ニュース > 記事

2018年2月 2日 (金)

友近、全国6都市ツアー「友近ワイド劇場」開催決定!!

昨年行われた全国ツアー「友近連続ライブ小説 おそかれはやかれ」が即日チケットが完売し、追加公演も行われたほどの大人気ぶりを見せた友近が今年も全国6都市で全国ライブツア0「友近ワイド劇場」を開催する事が決定致しました。



バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、ハリセンボン近藤春菜、渡辺直美ロバート秋山や渡辺直美に加え、今年はシソンヌのじろうやゆりやんレトリィバァなど超豪華なメンバーを揃えております。
友近ならではの独特な世界観で新ネタやユニットコントを披露する予定ですので、是非会場にお越しください。

≪友近本人コメント≫
今回は幼い頃ドキドキしたおどろおどろしい感を覚えた江戸川乱歩の世界をいつもの芸達者な最高なメンバーで表現できたらと思っております。
もちろん、バカ楽しいコントもありますよ!!是非いらして下さい。

【友近全国ライブツアー「友近ワイド劇場」 公演概要】

●公演スケジュール
4月8日(日)東京・有楽町よみうりホール 開場/16:00 開演/16:30 
バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、ハリセンボン近藤春菜、渡辺直美

4月25日(水)大阪・なんばグランド花月 開場/19:00開演/19:30 
バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、シソンヌじろう、渡辺直美

4月29日(日)高知・高知市文化プラザかるぽーと 大ホール 開場/15:30開演/16:00
バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、シソンヌじろう、渡辺直美

5月6日(日)名古屋・日本特殊陶業市民会館 フォレストホール開場/15:30開演/16:00
バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、ハリセンボン近藤春菜、ゆりやんレトリィバァ

5月20日(日) 東京・有楽町よみうりホール開場/15:30 開演/16:00 
バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、シソンヌじろう、ゆりやんレトリィバァ

5月23日(水)福岡・福岡国際会議場 メインホール  開場/18:00開演/18:30
バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、シソンヌじろう、渡辺直美

5月27日(日)仙台・仙台イズミティ21大ホール  開場/15:30開演/16:00
バッファロー吾郎A、ずん飯尾和樹、ロバート秋山竜次、ハリセンボン近藤春菜、ゆりやんレトリィバァ

●チケット情報
料金: 前売6800円、当日7000円(税込・全席指定)
▼チケットよしもと先行
受付期間:2/3(土)11:00-2/5(月)11:00 当落発表:2/7(水)
▼ぴあ先行
受付期間:2/6(火)11:00-2/12(月祝)23:59 当落発表:2/15(木)
▼ヤフー先行
受付期間:2/14(水)15:00-2/18(日)23:59 当落発表:2/23(金)
▼一般発売日 3/10(土)10:00
Posted by 中 相作 - 2018.02.10,Sat
ウェブニュース

サライ
 平成30・2018年2月6日 小学館

妖しい作家・江戸川乱歩が愛用した映写機【文士の逸品No.02】
 矢島裕紀彦
 Home > 趣味・教養 > 記事

妖しい作家・江戸川乱歩が愛用した映写機【文士の逸品No.02】

2018年02月06日



◎No.02:江戸川乱歩の映写機



江戸川乱歩の映写機(個人蔵、撮影/高橋昌嗣)

文/矢島裕紀彦

うつし世はゆめ 夜の夢こそまこと--そんな妖しく危うげな言の葉を、江戸川乱歩は好んで用いた。

明智小五郎や怪人二十面相といったキャラクターを生み出して日本の探偵小説の基盤を築く一方で、天井裏からの覗き見や蜃気楼、陰惨な性愛など、猟奇的、幻想的なテーマを取り上げる乱歩には、似合いの文句であった。

履歴にも、ある種の怪しさはつきまとう。30種に余る職業遍歴。46回に及ぶ転居。作家としても、真っ暗な土蔵にひとりでこもり、蝋燭(ろうそく)の明かりだけで原稿用紙に向かう、という伝説を自らつくり上げていた。

東京・豊島区に子息の平井隆太郎氏のもとを訪れると、乱歩愛用の9ミリ半の映写機が残されていた。国産「エクラA型」。フィルムはフランス製「パテー」を用いた。このフィルムが16ミリほど高価でなく、しかし、8ミリより映像に迫力がある。それ故の9ミリ半という選択であった。

幼少期からレンズや鏡の魔力に魅了されていた乱歩は、この映写機で、主に家族や友人の日常の姿を映し出していたというが、そこにさえ妖しい世界を感じてしまうのは、地下の乱歩の思う壺なのかもしれない。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。『サライ.jp』で「日めくり漱石」「漱石と明治人のことば」を連載した。

写真/高橋昌嗣
1967年桑沢デザイン研究所 グラフィックデザイン科卒業後、フリーカメラマンとなる。雑誌のグラビア、書籍の表紙などエディトリアルを中心に従事する。

※この記事は、雑誌『文藝春秋』の1997年7月号から2001年9月号に連載され、2001年9月に単行本化された『文士の逸品』を基に、出版元の文藝春秋の了解・協力を得て再掲載したものです。
Posted by 中 相作 - 2018.02.09,Fri
催事

本多正一写真展「うつし世のまこと 江戸川乱歩の遺品」
 平成30・2018年2月24日(土)─4月22日(日)
 小樽文学館(北海道小樽市色内1-9-5)

 市立小樽文学館:企画展「本多正一写真展『うつし世のまこと 江戸川乱歩の遺品』」
Posted by 中 相作 - 2018.02.08,Thu
ウェブニュース

ダ・ヴィンチニュース
 平成30・2018年1月19日 KADOKAWA

『未来日記』『ビッグオーダー』えすのサカエ待望の最新作『探偵明智は狂乱す』大ボリュームの無料試し読み配信中!
 Home > ニュース > 記事

『未来日記』『ビッグオーダー』えすのサカエ待望の最新作『探偵明智は狂乱す』大ボリュームの無料試し読み配信中!

アニメ・マンガ
2018/1/19



 えすのサカエ待望の最新作『探偵明智は狂乱す』(KADOKAWA)の電子版が、2018年1月25日(木)に1・2巻同時配信される。

『未来日記』『ビッグオーダー』で知られるえすのサカエが現在『少年エース』にて連載中なのが『探偵明智は狂乱す』。
 一緒に住んでいた叔父と叔母を謎の怪人に惨殺された女子中学生の花咲マユミ。ひょんなことからマユミは名探偵・明智小五郎の霊に憑依され、事件に挑むことになり…。狂気と陰謀が渦まく、江戸川乱歩オマージュミステリ作品だ。

 電子版が配信されることを記念し、現在各電子書店では無料のお試し読み版が配信中。なんと1巻の70%程度が読めてしまう大ボリューム! 有料版に先駆けて大ボリュームのお試し読み版の配信はKADOKAWAのコミック作品としては初の取り組み。

 また、ブックウォーカーでは有料版「探偵明智は狂乱す」購入者を対象にプレゼントキャンペーンを実施。購入者全員にデジタルピンナップ特典、抽選で1名にサイン色紙が当たるので、詳しくはブックウォーカーをチェックしてみては?

●ブックウォーカー詳細ページ:https://bookwalker.jp/campaign/8478/

『探偵明智は狂乱す(1)』
『探偵明智は狂乱す(2)』
著:えすのサカエ
出版社:KADOKAWA
配信予定日:2018年1月25日​​
Posted by 中 相作 - 2018.02.07,Wed
書籍

森下雨村探偵小説選 III 論創ミステリ叢書111
 森下雨村
 編:湯浅篤志
 平成30・2018年1月30日初版第一刷 論創社
 A5判 カバー 400ページ 本体4000円

 論創社:森下雨村探偵小説選Ⅲ
Posted by 中 相作 - 2018.02.06,Tue
催事

海外ミステリの楽しみ

平成30・2018年2月18日(日)午後3時
JAZZ喫茶M&M(兵庫県神戸市中央区栄町通2-7-3、うみねこ堂書林2階)
トークショー/うみねこ堂書林開店ほぼ4周年記念イベント
講師:有栖川有栖 (推理小説作家) 
聞き手:野村恒彦 (うみねこ堂書林店主)
参加費:2000円(当日徴収)


 うみねこ堂書林:Home
Posted by 中 相作 - 2018.02.06,Tue
ウェブニュース

YAHOO!ニュース
 平成30・2018年1月26日 Yahoo Japan

江戸川乱歩×三島由紀夫×中谷美紀の美しきエロ・グロ・サスペンス『黒蜥蜴』 東京から大阪へ
 木俣冬
 Home > エンタメ > 記事

江戸川乱歩×三島由紀夫×中谷美紀の美しきエロ・グロ・サスペンス『黒蜥蜴』 東京から大阪へ

木俣冬 | フリーライター
1/26(金) 6:00



『黒蜥蜴』 撮影:taro

「追われているつもりで追っているのか 追っているつもりで追われているのか」

名探偵・明智小五郎対女盗賊・黒蜥蜴の丁々発止の攻防を描く、江戸川乱歩の名作ミステリー。何度も映画やテレビドラマや舞台化された人気作品で、舞台は三島由紀夫が戯曲化したものが有名だ。

美しいものをそのまま遺すために、盗んで自分のアジトに大切に陳列している黒蜥蜴と、彼女の犯罪を阻止すべく追跡し続ける明智小五郎、ふたりの向くベクトルは、一般的に考えられる悪(泥棒)と正義(探偵)との真逆ではあるが、信念に注ぐエネルギーの分量は拮抗している。

己の信じる正義をかけてぶつかり合う明智と黒蜥蜴は、互いのエネルギーに共鳴し惹かれ合っていく。正義とは悪とは何かという難解な命題と運命の恋愛を重ねた、この上なく浪漫あふれる物語だ。

この、乱歩原作、三島作版の黒蜥蜴役に挑んだ中谷美紀が、妖艶で残酷で美しい。

黒蜥蜴役は、三島由紀夫とも親交が深かった美輪さまこと美輪明宏による公演が有名で、そのほか、麻実れい、岩下志麻、小川真由美、京マチ子、坂東玉三郎、松坂慶子、などが映像や舞台で演じている。

女泥棒ということもあって、柄の大きく、ドスの効いた声が出せる俳優をイメージしがちで、中谷美紀が演じると知ったとき、少々線が細いかなと思ったが、初舞台で数々の演劇賞を受賞しているだけはあり、身のこなしも、口跡も堂々たるもの。休憩入れて3時間15分、最後まで観客を魅了し続けた。



右:中谷美紀 左:相楽樹 撮影:taro

胸躍るラブミステリー

物語は、堂島川と土佐堀川をはさんだ大阪、中之島のホテルのスイートルームからはじまる。世界的な宝石商・岩瀬(たかお鷹)の娘・早苗(相楽樹)は、怪盗・黒蜥蜴(中谷美紀)に狙われていた。誘拐の予告状を受け取った岩瀬は、名探偵・明智小五郎(井上芳雄)に警備を依頼する。

岩瀬の知人・緑川夫人として、早苗に接近してきた黒蜥蜴の作戦を、明智は見事に阻止するが、黒蜥蜴は諦めず、半月後、再び、早苗に魔の手が伸びる……。

ついに、奪われてしまう早苗。黒蜥蜴は、彼女と引き換えに秘宝”エヂプトの星”を要求する。

仰天のトリック、盗賊集団とそのアジトの設定、まばゆい宝石、美への執着から生まれた芸術……そして、黒蜥蜴と明智小五郎が行い続ける知恵比べという恋愛ゲーム、すべてに心踊る。観る者を選ばない、最高のエンターテインメントだ。

乱歩と三島の偉大さを改めて感じるのは、ミステリーかと思ったらラブストーリーへ、作品が姿を変容していき、さらには、美とは何か、愛とは何か、犯罪とは何かという哲学的な叡智に耽ることもできるように、どこまでも深化していく構造になっていること。深まりながら、高みに昇っていく黒蜥蜴の明智への愛は、男女を超えた究極の愛でもある。
冒頭に引用した台詞「追われているつもりで追っているのか 追っているつもりで追われているのか」が印象的に響く。



井上芳雄(右)演じる明智の優雅な知性も新鮮 撮影:taro

残酷な美意識を演じる中谷美紀

黒蜥蜴の愛は、美への想いだから、男(明智)を愛するし、女(たとえば早苗)も所有しようとする(その所有の仕方に美意識が現れる)。

女性ではあるが、性を超越した美を追求する黒蜥蜴の役を演じるにあたり、中谷が17年秋に主演した、東野圭吾原作の連続ドラマ『片想い』(WOWOW 3月2日にはDVD、ブルーレイが発売される)で、LGBT・性同一性障害の主人公を演じたことも功を奏したのではないだろうか。そのとき彼女は、トレーニングによって筋肉をつけ青年らしい外観をつくり、それまでの、華奢に見えて女性らしい丸みのあるラインをしていた彼女(11年、16年と演じた
『猟銃』のときなどがそうだ)とはずいぶん雰囲気を変えていた。

ドラマの撮影は、17年の夏だったので、舞台の時期からだいぶ時間は経ってしまっているとはいえ、ビアズリーのミニマムでいて、色気のある線画のような黒蜥蜴のスタイル(衣裳は前田文子)は、『片思い』の体験なくしては生まれ得なかったように思うのだ。

頭の先から爪先まで揺るぎない美意識で貫かれた黒蜥蜴は、深い愛を表すために残虐にもなってしまう、剣のような人物だ。

中谷美紀の肉体と声は、蜥蜴のように、ぬめっとした光を放ち、ゆるやかなカーブを描いた剣のように、サディスティックでありながら、
その一方で、チャーミングでもある。もともと、インタビューなどでも、ユーモアを忘れない才女は、公演パンフレットで、稽古中に居眠りをしてしまったことを隠さず語り、お茶目さを披露していた。

かなりの大物とも言えそうな中谷美紀の黒蜥蜴に、惜しみない拍手を贈りたい。

余談ではあるが、ミステリードラマと中谷美紀

犯罪であろうが正義であろうが、極めれば美として当価値であるという考えに関して、かつて、中谷美紀が演じてきたミステリー・ドラマ『ケイゾク』(99年)を思い出す。東大卒のキャリア・柴田純刑事が、迷宮入りの事件の捜査を通して、純粋なまでにたったひとつの真実を追求していく。このときの中谷は、言ってみれば、明智側の人である。
また、『IQ246~華麗なる事件簿~』(16年)では、IQ300もある天才犯罪者で、捜査が趣味の主人公(織田裕二)と知恵比べをしている。この設定は『黒蜥蜴』に少々似ている。
こうしてみると、中谷美紀は、『黒蜥蜴』に出会うべくして出会ったように思える。

ミステリードラマの中谷美紀を愛する人は、舞台『黒蜥蜴』も見届けるべきだ。

『黒蜥蜴』東京公演は28日まで日生劇場で。当日券あり。
大阪公演は2月1日~5日まで、梅田芸術劇場で。



迷宮のような美術(伊藤雅子)、上手では生演奏が  撮影:taro

黒蜥蜴
原作:江戸川乱歩
脚本:三島由紀夫
演出:デヴィッド・ルヴォー
出演:中谷美紀 井上芳雄 相良樹 浅海ひかる たかお鷹 成河

木俣冬
フリーライター
著書『みんなの朝ドラ』(講談社新書)/『挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ』(キネマ旬報社)/『ケイゾク、SPEC、カイドク』(ヴィレッジブックス)/共著『蜷川幸雄の稽古場から」(ポプラ社)/『おら、あまちゃんが大好きだ!』(扶桑社)/編書『堤っ』(角川書店)/『庵野秀明のフタリシバイ』(徳間書店) など。角川書店でTVドラマや映画に関する書籍編集、TBSドラマの公式サイトライター、演劇や映画パンフレット編集などの経験を生かし、ドラマ、映画、演劇など文化、芸術、娯楽に関するルポルタージュ、インタビュー、レビュー、ノベライズなどを手がける。15年よりエキレビ!にて毎日朝ドラレビュー連載
Posted by 中 相作 - 2018.02.05,Mon

 とくと思案してください、とか悠長なことをいってるあいだに、藍峯舎の『完本 陰獣』が早くも完売となってしまいました。

 株式会社藍峯舎:Home

 発売までに予約満杯というのは藍峯舎史上初めての快挙です。

 名張市立図書館が予約したのかしなかったのか、ちょっと気にかかるところですが、そんな枝葉末節の問題は別にして、名張市はとにかく財政難なんですから乱歩関連資料の収集をよその図書館との連携で、というか、連携という名の丸投げで、というか、乱歩関連資料の収集という図書館としてごく当然のことをまるでできていないのが名張市立図書館なんですから、ここはもう財政難を理由に連携という名の丸投げに踏み出すしかないのではないか、ということを訴えてもまともに取り合おうとしないんですからお役人というのは困ったものです。

 困ったものだといえば名張市の衰退もじつに困ったもので、全国的に苦戦が伝えられるミスタードーナツの市内唯一の店舗が1月末で撤退、というのは個人的にはまったく困らない話なんですけど、拙宅から徒歩一分のところにあって何かと重宝していたサークルKサンクスが2月末で閉店、地元資本の本屋さんが入っている近鉄プラザ桔梗が丘は3月末で姿を消してしまいます。

 なんかもう衰退が津波のように襲ってくるというのが実感で、世の趨勢とはいうものの、ほんとに困ったものだなあ。
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