雑誌
センター通信 第6号
平成24・2012年3月31日 立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター
B5判 12ページ
乱歩と和書のかかわり-『若衆物語』を例に
安原眞琴
p1-2
江戸川乱歩紹介済み資料
p3
『新青年』研究会との四半世紀
谷口基
p4-5
「妖しの世界への誘い-谷崎・乱歩・横溝」展を開催して
永井敦子
p5ー7
解題「演説」
落合教幸
p8
演説
p9-11
編集後記
落合
p12
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乱歩と和書のかかわり-『若衆物語』を例に
安原眞琴
江戸川乱歩は、近代のみならず江戸時代の本も多数所持していた。「江戸川乱歩旧蔵近世資料目録」によれば、その数なんと九一一点、冊数では二七九六冊にものぼる(立教大学図書館編『江戸川乱歩旧蔵江戸文学作品展図録』二〇〇五年六月)。では乱歩は江戸時代の本と、どのように向き合ってきたのだろうか。『若衆物語』という作品を取り上げ、少しくさぐってみたい。
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『新青年』研究会との四半世紀
谷口基
立教大学に「乱歩の蔵」が譲渡されてから、はや十年。今なお公開日には引きも切らず見学者が訪れるとのこと、その盛況ぶりは卒業生として同慶の至りである。筆者自身、大学院在籍当時から大衆文学研究を志してきたこともあり、いまや母校が擁する大衆文化センターが「探偵小説の聖地」などと評されていることは、実に誇らしい。
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「妖しの世界への誘い-谷崎・乱歩・横溝」展を開催して
永井敦子
二〇一一年十月一日から十二月二十五日まで、芦屋市谷崎潤一郎記念館で「妖しの世界への誘い-谷崎・乱歩・横溝」展を開催した。七十四日間の会期中、四二五三名の来館があった。前年度の同時期と比較し、一・五倍の入場者数となっている。
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解題「演説」
落合教幸
原稿冒頭には「大正八年団子坂」とある。つまり、乱歩が弟たちと古本屋「三人書房」を営んでいた時期のものだということになる。
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演説
昨日花見に狂った血潮が、まだ[納]しづまらぬ胸に鳴ってゐる様であった。無数の蜂の巣が集って、フワフワと枯枝に懸った様にも、妙に蠱惑的な桜の下で、酒に酔ったのか、その蜂の巣の魔法に酔ったのか、男や女が、チラチラ赤と黄と■■|青|と原色の交響楽で踊ってゐた。世間一帯に春のモヤがボンヤリと漂ってゐた。突然、[譯の]エタイの知れぬたはごとを口走り相にしては、ハツとして我に返る様な気候であった。
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